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雅子妃への、きわめて控えめな提言 斉藤環
周知の通り、彼女はこの数年というもの、「適応障害」とか「新型うつ」とか、さまざまな呼ばれ方をする“体調不良”に苦しんできた。
長い間、彼女の顔からは心からの笑顔が失われている。公式行事への参加にしても、安定的には続いていない。
私はこれを皇室という環境への不適応と考え、さらに彼女の一挙手一投足を批判とともに注視し続ける国民からの視線を「一億総小姑」と表現した。
医師として見ても、これほどストレスフルな環境下で、回復が順調に進むとはとても思えない。
もはや彼女が真の回復に至るためには、愛子さまとともにしばらくの間、少なくとも数年以上をかけて、海外で静養してもらうほかはない。
私は本気でそう考えていた。ここでひとこと断っておくが、私自身は皇統の存続よりも、雅子妃という一個人がシステムの重圧に
潰されかねない状況のほうを、一精神科医として憂うるものである。
ストレスの原因はほかにもあろう。
徹底した近代教育を受けた雅子妃のような女性に、公式行事はともかくとして、それを信じない者にとってはおよそ意味不明な宮中祭祀を強要することが、
いかほどストレスになり得るか。立場ゆえにこなさねばならない形式的な役割がいかばかり辛いものかは、旧家に嫁いだ女性ならみな覚えがあろう。
「覚悟が足りない」云々の批判は、心から彼女の回復を願うなら出てくるはずもない“悪口”にすぎない。
公式行事への出席にしても、単に好奇の目にさらされるだけなら、どれほどの意味があるだろう。
出席しなければ怠け者扱い、がんばって出席 すれば仮病扱いでは、まともに治るものも治らない。
これほど妨害要因に満ちた治療環境で、それでも一歩ずつ改善に近づいている雅子妃と医師団の努力には、素直に頭が下がる。
すぐ海外とか言い出す短慮な私なら、とっくに途方に暮れていただろう。
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