11/05/22 19:27:14.21 BTpRsUw90
●２６号＃１６６『生きた道具』＠バレ：
宿舎へ戻ろうとしたＳＴＣの面々だったが、ふとコートに目をやると難波江が練習をしていたので、エーちゃんのみ、視察がてら居残ることに。
難波江のフォームの綺麗さに感心していると、難波江に声を掛けて近づいていく人物が。その中年の男性は、たくさんのラケットを持ってきており、何やら相談し合ってる様子。
何をしてるのかなと疑問を抱いたところで、ちょうど荒谷がやってきた。荒「よう、丸尾。やるじゃねえかよ、ベスト４！(*・∀-)☆」エ「あ、荒谷くん。ありがとう(´▽｀)」
そして荒谷は、難波江がラケットについて何を話してるのか教えてくれた。あの男性はラケットメーカーの人で、難波江や荒谷のような全国の常連になると、開発に協力するという形でメーカーからの貸出を受けられるとのこと。
中でも難波江は、単なる使用感だけではなく、重さ・重心・ガットの張り等など、実に細やかな意見を出すのでメーカーも非常に喜んでおり、もう難波江のラケットに関しては、専用と言っても良いぐらいの完成度なのだとか。
エ「難波江くん用のラケット……( ﾟдﾟ)すごー」～などと呆気にとられていると、荒谷は、かつてのエピソードを披露してくれた。
それは、数年前の日本選抜でのこと―。
難波江とストロークの練習を始めたところ、まもなく難波江のガットが切れてしまった。替えのラケットが無いというので、荒谷が予備の物を貸してやろうと言うも、難波江は頑なに断るのだった。
荒「何でだよ？」難「人のラケットで打つのダメなんだ。なんか調子狂って」荒「は？ 神経質すぎじゃね？」難「そうかもしれないけど、自分のラケットに戻した時、微妙に違和感が残るんだよ」
―と、そんな逸話から、エーちゃんは、難波江がラケットのことを単なる道具ではなく「自分の手」―例えるなら『生きた道具』のように扱っているのだと分かり、あのしなやかでムダの無いフォームの秘密を垣間見た気がしたのだった。