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芽殖孤虫(Sparganum proliferum)とは人間に芽殖孤虫症を引き起こす裂頭条虫科に属する寄生虫の幼虫。
世界で14症例が報告され、そのうち7例が最初に報告された日本で発生している。
芽殖孤虫は薄い嚢に包まれており、大きさは数ミリから1センチ程度で、
皺だらけでワサビやショウガの根のような形をしている。
体内に侵入すると無秩序に芽を出し嚢を破って分裂を繰り返し幼虫のまま増殖(幼虫移行症)。
皮下組織・筋肉や内臓に脳、骨などあらゆる組織器官に虫体が蔓延、全身が虫だらけになる。
それは一箇所に密集しているというより、組織内の広範囲に点在している状態である。
(よって皮膚を切ると虫体の塊がドロっと出てくる、のような表現は適当ではない)
症状はまず、局所皮膚にイボ状の結節あるいは小突起ができ、やがてそれが全身に広がる。
その結節ないし突起は痛みや痒みを伴い、掻き潰すと白い虫体が出てくる。
その後の経過は症例により異なるが、主に下半身の皮下組織が腫れて肥大していき、
細菌感染なども生じ、場合により皮膚が象皮病様になることもある。
内臓へ侵入した場合は出血を伴い、肺では喀血を起こす。
脳に侵入した場合では言語障害・運動障害といった脳症状を引き起こしていく。
経過は慢性的で症例によっては25年もの長期にわたり、最終的には死に至る。
有効な駆除薬は無く、治療法は外科手術による全摘出しかないが、
事実上不可能で過去の14例いずれも死亡例である。
芽殖孤虫の「孤虫」とは成虫が同定されていないことを表す。
人間への感染経路は不明で、終宿主や中間宿主といった生活史は一切判明していない。
生活史が不明なので予防方法も分からないままである。
人間以外では、牛と犬に芽殖孤虫と思われる寄生虫への感染が報告されている(いずれも日本)。
1982年にベネズエラで発見・摘出された虫体が現在もマウスの体内で継代中で研究に使われている