10/09/19 18:12:29
金子ユキ著『夜叉王』
日本の戦国時代。上杉謙信の部将・南条貞行の嫡男・貞季は実は女だった。
女でありながら男(武士)として育てられた貞季。
貞季は強く逞しく、同時に慈愛深い夜叉王として生きる貞季。
そういう小説もあるわね。
貞季は女の子を愛し、男をも愛する。どっちの場合も主導権は貞季にある。
レ○プじみたこともされるんだけど、
「なんだ、男の一物とはこんなものか。こんなもの、なんてことないわ」
と嘲笑する。女としての初めての性体験がこれです。
このとき貞季はまだ十代半ば。
30過ぎで(33歳だっけ?)愛する男と初夜を迎えて「こ…わ…い」と逃げようとするオスカル。
あのオスカルには読むたびに笑っちゃう。
謙信の親族で謙信の色若衆(男色的な意味で寵愛を受けてる若者ね)である長尾景矩。
彼は優艶でありながら武勇に秀でた青年。
景矩は男に愛され、女にも愛される。
そんな景矩と貞季との愛。
これまた深く激しく純粋な愛なのよね。
景矩もまた病を患い、貞季を失う不安にさいなまれる歳月を送るけど、
決して貞季と自分の幸せな日々が欲しいだのという、そんな利己的な願いは持たない。
ただひたすら貞季の身を案じ、苦しみに耐える。
アンドレって女の願望をつぎ込んだキャラクターだからか、
精神構造が女々しすぎるというか…。
あの激動の中、自分とオスカルの幸せな日々を夢見るとか、
あるいはオスカルと契りたいとか、まだ見てないものがあるとか、
なんちゅーか器が小さいんだよね。
最期まで俗っぽくて、俗っぽいまま死んだ。欲を昇華できずに死んだ。
ああいうのを人間味があるというのかもしれないけど、なんだかアンドレ見てると笑っちゃう。
つまんない男だなぁって。