10/08/22 15:32:34
違法性阻却事由の錯誤で消極的構成要件要素の理論によれば構成要件的故意が阻却される
といいますが、過失犯は成立するのでしょうか。
「本書は・・違法性阻却事由の錯誤があるときは過失犯しか認められないとする
ものである」と井田総論375頁にあります。
691:氏名黙秘
10/08/22 15:52:55
オレのパソコン変換
共犯論→今日反論
未遂犯→ミス違反
692:氏名黙秘
10/08/22 15:54:48
>>687
>>688
あんまりいじめるなよW
693:氏名黙秘
10/08/22 15:54:51
>>687
結果無価値・行為無価値と、具体的符合説・法定的符合説って、関係あるの?
694:氏名黙秘
10/08/22 16:09:30
中山研一のブログにいっつもコメントしてる澤中研一って誰?
中山の第2の人格なの?
695:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/22 16:13:02
>>693
学説の分布がそうなってるだけで、結果無価値論なら具体的符合説をとらなけ
ればならないと論証した人はいない。
696:氏名黙秘
10/08/22 16:15:14
>>695
元ヴェテ院生参上様
>>690
について教えてくださるようおねがいします
697:690
10/08/22 17:49:02
違法性阻却事由が行為規範を設定しているとすれば、違法性阻却事由
について不注意で実現しそこなった場合には過失犯の構成要件該当性を
充足する。したがって違法性阻却事由の錯誤のばあいで消極的構成要件
要素の理論によれば構成要件的故意が阻却されるが、過失犯が成立する
可能性がある。だが、それはブーメラン現象に対する批判は同じくあて
はまらないのでしょうか・・。
698:氏名黙秘
10/08/22 17:52:30
>>695
行為無価値一元論からは符合は問題とならないと論証した人はいるよね。
(シュトラーテンベルト、鈴木左斗志)
699:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/22 17:53:39
>>696(>>690)
井田説の場合、違法性阻却事由の錯誤は、二重の意味で故意が阻却され過失犯
が成立する。
一つは、消極的構成要件要素の理論。違法性阻却事由は消極的な構成要件で
あるから、それを誤認している以上、すでに構成要件的故意が阻却され、過失
犯のみ成立する。
二つは、目的的行為論の帰結としての(制限)責任説。犯罪事実を認識しても
それに伴う違法性の意識の喚起可能性がない以上、責任形式としての故意が
阻却され、過失犯のみ成立する。
なお、厳格責任説をとる場合は、故意を阻却せず犯罪が成立するか、違法性の
意識がないとして超法規的に責任が阻却されるかのどちらかで、過失犯が成立
することはない。
こんなんでよろしいか?
700:690
10/08/22 17:55:22
>>699様
ありがとうございました。大変すっきりいたしました!!さすがですね。
701:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/22 18:26:25
>>699の7行目「責任形式としての」を削除。
702:氏名黙秘
10/08/22 18:42:46
>>699の理由付けはおそらく井田本人も気づいていないW
703:氏名黙秘
10/08/22 20:17:58
>>702
気づいてないというか
>責任形式としての故意が阻却され、
ただの間違いだろ。
704:氏名黙秘
10/08/22 20:30:05
>犯罪事実を認識しても
そもそもここが違うのか。
705:氏名黙秘
10/08/22 20:49:05
べテさんは院生なんかやめて予備校の講師になればいいのに。
706:氏名黙秘
10/08/23 02:05:24
>>700おい
>>701の間違いは重大だろ
この訂正の前になんですっきりできるんだ
井田は責任故意を認めてないでしょ
707:氏名黙秘
10/08/23 05:58:25
>>706
いちいち難癖つけるなよ、お前
わざわざ質問したから礼をしただけだろうが。
お前、日常生活でも難癖つけて喜んでるタイプか??
708:氏名黙秘
10/08/23 06:10:49
すっきりしました
さすがですね(笑)
709:氏名黙秘
10/08/23 19:44:35
今日は昨日までとうって変わって静かだね。
みんなどうしたの?
勉強してるの?
710:氏名黙秘
10/08/23 19:48:31
>>707と>>708は早起き組、それとも徹夜組?
うちの教授が「健康的な生活も受験資格のうちの1つだ」と言ってたよ。
711:氏名黙秘
10/08/23 19:55:08
>>661
ホント。
『理論刑法学の最前線』(山口=井田=佐伯:2001年)以来
立場の相違を超えて大の仲良し。
712:氏名黙秘
10/08/23 19:59:47
友人が「やっぱり客観的目的的行為論だな」と言って
「知らない」というのも癪なので「オレもそう思う」と答えたが
誰か教えて。
713:氏名黙秘
10/08/23 20:01:52
>>712
その友人がこのスレを見ている危険性は考慮しなくていいのかw
714:氏名黙秘
10/08/23 20:32:37
>>712
社会的行為論の一種。マイホーファーが提唱した。
行為とは、客観的に予見可能な社会的結果へと方向づけられらた客観的に支配
可能な態度であるとし、客観的支配可能ということで「不作為」、客観的に予見
可能ということで「過失」を取り込むもので、目的的行為論を出発点としながら、
これを社会的な意味で客観化して、いわゆる統一機能を果たすとする。
715:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/23 20:39:07
>>712
>>714
客観的目的的行為論は、団藤が社会的行為概念の一種として分類して以来、
わが国では社会的行為論の亜種として理解されるようになった。
普通の基本書には載ってない。載ってるのは内田文昭くらい。
レヴィジオンⅢ5頁(浅田)参照。
716:氏名黙秘
10/08/23 21:00:06
2年前に基本書を大谷から井田に乗り換えたのだが、今改めて大谷を読むと
井田の扱いに困っているようだな。
目的的行為論の項ではさすがに井田の名が挙がっているが、消極的構成要件
要素の理論では、中の名を挙げるだけで井田の名は挙がっていないw
717:氏名黙秘
10/08/23 21:09:04
>>714
どうやら第二の元ヴェテ志願兵が出現したようだな。
718:氏名黙秘
10/08/23 21:14:10
>>717
>>715で本物の元べテに軽くあしらわれているのが笑えるというか哀しいw
719:氏名黙秘
10/08/24 03:19:10
どのへんで
元ヴェテが>>714を軽くあしらっているんだ?
720:氏名黙秘
10/08/24 07:55:51
>>715は最初>712に答えるつもりはなかった(あるいは>>714に遅れをとった)
そこで>>715は>>714が刑法学辞典か何かで調べた結果を内容のみ書き込んで
いる点を捉えて、歴史的経緯や日本の学界の事情を書き込んだ。
つまり「オレは客観的目的的行為論の定義だけでなく、歴史的経緯や学界の
実情についても知ってるぞ」と上から目線で、>>714を意識して>>715を書き
込んだという訳。
721:氏名黙秘
10/08/24 08:07:13
つまらん。
行為論なんかどうでもいいよ。
もっと試験に直結する話に切り替えてよ。
722:氏名黙秘
10/08/24 16:36:43
じゃあまずは司法試験における行為論の重要性の有無・程度について検討してみる?
723:氏名黙秘
10/08/24 20:05:33
>>715
>レヴィジオンⅢ5頁(浅田)参照。
レヴィジオンⅢは巷間名著だといわれているが、特に松宮発言については
要注意だ。
前田・佐伯・曽根は構成要件的故意という概念を使っていないとか、同じく
構成要件のところで「西原先生はヴェルツェルですね」といった明らかな
誤謬があるし、中山と浅田が構成要件・違法性の議論をしているときに
「いや、共犯論ではこうなる」とか「錯誤論ではこういう問題が生じる」
とか発言して無用な混乱を生じさせている。
たしかに、レヴィジオンⅠ(共犯論)は名著だったけどな。
724:平野に帰れ!-エッセンス平野総論①法益保護の原則
10/08/24 22:17:54
わが国で、現在、最も有力な平野シューレ(山口・西田・前田・佐伯・町野・林幹人)を理解するためには、
原点(原典)に帰って、平野の『刑法総論Ⅰ、Ⅱ」を読む必要がある、しかし、物理的な制約により原典を
読めないというロー生も多いだろう。本稿は、そのようなロー生のために、平野説をコンパクトに、しかも
原典にできるだけ忠実に再現するものである。
【刑法と倫理】
法と倫理の関係如何は、法哲学の重要問題の一つである。
刑法学では、この問題は、刑法は、社会倫理を維持するためのものであるのか、それとも、法益の保護を任務
とするものであるのか、という形で提起される。
Welzelは「刑法の任務は、基本的な社会倫理的な心情(行為)価値の保護にある」とした。これに対して、
刑法改正代案を作成した若い教授たちは「刑法は、法益の保護に奉仕するものである」として「刑法の倫理化」
に反対した。
わが国で、団藤が「社会生活に必要とされる最小限度の道徳規範は、法によってこれを強行することを要する。
その限度において、道徳規範は法規範に帰化することになる」とするのは、Welzelに近い考え方である。
刑罰は、必ずしも常に社会倫理を維持するための適切な手段ではない。とくに現在の社会では、何が倫理的に
正しいかは、しばしば相対的である。違った価値観自体に対しては、社会は寛容でなければならない。法は
ただ、違った価値観を持つ人の共存を保障すればいいのである。
国家的同義(小野)や社会倫理(団藤)の維持を刑法の任務とすることは、刑法に対する過大な要求である
だけでなく、自己の価値観を、法の名のもとに他人に強制することにもなりかねない。
725:氏名黙秘
10/08/24 23:13:14
>>723
>たしかに、レヴィジオンⅠ(共犯論)は名著だったけどな。
レヴィジオンⅡはどうなの?
726::平野に帰れ!-エッセンス平野総論①法益保護の原則(2)
10/08/24 23:47:11
【結果無価値と行為無価値、客観的違法と主観的違法】
Welzelはいう。「違法は、行為者による結果惹起(法益侵害)につきるものではない。行為はある特定
の人のワザとしてのみ違法である。①客観的な行為にどのような目的を与えたか、②どういう態度から
客観的な行為をしたか、③その際、彼はどういう義務を負っていたか、これらのすべてが、たまたま
おこった法益侵害とともに、行為の違法性を決定する。違法は常に一定の行為者に関係した行為に対する
否定的評価である。違法は、行為者に関係した人的な行為無価値である」
現在、客観的違法論を採る人も、評価規範は、行為の客観的要素だけでなく、主観的要素にも向けられる
として(大塚・大谷)、故意・過失も違法判断の対象とし、結局、一般人を標準として、「誰でもそういう
場合はそういう行為をするであろう」という場合は違法でないとし、一般人ならばそういう行為をしないで
あろうという場合に、当該個人の特殊な事由によってその行為に出た場合に、その者の責任が問題になる、
とする。
すなわち、この場合の客観的・主観的というのは、一般人を標準とするのか、本人を標準とするのか、という
「判断規準」の客観性・主観性にすぎない。それが「行為無価値論」である。その「主観的違法論」との違い
は紙一重にすぎない。
しかし、法は、個人の生活利益を保護するために存在するのであって、個人に礼儀正しい「立居振舞い」を
教えるために存在するのではない。
したがって、法は法益に対する「侵害またはその危険」が発生したときはじめて干渉することができるし、
またそのような侵害が発生しないように干渉するのである。
727:氏名黙秘
10/08/24 23:53:31
>>725
レヴィジオンⅡ(未遂犯論・不能犯論・罪数論)は、はっきりいって駄作。
たしか、完璧な防弾ガラスに囲まれた人を射殺しようとする者は、不能犯か
どうかという議論を延々としていた。
728:平野に帰れ!-エッセンス平野総論②犯罪論の体系
10/08/25 00:41:04
犯罪論の体系は、裁判官の思考を整理し、その判断を統制するための手段として存在する。
【構成要件】
ドイツでは、ガルラスは、違法構成要件と責任構成要件(故意・過失)とを併せて構成要件だとしている。
(わが国では西田。なお山中)
団藤は、故意・過失も違法要素だとする。その点ではWelzelと同じである。しかし、故意・過失は同時に
責任要素でもあるとする。そして、構成要件は、小野と同じように、違法・有責な行為の類型だとする。
しかし、同じ要素が違法要素でもあり、責任要素でもあるとするのは、疑問である。それだけでなく、
責任は、違法を前提とするものであり、違法でなければ責任を論ずる必要はない。
このような故意・過失を含む構成要件は刑事訴訟法335条の「罪となるべき事実」と同じ内容をもつ。
これを構成要件と呼ぶことは、もちろん自由である。しかし、このような「構成要件」は、もはや犯罪
成立の一要素という意味は失っている。したがって、もはや特別構成要件ではなく、一般構成要件である。
このようなものは、ベーリング以来、「犯罪類型」と呼ばれ、「構成要件」とは区別されてきた。ここに
至ると、構成要件の理論は崩壊したとさえいってよい。
それだけではなく、このような構成要件論をとると、故意・過失という主観的要素がはじめから考慮に入れ
られるために、「全体的考察」に陥り、罪刑法定主義的機能は最小となる。また、故意自体が構成要件に
属するとなると、構成要件は故意の認識の対象ではなくなるから、構成要件が故意を規制する機能も失われる。
殺人・傷害致死・過失致死は、「犯罪類型」としては異なるが、「構成要件」は同じだといえる。
(このような考え方を継承しているのは山口のみ)
729:平野に帰れ!-エッセンス平野総論③主観的違法要素
10/08/25 01:22:30
法益侵害の危険性の判断は、客観的な可能性の判断であるから、当然、客観的要素にもとづいて判断されるのが通常である。
しかし、行為者の持つ主観的な要素が、行為の客観的危険性、いいかえると、行為の法益侵害性に影響を及ぼす場合がある。
ドイツでは、とくにメツガーによって体系的に展開され、わが国では佐伯によって発展させられた。
もっとも、主観的違法要素というものがありうるとしても、それは決して好ましいものではない。できることなら、このよう
な主観的違法要素にたよらず、客観的要素だけで処罰に値する行為の範囲を画するのが、立法論としてもまた解釈論としても
望ましい。
【目的犯】
たとえば、通貨偽造の場合、「行使の目的」が主観的違法要素であることは否定できないように思われる。通貨に似たものを
作るという客観的な行為自体は、違法とも適法ともいえない。もし、学校の教材にするためであるならば、何ら法益侵害の危険
はなく、適法なものだからである。「行使の目的」があることによってはじめて、偽造行為に法益侵害の危険性が生まれる。
主観的違法要素を否定する人たち(中山・内藤)は、教材にする場合と行使する場合とでは、客観的な偽造行為の態様自体に
違いがあるとし、「行使の目的」はその客観的な違いを認定するための証拠にすぎないとするのであるが、客観的要素だけで
流通におかれる危険のある偽造とそうでな偽造とを識別することは難しい。
730:平野に帰れ!-エッセンス平野総論④相当因果関係
10/08/25 02:06:12
刑法における因果関係とは、自然科学的な原因・結果という関係の存否の問題ではなく、その結果について行為者を
既遂として処罰することが適当か、という問題である。それは、構成要件該当性の問題であり、因果関係の刑法的
重要さ(Relevans)の問題である。
刑法は、条件説論者が考えるように、犯罪の条件のすべてを防圧しなければならないものであろうか?そのなかで
結果を発生させることが相当なものだけを処罰すればいいのではないか?そこに刑罰の限界、刑法の謙抑性がある
のではないか?これが相当因果関係説の実質的な論理である。
現在は折衷説が有力である。
たとえば、被害者の脳に病的な変化があるとか、被害者が血友病で一度出血したらとまらないとかいう事実は、
一般人には認識できないだろう。したがって、このことを知らないでその者を傷つけたときは、その者が死んだ
としても因果関係はない。しかし犯人がこのことを知っていて、これを「利用」したときは、因果関係があると
する。
しかし、こうなると、もはや構成要件的(定型的)因果関係とも、さらにはまた「因果関係」ともいいにくくなる
のではなかろうか?
因果関係は、客観的なものでなければならない。
因果関係が行為と結果との間の「帰責関係」であるとしても、それは客観的帰責であって主観的帰責ではないはず
である。
知らなかったから因果関係がないというのは、「目をつぶれば世界はなくなる」というのに似ている。
731:氏名黙秘
10/08/25 02:13:52
>>730
疲れない?w
732:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑤故意
10/08/25 03:07:08
【故意】
故意は、過失と並んで責任要素の一種である。故意は重い責任形式であり、過失は軽い責任形式である。
ただし、故意・過失があっても、なおその犯罪事実を帰責できない場合がある。①違法性の意識の可能性がない場合、
②期待可能性がない場合、③責任能力がない場合が、それである。
【認識すべき事実】
①まず、「構成要件に該当する事実」については、全面的にその認識が必要である(ドイツ刑法16条参照)
②主観的違法要素についての認識は必要でない。主観的要素をさらに認識するということは考えられないからである。
③客観的事実のうち、認識を必要としないものは、客観的処罰条件と呼ばれる。
④結果的加重犯の重い結果については、認識を必要としない。
⑤違法性阻却事由については争いがあるが、認識を必要とすべきである。すなわち、誤って違法性阻却事由が存在する
と誤想したときは、故意は阻却される。
【規範的要素の認識】
故意があるというためには、規範的要素の認識も必要である。ただ、事実的な要素と違い、規範的要素についてはその
厳密な認識は期待できないことが多い。したがって、いわばこの専門家的判断に相当する「しろうと的な判断」があれば
よい。メツガーが「平行的評価」(Pararellwertung)があればよいというのは、このような意味である。
733:氏名黙秘
10/08/25 03:15:54
相当な基地外が出現したなw
734:氏名黙秘
10/08/25 03:19:29
たしかに相当イカレテルけど、要約は上手いよ。
735:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑥事実の錯誤
10/08/25 04:18:40
法定的符合説は、「およそ人」を殺そうと思って「およそ人」を殺したのであるから、客体の錯誤の場合も方法の錯誤
の場合も、殺人既遂罪の成立を認める。たしかに、責任の面と違法の面とが「人を殺す」という点で一致するならば、
その限度で既遂の責任を問うても差し支えないようにも考えられる。
しかし、故意というのは、一定の客体に対して自己を実現してゆく意思なのであって、主観面と客観面とが構成要件と
いう抽象的な「指導形象」で一致するというだけで既遂の責任を認めていいかは、なお疑問がある。
法定的符合説の欠陥は、もっと実際的な点にもある。方法の錯誤の場合、すなわちAを狙って撃ったところ、そばに
いたBに当たった場合、法定的符合説によれば、Bに対する既遂が成立することは問題がないが、Aに対する未遂が
成立するかどうかは、論者の間でも一致していない。
判例は、Aに対する未遂の成立を認めない。ところがAにもBにも当たってともに死んだときは、AB両者に対する
2個の殺人罪を認める。これは一貫していない。この場合2個の殺人罪を認めるならば、Aが死ななかった場合でも
Aに対する未遂の成立を認めるべきであろう。
そこで学説は、多く、Aに対する未遂も認める。しかし、殺人の故意は「およそ」人を殺す意思ではなく、「1人の」
人を殺す意思なのであるから、1個の故意しかないのに、殺人既遂と殺人未遂の2罪を認めるは不当である。そうだと
するとAに対する未遂とBに対する過失致死を認めるほかない。
736:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑦正当防衛と緊急避難(1)
10/08/25 05:35:24
【正当防衛と緊急避難】
個人が自らその権利の侵害に対して闘うのは、権利であるだけでなく義務でさえある、というのが個人主義の基本思想である。
その結果、不正な侵害者の法益は、正当な被侵害法益の防衛に必要な限度では、その法益性が否定される。正当防衛で法益の
均衡が要求されないのはそのためである。
これに対して、緊急避難では、2つの正当な法益が衝突し、いずれかが失われざるをえない状況にある。この場合には、少し
でも大きい方を維持するために、小さい方を犠牲にするほかない。
もっとも、正当防衛の場合、自己の犠牲を護るためにやむをえないのであれば、いかに侵害者を傷つけてもよいというのは、
あまりにも個人主義的な正義である。その侵害のすべてに対して仮借のない防衛を許すと、かえって社会生活に支障を生ずる。
そこで正当防衛は、防衛のために必要(erforderlich)なだけではなく、相当(angemessen)であることも要件とされ、両法益
の間にある程度の均衡が必要だとされるようになる。
他方、緊急避難の場合画犯罪の成立を阻却する理由は、そのような緊急の事態のもとでの行為は、その時の精神状態からみて
これを非難することができないからだということになるであろう。
【不正の侵害と危難】
正当防衛は「不正」の侵害であれば認められるのであり、侵害者に責任がない場合でもよい。たとえば①責任無能力者の侵害、
②無過失の侵害に対しても、正当防衛は認められる。
ところが、わが国には、客観的違法論をとりながら、かなり主観的違法論に近い見解をとる人(団藤)もある。
「不正の侵害」とは侵害「行為」に限るとする考え方である。しかもその行為とは「人格の主体的現実化」だというのである。
そうなると、睡眠中の行動や責任無能力者の行動に対しては、正当防衛が許されなくなる。しかし、目的的行為論をとる
ヴェルツェルでさえ、侵害は行為(Handlung)に限らず、行動(Verhalten)であればよいとしていることに注意する必要がある。
737:氏名黙秘
10/08/25 09:41:48
>>735
下から3行目のしかし以降をまるで真理のように書いているが
それはあくまで君の意見だろ
738:氏名黙秘
10/08/25 09:48:02
>>737
「君の意見」っていうか、具体的法定符合説論者からよくある批判じゃね。
平野に書いてあっても不思議じゃないから、要約なんだろ。
あと真理とか求めだすと一生かかっても決着つかないだろ。
739:氏名黙秘
10/08/25 16:27:18
規制解除ktkr
740:氏名黙秘
10/08/25 19:23:55
>>737
>>724ではっきりと平野の要約だと書いてあるだろ
どういう読み方してるんだ?
逆に>>735の下から3行目が気にくわないのであれば
レスすればよいだけの話だ。
741:氏名黙秘
10/08/25 20:00:12
「平野に帰れ!」続行希望
742:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑦正当防衛と緊急避難(2)
10/08/25 21:14:34
【「急迫」の侵害と「現在」の危難】
最高裁判所は、相手の侵害が「ある程度予想されていたものであったとしても、そのことからただちに右侵害が、
急迫性を失うものと解すべきではない」ことを確認した(昭和46年11月16日)
では、どのような場合に急迫性を失うものであろうか?
急迫性が否定されるのは、おそらく、相手を挑発する行為あるいは攻撃を予想しながら相手に近づく行為が、相手
の攻撃を利用してこれを傷つけようとしたとみられる場合に限られるであろう。
いわゆる「原因において違法な行為」の法理である。
【やむを得ないでした行為】
わが国の判例は、従来、他によりよい防衛方法があれば、ただちに、正当防衛を否定して過剰防衛とし、いわば、
過剰防衛に逃避する傾向がないではなかった。
この傾向に反省を促すかのように、昭和44年12月4日は「やむを得ない」とは、「反撃行為が・・・必要最小
限度のものであること、すなわち・・・防衛手段として相当性を有することを意味する」とした。
【防衛・避難の意思】
正当防衛に防衛意思が必要か、緊急避難に避難意思が必要か、という問題は、違法性を客観的に考えるか、主観的に
考えるか、という考え方の違いの、いわば「試金石」である。
もっとも、この場合「意思」という語は二義に解されていることに注意しなければならない。一つは、防衛・避難の
動機ないし意図であり、いま一つは、防衛・意思の認識である。判例は「かねてから被告人が(相手方に対し)憎悪
の念をもち、攻撃を受けたのに乗じ積極的な加害行為に出たなどの特別の事情が認められないかぎり、被告人の防衛
行為は防衛の意思をもってなされたものと認めるを相当」であるとした(昭和46年11月16日)
学説にも防衛の意思が必要だとしながら、その意思は「瞬間的なものであれば足りる」としているものもある。この
意味での「防衛意思」は、もはや学説でも判例でも、ことばの上だけで要求されているといってよい。
743:氏名黙秘
10/08/25 21:16:38
平野って団藤への嫌がらせのために研究してたんでしょ?
犯人隠匿のとことか
744:氏名黙秘
10/08/25 21:30:00
>>742
下から5行の判例・学説は防衛の意思を「動機ないし意図」とすることを
否定する趣旨だろう。
平野は「防衛の認識」はどういう理屈で否定しているのか?
745:氏名黙秘
10/08/25 23:12:48
>>740
平野の意見だってのはわかっていたが
下から3行が気に入らなかった
746:氏名黙秘
10/08/26 03:40:15
ここのところ、ベテ院生が司法試験と全く関係ないことを書くオナニースレ
だったから、久々に司法試験板らしい書き込みが来たってところだな。
あと、ベテ院生は、今現在読んでいるドイツ語文献がたったの1つなの?マジか?
なんともまあ、「底辺」と言うのはやめといてやるけど、「平凡」な院生さんなんだねえ。
もうこのへんで足洗って勉強しなさいね。
747:氏名黙秘
10/08/26 09:44:26
>>746
なんでそんなに偉そうなの?
748:氏名黙秘
10/08/26 17:55:56
>>747
実生活で嫌なことでもあったんじゃないの
749:氏名黙秘
10/08/26 19:38:47
>>745
「気に入らなかった」のなら、君の「意見」を書き込んでよ。
750:氏名黙秘
10/08/26 19:42:47
>>746
オレは「平野に帰れ!・・・」は実はヴェテの作品ではないかと疑ってるんだけど。
穿ち過ぎか?
751:氏名黙秘
10/08/26 19:59:10
平野とかどうでもいいよ
団藤に帰れ!とか井田がわかる!とかにしてよ
752:742
10/08/26 20:02:02
>>744
失敬しました。スペースの関係で重要な箇所をスルーしてしまいました。
ご指摘の箇所は次のとおりです。
わが国では、防衛の事実の「認識」という意味での防衛意思は必要だとする
見解が有力である.
したがって、急迫不正の侵害があるのに、それを知らずに侵害者を攻撃した
ときは、たとえそれが客観的には防衛になっている場合でも、正当防衛には
ならず、故意の既遂犯が成立することになる。
しかし、違法かどうかは客観的に決まるもので、行為者がそれを認識していた
かどうかとは別個の問題であるはずである。
右の場合、「違法な結果」は発生していないのであるから、行為者が違法な
結果を発生させようと思ったとしても、せいぜい(状況によって)未遂の
成立を認め得るだけだと思われる。
なお、防衛の意思が必要だとすると、過失犯については正当防衛による違法
阻却は認められないことになるであろう。しかし、この結論は妥当とは思わ
れない。
753:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑧被害者の同意
10/08/26 21:02:30
【傷害と同意】
現行法は、自傷行為は処罰しない。自傷行為の教唆・幇助も処罰しない。自傷
行為は違法ではないということであろう。
では、「同意傷害」はどうか?現行法には、同意殺に対応した同意傷害という
減軽規定はない。したがって、傷害罪として処罰するか、処罰しないかのいずれかしかない。
ドイツでは、同意は、原則として傷害罪の違法性を阻却するとされている。
ただ、例外として「善良の風俗」に反するときは違法性を阻却しないとされる。
判例によれば、たとえば、サディズムによる場合は、違法だとされている。
しかし、「善良の風俗」とは何か、その内容は極めて不明確である。ヴェルツェルも
指摘するように、それは罪刑法定主義上疑問があるだけでなく、心情刑法に陥る危険性が大きい。
代案は、同意があれば傷害は違法でない旨を明記した。アメリカの模範刑法典は、
「重大な傷害」についてのみ、同意があっても違法だとしている。
わが国でも、ドイツのように「善良な風俗」に反する場合だけは違法だとする
見解が有力に主張されている。たとえば、やくざが指をつめるのに、医者に
頼んで切ってもらった場合などは、違法だというのである。しかし、「やくざ
だから」というのは、あまりにも情緒的な基準ではなかろうか。
代案のように、同意があればすべて違法でないと考えることも、現行法のもと
では不可能ではない。しかし、一挙にそこまでゆくことが妥当でないとすれば
アメリカの模範刑法典のように、傷害の重大性で区別するほかない。
もっとも、「重大」かどうかの基準は、なお不明確であるとすれば、「死の危険」
があるかどうかで区別するのも、一つの考え方である。
754:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/26 21:08:06
>>750
オイラじゃないよw
オイラは夜更かし・徹夜はしない。
もっとも、ヴェテ時代は、オイラも平野はカバーが擦り切れるまで読んだけど。
755:氏名黙秘
10/08/26 21:16:41
>>751
君は「団藤説は平野を読むことによってはじめて理解できる」という常識を
知らないのか?
756:氏名黙秘
10/08/26 21:20:59
>>751
分かりました。「団藤に帰れ!」は私が引き受けましょう。
「平野に帰れ!」が終了次第、開始します。
757:平野に帰れ!-エッセンス平野総論⑨違法(性)の意識の可能性(1)
10/08/27 02:30:17
【違法の意識】
従来、諸外国ではおむね、犯罪の成立には、違法の意識はもちろん、違法の意識の可能性も必要でないとされてきた。
「法の不知は恕せず」という法格言は、このことを端的に現している。
わが国の判例は、現在でもおおむね同じ態度をとっている。
しかし、このような態度に対しては、次のような疑問が投げかけられている。
①責任が非難であり、あるいは責任があるとば非難可能だとするならば、単に事実を認識し、あるいはその認識が可能
であっただけでは足りないのではないか?
②違法だと思ったにもかかわらず、その規範意識の抵抗を破ってあえて犯行に出たとき、初めて故意犯として非難する
ことができるのではないか?
③犯罪事実の認識も、それ自体に意味があるのではなく、犯罪事実を認識すれば通常それが違法であることを認識
するであろうという意味で、故意の要件とされるにすぎないのではないか?
④また過失も、注意すれば違法ということに気がついたであろうにもかかわらず、気がつかずにその行為に出たから
こそ、これを非難できるのではないか?
この議論は、たしかに一応説得的である。しかし、はたして理論的に妥当であろうか?また実際上このような立場を
貫くことができるであろうか。主として問題となるのは、①常習犯、②確信犯、③行政犯などの場合である。
①常習犯人は、その行為が違法だと意識しないで犯行を繰り返すものであるから、違法の意識が必要だとすると、
常習犯人を処罰することができなくなる、という人もいる(団藤)
しかし、何度も刑務所に入ったことのある常習犯人が、窃盗が違法かどうか知らないということはありえないで
あろう。ただ、常習犯人は規範意識が麻痺し、犯行に際して規範意識の抵抗を感じないことが多い、ということがあるであろう。
②確信犯となると、もっと上の行動モデルからはずれる。確信犯人は自分の行為が正しいと思って行動するから
である。だから、規範意識の抵抗を押し切って犯行に出たことが必要だとすると、これを処罰あすることはでき
なくなる。そこで「確信犯人もその行為が現行法秩序に反することは意識しているから、違法の意識はある」
として、故意を認めようとすることになる。
③
758:平野に帰れ!-エッセンス平野総論⑨違法(性)の意識の可能性(2)
10/08/27 03:33:36
>>757③行政犯は煩雑なので省略します。
【故意説と責任説】
「故意」というのは「知っていながら」ということである。したがって、違法の意識が必要だとする場合には、これを
故意の要素とするのに支障はない。違法の意識を必要とする見解が「故意説」と呼ばれるのもそのためである。
これに反し、違法であることを知らなくても、その可能性があれば「故意」があるというには、ことばの上で無理がある。
(団藤)
そこで、違法の意識の可能性で足りるという見解をとる人は、故意は犯罪事実の認識だけをいうものだとし、違法の意識
の可能性は、これと別個の責任要素だとする。故意は違法要素だとする目的的行為論によれば、故意と違法の意識の可能性
は別個のものであり、違法の意識の可能性の方だけが責任要素なのであるから、右のことは当然である。
しかし、故意が責任要素だとする見解をとる場合でも、違法の意識の可能性は、これと別個の責任要素だとすることは可能
である。しかも、この違法の意識の可能性は、過失犯についても必要とされる責任要素であるから、違法の意識の可能性は
故意犯と過失犯に共通の独立した責任要素だということになる。このような見解は「責任説」と呼ばれる。
【法規上の根拠】
刑法38条3項は、「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない」
と規定している。この規定が違法の意識がなくとも少なくとも故意の責任を問うことができるという意味だとすると、違法
の意識の可能性が必要だとする説(故意説)は成立の余地がなくなってしまう。
そこで、違法の意識が必要だとする人(団藤)は、右の「法律」とは法{Recht)ではなく、「法規」(Gesetz)だとする。
しかし、条文を知っていなければならないとすれば、法律を勉強した人だけが処罰されることになるのであって。このような
ことを法がことさらに規定しているとするのは、むしろおかしなことである。
759:氏名黙秘
10/08/27 16:24:45
大学の先生が駄目な答案の例として「戦前の教科書みたいな」って言ってたんだけど戦前の教科書ってどこで読めるの?
760:平野に帰れ!-エッセンス平野総論⑩原因において自由な行為
10/08/27 20:24:19
第1の問題は、原因行為を未遂犯成立の要件である「実行行為」である場合に限るべきか、
それとも、原因行為自体は「実行行為」である必要はないのか、いいかえると、「実行行為
と責任能力との同時存在」が必要であるかどうか、である。
第2の問題は、結果行為が限定責任能力の状態で行われた場合にも原因において自由な行為
の法理が適用され得るかである。
結論を先にいえば、実行行為について客観説をとる場合には、原因行為と責任能力との同時
存在は必要であるが、その原因行為は必ずしも未遂犯成立の要件である実行行為である必要
はなく、したがって、「実行行為」と責任能力の同時存在は必ずしも必要ではない。
また、限定責任能力の状態であっても、原因において自由な行為の法理を適用し得る。
原因において自由な行為は、しばしば間接正犯のアナロジーで論じられている。しかし、
間接正犯と原因において自由な行為との間には、利用される者が他人であるか自分であるか
の違いに由来する実質的な差異がある。原因において自由な行為は、概ね次の2つの形態をとる。
第1の形態は、原因行為者の意思といわば「不連続」的に結果行為の意思が生じる場合である。
たとえば、飲酒・酩酊すれば、酩酊状態が原因となって殺傷の意思が生じる場合である。この場合、
原因行為者は、自ら殺傷行為をはじめからする意思を持っているわけではない。判例が、このような
形態の行為を過失犯として処罰することは認めているが、故意犯を認めたのは稀であるのも、そのためである。
第2の形態は、意思が「連続」している場合、すなわちはじめから殺傷の行為をする故意がある場合である。
このように、責任能力の状態での犯意がそのまま実現されたときは、実行行為のときに責任能力がなくとも、
発生した結果について責任を問うことができる。
761:氏名黙秘
10/08/27 20:34:40
>>759
牧野英一・日本刑法上巻(重訂版・1937)
宮本英脩・刑法学粋(1931)
刑法大綱(1935)
泉二新熊・日本刑法総論上巻(1939)
762:氏名黙秘
10/08/27 22:39:20
背信的悪意者排除の提唱者って牧野英一だったのか
超ビックリ
763:氏名黙秘
10/08/28 00:28:32
民法って刑法の行為無価値と相性がいいよね
764:氏名黙秘
10/08/28 09:54:56
牧野は刑法も民法も研究対象にしてたとかなんとか。
765:氏名黙秘
10/08/28 09:58:12
なにそれカッコイイ
766:氏名黙秘
10/08/28 10:42:21
松宮は日本民法のみならず、ドイツ民法も詳しいぞ。
767:氏名黙秘
10/08/28 10:50:31
>>766
そう。レヴィジオンⅢの緊急避難のところで、ドイツ民法についての知識を
思いっきりひけらかして、浅田を言い負かしているな。
768:氏名黙秘
10/08/28 10:56:21
「平野に帰れ」の続き、まだー?
769:氏名黙秘
10/08/28 10:58:58
よくこのスレで、レヴィジオンⅢが登場しますが、受験生にとっても
必読文献なのでしょうか?
770:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑪未遂犯
10/08/28 12:12:25
(⑩の補足。この「連続型」「非連続型」という分類は、山口が継承したが、同・2版では姿を消している)
【未遂犯の問題点】
この問題は、さかのぼると、「未遂の処罰根拠いかん」という問題点とも関連している。一つの考え方は、未遂
の処罰は「危険な意思」を処罰するものだとする。これを主観説という。これに対して、客観説は、結果発生の
「客観的な危険」が発生したことが未遂の処罰根拠だとする。この見解でも、犯意は未遂犯の正否の判断に際して
考慮に入れられる。しかし、この場合は、犯意は、行為の客観的危険性の有無を左右する一つの要素として考慮
されるのにすぎなない。
【実行の着手】
客観説のなかには、形式的客観説と呼ばれるものと、実質的客観説と呼ばれるものがある。
形式的客観説は、構成要件に該当する行為の一部が行われたことが必要であり、かつそれで足りるとする。しかし、
実際的にみると、この形式的客観説ないし定型説によると、多くの場合、実行の着手の時期が遅くなりすぎる嫌い
がある、そこで、定型説論者も「それ自体が構成要件的特徴を示さなくても、全体としてみて定型的に構成要件
の内容をなすと解される行為」であればよいとし、これを「拡張的構成要件」と呼ぶのである(団藤)
しかし、定型を拡張してもなお同じ定型だというのでは、定型の限定的意味はなくなってしまうし、なぜ定型性の
ないものが「全体として見る」と定型性を持つようになるのかも、明らかでない。ここでは、定型説(形式的客観説)
は実質上放棄されているといってよい。
未遂犯を処罰するのは、その行為が結果発生の具体的危険性を持っているからである。この危険性とは、行為者の
性格の(主観的な)危険性ではなく、行為の持つ法益侵害の客観的な危険性である。未遂犯は抽象的危険犯ではなく、
具体的危険犯である。その危険が、切迫したものであるところに、未遂が予備から区別される実質的な理由がある。
このような内容を持つ実質的客観説と呼ばれる考え方が基本的には妥当だといわなければならない。
771:平野に帰れ!-エッセンス平野総論 ⑪未遂犯(2)
10/08/28 12:55:18
【実行の着手】(続き)
もっとも、切迫した危険といっても、その程度にはかなりの幅がありうる。
したがって、これを明確にするためには、形式的ないし時間的な限定が必要で
ある。しかし、それは必ずしも構成要件的特徴を持つ行為そのものである必要
はない。わが国の判例が「構成要件に該当する行為またはこれに接着した行為」
であることを要件としているのは、この意味で妥当である。
【行為者の主観の考慮】
ところで、この行為の危険性の判断にあたって、行為者の主観をどの程度考慮
に入れるべきであろうか。行為者の主観は全く考慮に入れず純粋に客観的に
判断するという考え方もありうるでろう(中山・内藤)
しかし、ピストルの銃口を相手方に向けた場合(着手未遂)でも、①殺人の
実行行為なのか、②傷害の実行行為なのか、③あるいは脅迫の実行行為なのか
は、行為者の主観をあわせ考えなけば判別できないであろう。
また、ピストルを撃ったが当たらなかった場合(実行未遂)でも、殺人未遂
なのか、傷害未遂なのかは、行為者の主観を考慮に入れないでは、判別でき
ない。
未遂の場合、故意(結果の認識)は主観的違法要素だといわれるのは、まさに
故意を考慮に入れて、行為の客観的危険性を判断すべきだ、ということなので
ある。
772:氏名黙秘
10/08/28 16:07:54
>>766
もちろん、ドイツ刑法にも詳しい。でも日本の刑法には詳しくない、っていうオチ?
773:氏名黙秘
10/08/28 16:37:23
>>771
いつまで続くの?
自分としては「団藤に帰れ」の方を早く見たいからさあ。
774:771
10/08/28 16:41:09
>>773
不能犯論、中止犯論は学問的意義が薄れたと判断し、この後、共犯論を少し
詳しく論じる予定です。
775:平野に帰れ!ーエッセンス平野総論⑫共犯論(1)
10/08/28 17:36:25
共犯概念の基本的な問題は、次の3点にある。
①第1は、「共犯の因果性」である。共犯も、自己の行為およびその結果として生じた結果について責任を
問われるのであって、自己の行為と因果関係のないことについて責任を問われるのではない。
②しかし、因果性があれば、ただちに共犯になるわけではなく、共犯はそのうちの一定の行為に限られる。
これを「共犯の限定性」と呼ぶことができる。
③さらに、現行法は、共犯概念は、正犯概念を基礎としこれに関係づけてつくりあげられている。これを
「共犯の正犯への従属性」という。
【共犯の従属性】
共犯の従属性は、次の三種類に分けられる。
①「実行従属性」。正犯が現実に実行行為をしたことが、共犯の成立要件になるか、という問題である。
正犯が実行行為をしなくても、教唆者を「教唆の未遂」として処罰し得るという見解は、共犯独立性説と
呼ばれ、反対の見解は、共犯従属性説と呼ばれる。
②「要素従属性」。最小従属性説、制限従属性説、極端従属性説の対立がある。
③「罪名従属性」。共犯は正犯と同じ罪名であるべきか(罪名従属性説)、それとも、共犯の罪名は正犯の
罪名と違ったものであってもいいか(罪名独立性説)という問題である。この対立は、犯罪共同説(罪名
従属性を認めるもの)と行為共同説(罪名独立性を認めるもの)の対立とも呼ばれている。
【実行従属性】
共犯独立性説に対する反論は、正犯の実行の着手は、単なる因果関係の進行の過程の一段階ではなく、結果
発生の具体的危険の発生であるという実質的な点からなされなければならない。未遂を処罰するのは、その
行為は行為者の危険性あるいは反道義性の定型的徴表だからではなく、結果発生の具体的危険性が発生した
からである。
776:氏名黙秘
10/08/28 17:44:54
>>774
>不能犯論、中止犯論は学問的意義が薄れた。
結果無価値論を採る平野が、不能犯論において何故客観的危険説ではなく、
具体的危険説に赴くのかというのは、学説史上の一つの問題だと思うが。
777:平野に帰れ!ーエッセンス平野総論⑫共犯論(2)
10/08/28 19:14:53
【未遂の教唆】
既遂の罪を教唆したが、正犯が未遂に終わった場合、教唆者も「未遂の教唆」として処罰される。
このことは問題がない。問題は、はじめから未遂に終わらせるつもりで教唆した場合である。
共犯者も、自己の行為にもとづき、結果を発生させたことについて罪責を問われるものだとすると、
結果を発生させる意思がないときは、教唆の成立に必要な故意を欠くことになり、未遂犯は成立しない
ことになる。
これに対し、未遂の教唆の可罰性を主張する人(団藤407頁)の中には、この場合も正犯に犯行の
決意をさせたのであるから、可罰的だとする。
しかし、教唆犯は(責任共犯論をとれば別であるが)正犯に犯行の決意をさせたこと、いいかえると、
正犯を堕落させたことについて、罪責を問われるものではない。
【要素従属性】
制限従属性説は、共犯も、自己の行為によって違法な結果を発生させたことについて責任を問われるもの
である、という考え方から出発する。正犯の行為も、共犯からみれば、結果発生までの過程の一部にすぎない。
その過程および結果が違法でない場合には、共犯がそれについて責任を問われることもない。その意味で正犯
の行為は違法でなければならない。しかし、正犯に責任があるかどうかは、正犯を処罰するかどうかを考える
について問題にすればよいのであって、共犯にとってはどちらでもよいことである。共犯の責任の有無は、
共犯自身について論じれば足りる。
このようにして、正犯の行為が違法であれば共犯の行為も違法であるから、「違法は連帯的である」ということ
ができるが、正犯が責任がなくとも共犯には責任があることもあり、その逆のこともあるから、「責任は個別的
である」といえる。このような考え方を因果共犯論という。
778:氏名黙秘
10/08/28 19:25:21
>>776
たしかに一つの問題だが、答えは別の箇所(「危険の概念」119頁)に
書いてある。
「法益侵害の危険とは、侵害の可能性ないし蓋然性である。それは事実判断で
あって、法律的な価値判断ではない。しかし、他方、純粋に物理的な可能性
ないし蓋然性そのものではなく、『一般人の立場に立って判断した』、法益
侵害の可能性ないし蓋然性である」
779:氏名黙秘
10/08/28 19:28:24
>>775を読んではじめて共犯論の体系が分かったような希ガス。
780:氏名黙秘
10/08/28 19:33:59
井田って共謀共同正犯については何説にたってるの?
781:氏名黙秘
10/08/28 19:39:38
誰か「よく解るレヴィジオンⅢ」をやってくれないか。
782:氏名黙秘
10/08/28 19:46:20
>>780
肯定説。
ジョーシキ。
783:氏名黙秘
10/08/28 19:47:42
いや、そういうことじゃなくて…
784:氏名黙秘
10/08/28 22:04:45
井田はドイツ説じゃね?
わからんけど
785:氏名黙秘
10/08/28 23:05:20 6dVcJpCt
ヴェテさーーんっ!!!!早く来てくれーーーーっ
786:氏名黙秘
10/08/28 23:33:03
来なくていいよ。
「司法試験を超越した『院レベル』からの上から目線ゴッコ」
なんかやるヒマあったら、「本業」のほうをもうちょっと勉強したら?
100歩譲って、書くなら法学板に書けばいいんじゃないの?
なんで「本業」と同レベルのはずの法学板に熱心に書かないんだか。
787:氏名黙秘
10/08/28 23:46:41 6dVcJpCt
俺は最近この板に出入りするようになったばっかなんであんまり知らないんだけど、ヴェテって試験受かってるの?
最近は司法試験受かってることが院試験や助教採用の必要条件みたいだが
788:氏名黙秘
10/08/28 23:52:00
>>787
確かに、一部の助教採用は昨年あたりから条件とされているが、全部ではないと思う。
博士後期については、殆んどの大学で専門職過程と修士課程が併存しているから、一部の有力な大学を除いて、必要条件とはされていないと思う。
匿名掲示板で、コテハンの属性を探っても仕方ないと思う。
789:氏名黙秘
10/08/29 00:04:53
自演臭いな、こいつ。
790:氏名黙秘
10/08/29 00:09:43
どうでもいい
井田先生が凶暴共同正犯肯定説のうち何説にたつのか教えてください
791:氏名黙秘
10/08/29 00:25:06
785=788=790=誰かさん
だな
792:氏名黙秘
10/08/29 00:25:07
>>790
正犯性を認める立場から肯定するんじゃなかったか。
というか、自分で本読めよ。
>>789
自作自演ではないです。
最近、中央大学で公募があったから、若干気になるトピックだったから反応しただけ。
思っているだけで確信はしてないから、内容は信用しなくてもいいですけど。
793:氏名黙秘
10/08/29 00:47:31
>>791
違うぞ
ていうかいちいちそういうこと言うなら次からテンプレにID表示推奨っていれようや
いちいち自演だなんだの言われるのウンザリ
794:氏名黙秘
10/08/29 01:32:37
法学板
ここは法学,その他大学法学部で研究されている学問分野の話題について学術的に議論する板です。
司法試験板
■司法試験・ロースクール・受験生活全般等についての話題を扱う板です。
ということなんで、金輪際、荒らし行為はやめてくれませんかね。
795:氏名黙秘
10/08/29 04:11:44
井田はなんで因果関係で客観的帰属論に屈服しないで折衷的相当因果関係説でがんばってんの?
井田ってドイツべったり学者だろ?
なんかドイツ人に賞もらったって自慢してるし。
ドイツ刑法が好きなら当然客観的帰属論でしょ。
因果関係で客観性貫いたって行為無価値論と相容れないわけじゃないだろ?
それとも構成要件に違法性を加味して考える井田説からいくと、必然的に折衷説じゃないとだめなわけ?
それとも単に山中が嫌いだからとか?
慶応ロー生聞いてきてくれー
796:氏名黙秘
10/08/29 10:28:19
ちょっと図書館で井田良の本借りて読みさえすれば分かるようなことをうだうだ質問するの?ばかなの?しぬの?
797:氏名黙秘
10/08/29 11:51:13
>>795
因果関係の箇所だけ客観的帰属論をとればいいし、とることはできると思うけれども、
客観的帰属論は、因果関係だけじゃなくて犯罪論体系全般に及ぶ視野の広い議論。
そして、客観的帰属論の提唱者であるロクシンは目的的行為論に対する痛烈な批判者
であるという事実がある。
松宮センセの分析によると、客観的帰属論の意義は、故意と過失を一元的に解する
ことにある。言うまでもなく目的的行為論は故意と過失を二元的に解するのが特徴。
つまり、目的的行為論と客観的帰属論はお互い相容れない。
798:777
10/08/29 12:17:36
「平野に帰れ!」は都合により中止します。
悪しからず。
799:氏名黙秘
10/08/29 12:31:47
>>786
「司法試験を超越した『院レベル』からの上から目線ゴッコ」はそんなに
ないと思う。
受験生レベルに合わせるようヴェテも工夫していると思うよ。
それから、法学版ではなく司法板に書くのは、「このスレに愛着があるから」
と前スレに書いてた。
「法学板は過疎ってて、張り合いがない」とも。
800:氏名黙秘
10/08/29 12:34:07
>>798
えー、共犯と身分書かないの?
801:氏名黙秘
10/08/29 12:48:12
>>799
ヴェテさんこんにちは。
なんでコテで書いてないの?
802:リバーさん
10/08/29 12:58:16
>>790
判例と同じく総合的判断説だと思われ
803:氏名黙秘
10/08/29 13:28:03
>>802
なぜみな原典にあたらないのか?
「共謀に基づく作業分担が行われたとき、実行行為を直接に行わなかった共謀者
でも、『犯罪実現に重要な寄与』を果たしたと認められる限りで、共同正犯性を
肯定することができよう」(井田・464ページ)
804:氏名黙秘
10/08/29 13:45:00
>>800
その「共犯と身分」(平野説)が自分の中で充分に咀嚼できてないのが
連載を中止した主たる理由です。
805:氏名黙秘
10/08/29 14:01:31
>>804
平野説は、西田・山口説のルーツでもあるんだから、簡単に「咀嚼できない」
といわないで、じっくり読んだら?
806:氏名黙秘
10/08/29 14:05:30
>>805
その平野説のルーツは、瀧川説ね。
これ重要。
807:氏名黙秘
10/08/29 14:21:53
>>806
お主、ヴェテだろ。
普通のロー生は瀧川説なんか知らない。
808:氏名黙秘
10/08/29 18:01:03
ヴェテさんw
809:氏名黙秘
10/08/29 18:23:54
井田は
①主観面(結果実現への欲求・動機の強さ)
②客観面(犯罪遂行過程における被告人の役割の大きさ)=重要な寄与
とが相まって、
③「自己の犯罪として」実現した
といえれば正犯性=共謀共同正犯が基礎付けられるっていう判断基準だよね
これ一番わかりやすいと思うんだけどな 予備校本とかには書いてないけど
810:氏名黙秘
10/08/29 20:06:45
落ちこぼれ院生のオナニーはうんざりだけど、
平野に帰れの人は復活してもらいたいね。
あと前田は帰れの人も。
811:氏名黙秘
10/08/29 21:23:47
>>810
「前田は帰れの人」?
812:氏名黙秘
10/08/30 00:19:25
>>803
理論的根拠が全然ないのが凄いな
813:氏名黙秘
10/08/30 09:38:37
>>812
うわぁw
814:氏名黙秘
10/08/30 19:41:19
このスレでは井田の話ばっかだな。
もはや受験界では大谷説は消滅したのかねw
815:元ヴェテ院生参上 ◆JEhW0nJ.FE
10/08/30 20:22:49
>>814
必要があって高橋則夫の総論(2010年)を読んでいるのだが、
なかなかいいね。
行為規範と制裁規範を基軸とした遺法二元論。
大谷・井田よりも洗練された行為無価値論のような気がする。
816:氏名黙秘
10/08/30 20:57:55
>>814
予備校本がいまだに大谷説だから困る
実務が採用してるわけでもないのになんでこだわるんだろう?
井田とかベースで予備校本作ってくれたらいいのに
817:氏名黙秘
10/08/30 21:00:15
>>787
ヴェテさんは、2008年の旧試合格組です。
818:氏名黙秘
10/08/30 21:03:17
で、ヴェテに噛み付いてる奴は試験受かってるの?w
819:氏名黙秘
10/08/30 21:06:54
>>816
大塚説から大谷説への移行期にも予備校にはタイムラグがあったらしいよ。
それから、山口説の予備校本ってあるのかね。
いまだに前田説のが目につくが。
820:氏名黙秘
10/08/30 21:10:36
>>816
>井田とかベースで予備校本作ってくれたらいいのに
井田を完璧に理解できる講師がいないから、無理なんじゃねぇ。
821:氏名黙秘
10/08/30 21:11:30 TvNqnwvi
>>815
司法試験に合格したの?
822:氏名黙秘
10/08/30 21:18:52
>>819
山口説もあんまり紹介されてないよな
行為無価値・結果無価値両方を紹介してる本も大谷・前田って感じ
>>820
わかりにくいとこもあるから全編にわたって取り上げなくてもいいんだが、、
違法性の部分に関しては従来の社会的相当性云々っていう説明よりも井田説のほうがわかりやすいと思うんだよな
823:氏名黙秘
10/08/30 21:24:13
>>815
ヴェテさんおひさです。
高橋総論、骨格は新しいですが、細かな解釈論がやや古くさくないですか?
たとえば危険犯とか、原自行為とか・・。
824:氏名黙秘
10/08/30 21:31:28
>>823=ヴェテ
バレバレすぎる自作自演
825:氏名黙秘
10/08/30 21:35:18
↓のスレでヴェテのこのスレでの行状を紹介してきてやろうか?
刑法若手研究者スレッド【懐かしい】
スレリンク(jurisp板)