11/01/18 19:19:57 1cz8epR3
>>349続き
僕は本当にお酒はダメで、大学に入ってから初めての新歓コンパでも、
ビールを一杯飲んだだけでトイレで倒れ込み、挙句記憶を失くして、
気づいたら店の裏に転がっていた。それくらい酒に弱い。
だから、テーブルの上に広げられた、スルメやチー鱈などのおつまみのオンパレードにも、
日本酒やウィスキーのような、一歩間違えれば命に届いてしまうような高い度数のアルコールにも、
本当はとことん縁がないはずなのだ。
「だいたいあなたは、卒業してからほとんど連絡もよこさないで、…ちょっと聞いているの!?」
「はい聞いていますすみません!」
霧切さんは、ダン、と音を立ててコップをテーブルに叩きつける。
「知っているのよ…山田君や江ノ島さんには、頻繁に連絡しているそうじゃない」
「だからなんで知っているのさ…」
「探偵なめんな!」
「すいません!」
本当に、たちがわるい酔っぱらいだ…。
「で、でも山田君や江ノ島さんは同じ大学d「そ・こ・じゃ・ないのよ、問題は!」
彼女の責めるような視線から逃れるように、僕は5杯目のウーロン茶を注ぐ。
彼女は僕の説得もむなしく相変わらずの服装で、ソファーに腰掛け足を組み、ゴボゴボとコップに酒を足した。
在学中は思いもしなかった、彼女がこんな酒豪だなんて。
凡人なら、とっくに酔いつぶれているであろう量を、彼女は同じペースで飲み続けている。
(やっぱり、探偵業ってストレス溜まるのかな…)
「どうして彼らとは何時間も電話して、私には一通のメールもよこさないの?」
「メールならしてるじゃないか…」
「私のメールに返信するだけでしょう!?それも、『うん、そうだね』とか『アハハ』とか…
まともに会話する気がないのは見るに明らかよ!
舞園さんには『月9主演おめでとう!毎週欠かさず見るよ!』なんてメール送っているくせに!
あの文面とドヤ顔を見せられた時、私がどれだけ惨めだったか!!」
ああもうどうしよう。本当に面倒だ。
普段は何を考えているかわからないほど、自分のことを頑なに語ろうとしないのに、
アルコールは人をここまで変えてしまうのか。