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>>566続き
「ちょっと地味かな、とも思ったんだけどさ…あまり派手すぎても、霧切さんの好みに合わないかな、って」
そういえば彼は、こういう贈り物を選ぶのが得意だっけ。
よく気が回る、マメな性格なんだ。
「え、と…どうかな…気に入らなかったら、その…」
それでこんな自信なさげにフォローを入れるんだから、もう計算でやっているとしか思えない。
「ねえ、もしかしてこの石…これ、私の…」「うん、誕生石なんだ」
「…良いデザインね。ありがとう。嬉しいわ、とても」「ホント?」
「ウソは言わないわよ」「よ、よかった…」「ふふ…」
「それで、ね…」
仕切りなおすように、私は苗木君を見つめた。
「その…プレゼントまでもらっておいて、こんなこと言うのは…失礼だとわかっているんだけど」
「うん?」
けれど、これは今聞かなければならない。
誤魔化すことはできない。
モヤモヤを抱えたまま、素直には喜べないから。
すぅ、と、気を引き締めるように息を吸った。
「苗木君…舞園さんのこと、どう思ってる?」
「え?」
「…」
「なんで、舞園さん…?」
また苗木君の顔が困惑に歪んだ。
しばしばと目を瞬かせ、それから考え込むようにして目を伏せる。
「うーん…優しいし、明るいし…アイドルってことを鼻にかけたりしないし…良い人だと、思う?」
「なんで疑問形なのかしら?」
「や…質問の意図がわからないというか、どう答えていいのか…」
む、確かに。
こんな漠然とした問いかけでは、望む答えを得る方が難しい。
「えっと、霧切さん…?」
「質問を変えるわ」
「は、はい」
「舞園さんのこと、好き?」