10/10/31 02:48:24
孤独のグルメSS「軽音楽」
俺は、輸入食器の顧客の家からの帰り道、例のごとく腹を減らしていた。
街を歩きながらふと見ると、高校の時計台が見えた。
「こんな所に高校があったとは知らなかった」
そういえばフトシは育成枠でドラフトにかかったとか言ってたな。ハハッ、俺の方は独り身のままどんどん歳を食っていくな。
前から女子高生たちが歩いて来た。あのカバン…楽器なんかやってるのか。ガールズバンドっていうやつか。
真ん中のカチューシャをした女の子、なかなか可愛い顔をしているじゃないか。すこしだけ俺が好きだった子に似ている気がする。
「フフっ」おじさんの戯言だな。でも、俺にもあんな高校時代が確かにあった。
少女達が去った道で、俺は少しだけ空腹を忘れて、茜色に染まった夕方の空を眺めていた。
完