11/07/31 19:00:41.26 PNmU7Ytk
さっきまでの緩かった顔をキッと引き締めて霧切さんが言う。
「ところで、さっき苗木君が謝っていたの聞いたのだけど。”これにはわけが”なんて、間抜けな男みたいな事言ってたわね。」
「な、何の事かな。あれぇ、そんな事言ったっけ。ははは。」
自分でもバレバレで、目が泳いでいる事も分かっているだけどとりあえずごまかしてみる。
「ふーん。ごまかすのね、苗木君のくせに生意気だわ。そうね、その携帯確か見られて困る物は入って無いんだったわね。」
そういうと、僕の手から携帯電話を奪い取った。
「え、ちょっと!それはあんまりだよ。」
「いいえ、私に謝ったという事は私に関係ある写真という事ね。関係者である以上事実を確認する義務があるわ。」
有無を言わさぬ口調だ。
まずい。こうなってしまった霧切さんは止められない。
いったい何と罵倒されるのだろうか?
幻滅されるだろうか?
しばらくして、目当ての写真を見つけたのか霧切さんは硬直した。
その間僕はずっと直立不動で硬直していたけど。
判決を待つ被告人の気分だった。
だいぶ顔を赤らめて、口元を引きつらせて霧切さんは言った。
「な、なえぎくん。この写真について、ちょっと聞きたいんだけど。」
そこには、幸せそうな顔で机で眠っている霧切さんの写真があった。
この写真について、これからさっき以上に一悶着あったのだけれど。
それは、割愛しておく。
ただ結果だけ、言わせてもらえば。この写真は、今も僕の携帯の中に残っているし、
対になるように、僕が机で寝ている(ふりをしている)写真が霧切さんの携帯に追加された。
以上です。読んでくれた方ありがとうございます。