10/03/07 02:24:06
そこからはとんとん拍子だった。
どうせもう見えなくなるんだから顔をよく見せてくれとたびたび会う約束をし、花を見せろと家に通い、かわいい姿を記憶したいからとオシャレさせ、
見納めだからと映画に行きまくり、ついでに最後の思い出にさせてくれと頼んで旅行にも行った。
嫁はよく頑張った。俺が家に行ってインターホン鳴らして出るのに30分かけてた頃から、今は人混みにも行ける。
嫁との旅行は富良野に行った。ラベンダー畑を見ていた時、睡眠不足の皺寄せが来て俺はぶっ倒れた。あの対人恐怖症の嫁が、人があんまりいないからって理由で北海道に行きたがった嫁が、助けを呼びに走ってくれたんだ。
何時間か寝て、目覚めた俺は色々な気持ちが吹き出して嫁に縋って泣いた。号泣した。
そうして嫁に抱きしめられながら、手術が怖いことを打ち明けた。でも手術を受けるべきだと言う嫁に「俺と結婚してくれるんだったら手術受ける」と言った。
本当は「手術が成功したら結婚してくれ」と言いたかったがいざとなったらガキみたいな本心が出たってことだな。
結局眼鏡が手放せなくなった程度で今もこうして楽にネットできるし、横では嫁が寝てる。
ちなみに嫁はネラーではないと言い張っているため、あの時のレスが嫁かは解らない。ぬるぽって言うと顔あかくして「…がっ……」って言うのにな。