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2010/12/30(木)朝日新聞朝刊1面2面
【孤族の国】第一部 男たち⑤
前半
『彼は無表情だった』(先日のバス通り魔の斉藤勇太の話)
『居場所を探す 宗教にネットに』 (新興宗教にハマった大学生の話)
後半
『現実、見ないようにして』
―サイトの有名人―
かき入れどきの土曜だというのに、店のシャッターは閉じていた。朝方までソファでパソコンを操り、
そのまま眠ってしまったのだという。
兵庫県の阪急沿線、駅前に続く通りの一角で、男性は小さな洗車店を営む。だが、実際は休業状態。
週1度、食料を買いに出かけるほかは、店舗2階の自室にこもってインターネットに浸る。
自分のことを「僕」と呼び、眼鏡の奥で人が良さそうに笑う34歳には、ネットの世界にもう一つの
顔がある。「bureno(ブレノ)」。動画サイトでは、ちょっとした有名人だ。
「スパイの子」「日本から出て行け」。画面の中で、日の丸や拡声器を手にした男たちが、ののしり声
をあげる。今年8月、右派団体の幹部らが威力業務妨害容疑で逮捕された朝鮮学校前の街宣を、この
男性が撮影した。
ドラマのように軽快な音楽をつけて編集した「作品」はネットに投稿され、累計で数十万回もアクセス
があった。各地の街宣に同行し、投稿を繰り返していた男性は、団体幹部とともに逮捕されたが、
「関与が薄い」として不起訴になった。
「ブレノ」は、滑らかなカメラワークで「ぶれない」という意味を込めた登録名だ。自身の活動を、
海上保安官が「sengoku38」の名で尖閣沖の衝突映像を流出させた事件とダブらせる。「日本はもっと
怒っていい」
続く