11/04/06 14:26:31.57 QyMBVtYv
>>653
妄想しながら続きを書いてみた
「ひっ、く……ママ、のおてて、こわい、よぅ…っく…」
「っ……怖くないのよ?」
まさか、こんな事になるなんて……少しばかりうたた寝したせいか…
事の発達は推測だけど、恐らく娘が寝ている私の手袋を外したのだろう。その証拠に、傍らに手袋が落ちている
そして火傷の痕がある右手を見て恐怖を抱き泣いてしまった……しかし、右手の傷がこんな形で子供に知られるなんて迂闊だった。
いずれは説明するつもりだったけど、それはあくまでもこの娘が大きくなってからだ。しかし、今説明しようにも幼さ過ぎる……困った
「大丈夫だから、ね? ママの怖い所なんてないのよ?」
「ひ、ぐ…ふぇぇええっ!」
とうとう声を上げて泣いてしまった……しかも、この娘の外見が私によく似ているものだから少し宥め難い
ほとほと困り果てて、どうするか悩んでいた所…後ろから優しげな声が耳に届いた
「どうしたの、響子さん? ……あぁ」
誠君……だった
泣いている娘と困惑気味の私を察したのか、柔和に微笑んだまま娘の前で屈んだ
「どうしたのかな?ん?パパに言ってごらん」
「あの、ね、マ、マのおてて、怖い、の……」
途切れ途切れに嗚咽しながらも誠君に視線を外さずに告げる
その事を予感していたのか表情を崩さない誠君。それどころか、娘に笑いかけ頭を撫でつつ唇を開いた
「それは違うよ。ママのお手ては怖くなんかないよ。ママの傷はね…大切な物を守る為に出来ちゃったんだよ」
「っひ…くぅ…それ、ってわたし、も?」
「うん。そうだね……それにねこの傷のお陰でパパはママと一緒になれたんだ。だからね、君が生まれたのもこれのお陰なんだよ」
「それ、じゃ、ママのおてて、はこわく、ない、の?」
「勿論! ママのお手ては凄いだからね。ママも凄いけど」
「誠君……」
「だからね、泣いちゃだめだよ?せっかくのママ似の可愛い顔がぐしゃぐしゃだから」
「んっ…うん!」
確かにある意味この火傷で誠君と一緒になれたのかもしれない。あの日も、誠君の家に来て……それで一緒に
……私にとってこの火傷は忌々しい過去でしかなかった。しかし、思い返せば誠君と繋ぐ橋になったのかもしれない
何だか……今になって誠君も救われた気がした
私の全てを包み込んでくれたから、幸せも火傷に遮れなかったのだろう
今更だけど……ありがとね、誠君