【ダンガンロンパ】霧切響子の正体は俺の嫁Part2at POKECHARA
【ダンガンロンパ】霧切響子の正体は俺の嫁Part2 - 暇つぶし2ch264:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/16 22:11:34 DKmh/sR9
>>263続き


「大丈夫じゃないよ!」

 おそらくは初めて聞く彼の、戒めの大音声に、私は身をすくませた。
 顔を挙げると、彼の顔には、怒りとも悲しみともつかない表情が浮かんでいる。
「ほら、腕を貸して」
 彼が半ば強引に、私の右腕を掴んだ。

 予想外の、握力。普段の小動物を思わせるか弱さからは、想像もつかない力。
 ああ、男子なんだ。
「手袋、脱がすよ」
 彼の強い力と、その意外性。それらが相まって、私は、
「やっ、ちょっと待って。おねが…」
 ろくな抵抗も出来ないまま、手袋を外すことを許してしまった。


「…!!」
 苗木君の目が見開いた。
 その瞬間、私の右腕を掴んでいた力が緩み、私は急いで右腕を自分の支配下に引き戻す。


 手袋を脱がされた右手に刻まれていたのは、私の罪の証である、醜悪な火傷の痕。




―見られた

 どうしようもない現実が、眼前に落ちてきた。
 絶望。激しい鼓動。パニック。
 頭がぐるぐると回り、言い訳でも責め句でもない、次に紡ぐ言葉を必死で探す。
 行き場を失った右手は、聖者からコソコソ逃げ回る娼婦のように、私の背に隠れ潜んだ。
 いつか彼に打ち明けると覚悟を決めていたくせに、このざまだ。

―いや、違う
 私はきっと、少しも覚悟なんて決めていなかった。
 いつか打ち明けるという自分との約束は、この罪を隠しながら彼と時間を共有するための、言い訳に過ぎなかった。
 見られたら、終わってしまうかもしれないから。
 自分に都合の良い逃げ道だけ残して、現実から逃げていただけじゃないか、私は。



 そして、もしかしたら彼なら、これを見ても気にしないかもしれない、という虫の良い希望は、
 彼なら私の罪を許してくれるかもしれない、という無意識下の期待は、
「あ…」
 全くの的外れだったのだと、彼の表情が雄弁に語っていた。


 彼の表情は、彼の眼は、
 かつてのクラスメイトが、気味悪がって私の手を瞥見した時と、寸分狂わず同じだった。
 そして、よほど私の中の絶望が表情に表れていたのだろうか、彼は私の顔を見ると、すぐに視線を反らし、
「…ゴメン」
 そう、一言つぶやいた。



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