10/11/10 22:37:20 hnkHE8S8
>>59
オタクの端くれだけど、すごく分かるなぁ。
あと、58にあるような「暗い作風で社会風刺や人間批判を描いた作品」についても、
やたら不朽の名作として高く評価されてるけど、結局はそうした人間や社会の理不尽さを
「人間なんて、世の中なんてそんなものだ」と言い立てて、仕方のない所与のものとして
受け入れさせようとするばかりで、
「ならばそれをどう解決すべきか」的なことが今一つ描けてなかったりする。
描いても何かおざなりで曖昧だったり、「それは未来ある君たちが自分で考えないと」などと
丸投げされたり。
もちろん解決的な作品も沢山あるんだけど、どうもオタク界隈では評価が今一つだな。
あるいは「辛辣な描写で問題を突きつけつつ、きちんと解決策を提示した作品」でも、
評論家やオタクが大きく取り上げて称揚するのは、いつも「問題」や「辛辣な描写」の部分
ばかりで、「解決策」についてはほとんどスルーされてたりね。
そういうのに限って批判はタブーとばかりに「すごく考えさせられる」「泣けた、感動した」
などと称賛されまくるけど、本当は社会問題などさしたる関心はなくて、「こんな深い名作に
触れてきた俺カコイイ」と自己陶酔したいだけなのかねぇ。
一方で前に流行った『蟹工船』なんかは、文学小説としてはちょっと子ども騙しな内容だけど、
「悪い資本家どもはこうやってやっつけるんだぜ」的なことを具体的に描いてる。
人間や社会の理不尽さを描くなら、これからはその辺もアピールしていかないとダメなのかも。
まだ社会運動が盛んだった時代なら、「人間なんて・・・」だけでもOKだったかも知れないけど、
ここまで社会問題が山積して、しかも「1億総ニヒリズム」みたいな時代に、
初めから「僕らは一生報われないのさ」「世の中なんてそんなものだ」では話にならない。