11/03/07 16:02:41.21 ioeI+0yU
入学時からあのリボンはつけてるはずだが
246:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 16:54:52.69 xXTRrsew
>>245
いや、それはわかってるよ
でも、霧切さんって学園長である父親と決別するために希望ヶ峰学園に入学したわけだろ
あのリボンは自分を捨てた父親が唯一残してくれたもので、自分と父親を繋ぐ思い出の象徴
それを父親に逢ったときに叩き返すことで、過去の因縁を断ち切るために身に着けてきた
しかし、父親に再会して話をしているうちに、自分がどれほど愛されていたのかを知る
そして、親子は和解して、思い出のリボンは離れ離れになっていた2人の心を結ぶ新たな絆として生まれ変わった
……みたいなエピソードが空白の2年間に隠されていたら、なんかグッとくるなって思っただけなんだ
霧切さんって探偵としての仕事もあるし、父親と再会する目的さえ果たせれば
希望ヶ峰学園から出て行きそうなイメージがあったから(父親が嫌いならなおさら留まる理由が無いし)
2年間も学園にいたってことは、なにか理由があったのかなって思って妄想してしまった
247:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 17:18:49.99 pHahJ1Se
>>246
いいなそれ
和解とまでいったかどうかは分からないが、多分二年の間にある程度関係は修復されてたんじゃないか
例の手帳の中で、霧切さんが学園長を父親と呼んでいたことからして
霧切さんの性格からして、絶縁した後ならもうそんな呼び方はしないだろうし
で、親子の歩み寄りを取り持ったのが苗木だったんじゃないかなと妄想してみたり
248:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 20:41:30.03 nDbvm0OS
よし、その妄想を形にするんだ
249:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 23:07:17.91 xeg1SRmr
苗木君に冷たくされて絶望する霧切さんを書いている
自己満で載せたかったんだけど、無駄に冗長になってしまってどうしよう どなたか御助言を
やっぱ削って載せた方が良いんだべか
250:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 00:03:44.12 4oEluPUJ
別に削らなくても、そのままでいいと思うよ
長い方が読み応えがあって楽しめるし
251:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 00:05:09.58 KVD19oOo
自分で削るべきだと思った理由が「冗長だから」なら削るべき
「スレ汚しになりそうだから」なら別に削らなくていいんじゃよ
どっちがメインの理由かによる
252:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 00:48:45.98 BjoV+AaY
うむ
気遣い的なアレなら無用だと思うぜ
253:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 00:52:21.41 4QiWu4lY
自分でいらないと思ったら削ればいいし
残したほうが良さげならそのままで
物書きだもの
254:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 03:10:43.57 fiN5lFwU
SSだと、天然な苗木君がツンデレっぽい霧切さんを振り回してるのが多いけど
実際の本編では霧切さんの方が天然っぽくて、気ぃ使いの苗木君が振り回されてんだよな
プロテインで怪我も治る→「気をつけて、それはガセよ」の流れとか大好きだ
まあどっちも萌えるんだけどね
255:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 04:17:26.45 E2/LyShK
霧切さんは苗木に誕生日に指輪とか貰ったら
苗木のいないところで指輪をずーっと眺めながら嬉しそうにしてそうな気がする
256:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 04:21:05.19 KVD19oOo
手袋の中身知った上で指輪を贈るのは覚悟がいると思う
男が女にアクセを贈るのは「それつけてるところ俺に見せてね」ってことだ、まぁ男女逆でも同じだが
257:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 06:05:00.66 o6YXNDdg
なら首輪を贈ればいいじゃないか!
258:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 07:50:11.63 BjoV+AaY
霧切さんは家族となる人以外に火傷を見せるつもりは無いと考えている
逆に言えば家族となる人になら火傷を見せても構わないということ
つまり霧切さんに指輪を贈るということは、非常にダイレクトな求婚になる得るわけだな
二人きりの時だけ指輪を付けてくれるとか胸熱じゃないか
259:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 12:22:59.74 kYiemLgQ
指輪を渡された時には「一応受け取っておくわ」と素っ気ないリアクションなんだけど、
一人になった時に指輪を取り出して、「いつか彼の前でこれをはめて…」とか妄想しつつ口元がほころんでしまう
そんな霧切さん
260:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 16:20:52.24 E2/LyShK
>>256
苗木が贈ればこそ、
きっと喜んでくれるだろうよ
261:誇りと感情
11/03/08 19:30:02.59 29aoe4FA
いつぞやの者です。
完成したので投下させていただきます。
注意!二年前捏造、霧切父がよく出てしゃべる。
おkならどうぞー
他人とは深くかかわらない。なぜなら無駄な感情を抱いてしまうから。
「霧切ちゃん!ドーナツ・・・違う、お昼一緒に食べようよ!」
クラスメートが今日も話しかけてくる。
「ごめんなさい。気持ちだけ受け取っておくわ」
クラスメートは残念そうに「そっか・・・じゃ、また今度ね!」と言い、いつもの友達の集まりに入っていく。
そう、これでいい。
探偵に無駄な感情は命取りとなるから。
かといって断りを入れたこの教室にいるのも心地悪い。
(まだまだ・・・ね)
そう思いつつ霧切響子は教室を出て行く。
すれ違い間際に会ったクラスメート―短い黒髪に鼻の辺りにそばかすがある、とても無口な少女。
いつも彼女からは死のにおいがする。そして、自分と同じ超高校級の「何か」と明かしていない彼女。
似ている、いや、何かが決定的に違う。それが何かは分からないけれど。
ただひとつだけ分かることがある。彼女と自分は決して関わりあう存在ではないことだと。
262:誇りと感情
11/03/08 19:30:39.21 29aoe4FA
昼食の断りを入れたのもやはりお腹は空いている。
購買部に行こうかと思ったとき、微かに違和感を感じ、その正体もすぐに分かった。
(開いてる・・・)
関係者以外立ち入り禁止の赤い扉が微かに開いていたのだ。
好奇心―それが探偵だからなのか、やはりだたの一人の人間だからなのかは分からないが―
霧切は気配を隠し息を潜めながらその扉を覗く。
「・・・っ!?」
そこにいたのは
会うべき相手 学園長
クラスメート 苗木誠
だった。
何故学園長が?何故ここに?何故苗木誠が?何故ここに?何故、何故
何故苗木誠が学園長と二人きりで隠れるように会って、お互い笑顔で話している?
疑問だけが霧切の中で増幅していく。
理解できない状況に霧切は混乱するばかりだった。
「・・・っはっっ!」
息苦しくなり、霧切は慌てて女子トイレに駆け込む。
幸い誰もいなく、霧切は気持ちを落ち着かせるためにハンカチを水に濡らし頬に当てる。
(・・・ひどい顔)
鏡に写る自分は顔色が悪く目が潤み、髪が乱れていた。
いつ何があっても冷静に。そう思っていたのに。
いざとなればこんな有様だ。
自分が嫌になりつつ、先程の状況を整理する。
と思ったが、まだ混乱しているのか頭が思うように働かない。
ただ、自分がやるべきことは一つある。
(これだけは・・・成功させる)
263:誇りと感情
11/03/08 19:31:07.19 29aoe4FA
「き、霧切さん。め、ずらしいね、霧切さんが用があるってさ・・・はは」
放課後、苗木誠を植物園に呼び出し、あらゆる手段を使って白状させようと思っていたのだが・・・
(そうも怯えるものかしら・・・)
一応脅迫用として巨大花の近くに連れてきただけなのにこれはやりすぎたか・・・
と思いつつも霧切は気にせずに訊ねる。
「私が聞きたいのはただ一つ。苗木君、あなた昼休みに何してたの?」
「え?」
「誰かと話していなかった?あの場所で」
観察眼によって感じた変化。
「な、んの事かな?ボクは【赤い扉の場所】なんか行ってないよ」
「あら、私は『あの場所』としか言っていないわ。
でも苗木君は今『赤い扉の場所』といったわね。誰もそこだなんて言っていないのに。」
すると苗木はしまった、どうしよう、やばいよ、どうしたらいいんだ、という表情になる。
(・・・分かりやすすぎるわ)
そう思いつつ霧切は続ける。
「苗木君は昼休み、赤い扉のところで誰かと話していたわ。その人物はどうしてあなたと話していたのかしら?」
「ど、どうしてって・・・霧切さんは・・・」
「何?」
「霧切さんはどうしてそんなにムキになってるの?」
「っ・・・?」
ムキに?私が?感情的に?
「・・・ムキになってなんかいないわ」
「けど・・・。もしか、・・・いや」
何故か苗木は迷う表情になり、意を決したように口を開く。
「霧切さんの言うとおりだよ。ボクは昼休み、赤い扉の場所で学園長と話をしていたよ。」
学園長―その単語に反応してしまう。
「えっと・・・霧切さんがなんでそんなに怒ってるのか分からないけど」
「怒ってる・・・?」
「それに・・・泣きそうな顔してる」
そんなこと、と言いかけた時、胸が痛くなった。
(なんで・・・)
あんな人に対して感情なんか持っていないはずなのに。ただ会って絶縁を言い渡すだけなのに。
「・・・そのさ、詳しいことは明日の朝、図書館で話すよ。・・・いいよね?」
今すぐ知りたい、けれど、苗木誠の言うとおりにするしかない。そんな気がした。
「分かったわ、・・・明日の朝6時30分に図書室で待ってる。・・・必ずよ。」
264:誇りと感情
11/03/08 19:31:27.09 29aoe4FA
夜、霧切は自室にいた。
行儀は悪いと思いつつも、ベットに仰向けになって推理小説を読む。
コーデリア・グレイ―何故か幼いときから好きな探偵の一人だ。
好きになった理由は覚えていない。ただ、好きだった。
「・・・はぁ」
読んでいても目が滑る。内容がまったく頭に入らない。
時計をちらりと見る。深夜1時27分。
早く明日になれ・・・そう霧切は強く願う。
ただ、遠足を楽しみに待つ子供のような無邪気な願いではなかった。
265:誇りと感情
11/03/08 19:32:12.36 29aoe4FA
翌朝、6時。
結局昨夜はまったく眠れなかった。霧切は自室を出、足早に図書室を目指す。
約束の時間よりも30分も早いのは承知だが、自室にいる気分でもなかった。
ただ、早く真実を知りたい。それだけだった。
早歩きだったため少し息が上がっているが、気にせずに図書室の扉を空ける。
そこには――学園長が立っていた。
「・・・え?」
何故?昨日の混乱をより超える混乱が霧切を襲う。
「な・・・んで」
「おはよう、霧切響子さん」
低く、大きく、優しい声。変わらない大好きだった声。ずっと追いかけていた声。
「おと・・・」
「朝、早いんですね。まだ6時過ぎですよ」
とやさしく微笑む。まるで他人に接するように。
「・・・はい、おはようございます。『学園長』」
すると学園長は少し悲しそうな微笑みになる。
その変化に気づき、霧切は眉間に皺を寄せる。
「霧切さん、学園は楽しいですか?」
本当に心の底から心配して訊ねる様な声色だった。
そんなのやめて、ともう一人の自分が叫んだような気がした。
今更心配するつもり?憐れむつもり?今更・・・今更・・・
「・・・みんな親切ですよ。あなたに心配される必要はありませんから」
感情を抑えたつもりだが、口調が荒くなってしまった。
「そうですか、よかった」
とやさしく微笑む。変わらない微笑み。いつも見ていた微笑み。
「ふふ、いつも授業中に当てられたら完璧に答えるそうですね。
またいつも教室の金魚にも餌やりしてると。」
え・・・?何でそんなことをこの人が知っているの?
「・・・まさか」
苗木・・・誠?
動機や証拠はない。だけど何となくそんな気がした。
「ねえ、霧切さん。1つ聞いてもいいですか?」
「何でしょうか」
「霧切さんは、探偵の仕事に誇りをもっていますか?」
霧切は思わず学園長の顔を見つめた。
私を・・・霧切を馬鹿にしているの?そんな怒りが込み上げてきた。
「・・・学園長は探偵という存在をどう思っていますか?」
「そうだね・・・」
266:誇りと感情
11/03/08 19:32:34.16 29aoe4FA
そういうと学園長は考え込むような仕草をし、微笑みながら言った。
「私は推理小説を幼いころからよく読んでいました。
素晴らしいと思いますよ。どれだけ本を読んでも、私なんかは探偵にはなれないけれど。
だからこそ霧切響子さん、あなたには憧れているのかもしれませんね。」
憧れている?そんな言葉を何の意味があって言っているの?
そう思いつつ霧切は答える。
「私は探偵・・・いえ、霧切という名に誇りを持っています。
私は普通の人とは違う。探偵として私は生まれ死んでいく。最初から全て決まっている。」
ただ真っ直ぐ。学園長だけを見つめて霧切は続ける。
「けれど、逃げたりしない。私は自分に・・・自分自身に誇りを持っている。
霧切の名の下に生まれた自分に誇りをもっているから。」
本当の気持ち。心の底からの純粋な気持ち。誇り―それが霧切にとっての生きる理由だった。
それを捨てたあの人が許せない。まるで自分自身を否定されたような気がしたから。
「強いんですね。・・・僕がいうのもなんですが、霧切さん。
少し、誰かに甘えてみるのもいいですよ」
その言葉は何故か学園長としてではなく、「あの人」として言われたような気がした。
「・・・はい」
自然に出てきた答え。
霧切が答えたと同時にチャイムが鳴った。起床のチャイム。
「では、私は仕事がありますので。霧切さん、また」
「あ・・・」
行ってほしくない、まだもっといたい、話したい、もっと、もっと―そんな感情が溢れ出る。
「学園長が好きな探偵は誰ですか」
不意に出た言葉。
学園長は足を止め振り向き、優しく言った。
「コーデリア・グレイですよ」
「っ!」
思い出す、昔の記憶。
『パパ、なによんでるの?』
『女の人が探偵の本だよ』
『えー、おんなのひとがたんていなの?おかしいよー』
『はは・・・響子にはコーデリア・グレイのような女の子になってほしいと思ってるんだがね』
『こーでりあ?へんななまえー、すきなの?』
『ああ、僕の好きな探偵の一人だよ』
『じゃあ、パパがすきならわたしもすき!こーでりあみたいなおんなのひとになる!』
懐かしくて、あたたかくて、哀しい思い出。
「・・・あ」
気がつけばそこに学園長はいなかった。
霧切はあわてて図書室を出る。
そこにいたのは―寝癖がはみ出ながらパーカーを被り、ズボンはパジャマのままの苗木誠だった。
「あ・・・ははは、お、はよう」
「・・・おはよう」
霧切は予想外の展開に戸惑いつつ、続ける。
「遅れるなんていい度胸ね。もういいわ、それじゃあ」
「えっ!?や、ちょ、まって!?ごめん!本当にごめん!奢るから!」
言わないのね、あなたが全部仕向けたことだって。
あの時赤い扉をわざと開けていたのも、学園長を図書室に呼び出したのも、全て。
「・・・ありがとう」
「え?霧切さん何か言った?」
おかしい人、と霧切は思う。
霧切は振り向き、静かに言った。
これがはじめてこの学園に来てからの偽りのない笑顔。
「苗木君のくせに生意気よ」
267:誇りと感情
11/03/08 19:33:11.66 29aoe4FA
「霧切ちゃん!ドーナツ・・・じゃないや、お昼一緒に食べようよ!」
クラスメートが今日も話しかけてくる。
「いいわ、食べましょう。誘ってくれてありがとう。」
クラスメートは一瞬驚きの表情を見せながらも、すぐに笑顔になる。
霧切は微笑みながら後ろを向く。
「戦刃さん、あなたもどう?」
「・・・え?」
後ろの席に座るクラスメート。関わりあう存在ではないとおもっていた人。
いや、この学園に人達と関わりあうことなんてないと思っていたけど。
「そうだよ!せっかくなら女子みんな集まって食べようよ!」
「むくろー、強制同行だかんね。女子会開いちゃったり!」
「ふむ・・・女子会とは・・・何だ?」
「えっとですね、女の子だけが集まって食べたり飲んだりしながらおしゃべりすることですよ」
「女子会だと!?ならば我々も男子会というものを開いて対抗するぞ!男子は絶対入会だ!」
「面白そうじゃねえか兄弟、入るぞ!」
「ボ、ボクも入るよ!」
「はぁー?そんなむさくるしいのには入りたくねえよ!」
「お、俺本当は葉隠ヤスコっていう名前で・・・」
「ヤスコ・・・ヤス・・・ちらっ」
「うふふ、何でこっちを見やがるんですか山田君」
「くだらん・・・俺は不参加だ」
「わ、私も不参加よ・・・び。白夜様の会なら考えてあげてもいいけど・・・」
「あはは、みんな元気だなぁ」
少しだけなら―あの人の言葉を借りて言うのなら―甘えてみてもいいかな。
あの人のことを許したわけじゃない。まだ話したいこと、言いたいこと、いっぱいある。
けれど、何か。あの人に出会えたことで何かが軽くなったような気がした。
かといって忘れたりするものじゃない。ずっと、大切なもの。
(ありがとう)
霧切は確かに思う。この平和な時がずっと続くように。
このクラスメートたちと一緒にいたい―と。
268:誇りと感情
11/03/08 19:35:47.10 29aoe4FA
以上です。
1回間違えて全部消えたハプニングもありましたが無事投下できて安心しました。
お目汚し、残念な出来でごめんなさい。
他の方達のssも楽しみに待っています。
269:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 23:28:54.85 eVNrpIZ5
おつかれさまですー。
赤い扉で思い至ったんだけど、あの学園は細かいところがいちいち攻撃的なデザインだよな
270:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 01:16:23.69 4gPKQXGi
>>261からのコーデリアグレイでちょっと思い出したことがあるので、実験的にひとつ作ってみた。
実験的要素はともかく、面白そうなら色々書くかも。
っつーわけで、
タイトル:こちら苗木誠探偵事務所(連作短編)(←予定)
271:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 01:16:42.06 4gPKQXGi
「Xの悲劇」
「ギリシャ棺の秘密」
「冷たい密室と博士たち」
「茶色い密室と博士たち」
「”ち”返し? ち……死がふた、」「ダウト。言葉が変わってるわ」
「わ、わかったよ……うーん、…あ、『地球儀のスライス』!」
「素晴らしい返答だけど、短編集?」
「うん、だって、他に思いつかないし」
「仕方ないわね。……ん、『スイス時計の謎』」
「ぞ!? うーん、えーと……だめだ、降参だよ」
こーさんこーさん、と半ばヤケになってお手上げのポーズをとる。向かいに座っていた霧切さんは呆れたように溜息をつき、ふるふると首を振って見せた。
「弱い。苗木君、弱いわ」
「悪かったね。どうせ僕は霧切さんほどミステリなんて読んでないよ。……だいたい、小説のタイトルでしりとりだなんて、良く思いついたねえ」
しょうもない遊びとは言え、負けは負けだ。ほんの少し―ホントに少しだ―の悔しさを感じながら、その悔しさの半分くらいの嫌味を言葉に乗せて言い返した。
「ええ、だって私オリジナルのアイデアじゃないもの」
霧切さんはしれっとそんなことを言って、読んでいた本を本棚に戻した。月光がどうのというタイトルがかろうじて目に入ったけど、
実はカバーの下はミステリ辞典なんじゃないだろうか。
なんとなく本棚を眺める。文庫本やハードカバーが詰め込まれた、落ち着いた色合いの重厚な本棚。
”超高校級の家具職人”の習作だとかなんとか言っていたような気がするけど、ただのいち部室に鎮座したそれは、ハッキリ言って浮いていた。
部室。―そう、部室。
ここは、ミステリ研究部兼、苗木誠偵事務所だ。
「野良猫の里親探し。恋人の浮気調査。テストのヤマ当て。あとはー、何があったかなあ?」
迷い猫探しに、迷い犬探しに、と指折り数えていたところで、霧切さんがピクリと反応した。
「……あのね、苗木君。言いたいことがあるならはっきり言って頂戴」
不機嫌そうな目をこちらに向ける。とは言っても不機嫌そうなのは見た目だけで、これがいつもの反応だ。
職業柄(と、本人は言ってきかない)たいへん鋭い眼と、突き放したような物言いで誤解されがちだけど、霧切さんはとても情が深く、優しい人なのだ。
そうでなきゃこのミス研もとい探偵事務所に猫探しみたいな依頼が何度も来るはずがない。
「いや、特には、ないけど。……あえて言うなら、そうだね。なんで”苗木探偵事務所”なのさ」
探偵は霧切さんでしょう? と視線に込めてみる。とくべつ鋭いわけでもない僕の視線を受けようとも、霧切さんにとっては平気の平左だろうけど。
……あれ、視線そらした。
「最初に言わなかったかしら? 探偵は目立ってはいけないのよ。常に中立であるために。だからあなたの名前を拝借したというわけ」
「結構前にも訊いたと思うけど……なんで僕の名前なの? その理屈なら、山田探偵事務所でも十神探偵事務所でも良かったじゃない」
霧切さんは僕が入部を決める前から僕の名前を使おうとしていた。というかこのひと”苗木誠探偵事務所”で部活動申請してた。
僕がそう言うと、何故か霧切さんは顔を赤くした。手を組み合わせたり解いたり、視線はあっちこっちへ飛び散って落ち着きがない。
やがて視線が定まる。真っ赤な顔で恥ずかしそうにちらちらと僕の方を見てくる霧切さんは、なんだか新鮮だ。
「言わなきゃダメ、かしら? ……こ、これ以上、言わせるつもりなの? 苗木君」
「やった勝った!」 「ちょ、何!?」
どっとはらい。
272:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 01:41:18.93 aGg1ndgR
すげえww全部しりとりかwwGJ!
273:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 01:44:26.17 cbmkl8Nv
>>268
乙。面白かった
あんまり描かれない部分だから新鮮だったよ
>>271
ミステリ方面は詳しくないけど、こういう緩い感じ好きだ
続きに期待するぜ
274:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 02:32:36.14 4gPKQXGi
しくったー……茶色い密室と博士たちなんてタイトルねえよー。
フィクションだとおもってください
275:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 12:16:56.77 qp41/aje
>>274
ドンマイ
面白かった
霧切さんはコーデリア・グレイよりもウォーショースキーみたいになりそうな気がするようなしないような
276:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 14:57:13.37 P5V88SiD
>>274
乙!新しい試みだなw
しかしスイス時計は短編集だし、スウェーデン館の方がベターじゃないか?あえて短編返し?
別スレではそうでもないかもしれないが、意外とミステリ好きいるんだなw
探偵好きが集まる、まさに霧切スレ
277:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 21:21:29.54 4gPKQXGi
IDかわらないうちにもう一本。連作短編が実験的試みなので、今回はしりとりではありません。
霧切さんスレは小説多くて楽しい
っつーわけで、
こちら苗木探偵事務所(連作短編)(←暫定)
278:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 21:21:57.38 4gPKQXGi
「呆れた。まさか一人でまだしりとりしてたなんて」
「そう言わないでよ。てっきり霧切さんは気付いてるものかと思ってたんだ」
返事はない。冷たい視線(今度は本当に冷たい)だけを僕によこして、霧切さんは天井を仰いだ。その動作に合わせ、座っている椅子が音もなく斜めに傾いだ。
えらく質のいいオフィスチェア。これは部費で購入したものらしい。ちなみに僕の椅子は普通の、パソコン室にでも置いてそうな回転椅子だ。
少し前までは普通のパイプ椅子だったのだけど、見かねた山田君と不二咲さん(パソコン同好会所属)が寄付してくれたものだ。
「……何よ?」
「いや、別に何も」
ちょっとずるかった。
苗木誠探偵事務所は、教室の三分の二程度の大きさしかない。
部活動に所属したことのある人ならわかってもらえるだろうか、床はリノリウムでできていて、長机が二つ、くっつけて置いてあって。
そこそこ大きなスチール棚と、使ってるのか使ってないのかわからない、掃除用具でも入っていそうなロッカーがなぜか四つ。
それに、これはうちの事務所(霧切さんがそう呼べって言った)にしかないと思うけど、本棚。
そこに椅子を向い合せに並べて。僕と霧切さんを配置して。
そうすれば、苗木誠探偵事務所のできあがりだ。
「だいたい貴方は少しずるいのよ。私が”なえぎくん”って呼ぶの知ってるくせに」
「ちょっと意味がわからないんだけど」
支離滅裂なことを言ってくる。さっきしりとりで僕が負けた時悔しかったように、霧切さんは拗ねていることを隠そうともしない。
「だって。私が最後にに”なえぎくん”って呼びかけるだけで、それだけで負けになるじゃないの」
「それを言うなら僕だって同じじゃないか。きりぎりさん、って言うだけでアウトだよ」
問題は呼びかけじゃなく敬称だと思う。
まあそれはともかくとして、依頼がないときの僕らはいつもこんなかんじだ。
霧切さんお勧めのミステリを読んでみたり、二人でとりとめのない会話をしてみたり、さっきみたいにちょっとした遊びをしてみたり。
二人だけの(良く部活申請が通ったものだと思う)探偵事務所は、一部を除いて学園内の依頼しか受けない。クライアントが学園生だけに限定されるからだ。
ひとたび依頼があれば二人とも出払ってしまうから、数多くの依頼を受けることもできない。一人ぐらいは留守番で残った方が良いのかもしれないけど、それは霧切さんが許してくれないし、それに彼女は部員を増やすことにもいい顔をしないのだった。
「そこまで言うなら、呼び捨ててみたらどうかな。なえぎ、って」
「嫌よ。なんだか突き放した言い方になるじゃない」「そうかな」「そうよ。試してみる?」
「それじゃあ、やってみようかな。……霧切」
「苗木」
………これは、なんというか。
霧切さんもなんか傷ついた顔してるし。
「霧切さん、僕が悪かったよ」
「………いいえ」
「え、えっと! じゃあさ!」
ひどく沈んでしまった空気を振り払うように、僕は身を乗り出した。がたん、と椅子が倒れる音がする。
「え、ええ」
びくり、と霧切さんが肩を震わせる。きょとんとした霧切さんの顔は珍しいっていやそうじゃなくて。
「名前で、……呼んでみるっていうのは、どうかな」
「……え」「いやほら! しりとりにならないから、ね?」
ますます霧切さんが戸惑った顔をする。僕は何を言っているのか。
「わかったわ。えと、……誠、くん」
「駄目だよ霧切さん。敬称つけたら意味ないじゃないか」
「そうね。あ、貴方も、言って頂戴。……誠」
「う、うん。……響子」
『…………』
これは、なんというか。
もうしばらく、部員は増やさなくてもいいかもしれないと。
僕はそんなことを思ったのだった。
279:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 22:40:54.82 qp41/aje
乙!
なんかなごむなあ
シリアス色の無い霧切さんもいいものだ
280:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/09 23:57:48.63 VFGbowpP
霧切さんが台所で料理したり子育てしたりするイメージがわかないんだ・・・
281:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 00:45:02.08 ijo3ZS1w
確かに今は仕事一筋って感じだが、女ってのは変わるもんさ…多分
料理はともかく子育てについては、霧切さん自身寂しい幼少期を送ってきただろうし、
そういう思いを自分の子供にもさせようとは思わないんじゃないだろうか
282:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 00:57:15.28 cE50B6f+
バリバリ働く霧切さんの方が好きかな
苗木くんが家事を担当すればいいじゃない
苗木「お帰りなさい霧切さん、お風呂にする?ご飯にする?」
霧切「苗木くんにするわ」
283:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 01:46:46.05 1QwMM1bd
>>282
苗木「おかえりなさい霧切さん」
と言って次の瞬間霧切さんを抱きしめる苗木
霧切「苗木くん、今帰ってきたばかりなのに・・・もう///」
そして二人はその場で(ry
というのもありだよね
284:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 04:16:26.89 N7XqDqaV
夫婦別姓・・・
285:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 06:58:34.61 YpvGRGc0
苗木「お風呂にする?ご飯にする?」
霧切「苗木くんにするわ」
苗木「じゃ、先にお風呂入っちゃって。洗濯物はカゴに入れといてね」
霧切「…苗木君にすr
苗木「あ、洗剤買ってくるの忘れてた!ちょっと出てくるね、すぐ戻るから!」
霧切「…(´・ω・`)」
━━
苗木「お風呂にする?ご飯にする?」
霧切「苗木君にするわ」
苗木「じゃ、寝室行こうか」グイっ
霧切「あ、ちょ、冗談よ…?」
苗木「そう?僕は本気だけどね」
霧切「ま、待って…アッ――!!」
という2パターンが思い浮かんだ
286:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 07:59:14.00 ijo3ZS1w
上のパターンの反応を繰り返して霧切さんを慣れさせておいたところで、
不意打ち気味に下のパターンを繰り出すわけですね分かります
287:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 09:34:50.98 YFAokwXQ
妹様スレで希望と絶望の遺伝子を持った最強のお子さまの話題が出たけど
はて、探偵と希望の組み合わせはどんなお子さまかな
288:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 09:59:26.65 z6SeaDRR
>>287
つ>>207
289:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 12:08:18.92 byctPdJn
霧切さんはどうしてゴミ捨て場にわざわざダイブしたんだろう
トラッシュルームの鍵を開けたのなら梯子を使って降りてくればいいのに
「空から女の子が~」みたいなドラマチックな展開に憧れるお年頃だったのだろうか……
290:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 12:35:26.52 IpcNAODU
救出に行くまで少し時間がかかったのは、ゴミ捨て場の位置と侵入経路・退路を調べていたから
それで遅れた分を取り返すために、馬鹿長い梯子を降りるより早く到着できるダストシュートを選んだ
と思っている
291:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 13:07:20.96 0BESW1ui
空からかっこよく登場するために苗木が寝たのを見計らって
ダストシュートの降り口にゴミのクッションを配置して飛び降りた
そして結果がカップ麺
とかだったらマジお茶目さんだな
292:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 14:44:20.34 IpcNAODU
>>291
霧切さんも蝶ネクタイ変声機を喜んじゃうような茶目っ気あるし
かっこつけたかったって可能性も考えられることではあるなw
293:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 15:51:38.84 v71kaUQj
>>289
クソ長い梯子を下るのって、結構体力使うんだぞ
霧切さんはブーツだから余計に苦労する
着替えて来いよってのはナシね
294:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 15:57:10.04 cE50B6f+
ブーツ脱いだムワッとした霧切さんの足の臭いを嗅ぎたい
295:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 16:03:37.09 v71kaUQj
ごめんただのブーツなら苦労しないな
ヒールブーツだから苦労するんだわ
296:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 22:50:52.78 ijo3ZS1w
親方!空からゴミと女の子が!
シンプルに「一刻も早く苗木の無事を確かめたかったから」でいいんじゃね
297:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 00:02:49.48 N9V2Qe+E
>>294
お前はブーツ脱いだムワッとしてる石丸の足の臭いでも嗅いでろ
298:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 00:35:15.86 mj+WKLuN
霧切さんの付けてる先の四角くなったネクタイがなんか好きだ
ああいうネクタイって実際にあるものなんかね
299:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 05:16:51.09 Rz9G1mxJ
ネクパイ
300:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 07:59:22.73 8BWubJMg
とりあえずお前らはナエギリで
1、天然苗木君に振り回される霧切さん
2、純情苗木君を振り回す余裕たっぷり霧切さん
3、カップル未満でお互いに素直になれない切なエギリ
4、超高校級の熟年夫婦
これらの内でどれが好きなんだべ?
301:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 12:03:43.75 7tUwfn6k
全部だ。
302:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 12:28:21.51 B/Z8z7ia
普段は利発な霧切さんが苗木君を引っ張るんだけど、
時折霧切さんの不器用な一面を苗木君が包み込んであげるような
そんな関係がいいです
303:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 12:42:10.79 Pt9vjs2J
>>301
今日は店じまいだな。
新しいSSはエロパロ板で待たなきゃならんけど、妄想ならしても・・・ちょっとお客さん、駄目だよ。
304:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 21:04:09.80 mj+WKLuN
>>300
どれも捨てがたいが、強いて言えば2で始まっていつの間にか立場が逆転してるようなのが
305:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 23:59:20.57 TFVJGjjm
天然の霧切さんに振り回される天然の苗木くんがみたいな
306:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 02:52:30.37 6T4Z1ck7
霧切さんの天然要素
・プロテインが万病に効くというのはガセよ!
・パンツは平気だけど靴下は駄目
・カップ麺の妖精
他に何かあったっけ
307:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 03:37:03.80 e5MTv9tl
靴下は天然と言うか霧切さんのこだわりかと・・・ずれてるという意味では正しいが
あと、桜の木なんかもずれてるな
308:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 10:43:21.22 LuKoyC+z
霧切さんに股間まさぐられた山田君と不ニ咲クンに嫉妬する苗木くん
309:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 11:07:23.16 HSNt5eMr
ボージョボー人形を貰って大喜びするのも謎だよな
本気でかわいいと思っているのか、恋愛運upや金運upを願えるから喜んでいるのかわからないけど
310:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 12:24:19.18 1jcrUA+h
赤い薔薇を贈られて頬を赤らめちゃうし
ああみえて根っこは乙女なのさ
311:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 14:10:58.71 /GqqwKho
常識的に考えて、男の子から花束だの指輪だの香水だの・・・まぁとにかく贈り物されてノーリアクションの方がおかしいのさ
312:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 16:36:45.80 Of9/t+au
>>303
ターミネーターのガンショップ店長乙
313:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 19:23:45.36 PnlQgxIl
>>312
そういう事だったのか...
314:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 09:50:26.72 4V30LByQ
霧切さんの実家はどんなだろうか
個人的には洋風のお屋敷というイメージなんだが
315:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 13:24:29.29 6BiCujpk
霧切さんどっかで見たことあると思ったら、ヨルムンガルドのココだ
316:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 13:34:59.60 OYUkjZHI
霧切の本家は、なんとなく京都のイメージ
特に根拠はない
317:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 13:37:44.00 H00br7C4
>>314
たとえば霧切本家とする祖父母の家は文明開化あたりに作られたような伴天連風の屋敷で
(学園長が自立していたとして)核家族で過ごした家は海外ドラマに出てくる綺麗な家みたいな
そんなのだと勝手に思ってる
318:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 13:38:34.98 H00br7C4
連投すまん
>>316
よう俺
319:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 14:10:53.19 6BiCujpk
霧切さんがペット飼ってるとしたら、シベリアンハスキーかな
320:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 15:02:41.24 U5JGg9rH
霧切さんはなんとなく植物の方が好きそうなイメージがあるなぁ
サボテンを無表情で20分ぐらい眺めていそう
321:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 19:13:52.73 OYUkjZHI
しかし無表情で犬や猫をもふもふする霧切さんというのも捨てがたい
322:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 19:30:29.33 +PB4oz2i
そして犬耳をつけさせられた苗木君を一心不乱にもふもふする霧ぎry
323:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 23:15:03.26 4V30LByQ
そして一通り苗木君をもふった後、今度は苗木君が猫耳をつけた霧切さんをry
いわゆるバーター取引ですね
324:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/13 23:51:44.53 /5eDTNwe
>>207のデート中にペッティングする理由はそれだったのか…
325:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 04:33:40.54 JhTkakVH
>>316
絶対関東だよ
326:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 05:16:08.48 L1eODteb
確かに地方の臭いはしないな
327:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 07:18:02.16 mgdxJhsC
関東は地方じゃないとか言う気か、東京ですら23区以外は田舎なのに
328:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 09:51:57.69 AQ9ZZ1UP
足立区辺りは地方とそう変わらんよ
329:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 10:25:47.52 dX/dUnWR
首都圏は地方ではないだろw
まあスレチだ
330:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 11:20:17.40 kspXdvun
京都と言えば某長寿ミステリードラマで有名だろう
331:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 14:54:47.35 MVodr8bZ
地位も歴史もある一族だ、それなりに大きな家だろう
で、霧切さんが帰ってくると居並ぶ使用人達が「お帰りなさいませ、響子お嬢様」と出迎えわけだ
…うむ、何か違う気がする
332:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 16:02:22.47 6LUGXVkC
皆地震大丈夫か・・・
こんな中不謹慎とは思うが、今日はホワイトデーという事なのでネタ投下
URLリンク(niyaniya.info)
333:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 16:55:12.67 f9tDD8yO
>>313
いいんだドガァァァン
334:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 19:05:21.06 iTG5v3V/
むくろ事件で見捨てたこと、罪悪感感じてそうだな
335:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 19:39:04.73 /escQOPt
あれで、苗木くん死んでたら、
霧切さんも、石丸くん状態になってそう。
336:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 19:42:35.63 MFhQL7rm
さすがにそこまではならないんじゃないか
337:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 19:51:29.18 iaLgYOXN
霧切さん好きだから
むくろ事件のクロ投票で霧切さんは苗木と記名せずに無記名で出したと解釈してるけど
製作者はそこんとこゲーム内ではっきりさせてほしかったぜw
まぁ冷酷な霧切さんもありっちゃありだけれど
338:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 19:57:19.72 iTG5v3V/
苗木本人はさほど気にしてなくても、恋人ととして付き合いだしたら
霧切さん自身はかなり引きずるんじゃないか
339:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 20:19:37.51 t77QBNeP
投票タイムに投票しなければおしおきを受けるんじゃなかったっけ?
340:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 20:21:06.26 /escQOPt
>>336
わからんぜ。
いくら、黒幕にはめられたり、
色々事情があったとはいえ、
苗木くんが、クロになるように誘導したのは事実だからな。
(逆に苗木くんは、霧切さんを信じて、矛盾を指摘せず)
なんとか黒幕と対峙するとこまでいっても、
真実があれだ。
もう絶望するしかない。
何が言いたいかというと、
絶望する霧切さんを見るのは、「カイカン…です…」
ということだ。
341:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 20:41:45.97 iaLgYOXN
>>339
2章で石丸は大和田に投票しなかったけれど
あれどうだったんだろうな
342:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 20:52:01.65 Av+ODtQj
投票結果スロットの絵柄をよく見ると、生徒達の他にモノクマの絵も混ざっている
なので、モノクマにも投票することができた可能性はある
しかしなんだ、ホワイトデーだってのに色気の無い話題だな
あれか、あの時の件を盾にアブノーマルなプレイを要求する苗木君と、それを断れない霧切さんとか、そういうのが見たいのかお前ら
俺は見たい
343:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 21:13:51.47 iTG5v3V/
罪悪感と性欲に苛まれた霧切さんが
「私を好きにしてッ」
って苗木にせまるのがみたいです
344:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 21:57:33.02 t77QBNeP
>>341
俺は石丸は十神あたりに投票したのかなと思ってるんだけど、実際のとこはわからん
校則以外で決まっていないことはモノクマがルールみたいなものだから、モノクマ的に面白ければOKなのかも
霧切さんは3章の終わりで苗木を囮みたいに使ってるし(あの時点では黒幕が校則を守るという確証がないから、苗木が殺される可能性もある)
公私混同しないというか、目的のために手段を選ばないようなところがあるから、5章で苗木に投票したとしても俺は驚きはしないな
345:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:05:18.02 M+If6O9L
>>340
霧切さんの性格からして苗木君無しでも頑張ると思う
まあどんなに頑張っても苗木君の説得が明暗分けた最後の学級裁判、
外の世界知った時点でメンタル的に詰んでオシオキかね
ニヤリとしたり青ざめたり霧切さん意外と表情豊か
346:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:12:10.39 iTG5v3V/
ラブラブにはなりそうにないのかなあ
347:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:13:28.74 SN9LixHK
>>331
東京の世田谷あたりだろうな
348:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:20:49.48 M+If6O9L
>>346
むしろエピローグの台詞がラブラブフラグすぎて困る
>>347
ちょっと霧切の表札捜してくる
349:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:28:12.25 t77QBNeP
>>346
苗木が命がけで自分を庇ったのを見てなにも思わなかったわけではないだろうし
エピローグで「あなたのような人となら~」と言ってるんだから、卒業後も一緒に行動するか連絡を交わしたりする気はありそうだ
ラブラブになるかは苗木くんしだいってところだろう
350:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:40:43.31 iTG5v3V/
苗木「やだなぁ、霧切さんが僕みたいな冴えない男の事、好きなわけないじゃないか」
351:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:48:19.58 GEpJ3Sm1
>>350
希望捨てんな
352:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:57:32.59 Av+ODtQj
あそこまで言っておいてその後別行動だったらそっちの方が驚きですよ
353:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 22:57:55.99 a5OGMv4R
>>351
苗木「希望を捨てないで色んな女の子にアプローチをかけることにしたよ!」
霧切「………」
354:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/14 23:14:09.47 MVodr8bZ
霧切さん一人では最後の最後で黒幕をぶちのめせなかったのと同様に
霧切さんが黒幕との直接対決の道筋を作らなければ苗木君の希望も無力だった
どっちが欠けても駄目なんだ
もうラブラブとなることは天の思し召しと言っても過言ではあるまい
355:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 03:48:50.18 Ti7UEQvI
なんか主人公が最後に残すのが希望だったり、ラスメンがバカ・脳筋・cv石田・恋に夢見る美少女兼信頼できる相方だったりして
いつ「霧切涼子は私が創作し、演じさせたキャラクターだ。お前を絶望させるためのな。」とか言い出さないか心配てたがそんな事無くて良かったぜ
356:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 03:56:15.77 lIqFwre2
なんでもかんでも予想外の展開にすりゃ良いってものじゃない
相棒は必要だった
357:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 05:40:13.23 VAXdOJOy
>>355
Σ論破≡ (゚Д゚ )。oO(それは違うよ!
苗木「霧切さんの本名って、たしか……霧切『響子』……だよね?」
358:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 06:25:54.20 Guzsqcze
>>355
スパイラル乙
359:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 07:09:44.96 f8M6Opl9
まさか個人スレで名前を間違えるとは…
>>355一緒に補習受けに行こうぜ
360:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 16:57:21.98 AmWk5x+V
>>354
探偵は2人で1人!
361:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 17:23:20.73 0ouRMirb
ドカァン! ドカァン! ~ 補習 ウケルヤツ ココ ~ ドカァァン! ドカァァン! ~ヨヤクシャ 355 359 ~ ドカァァァン! グシャァァァ
362:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 20:23:59.57 ScgAh9Tg
霧切さんのジャケットって、前の学校の制服だよな
校章付いてるし
私服の趣味はどんなだろうか
363:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 21:45:02.37 Ti7UEQvI
いくら深夜だったとは名前を間違えるなんてなんという不覚
364:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 22:08:42.19 cTTRXxtt
>>362
ブーツや手袋の趣味からすると、たぶん私服もゲーム中の服装と同じような感じではないか
意外に女の子女の子した私服だったりしてもそれはそれで
365:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/15 22:24:40.32 aoW3bbyC
>>360
そんな君に
つガイアメモリ
366:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 03:20:08.67 qjKv2GbW
IDかわっちゃったけど気にせず書き込むぜ。
それにしても地震起こる前以上に盛況だな。俺のできることってこれしかないから、まあ楽しんでいただければ。
っつーわけで、
こちら苗木誠探偵事務所(連作短編)(←未定)
367:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 03:20:17.27 qjKv2GbW
「本当にありがとう! いやぁ、なんとお礼を言ったらいいか……」
「そんな、お礼なんていいですよ」
「いや、そういう訳には。是非お礼がしたい。させてくれ!」
「本当に、大丈夫ですから。僕らも好きでやってることですし」
「そうか……なら、せめてこれを受け取ってくれ。食堂で使える―」
「―それなら」
「うん?」
「……それなら。二枚、頂けないかしら。その食券」
苗木誠探偵事務所は、基本的にボランティアだ。
そもそもからして部活動で金銭のやりとり、というのがありえない。活動資金は部費で十分にまかなえるし、霧切さんも僕もお金が目的で探偵事務所をやっているわけじ
ゃない。
じゃあなんで探偵事務所なんかやっているのかと尋ねられれば……それは、僕にもわからないけど。霧切さんは未だに理由を教えてくれない。
閑話休題。とにかく僕らは金銭を受け取らない。けれども霧切さんは優秀な探偵で、望外の依頼遂行にお礼をと、何かを取り出す人は後を絶たず。
そんな時に、霧切さんは。消費できるものなら、ふたつ。もしくは二の倍数で、報酬を要求するのだった。
「霧切さんは、何食べるの?」
「そうね。今日は……せっかくだから定食にしようかしら。苗木君は?」
「じゃあぼくはラーメ……」「………」「ぼ、僕もなにか定食にしようかな……」
今回の報酬は食券二枚。一度きりで好きなものが食べられるスグレモノで、文化祭など学内イベントでの景品でよく見かけるものだ。
というわけで、僕と霧切さんは翌日の昼食を学食でとることにした。
結局僕はとり南蛮、霧切さんは焼き魚定食を選び、空いている席に向い合せで腰かけた。なんだか事務所にいるみたいだ。
「……? なにがおかしいの、苗木君」
「ううん、なんでもないよ。いただきまーす」「……いただきます」
二人で合掌。味噌汁をすすって、ほう、と息をつく。
「ねえ、霧切さんはラーメン嫌いなの?」
「どうして?」
「いや、さっき……」「なんのことを言ってるのか、わからないわ」「……そう」
首を傾げつつ、ご飯を口にする。暖かい食事が食べられるのが、お弁当にはない利点だと僕は思う。自炊もあんまり、得意じゃない。
「(霧切さんは……料理、得意なのかな)」
ほんのりとした酸味のある鶏肉を口に運びながら、ちらりと霧切さんを伺う。
ちまちま、ちまちまと。霧切さんが器用にサンマの身と骨を分けていく様子は、なんだか可愛らしくさえ思えた。
そう言えば以前、海外生活が長かったというような話を聞いた覚えがある。それにしては随分箸の扱いが上手い。
「…………何よ?」
―と、目が合う。その瞳は無感情にも見えるし、なんとなく僕を責めているようにも見える。
「あまり人の食べるところをジロジロと見るものではないわ」
「ご、ごめん」
慌てて自分の食事に戻る。思い出したように鶏肉を一口。このタルタルソースは絶品だ。鶏肉もしっかり揚げてあって言うことない。ついでに未だ湯気を上げているご飯を
ぱくり。
「うん、美味しい」
「……ねえ、苗木君」
「どうしたの?」
「その、とり南蛮? って、美味しいのかしら」「美味しいよ。食べたことない?」「ええ。初めて見る料理だったから」「だったら、ほら」
とり南蛮の味を知らないなんてもったいない。僕はひょいと食べやすそうなサイズの鶏肉を箸で摘みあげて、霧切さんに差し出した。
「ほら、霧切さん。ぱくっ、と……―」
―僕は。一体、何を。
霧切さんの口許に突き出した僕の箸。今更それを引っ込めるようなことはできなくて。というか気づくのが遅いよ僕。
「………ぁ」ぱくり。もぐ、もぐ。もぐ、……ごくん。
その、白くて細い喉が上下するのさえ、僕は凝視してしまって。
「ええと、」「……」「……美味しかった、かな」「味なんて、分かる訳、無いでしょう」「ご、ごめん。……それじゃ、もうひとつ」「―ッ!?」「うぁ、ええと、違くて、その、」
その一瞬だけ、僕らは今いる場所がどこか完璧に忘れて。
「……また、食べに来ようか、霧切さん」「……ええ」
僕らは互いに顔を伏せ。見知ったクラスメイトが通りかかって話しかけるまで、そうしていた。
368:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 03:48:05.38 vkk/Bc9P
いいよいいよ~甘甘だねえ
369:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 05:19:36.70 SshR8Ljd
>>367前からあなたの作品大好きです GJ
よくこんな面白く書けるよなぁ
370:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 07:59:44.29 P9Oq3AtN
>>367
GJ!
さあ次は霧切さんが苗木君に「あーん」する番だ
371:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 13:46:07.08 3A/7DIXn
霧切さんってデザイン上だと、魔性の女って感じがする。
372:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 15:19:34.81 HB582qHi
魔性の女かどうかは分からんが、露出度を控えつつそこはかとない色気を感じさせるデザインだとは思う。
373:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 18:46:02.51 P9Oq3AtN
殺人事件を引き寄せる死神体質だし、ある意味魔性の女には違いないw
374:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 19:02:18.48 lW413QT9
>>372
手袋に依るところが大きいと思うんだ。
あぁ火傷跡も個性的で素敵だけどね。舐めたい。
375:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 21:19:54.93 SOB95hdV
霧切さんと素手同士で恋人繋ぎとな?
376:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 21:20:17.16 k+VOeIMY
ていうか、正直言うと霧切さんも残念さん同様、
昔はフェンリルに所属していたのかと思ってた
それが父親にばれないように手を焼いてまで隠ぺいしてるんだとばかり・・・
だって「襲ってきたら返り討ちにする」とかあっさり言う人なんだもん(´・ω・`)
377:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 22:45:21.99 qjKv2GbW
なーんか微妙に納得できない出来だけどそれは次回の課題にするとして、もう一度場所お借りします。
今回は糖分低め。書いてて一番イライラしたのは俺なんだぜ。あと段落の頭下げないと見にくいのか見やすいのかそんな実験も。
っつーわけで、
こちら苗木誠探偵事務所(連作短編)(←推定)
378:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 23:03:16.46 qjKv2GbW
「おーい苗木っち! 今度のテストなんだけどさぁ」
「苗木ー! 霧切ちゃーん! ドーナツが上手く焼けないのー!」
「我より強い戦士を……探している」
「え、ええっとー。あはは」
「…………頭が痛いわ」
苗木誠探偵事務所は、ただの何でも屋になりつつある。
―にゃー。
最初はそれこそ迷い猫捜しに恋人の浮気調査にと、まるで小説に出てくる売れない探偵のような依頼が多かったのに。それがいつからか、
―多分、テストのヤマはりを請け負った時からだろう―、僕らの事務所には妙な依頼が増えたのだ。
テニスの試合のピンチヒッター。アルバイト先の新メニューの考案。そして、
「―にゃあ」
「ああはいはい。ごめんよ、きょうちゃん」
「っ、………」
太ももにのせられた顎をちょいちょいと撫でる。サテンのようになめらかな感触。黒蜜のようにとろりとした深い黒の毛皮。
『猫を預かって欲しい』―探偵事務所のドアが控えめにノックされたのは、今日の朝10時のことだった。
土日であっても僕らの都合さえあえば事務所は開けてあるけど、大抵の場合、開店休業だ。正午になったら二人で昼食をとり、どちらかに用事があればそこで事務所は店じまい。最近はそのまま一日過ごすことが多かったけど、今日は珍しく依頼人がやってきた。
検査入院で二日ほど家を空けるから飼い猫を預かってほしい、と僕らに告げたのは見覚えのない上級生だった。
『かきょうちゃんっていうの。大人しいコだし、悪さはしないから』
イエスともノーとも言わない霧切さんと困り顔の依頼人に挟まれ、仕方なしに僕は猫入りのケージを受け取って。ケージの中からおっかなびっくり出てきた黒猫は、
「ううん、そろそろ降りてくれないかなあ……?」
―なぅ?
僕の膝の上から降りなくなった。この猫、初対面なのにえらい人懐っこい。
耳の後ろをさわさわと撫でる。気持ちよさそうに眼を細めるその様子を見るに、今のところ機嫌は損ねていないようだ。
「図々しいわね……猫のくせに」
「なにか言った? 霧切さん」
「なんでもないわ」
「そう? ……あ、ひょっとして霧切さん、猫嫌いだった? きょうちゃんを預かる時もなんにも言わなかったし」
「……そんなことないわ。……それよりも、苗木君」なぅ?
僕の代わりに返事をするように、何故か一鳴き。それを聞いた霧切さんの視線が一際冷たくなった―ような気がした。
「貴方は呼んでないわよ」ふにー。「何よ。文句でもあるの?」ふかー。
「ま、まあまあ。霧切さんもきょうちゃんも喧嘩しないで」
「……それよ」「え、どれ」「……その、呼び方。どうにかならないのかしら」
霧切さんが不可思議なことを言い出した。
「呼び方って、きょうちゃんのこと? だってかきょうってなんか言い辛いし」「前々から思ってたけどわかっててやってるでしょう貴方」
どういうことだろうか。猫に限らず、生き物の預かりなんて初めての依頼だけど。
「きょうちゃんが事務所に来たのは今朝のことだよ」「そういうことじゃなくて、この前も貴方食堂で―」「?」
「……なんでもない」
ぷいと体ごと背けてしまう。霧切さんの椅子は音もなく90度回転し、そうして霧切さんは無実の人間でも自白させてしまいそうな視線を本棚に向けた。怖い。
僕は何か失言してしまっただろうかとさっきまでの会話を反芻し、わからないなりに何か言おうと口を開いて、
「―にゃー」
「うん? どうしたのきょうちゃん」なぅ。「んー、お腹すいたかな?」にゃにゃ。「多分そうだよね。たしか、飼い主さんからもらったカリカリが―」
ばんっ!「へぁっ!?」
情けない声が出た。驚いて霧切さんの方を見ると彼女は何故か立ち上がっていた。今のはどうやら机を叩いた音らしい。きょうちゃんも目を見開いて固まっている。
「えっと………」「………コーヒー」「へ?」「コーヒー買ってくるわ」「え。インスタントならそこに」「私は、」
「……缶コーヒー。そう、缶コーヒーが飲みたいのよ」
そう言って霧切さんは足音荒く僕の横を通り過ぎ、
「………ふん。一人でペットショップ苗木でもやればいいのよ」「え、今なんか」「ナン・デモ・ナイ」
最後にきょうちゃんを一睨みして事務所を出ていった。静かに閉まったドアが異様に恐ろしい。
「僕、なにかしたかなあ……帰ってきたら霧切さんに謝らないと」
ふか、と、膝の上の黒猫が呆れたようにあくびを一つ。僕の顔をひょいと見上げて、気だるそうに後ろ足で耳を掻き、今までが嘘のように膝の上から飛び降りた。
ちなみに霧切さんが帰ってきたのはこの後二時間ほど経ってからだった。
379:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 23:11:08.81 P9Oq3AtN
GJ!
「きょうちゃん」呼びか…新しいな
そしてスネギリさんはやはり良い
380:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 23:13:56.84 qjKv2GbW
やっぱ見にくいわ。一字下げします。
あと文字制限に引っ掛かって100字ほど削ったり。投稿時間にラグがあるのはそのせいです。すんません。
1950字くらいでひっかかって、1847字で投稿できました。あと横の行は72,3字程度でヘンな改行が入ります。
1レスに無理やり収めようとするのは自分ぐらいだと思うけど、小説書かれる方は参考までに。
381:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 10:07:38.19 ZxYGDzgD
>>376
苗木「がおー(棒読)」
霧切「ば、バカ、そっちの襲うじゃな・・・むー!
やぁん、舐めたらダメ・・・くひぃんっ!」
382:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 15:11:05.95 fo7G8320
昨日クリアしたがお仕置きの時の段々取り乱さずに青ざめていく表情で俺の中の何かが目覚めたわ
383:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 19:13:25.59 NttGPQuZ
>>382
ようこそ
あのムービーには道を踏み外させるだけの何かがある
384:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 19:52:15.04 IiUBnXmp
あれで霧切さんに転んだ、という人はいるのだろうか
385:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 20:42:16.87 Rlz0LbFm
>>384 呼んだ?
386:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 20:53:42.62 KwXw5HZZ
キリギリさんになんて、舞園さんが殺された現場の中腰ポーズの段階で転んだぜ
387:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 21:07:49.38 OU7AyiJe
>>386
お前が居る…
388:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 21:08:23.84 ZR6YcZXY
わたくし、恥ずかしながら霧切さんのおかげで手袋フェチに…
389:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 22:03:35.05 mdrX5vun
>>382
霧切さんのあのシーンは、やばいぐらいエロい
390:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 22:08:51.45 WoQvuZG9
まともに議論をしようとしてくれたから霧切さんが好きになった俺は少数派かな?
一章は馬鹿のバーゲンセールなのかあ!?って所での唯一の光明に見えた
一章ではセレスも十神も仕事する気ねーし
391:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 23:18:43.29 ZR6YcZXY
少数派ってこたあないだろう
裁判での霧切さんの凛々しい姿に惹かれた奴は俺含め少なからずいると思うぜ
「私は最初から大和田君を狙い撃ちにするつもりだった!」とか、もう惚れるしかない
392:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/17 23:56:43.94 fA+bgglx
>>391 激しく同意
393:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 01:23:22.22 MxhOqH+8
そろそろしつこいけど、もうちょっとやらせてください……ウザかったらやめるんで、せめてこれだけは。
掌編にしようと思ったけど長くなりました。二つほどお借りします。
こちら苗木誠探偵事務所(連作短編)
(↑否定)
394:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 01:23:43.19 MxhOqH+8
「えーと……霧切さん」
「なに」
「その、えっと、ごめん」
苗木誠探偵事務所は、開設以来最大の危機に……ってそんなこと言ってる場合じゃない。
居心地が悪かった。
「どうして謝るの。何か悪いことでもしたのかしら」
「いや、それはその」
「していないのかしら。ならどうして謝るの。謝るのが趣味なの? 面白いわね。面白くもなんともないけど」
「……」
いつもの探偵事務所。いつもの椅子にいつもの二人。いつものように窓から差す夕日が今日はひどく眩しくて、僕は顔を伏せた。
週明けの探偵事務所の仕事は、預かっていた猫を返すことから始まった。申し訳なさそうに、しかし嬉しそうな様子でかきょう(黒猫。メス)を受け取る依頼人には半ば追
い返すような形でお帰り願った。
依頼人の学園生がいる間から霧切さんは一言も喋らずに黙々と文庫本を読んでいて、沈黙に耐えきれなくなった僕が口を開いて今に至る。
霧切さんの機嫌が悪い理由―猫と僕だ。昨日おとといと二日考えて何となくは原因に辿り着いている。
「(……きょうちゃん、か)」
僕がおととい黒猫につけたあだ名。そして不機嫌そうに僕の向かいで読書している女の子は、……霧切、響子さん。
まったくもって迂闊すぎた。
「(自分の名前を猫に付けられたのが気に入らなかった? まさか)」
何か違う。着眼点がズレている気がする。それに、きっと原因はそれだけじゃない。
件の黒猫を思い出す。初対面なのに懐いてきて、僕の膝の上から降りなくて。なのに霧切さんが事務所を飛び出していったらつまらなそうに飛び降りた。
それまでは当て付けのように、
「(……誰に対する、当て付けだ?)」
霧切さんしかいない。いや待て苗木誠。お前は何の行動を指針にして推理を組み立ててるんだ。どうして猫の行動なんかに意味を求めてる?
「(けれどあんな意味ありげな行動、霧切さんがいなくなった途端意味がなくなったように―)」
違う違うそうじゃない。猫の行動に意味なんか求められない。そっちじゃない、逆に考えるんだ。猫の行動に意味があるんじゃない、霧切さんには意味があるように見えた
んだ。
「(僕が猫をきょうちゃんって呼んだ。猫が膝の上から離れなかった)」
言葉にすればただそれだけのことだ。けれど霧切さんはそうは思わなかった。ならどう思った? 僕には当て付けに見えた。それで、僕らの週末はどうなった?
「(……事務所、は。苗木誠探偵事務所は、土日は)」
用事がなければ、僕らはそこで日がな一日。それは気まずい時間? ―いいや。
「(そう、か。僕らは、……霧切さんは、毎週、楽しみに)」
「霧切さん」
「なに」
先程と全く同じ反応。続く僕の言葉もそう変わらなくて。けれど僕は決意を込めて。
「ごめん。ごめん、霧切さん。せっかくの週末、台無しにしちゃって。……僕が猫にばっかり構うから、霧切さんを怒らせて―、」
決意を込めて―盛大に失敗した。
395:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 01:24:56.08 MxhOqH+8
>>394続き
これは……ない。この言い方はない。これじゃあまるで、霧切さんが。
「―へえ」
「ひっ?」
地の底から響いてくるような声。ゆらりと霧切さんが立ち上がる。
「それでは貴方はこう云いたい訳ね。私が貴方に、か、構ってもらえなかったから怒って事務所を飛び出したと。そう。そうなの」
「いや、その」「黙りなさい」「はいッ!」
つかつかと僕に歩み寄ってくる。その顔は真っ赤で目元は引きつっていて、それでも何とか無表情に努めようとしているのが何よりも怖かった。
立ち上がろうとして失敗した。そうこうしている間に霧切さんは目前に迫っていて、僕は目をつぶって次に来るであろう衝撃に備えた。
「苗木君―」「ご、ごめんなさいっ!」
―ぽすん。
「……へ?」
覚悟していた衝撃はいつまでたっても来ない。その代わり、膝の上になにか圧迫感。
恐る恐る目を開けると―眼前いっぱいに、銀色が飛び込んできた。
「……正解よ」
「せ……なに?」
「だから、正解。……拗ねてたのよ。あの畜生に貴方を取られた気になって。貴方がアレの名前を呼ぶ度に憎々しいわ苛々するわで。
挙句の果てに事務所を飛び出して、気まずくて戻るに戻れないし、そのせいで次の日も話なんかできないし」
「……」
霧切さんの表情をうかがうことはできない。彼女の背中が夕日を遮って、けれども僕はまだ目を細めて。
「苗木君……ごめんなさい」
「私が謝らないといけないのに、……本当にごめんなさい」
「ううん、僕の方こそ」
「いいえ、貴方は悪くないわ。……だけど苗木君、お願いがあるの。この事務所の所長である貴方に」
「何かな。僕にできることだったら何でもするよ」
「……最後まで話も聞かずに。そういう言い方、身を滅ぼすわよ。無茶なことだったらどうするの」
今以上の無茶なんてないよとは、勿論言わない。
「まあいいわ。これはお願いだけど、拒否なんてさせないから。あのね、苗木君―」
そう言って、霧切さんは静かに振り返り―
苗木誠探偵事務所は部室棟二階、階段を上がって左側の奥から二つ目にある。
扉には事務所の名前が入った銀色のプレートが掛けられているだけだったが、最近そこに一枚の張り紙が増えた。
そこにはマジックペンで「生き物、預かりません」と無愛想に書かれている。
ついでに言ってしまうと、部屋の中にも二つほど備品が増えた。一つ目は窓を覆うブラインド。そもそもなんで無かったのかわからない、とは霧切さんの弁だ。
そしてもう一つは、椅子。革張りの立派なもので、長時間座っても疲れない高級品。僕らの椅子……というか、僕の椅子だ。以前山田君たちに
もらった回転椅子は部屋の隅に追いやられている。
『苗木誠探偵事務所は貴方が所長なのよ? これぐらいでないと格好がつかないわ』と言ったのはやっぱり霧切さんだけど、それがただの建前であることは、
二人とも知っている。僕は相変わらず、扉に背を向けるようにして座っているしね。
それで、霧切さんは時々、奇妙な行動をとるようになった。文庫本を読んでいたかと思うと急に立ちあがり、ブラインドを全部おろして。
扉の前まで歩いて行って、内側からカギをそっと掛けて。電気まで消して。
そうすると―そうすると、うん。僕は、……本が読めなくなるんだ。
396:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 01:37:17.57 MxhOqH+8
終わりです。スネギリさん救済。これだけはさせてほしかった。
右端の折り返しとか全く前回の活かせてないっすね…
お邪魔しました
397:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 01:38:13.65 LhE0gyBD
キャラスレ初めて覗いたがいいもの読めたよ
ありがとう
398:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 02:34:33.21 m8jZlDXT
>>396
乙ですー
さあ続きを書くんだ
399:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 03:23:06.73 1OG6RypD
おっつ
SSに邪魔なんてないさ
400:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 11:00:36.07 qXrvLHMK
これは素晴らしい…
スネギリさんかわい過ぎる
401:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 11:59:33.35 cERYJZ/I
ここでおわりだなんてとんでもない!
402:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 14:54:59.28 QU747B4y
>>396
君はこのスレに必要な人だよ。
きっと十人に聞いたら十五人そういうんじゃないかな
403:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 20:48:45.00 jYLIY7Sr
>>396
さあ、早く次の物語の執筆に取り掛かるんだ
404:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 21:26:44.90 MxhOqH+8
前スレでも誰かが言ってたけど、他の個人スレに比べて圧倒的に進行が早いよな
出所はゲーム単体、ファンブックも言うほどネタが増えなくてよくこれだけ伸びるもんだ
霧切さん可愛いよ霧切さん。でも久しぶりにゲーム起動したらマジ眼光鋭かったよ霧切さん
405:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 22:57:41.98 d+Q2WmpG
つまり他のどの女の子よりも霧切さんが可愛いってことだな
そんな霧切さんに好かれる苗木君うらやま
406:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 23:29:38.18 45/PvbQ6
>>404
それ多分俺だw
まぁ今の流行もあると思うけどな
最近は霧切さんタイプのキャラは基本的に人気高いしその上メインヒロインだからな
407:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 23:39:27.40 CsSBGQO0
まどかマギカのほむらちゃんとイメージかぶるな。
味方側で一番冷静で一番真理に近い位置にいるように見えて、
主人公を困惑させながらも、実際は主人公のために一番良い行動をとってくれてる。
まどか何話か見てからこのゲームやり始めたから、
キリギリさんがいつ「それには及ばないわ」とか言い出すのかドキドキしてた。
408:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 23:39:44.19 arQyIZsC
クールビューティーか
409:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/18 23:50:51.88 LqJxNat6
霧切さんはクーデレと言われていたが
4章を見る限り、むしろ霧切さんはクールなツンデレではなかろうか?
410:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 00:07:42.24 qiZAFXwj
てかダンガンロンパの女性声優ってクールビューティー系演じるの得意な人多いよね
日笠に沢城に豊口
411:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 00:32:54.88 1nr5yN8J
大好物ですとも
412:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 00:40:15.81 4BhTOaOi
全然ハナシ変わるんだけどさ、胸囲1センチ差ってデカいの?
どっから霧切さん貧乳説が出てきたんだっけ
413:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 00:59:31.70 sOeWfiKq
霧切さんが貧困な乳というより1センチ差なのに舞園さんが豊満な乳だからな
ダブルヒロインだからツーショットが多いんで印象深い
414:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 09:49:17.81 ILsw0CZE
>>409
4章のあれはツンデレとはまた違うんじゃないか
ツンデレに詳しくないからよくわからないけど
霧切さんは一見テンプレ的なキャラ立てに見えるけど、実際は割と独特なキャラだと思う
415:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 14:55:11.46 6paNN14H
俺も霧切さんツンデレは違うだろ派
416:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 15:20:46.34 9m3ZROMF
まあツンツンはしてないなw
ただゲームの序盤は、話しかけてもほとんど生返事だったし
それからあの終盤に向かうのかと思うと、やっぱデレの部分はあると思うのよ
417:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 16:00:46.49 iQo3Ibk8
どっちの霧切さんも可愛いよ
クーデレでもツンデレでもデレがあることは確かなんだからそれでよし
418:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 18:41:35.24 p1Av/AWe
霧切さんは可愛いけど…僕はそれに負けないくらい霧切さんはエロいと思うんだ
ほら、資料集を見てよ、霧切さんの表情集があるページなんだけど…
頬を染めた霧切さんの表情が二つあるでしょ?
この二つの表情…これらって、とってもエロいと思わない?
特に笑ってる方、Mの人にはたまらないと思うんだ
もちろん、普通に照れてる方もエロいと僕は思うんだ
それに霧切さんの肌ってとっても白くて綺麗でしょ?
そう言う娘が頬を染める…どう考えてもエロくならないとおかしいんだよ
霧切さんは可愛いと思うし、かっこいいとも思う…
でも…それに負けないくらいエロいと思うんだ、僕は…
これって…見過ごしちゃいけない…とっても大事な事だと思うんだ!
霧切「苗木君、ちょっとこっちに来なさい」
苗木「ダメだよ!みんなに霧切さんはエロかっこ可愛い事を証明しないと…」
霧切「い、いいからやめなさい!」
苗木「それだよ、今の霧切さんの表情!とってもエロ可愛いよ!」
霧切「……お、お願い、苗木君。お願いだからやめてちょうだい…」
419:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 20:33:18.40 OgsOmm38
うむ
霧切さんのエロかわいさは世界の希望だ
420:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/19 22:48:43.62 r0YAqu8+
エロかっこ可愛いか。
霧切さん以外、当てはまりそうにないもんな。
421:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 00:48:34.35 n4XKQMag
霧切さんの寝巻きは
・パジャマ
・ネグリジェ
・下着のみ
・シャネルの5番
さあどれだ
お前達の意見を聞きだい
422:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 00:53:12.57 oGMeGpt6
ぶかぶかパーカー付きパジャマだな
423:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 01:47:57.93 /mtfq3BD
プレーンなパジャマもけっこうオツなもんだぜ?
424:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 07:32:14.32 PvdY5aYL
いや、霧切さんは探偵たる者いついかなる時でも飛び出していけるよう最低限ジャージ。でもたまには可愛い格好もしたくて着ぐるみパジャマとかフリフリパジャマとかを着た日に限って事件が起こる!
425:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 13:26:12.58 Be4vB2Yk
だけど見れるのは苗木君だけ!
つまりそういうことだろ?
426:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 19:08:12.33 n4XKQMag
なるほど、パジャマ派が大勢か
そうか…下着にワイシャツ派は俺だけか…
427:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 19:10:35.88 ZM6haa6L
霧切さんに結構子供っぽい趣味があっても私は一向に構わん
428:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 19:33:01.60 G+ppGBfa
俺はジャージ派
429:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 20:12:51.21 y6PqiWfm
>>426
それは違うよ!
430:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/20 22:13:32.29 14yRMSMn
ジャージ派の俺が通りますよ
ジャージ良いじゃないか
例えば寮で夜に女子や苗木くんの部屋に遊びに行ってそのまま寝られるし
ジャージから伝わる女の子の柔らかさは数年経っても覚えてるほどに素晴らしいし
431:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 00:28:03.69 mcXrmon7
霧切さんは苗木君の寝込みに何度も部屋に侵入しているんだ
逆に苗木君が霧切さんの就寝中に部屋に忍び込んでも何ら問題ないよね
432:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 00:50:11.94 ieaQK5Dr
今日こそ来るかしらと思いつつ寝てるにちがいない
433:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:38:54.12 SP848yU+
流れをぶった切ってというか、流れに乗ってSSを投下します
書いてる内に詰め込みすぎて長くなりそうなので、とりあえず前編です
某スレの、もしチャプター5の初日に苗木君が霧切さんを部屋に泊めていたら、に天啓を受けました
あと、このスレの素敵な流れにも乗ってみました
434:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:41:29.59 SP848yU+
タイトル:超高校級の夫婦【前編】
ジャンル:苗霧ラブ
ネタバレ:本編(特にチャプター5)に関する一部ネタバレを含みます
時間軸:主にチャプター5の最初の夜
435:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:43:30.92 SP848yU+
「誠君、こんなとき、夫婦だったらどうするのかしら?」
静かな宵闇に響いた霧切さんの声はどこか緊張した声色だった。
硬い床に敷かれたシーツの上で、一枚の毛布に年頃の男女が同衾しているという状況。健全な男子であるボクも彼女と同じくらい緊張していて。
「そんな、結婚なんてしたことないから分からないよ、き、響子さん」
そう言ってからすぐに、自分の答えが大きく的を外しているのだということは分かっていた。それでも上手い言い訳など思いつかない。
また呆れらてからかわれるかと思ったけれど、どうやら彼女もそれどころではないようで。
「私だって、したことないわ……」
暗闇に慣れた目で見えたのは、向かい合うように横になる霧切さんの不安げな表情と着崩れた男物の白いワイシャツ。
細かい思惑まで伺うことはできなかったけれど、それはいつもボクをからかっているときのものとは明らかに違う。
ただただ純粋に彼女は知りたいのだろう。
もしもボクらが夫婦だったら、こんなときにどうすれば良いのか。
ボクらはまだ高校生だ。結婚するどころか、結婚を考えるのだって些か早い気がする。
きっと正解はボクらには分からない。
そもそも正解なんてないのかもしれない。
それでも何か喋らなければと思ったのは、霧切さんにこれ以上不安を抱いて欲しくなかったから。
「もしもボクらが、夫婦だったら―」
まるで熱に浮かされるような場の空気。
それに当てられたかのように、ボクの口から零れ落ちた言葉は―。
436:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:46:19.75 SP848yU+
ことの始まりは数時間前に遡る。
「霧切さん!」
息を切らせながら名前を呼ぶと、霧切響子さんは微かに驚いた表情を浮かべて振り返った。
彼女の歩みが止まったのを確認し、急いで走り寄る。静かな寄宿舎の廊下に乾いた足音が反響していく。
「苗木、君?」
傍らに着くと訝しげに霧切さんはボク―苗木誠の名前を呼んだ。顔には明らかな困惑の色が浮かんでいる。
だけど、その声に答えることができない。久々の全力疾走に身体の方がついていかず、完全に息が上がっていた。こんなに急いで走ったのはいつかの体育の時間以来だろう。
肩で息をするボクを見つめる彼女の視線が、困惑したものからだんだん呆れたものに変わっていく。最後には軽く溜息まで吐いていた。
「霧切さんって、歩くの速いんだね……」
「別に、これぐらい普通よ」
苗木君とは鍛え方が違うからと霧切さんは呟く。それはいつも通り、ボクにちょっとだけ意地悪なことを言う彼女の姿だった。
あんなことがあったのでもしかしたら凹んでいるかもしれないと思っていたけれど、話してみるといつも通り見える。
「凹んだ私も見てみたかった?」
「ええっ! そんなことないよ!」
「あら、そう顔に書いてあるわよ」
そう言って、霧切さんはくすりと微笑む。いつの間にか完全にからかわれてしまっていた。
「そ、そんなことより、部屋の鍵はどうするのさ? 今ならまだ、十神くんも返してくれると思うけど……」
十神くんやみんなに疑われ、霧切さんは部屋の鍵を失った。
彼女の正体―超高校級の???について、彼女は記憶喪失だから答えられないと言う。
そのことを疑う十神くんに自ら部屋の鍵を差し出し、彼女は食堂を飛び出した。
十神くんも頑固だけど、霧切さんも同じくらい頑固だ。きっとどちらも自分から折れることがないのは傍目から見て明らかだ。
気が付けば、ボクは弾かれるように霧切さんを追い掛けていた。
彼女を説得できる気はしなかったが、それでも追い掛けずにはいられなかったのだ。
ボクが霧切さんに追い付いたのは寄宿舎の隅で、あまり人目に付かない場所だった。彼女が何をしようとしていたのかは分からないが、すぐに追いかけていなければきっと見失っていたような気がする。
「……別に、必要ないわ」
まるで他人ごとだとでも言わんばかりに、霧切さんは澄ました顔で言い放つ。まさに取り付く島もないその様子に、早々と説得は諦めた。
彼女の自信は一体どこからくるんだろうか。
例え彼女がボクの知らないリソースを持っているのだとしても、それがどの程度安全なものかは分からない。少なくとも今まで通りに自分の部屋を使うよりは危険なはずだ。
「もうすぐ夜時間だよ? 寝るときはどうするのさ……?」
「あなた達には迷惑をかけないようにするから大丈夫よ」
ボクの心配をよそに、霧切さんはあくまで秘密主義を貫くようだ。いつもの彼女を知っているのでそれも予想の範囲内である。
それでもここは引けない。男として、彼女をこのまま放っておくなんてできない。
「……霧切さん」
「何?」
何故ならあのとき、入り口の近くに立っていたボクだけは、キミの見せた寂しそうな表情に気付いてしまったのだから。
「今夜、ボクの部屋に来ない?」
ボクは自分でも驚くことを口走っていた。
437:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:48:21.56 SP848yU+
「ど、どうぞ」
「お邪魔するわ」
ボクがドアを開けて促すと、霧切さんはまるで自分の部屋に帰ってきたかのようにボクの部屋へと踏み込んだ。その様子があまりにも普通だったので、ここは本当にボクの部屋なのかと不安にすらなる。
でも、ここは間違いなくボクの部屋だ。
廊下で誰かに見られていないことを確認して、どこか緊張しながら彼女の後に続く。
できるだけ静かにドアを閉めて鍵を掛けたのは、確実に霧切さんのことを意識してだ。あまり二人きりの密室ということを意識させたくはなかったけれど、彼女の鋭さからしたらそれも無駄なことだろう。
軽く部屋の中を一瞥し、相変わらずねと彼女は言った。そう言えば最初の事件のときに散々調べられたんだっけ。
「買い物に行く機会もないからね」
「それもそうね」
ひとまず霧切さんにはベッドに腰を下ろして貰い、ボクはベッド脇の引き出しから毛布やシーツを取り出す。各部屋に換えの寝具一式が用意されていることを、ちょっとだけモノクマに感謝した。
「あ、そうだ」
ついでに引き出しの中に預かったナイフを置く。ずしりとした重量感には頼もしさよりも恐ろしさの方が大きく感じる。
正直な話、ボクには過ぎた物だ。
ボクみたいな普通の人間にこれを預かる責任は重い。背中を嫌な汗が伝う。
「……大丈夫よ」
ボクの顔色を見かねたのか、霧切さんの掛けてくれた声は優しかった。
それはまるで不安な子供を寝かしつける母親のようで。
「……うん」
短いやり取りだったけれどボクの心を安心させるには十分だった。
ゆっくりと慎重に引き出しをしまう。こんな物が二度と使われることがないように祈りながら。
「―さて、と」
一拍置いて霧切さんの方に向き直る。ベッドに座っている彼女はいつもと変わらぬ落ち着いた様子だ。
ボクの部屋に泊まらないかと提案したときもそうだった。
ボクにとっては地獄のような間は少しだけあったものの、霧切さんは短く、そうねと言っただけ。
いつも通りのポーカーフェイス。その裏に何を思っているのか分からずに、ボクの方がただただ焦ってしまう。
「そろそろ寝る、よね?」
「ええ」
時計を見ると既に夜の10時を30分程過ぎている。
今日はいつにも増して色々なことがあった。大神さんが亡くなり、学級裁判が開かれ、アルターエゴが壊されて……。
どれも碌な出来事じゃない。早く眠ってしまいたい気分だったのは、きっとボクも霧切さんも一緒だろう。
「苗木君、図々しいお願いなのだけど……」
ボクが溜め息混じりに上着を脱いでいると、彼女は少し困ったように言う。
声の方に向き直ると、ジャケットとブーツを脱いだ霧切さんがベッドの上にちょこんと座っていた。普段は見ることができない綺麗な白い足に思わず心臓が高鳴る。
それでもなるべくその動揺を押し殺して言葉を返す。こんなことで一々どきどきしていたら、ボクの理性は今夜一晩持たないだろうから。
「う、うん? どうかした?」
「申し訳ないのだけれど、寝間着を貸してもらえないかしら?」
―ああ、そりゃそうか。
霧切さんは不測の事態で部屋に入れなくなってしまった。当然、外で泊まる準備なんてしているはずもない。
彼女が普段着ている服もボクと同じく前の高校の制服だ。それを普段着にしてる以上、流石に制服で眠るのは避けたいところだろう。
そうは言っても、この部屋に霧切さんの服があるはずもなく。霧切さんによれば、今ランドリーで洗濯している服もないらしい。
「えっと、何かあったかな……」
ごそごそと服を探してみるが、特に寝間着になりそうな服はない。
ボクが寝間着にしているティーシャツと短パンも一つずつしかないので、残念ながら貸す訳にもいかない。部屋の隅にうず高く積まれた洗濯物を見て、自分の不精っぷりを嘆く。
438:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:50:23.25 SP848yU+
「……一番下の右奥」
「え?」
「一番下の右奥にワイシャツがあったでしょ?」
霧切さんに言われて見てみると、確かにそこにはワイシャツがあった。なるほど、これはモノクマが用意したであろう希望ヶ峰学園の制服一式だ。広げてみると新品ではないようだったが特に汚れてはいない。
どうして知っているのか訊いてみると、どうやらこれも捜査のときに見つけたらしい。最早ボクよりも霧切さんの方がボクの部屋に詳しそうだ。
「でも、これワイシャツだよ?」
ワイシャツを着て寝るなんてあんまり聞いたことがない。そりゃ、他に選択肢もないのだけれど。
それに実を言えば、そういうシチュエーションは嫌いじゃない。
「背に腹は代えられないわ。それとも、苗木君は嫌かしら? その……」
霧切さんは少し恥ずかしそうに視線を伏せると―。
「そういうジャンルの本も、それなりに持っているみたいだから……」
結構大きな地雷を踏んでくれた。
先程の嫌いじゃないを訂正させて頂く。実はそういうシチュエーションは大好きだ。
それこそ、そういう大人の本を持っている程に。
「え? ちょ、ええっ!」
迂闊だった。彼女の観察眼にしてみればボクの隠蔽工作など隠していないと同義だ。
つまり、あそこに隠してあるボクの本は―。
「見た……の?」
霧切さんがこくりと頷くのを見て、ボクは膝から崩れ落ちた。
特にアブノーマルな趣味を持っている訳ではないけれど、同い年の女の子に見られたと思うと辛い。
ワイシャツを着た女の子が好きだとか、髪は長いほうが好きだとか、ツリ目がちな女の子が好きだとか、胸よりお尻派だとか。引かれる程ものはないと思いたい。濡れたワイシャツが好きなのはギリギリセーフであって欲しい。
「健全な男の子なら当然よ。でも、その……エロスは程々にしておいた方が良いと思うわ」
霧切さんの言葉がボクの心に突き刺さる。彼女にしてみたら慰めているつもりなのかもしれないけれど、逆効果だと言わざるを得ない。
それでも引かれてはいないようなので、前向きに安堵することにした。
明日になったら隠し場所を変えることを心に誓って。
「そうするよ……。はい、これ」
なるべく平静を保ちながら霧切さんにワイシャツを渡し、自分も着替えることにする。
できるだけ彼女を見ないように、背を向けていそいそと着替えを済ませた。流石に下着を変える勇気はなかったので、不本意ながら下着はそのままだ。
ボクがひと通り着替えを済ませると、くいっとティーシャツの裾が引っ張られた。
「どうかした? 霧切さ―」
振り返ると、そこには恥ずかしそうに頬を染めるあられもない格好の霧切さんがいた。
先程と違い、彼女はスカートと自分のワイシャツを脱いでボクのワイシャツを着ている。問題はそのワイシャツのボタンが一つも留まっていないことだ。
黒い上下セットの下着と彼女のほんのりと上気した肌、そして白いワイシャツのコントラストはまるで天使のように見えた。
いや、完全に天使だった。
439:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:52:30.28 SP848yU+
「どどどどうかした?」
ボクは激しく狼狽える。
頭では視線を逸らそうとしているが、身体がそれを拒否していた。その結果、完全にガン見していた訳だけど。
そして、霧切さんは次なる銃弾をボクに撃ち込む。
「悪いのだけれど、……ぼ、ボタンを留めてもらえるかしら?」
「へぁっ!」
驚きのあまり、ボクは変な声を出していた。
とても言葉にできる状態ではなかったので、震える指でワイシャツのボタンを差してから自分を指差す。
―それはボクに言っているのですか?
すると霧切さんは目を閉じ、真っ赤になって頷いた。
―はい、そうです。
「その、手袋をしているから細かい作業は苦手で……。それに、男物のワイシャツって女物と逆だから……」
霧切さんの言い訳じみた言葉はきっと本当なのだろう。上の方のボタンがぐしゃっと皺になっている。
だからといって、彼女がその手袋に並々ならぬ決意を込めていることも知っているので外せとも言えない。
後から思えば、着替えが終わるまで部屋の外にいれば良かっただけのことだったけれど、羞恥と緊張で何処かおかしくなっていたボクらにはそれに気付くことなどできなくて。
「う、うん」
ボクはベッドに座る霧切さんの目の前で中腰になり、なるべくボタンだけを見るようにして手を伸ばす。
手がワイシャツ越しに彼女に触れと、ボクは思わず喉を鳴らした。洗剤の匂いと女の子のいい匂いにくらくらする。
上から三番目ボタンをそっと摘み、どうにか留めようと手を動かす。
ボクにも中々留めることができなかったのは、そもそも男物のワイシャツを誰かに着せたことなんてなかった所為と、霧切さんの吐息がボクの手に掛かってこそばゆかった所為だ。
少し手を動かすと、彼女は深く溜息を吐く。それがどうにも色っぽく感じて、ボクは冷静になれなかった。
「あ、焦らなくて良いわ。ゆっくり、ね?」
霧切さんはそう言うけれど、客観的に見ればこれはまるで―。
「……まるで事前に脱がしてるみたいだね」
頭で思ったことをそのまま言葉にしてからまずいと思った。
ゆっくりと顔を上げて彼女の表情を確認すると、驚いた表情のまま固まっている霧切さんが見える。きっとボクも同じような表情をしていただろう。
見つめ合ったまま、どちらも言葉を発さなかった。正しく言えば何も発せなかった。
もし何か言ったら、二人の中の羞恥心が何かの限度を超えてしまいそうで。
ボクはゆっくり視線を下ろし、ボタンとの格闘を再開する。霧切さんはまだ固まっていたけれど、それを気遣う余裕はない。
結局、全てのボタンを留め終わったのは五分後だった。
それはまさに永遠に続くかのような五分間だったけれど、それでもまだこの日の夜は始まったばかりで。
些細なことで一々どきどきしてしまうボクの理性は、とても今夜一晩持たないような気がしたのだった。
【続】
440:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 03:58:46.35 SP848yU+
以上、前編になります
自分の中の苗霧はきっとよそ様の三倍くらいアホです
ワイシャツしかなかったらしょうがないよね(棒読み)
441:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 04:52:56.13 2IlnIo0I
たまんねえな!GJ!夢にまで見たシチュエーション…
そして学園にエロ本持ってきてる苗木ww
442:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 08:48:16.45 +eeXb1Ny
すげぇニヤニヤしたw
続き楽しみにしてるw
443:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 08:55:52.31 LbhuR047
舞園さんが殺されたときの捜査だけで
こんなにも苗木の部屋を熟知している霧切さんが凄い
続き期待。『超期待。』
444:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/21 11:17:58.80 mcXrmon7
なんてこった…これは全裸待機するしかねぇ…
GJ!
445:霧切「ユメハイール・・・?」
11/03/21 14:47:45.75 rfo4MeRW
すばらしかったです。GJ! あとSSを今日か明日に投下します。内容は霧切さんメインのあの夜の裏側です。PSPからなのでちょくちょく切れますが、よろしくお願いします。
446:霧切「ユメハイール・・・?」
11/03/21 14:51:59.48 rfo4MeRW
すばらしかったです。GJ! あとSSを今日か明日に投下します。内容は霧切さんメインのあの夜の裏側です。PSPからなのでちょくちょく切れますが、よろしくお願いします。
447:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 11:47:40.93 btDwLxOe
霧切さんが苗木君にからかわれた時に
自由時間のように一枚上手に返してくる方が萌えるのか
スネギリさんを発動させる方が萌えるのか
それとも「勘弁してよ」と素直にリアクションする方が萌えるのか
それが問題だ。
448:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 12:03:23.95 HZXmaXiy
>>447
スネギリさん推奨
でもどれでも可愛いよ、可愛いよ。
449:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 12:31:31.88 v6mzH07T
霧切さんの笑顔とってもかわいいよ!→本編のようなクールなカウンター(ただし内心では本気で照れていると俺によし)
霧切さんの胸とってもかわいいよ!→スネギリ降臨
霧切さん、愛してるよ→素直に照れる
うむ、どれか一つを選べというのは酷な話だべ
450:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 22:29:23.52 SMq/HNsk
希望ヶ峰時代を舞台にしたキャルゲーとか出してほしいなぁと思ったけど
最近爆死したアイマスの貴音がダブってなんか怖くなった
451:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 23:20:24.20 lwREyKGu
つくれば いいじゃない!
452:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 23:33:22.81 btDwLxOe
>>450えっ アイマスって爆死すんの そんなバイオレンスなアレなの
もっとほのぼのってるかと思ってた…
>>449
「霧切さんの笑顔、とても可愛(ry」
「酷い、騙しt(ry」
「霧切さんの胸、とっても可愛いよ」
「苗木君の苗木君も、とても可愛いわよ」
「酷いや!」
「霧切さん、愛してるよ」
「わ、私も、あ、あい、愛…」
453:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 00:37:42.93 8jCCzTSu
やたら貧扱いされる霧切響子殿ですが、女性陣の中では中堅どころですぞ
454:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 00:45:18.59 p22R0yh2
たしかにいい感じの大きさだった
455:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 07:56:51.59 P2lo6Qu0
だが待ってほしい
実際はそんなに小さいわけでもないのに、本人は自分は貧なんじゃないかと気にしている
というのもアリではないだろうか
456:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 09:23:12.59 W1PF5d1N
このスレ完全にカプスレ
457:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 10:16:06.06 uBxXTRGD
なにをいまさら
458:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 14:20:18.65 R4E/H5V2
>>446 はまだだべか
459:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 14:42:58.04 7Ihcz/Jn
申し訳ない、ユメハイールを書いているとPSPの電池きれて、全てパーになってしまったので、まだまだかかりそうです。もうしばらくお待ちください。葉隠さん、ありがとう!
460:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 21:25:47.03 tjIBlSBL
改めてやり直してみると、1章前半の霧切さんは本気で素っ気ないというか完全に苗木に興味ないな
やはり1章裁判がターニングポイントか
461:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 21:29:39.08 v0uVI36W
一章では完璧に他人だしな
二章ではだいぶ親しげ
一章ラストの苗木の台詞にキュンとしたんだべな
カッコ良かったもんな
462:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 22:42:10.67 P2lo6Qu0
体育館に模擬刀を取りに行く前の食堂での会話が素っ気なさすぎて泣けるぜ
463:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 23:00:16.01 VYj0YUBa
四章の霧切さん、苗木君の隠し事の内容が推測できてるのに、
自分からは仲直りしようとしないんだよな。
不器用な霧切さんペロペロ(^ω^)
464:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 00:30:39.14 HzfLH1F4
スネギリさんがかわいいことはもはや論を待たないが
苗木君がスネてしまって狼狽える霧切さんというのも見てみたい
465:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 00:35:05.77 8ciM14uH
一章最後の苗木くんの言葉に驚いてポカンとしている霧切さん可愛い
466:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 03:05:59.27 6Je0P/FZ
頭の形が尻みたいな尻切さん可愛い
467:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 06:19:33.33 ogN8JMF5
それ霧切さんじゃなくてニコチャン大王だわ
468:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 12:25:07.23 H0okOpem
>>465
あの胸に手を当てて目を見開いている驚き顔かわいいよね
手で口をおさえている方の驚き顔もいい
しかし一番はVFBの表情イメージにあった困惑顔(大)だな
あれは本編にも採用してほしかった
469:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 17:29:12.94 ogN8JMF5
本命:拗ねながら照れ顔
対抗馬:困惑顔(大)
大穴:旧設定ビジュアル
470:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 21:07:03.31 HzfLH1F4
普段感情表現を抑えているからこそ、そこに綻びが生じた瞬間が引き立つわけですよ
こう、人目を憚らず泣いている霧切さんとか見たいね
「一人にして欲しいの…」の後に寄宿舎2階の隠し部屋を覗き見したかったね
471:433
11/03/25 01:51:11.22 3jJ0XlbP
お久しぶりです
流れをぶった斬りますが、後編ができたので投下します
前編は>>434-439です
タイトル:超高校級の夫婦【後編】
ジャンル:苗霧ラブ
ネタバレ:本編(特にチャプター5)に関する一部ネタバレを含みます
時間軸:主にチャプター5の最初の夜
472:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/25 01:53:12.37 3jJ0XlbP
ボタンを留め終わってから数分後、ボクらの理性もある程度回復していた。まだ二人ともギクシャクはしていたけれど、どうにか目を見て話せている。
それと同時に直面したのは次なる問題。
「やっぱり、それはできないよ」
「苗木君にはその権利があるわ。私に気を使わないで」
「そ、そんな……だってボク、男だし……」
先程から何回このやり取りを繰り返しているだろうか。
頑固者の霧切さんは頑なに主張を譲らないし、ボクも男としてこればっかりは譲れない。
「泊めてもらった私が床で寝るから、部屋の主である苗木君がベッドで寝るべきよ」
「女の子を床で寝かせて、ボクだけベッドで寝る訳にはいかないよ。男のボクが床で寝るからさ」
問題とは、どっちが一つしかないベッドを使って寝るかということである。
当然女の子である霧切さんに使ってもらうつもりだったのだが、それはできないと彼女は頑なに拒否した。
曰く、自分は床で寝るのも慣れているし、ベッドは部屋の主が使うべきだと。
何故慣れているのか気になったけれど、それよりもこの問題を解決するのが先だった。
「霧切さん、分かってよ。ボクなら一晩くらい平気だから」
「それはできない相談ね。苗木君は床で寝ることを甘く見ているわ」
そう言って、霧切さんはベッドに座ったままびしっと右手の人差し指でボクを差した。
いつもだったら凛々しく感じるその仕草も、黒い手袋、すらりと伸びる綺麗な足、更に白いワイシャツから微かに見える黒い下着まで追加されて何とも艶かしかった。何か新しい癖に目覚めてしまいそうである。
「う、ぐ……」
お互いに全ての弾丸を撃ち尽くしてみても、主張は全くもって平行線。このまま話していても決着がつくとは思えなかった。本当にお互いは意地っ張りだと思う。
そこでボクは強攻策に出ることにした。ベッドと壁に挟まれた布団一枚分よりも狭いスペースの床に、無言でシーツを敷いて毛布を広げる。流石に枕はないがこの際文句なんて言ってられない。
「苗木君?」
霧切さんが訝しげに僕の名前を呼んだけれど、ここは敢えて男らしく無視させて頂く。明日になったら何度でも謝るので今だけは許して欲しい。
そしてボクは素早く部屋の電気を消して、そのまま毛布の中に潜り込んだ。厚い鉄板に塞がれた窓から明かりが入ってくる訳もなく、部屋の中は真っ暗になる。
「ちょ、ちょっと、苗木君!」
「おやすみ、霧切さん!」
有無を言わせずに寝てしまう。これがボクの強攻策だ。きっと話し合いではいつまで経っても解決しないだろうから。
それでも顔を合わせるのが少しだけ怖かったので、ボクはベッドと逆の壁を向いて横になった。これできっと、霧切さんも諦めてくれるだろう。
「……そう、そういうことなら私にも考えがあるわ」
暗闇に響く何処か冷たい声。よく考えれば分かったことだが、あの霧切さんがの程度で諦めてくれるはずもない訳で。
彼女は静かにボクの包まる毛布を捲った。力ずくで毛布を剥がそうとしているのかと思い、しっかりと端を握り締める。
すると霧切さんはそのまま毛布の中に入り込み、ボクの隣りで横になった。
もう一度確認するが、ここはベッドと壁に挟まれた布団一枚分よりも狭いスペースだ。
当然、二人の人間が余裕を持って横になるのは無理がある。つまり、どうやっても二人の身体が触れ合ってしまう。
ボクの背中に感じる温もりは、きっと彼女の背中の温もりだ。
「きっ、霧切さん! 何で―」
「あなたが強攻策をとったから、私も強攻策をとることにしたのよ。嫌ならベッドを使うことね」
―それは違うよ! 男がこんな状況で嫌な訳ないじゃないか!
流石にそんなことを大声で主張できる筈もなく、曖昧に笑って誤魔化す。
文字通り背中合わせで横になるのは変な緊張感があった。
今更ベッドに移動するなんてことはできなくて。きっと彼女もそう思っていて。
つまるところ、それは今夜一晩このままの状態で過ごすことを意味している。
この奇妙な距離感に高鳴り始めてしまったボクの胸は、中々落ち着いてくれなかった。
473:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/25 01:55:13.65 3jJ0XlbP
そのまま五分、十分、三十分が経っただろうか。お互いに背を向けているために、彼女が眠ってしまったのかも分からない。
このまま眠ってしまうのが少しだけ惜しくも感じていたけど、それは杞憂に終わった。
「苗木君―」
静寂に響く霧切さんの声。先程までの少し怒った声とは違う、いつも通りの穏やかなものだ。
「何? 霧切さん」
それに合わせて言葉を返す。まだ起きていることを知らせるように。
「一つ訊きたいことがあるのだけれど?」
どうやらベッド云々の話は彼女の中でも一区切りついたようなので安堵する。
ボクが相槌を打って先を促すと、恐る恐るといった感じで言葉を続けた。
「どうして、私を泊めるだなんて言ってくれたの?」
どうして、私のためにみんなを裏切るようなまねをしたの?
それはボクからしても最もな問い。まるで気にしていないように振舞っていても、やっぱり気になっていたのだろう。
「私は自分の身分も明かせないし、その理由を証明することもできない。十神君達の言うことは最もだと思うわ」
それなのに何故と彼女は不思議そうに呟く。
十神くんの質問に、霧切さんの答えは殆ど答えになっていなかった。確かにいくらお人好しなボクでも、そんな人をほいほい信じることはできないだろう。
「うーん……」
ボクは慎重に言葉を選ぶ。何故なら、ボク自身まだその理由を明確な言葉にできていなかったから。
あのときは思わず口を衝いてたわけだけど、その答えはきっと―。
「……嬉しかったから、かな?」
「嬉しかった?」
ボクの言葉はきっと霧切さんの想定から大きく外れたものだったのだろう。暗闇に彼女の驚いた声が響いた。
「ああ、部屋の鍵のことじゃなくて、霧切さんがボクを信頼してくれたことが」
今、この部屋の引き出しに閉まってあるサバイバルナイフ。腐川さんが見つけたそれを、なし崩し的にボクが預かることになったとき。
「あのとき、ナイフはボクが預かればって最初に言ってくれたのは、霧切さんだったから」
「―そう、だったかしら?」
惚けてもダメだよ、霧切さん。そんなに動揺した声だったら、流石のボクでも気づいてしまう。
「十神くんも言ってたように、これをボクが持つことになったのはきっとみんなの信頼の表れで」
十神くん、腐川さん、葉隠くん、朝日奈さん、そして―。
「その中でも霧切さんが、一番ボクのことを信頼してくれているんだと思ったから。だからボクも、一番キミのことを信頼しようと思ったんだ」
例え他のみんなを裏切ることになったとしても、キミを信じたいと思ったんだ。
背中越しに霧切さんが息を飲んだ気がした。
もしかしたら、それは違うと否定されるかもしれないと思っていたけれど、そんなこともなく。
つまりボクの言葉には矛盾なんてなくて―。
「そう……。ありがとう、苗木君」
どうやら彼女の心を貫く弾丸になったようだった。
474:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/25 01:57:16.91 3jJ0XlbP
「う、うん」
そう言いながら、ボクは寝返りを打った。本音とは言え、流石に歯の浮くような台詞が少し恥ずかしかったから。
壁の方を向いていた体勢を変えて天井を見上げる。やはり硬い床で寝るのは慣れなくて、下にしていた右半身が微かに痛い。
再び場を支配し始めた沈黙に耐え切れず、ちらりと霧切さんの方に視線を向ける。すると彼女もボクと同じように天井を見上げる体勢になっていた。
微かに暗闇に慣れた視界で見えたのは、少し物憂げに何かを考えているような表情。
その表情がいつもより感じ易いと思ったのはきっと間違いじゃない。流石に暗闇の中だと得意のポーカーフェイスが緩まってしまうのだろう。
「何を考えているの?」
「……大神さんと、アルターエゴのこと」
霧切さんは視線を動かさずに呟いた。それはつまり、今日一日のことを思い出しているという意味だろう。ボクも同じように天井を見上げて思い返す。
自ら死を選んだ大神さんと、モノクマにおしおきされたアルターエゴ。
二人は悩み、覚悟を決め、行動し、そして死んだ。
辛い現実ではあったけれど、ボクはその想いを―。
「―引きずっていく」
「え?」
思考を言葉にされ、ボクはびっくりして霧切さんの方を見た。それはまるで自分をエスパーだと言っていた舞園さんのようで。
彼女も顔を倒し、ボクの方を見ていた。暗闇の中、静かに見つめ合う。
「苗木君、前に言ったわよね? 死んだみんなの想いを乗り越えたりせずに、引きずったまま前に進んでいく、って」
「あ、ああ、うん」
どうやら先程の言葉はボクの思考を読んだものではなかったようだ。それに安堵のような溜息が漏れる。
それは初めての学級裁判が終わったとき、霧切さんの言葉に対するボクの答え。
―仲間の死を乗り越えることなく、その想いを引きずっていく。
それはボクの中では固い決意だったけれど、まさか霧切があのときの言葉を憶えていたとは思わなかった。
「私もそうすることにしたわ。大神さんの形見で、絶対に黒幕を追い詰める」
そう言って彼女は眼を細める。その仕草がまるで泣きそうなのを我慢しているように見えて、ボクの心がじんわりと痛んだ。
「……大神さんの形見って?」
霧切さんの呟いた言葉が気になったので訊いてみる。すると少しだけ考えるような間の後に、誤魔化すように彼女は言った。
「この決意ってことよ」
それは苦しい言い訳ではあったけど、この場で話せないのにはきっと理由があるんだろう。
きっと必要なときには話してくれる。ボクは霧切さんを信じて、そのときを待つことに決めた。
「そっか……。そうだね」
既に見慣れてしまった天井を見上げながら静かに言う。ボクもできる限り霧切さんに協力しようという決意を込めて。
例えその末にどんな結末を迎えようとしても、男であるボクが彼女を守らないと。人工知能であるアルターエゴだって、勇気を持って黒幕に立ち向かったのだから。
アルターエゴ、だって……。
「……ごめんね、霧切さん」
「どうして謝るの?」
思わず口から漏れた謝罪の言葉を彼女は訝しげに返した。
自分でも唐突過ぎると感じたので誤魔化そうかとも思ったけれど、この気持ちに嘘はつきたくない。
「アルターエゴの、こと……」
ボクがアルターエゴの背中を押さなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。もしかしたら、ボクの所為でアルターエゴはおしおきされてしまったのかもしれない。そう思うと謝らずにはいられなかった。
霧切さんはアルターエゴと反芻するように呟く。そしてボクを宥めるように優しく言った。
「あの子は、自分のやるべきことをやって、そして自分の意志であの場所へ行った―」
それはきっと、少しでもボクらを助けたいという強い想い。
「だから、あなたが誰かに謝る必要なんてないわ」
謝ったてしまったら、あの子に、あの子の想いに失礼だから。
「……うん」
その落ち着いた声に、ボクは目頭が熱くなるのを感じた。固く眼を瞑り、涙が溢れるのを我慢する。
涙はアルターエゴの想いを叶えたそのときまでとっておこうと思ったから。
だから今は、ボクらのことを見守っていて欲しい。
心の中でそんなことを祈りながら深く息を吐く。どうやら涙は収まってくれたようだ。
475:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/25 01:59:41.12 3jJ0XlbP
「どうして、私に謝ったの?」
不意に、霧切さんが口を開く。視線を感じたので顔を倒すと、再び彼女と目が合った。
暗闇の中でも鋭い視線。ボクの全てを見通すように。
一方のボクは困った表情をしていただろう。本当に思ったことを話したら、彼女がどんな反応をするのか分からなかったから。
「それは―」
「それは?」
言うのを躊躇していると、問い詰めるように先を促す。
そこまで大それたことでもないのにと苦笑しながら、ボクはその理由を素直に話すことにした。
「霧切さんが、アルターエゴのお母さんみたいだったから」
「……えっ?」
「だから、ボクにはアルターエゴに接する霧切さんがお母さんみたいだなって感じたんだよ。一番アルターエゴの面倒を見てたし、一番心配してたから」
そして一番、アルターエゴも霧切さんを慕っていたから。
アルターエゴに対する彼女の気持ちは、山田くんや石丸くんとはまた違った愛を感じた。
色々考えてみたけれど、ボクにはそれが母性という言葉でしか表現できない。霧切さんがアルターエゴを見つめる瞳は、ボクの母親がボクや妹を見ていた眼差しに似ている気がしたから。
「私が、お母さん……」
見ると、霧切さんは驚いた表情で固まっていた。暗いから顔色までは分からないけれど、何となく真っ赤になっているような気がする。
「突然、何を言うのかしら、苗木君は……」
「き、霧切さんが訊いたんじゃないか!」
霧切さんの何処か照れた表情に当てられて、ボクの方まで気恥ずかしくなってきた。自分の顔に血液が集まっていくのを感じる。
よりにもよって同い年の女の子にお母さんみたいはないだろう。
すると、霧切さんは少し意地悪な微笑を浮かべた。
「私は、アルターエゴにとって苗木君が父親代わりだったと思うわ」
「ええっ?」
「アルターエゴの決意を後押ししたのは苗木君でしょ? 私にはよく分からなかったけど、男の世界って言うのを感じたわ。ああいうとき、女には結局、見守るしかできないのね」
ちょっぴり芝居がかった口調。これは彼女なりの反撃のつもりなのだろうか。
少し恥ずかしそうな様子から察するに、思ってもいない言葉という訳ではなさそうだけど。
確かにボクはアルターエゴの気持ちを後押しした。それはボクの父親が、この学園に入るのを悩んでいたボクを後押ししてくれたのに近いのかもしれない。そういう意味で、いつの間にかボクはアルターエゴを自分の子供のように思っていたのかもしれない。
「そうかも、しれないね」
「ええ、きっとそうよ」
―いや、待て。
「それじゃあ、まるで―」
ボクを見つめる表情から察するに、霧切さんは気付いていないのだろう。自分の作ってしまった爆弾に。
自分の顔がより赤くなるのを感じたが、一度零れ落ちた言葉は止まらない。
「―ボク達、夫婦みたい、だね」