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産経新聞 1989年9月12日 夕刊 2
『自由にのびのびと人生を切り開いて』 赤木攻 自然文化研究会顧問
大阪外国語大学教授
紀子さんには数度しかお目にかかっていない。
でも、自然文化研究会のずいぶん前の集まりで、私がタイ舞踊の真似ごとをしたら、
ものにせんとばかり必死に一緒に踊ったのは紀子さんで、素直に対象に
没頭していくあの真剣な姿だけは今でも覚えている。
そして、少々控えめで飾らず、にこやかな存在は、常に一際光っていた。
「東南アジア青年の船」に参加し、ボランティア活動にも熱心な女性である。
つまり、紀子さんの関心の所在はすこぶる殿下のそれに近い。
先月のタイ調査旅行の際、殿下がにこにこされながら、差出人不明の
殿下あての一枚の絵葉書を示されたことがあった。
「お元気で」といった意味の簡単な言葉が、英語、中国語、タイ語など
数カ国語で書いてある妙な手紙だった。
その方面の敏感さを欠く私は、自然文化研究会の悪友連中の寄せ書きだと合点し、
殿下の手に返したのだったが、今や紀子さんからの励ましと愛情の
メッセージであったことは明白である。
このタイ文字までをも学ぼうというその心構えこそが、彼女の真骨頂である。