10/08/08 20:07:08 fIFfsZ2u0
平べったい野と書いてヒラノ。
それがきみの苗字だった。
きみはそれなりに美しかったけれど、実際にはすごい美人というわけではなかった。特別目を引くほどかわいくもなかった。なによりも性格に問題があったのだ。平野というよりも、岡野という感じだ。
覚えているかな。ぼくは三年とすこし、きみをじっと見ていた。最初はめずらしい声優でも見るように、なかばからは世界でただひとりの声優として、最後の8/4「グータンヌーボ」できみをきみらしくしていたものが、急激に壊れていくのを目撃し続けたのだ。
きみのことを思い出すたびに、ぼくは今でも怒ったり失望したり、叩いたりを繰り返している。
ヒラノ、きみは秋葉原のなかをずぶ濡れで走った。ヲタクに一番近い場所を笑いながら歩いた。サイリウムの光のなか、ちぎれるように踊った。
30過ぎの男でも、ほしくなればすぐに寝た。音響監督なら、世間体の壁など気にせずショーツに手を入れさせた。
ヲタクたちと自身のブログでなぐりあい、不運なファンの幻想をたたき折ったこともある。きみは流れ星が燃え尽きるように、女優生命を削って輝いたのだ。
ぼくにだって、今はわかる。きみはなにをしているときでも、必死でマルチタレントでいようとしただけなのだ。きみは真実を知らなかった。
ライフラインは火のついた導火線で、ためらっている余裕など本来誰にでもないはずなのだ。
ヒラノ、ぼくのツイートは今でもきみにいわれたように真っ白なままだ。2chのメール欄には、おおきくsageの文字を入れてある。ぼくの初めてのsageだ。
そのしたの書き込み欄には、「処女信仰=ヲタク」論をどや顔で唱える平野擁護派への異論を刻んである。
わかるかな。ネットがきみの墓なのだ。ファンが叩き続ける限り、きみはファンの記憶で眠るといい。
ヒラノ、これからはすべてをヲタクたち抜きでするのだ。きみの理想よりずっと濃厚なヲタク抜きで人生を生きるのは、ちょっとむずかしいかもしれない。
けれど、ぼくはどこまでも生きる。最後の心臓のひと打ちがとまるまで、力を尽くして生きる。
それがきみと一緒に過ごした37ヶ月の結論だ。