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東日本大震災 原子力施設集中の東海村 風評被害を警戒
毎日新聞 3月19日(土)4時50分配信
東日本大震災後、日本原子力発電東海第2原発を抱え、原子力関連施設が集中する茨城県東海村に入った。
約110キロ北方では福島原発周辺の放射線量が高まり、住民不安を招いているが、村内の原発は安定した状態が続いている。
1999年の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事務所で起きた臨界事故では「放射能汚染した村」という風評被害で農産物の流通などで大打撃を被った経験があるだけに、村民は放射線以上に風評への警戒心を強めている。【大久保陽一】
村では震災直後、約4000人が村内各地域のコミュニティーセンターなどに避難した。
その後、電気は通ったが、村全体の3分の1で断水が続いており、18日午後6時現在で93人が避難所生活を続けている。
村内の舟石川コミュニティーセンターに避難した主婦(50)は「できれば県外に出たいけれど、ガソリンがない」と不安そうな表情で話した。
福島原発事故の影響で北風が吹いた15日には一時、通常時の約110倍にあたる5マイクロシーベルトを観測し、JAひたちなかには、組合員から農産物への影響を心配する問い合わせが相次いだ。
JCO臨界事故の風評被害では、事故後4カ月で「東海ネギ」の売り上げが平年の4億円から2億2000万円に落ちた過去がある。
JAひたちなかの担当者は「実は風評被害が一番怖い」と話し「事態を見守るしかない」と冷静な対応を呼び掛けている。
村役場も風評被害対策には敏感に対応している。放射線量の数値が上がった15日、建設業者の間で「原子力機構の職員も退避している」との誤った情報が流れ、屋外で道路の復旧工事をしていた建設業者が作業を拒否する事態が発生。
災害対策本部会議を1日3回開き情報収集をしている村役場がすぐにキャッチし、村幹部の前田豊理事が業者を説得し誤解を解いたという。
文部科学省から出向している前田理事は、JCO事故の際にも県の原子力安全調整監として事故対応を取った経験があり「JCO事故を教訓に、村民にはしっかりした原子力への知識がある」と不安解消には正確な情報伝達が不可欠との認識を示した。
一方、反原発運動を続ける相沢一正村議は、津波に襲われた東海第2原発で非常用の発電機が1台のみ稼働し冷却機能が保たれたことについて「想定外の事態にも備えておく必要があったはずだ」と指摘。「原子力はもう終わりだ」と批判を強めている。