10/10/08 10:17:12
小野さやかは、その鋭い目を劇中で観客に見せるよりも、
その鋭い目でレンズをのぞいたほうがいい映画がとれる映画監督なのではないか、そんなふうに感じます。
カメラというのは、そもそも日常を暴力的に切り取る装置ですので、
いきなり身内をとろうとすると、まるで、保険の営業か何かになってしまう。
「身内だからとりあえず保険に入って」といって、
かなり無理やり高額の保険を売りつけて顔出しまでさせる。
もし前半だけで終わっていたなら、そんな後味の悪い映画になっていた気がします。
これからの監督、小野さやかに、「もっと家族の暗部をえぐってほしい」とか
「ヤマギシ会の実態をえぐってほしい」というような、
いわゆる商業的というかマーケティング的な「期待の文脈」を持ち出して
本人を食い物にするような「批評」を私はあまり好みません。
「作品」が先にうまれて、あくまでそのあとで二次的な形で生まれてくるのが批評であって、
批評は「期待」ではないからです。