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ﾌﾟﾛ野球の現状は｢選手売りますか｣それとも｢球団売りますか｣
｢この種の問題は続く｣と加藤ｺﾐｯｼｮﾅｰも認めるﾌﾟﾛ野球の窮状
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日刊ゲンダイ(2010/12/6)
◆岩隈も西岡も売られる
｢身売りなんてあるわけがない｡事実無根だ!｣
ﾔｸﾙﾄの球団関係者も一様に､怒りを隠さなかった｡去る4日に一部ｽﾎﾟｰﾂ紙が､ﾔｸﾙﾄがｲﾝﾀｰﾈｯﾄ広告会社のｻｲﾊﾞｰｴｰｼﾞｪﾝﾄに球団売却を検討していると報じた｡横浜が住生活ｸﾞﾙｰﾌﾟへの売却を検討したのに続き､降って湧いたような身売り話に球団は大騒ぎ｡
4日早朝に球団が報道陣に｢事実無根です｣と身売りを完全否定するﾒｰﾙを送付すると､堀ｵｰﾅｰが｢事実関係は一切ない｣とｺﾒﾝﾄを発表｡鈴木球団社長も｢寝耳に水｡身売りする考えは全くない｡突然こんなことを書かれて不愉快で遺憾｣と顔を紅潮させた｡
報道に対してここまでﾌﾛﾝﾄが全面否定をするのだから､今ｵﾌの身売りはないのだろう｡ただその一方で､ﾔｸﾙﾄの周辺では､身売りのｳﾜｻが絶えないのも確かである｡
今ｵﾌ､ﾔｸﾙﾄは韓国人助っ人の林昌勇と､3年総額15億円以上ともいわれる大型契約を結んで残留にこぎつけた｡
｢親会社のﾔｸﾙﾄ本社は､入札制度によるﾒｼﾞｬｰ移籍を希望する青木も残留させるなど､来季は10億円程度の人件費増を容認した｡その一方で､球団に対して観客動員のｱｯﾌﾟを厳命している｡今季の観客動員は前年比で100%と横ばいだったが､
ﾄﾞﾙ箱であるｼｰｽﾞﾝｼｰﾄの販売が1000席ほど減った｡ﾋﾟｰｸ時から比べると半分以下に減らしている｡補強費を増やしてﾁｰﾑ強化に本腰を入れる一方で､来季の観客動員数の増減を親会社が注視しているのは間違いない｣(ﾏｽｺﾐ関係者)
◆｢事実無根｣も来季が勝負
ﾔｸﾙﾄ本社は､10年度の4―9月期連結決算で純利益が前年同期比22･5%増の約81億円となるなど堅調だが､ﾔｸﾙﾄ球団の赤字はおよそ20億円に迫るといわれている｡さるﾔｸﾙﾄOBが言う｡
｢本拠地･神宮球場の入場料の25%を明治神宮に支払うなど､球団の収益構造は横浜と近い｡巨人戦の地上波中継が減り､放送権料が大幅な減収となるなか､連日満員に迫る観客を動員しないと球団は慢性的な赤字に悩まされ続ける｡以前から親会社の筆頭株主であるﾀﾞﾉﾝ(仏)は球団の赤字に
厳しい目を向けている｡黒字にならなくとも､極力赤字を圧縮したいというのが親会社の本音なのです｡これだけ人件費をかけて来年の観客が増えなければ､ﾔｸﾙﾄも横浜と同様に球団を売るか､青木を入札制度でﾒｼﾞｬｰ移籍させて赤字を補填するなどの案が出てきてもおかしくない｣
今回はﾔｸﾙﾄで身売り話が浮上したが､ﾌﾟﾛ野球界を見渡せば､この手の話はｺﾞﾏﾝとある｡
今ｵﾌは楽天がｴｰｽの岩隈､ﾛｯﾃが主力の西岡をともに入札制度でﾒｼﾞｬｰ移籍させる｡ともに赤字を抱える経営事情とも無関係ではないだろう｡
◆世界経済が直撃
｢今回の報道は､多くの球団にとって他人事ではなかったはず｣
と､ｽﾎﾟｰﾂﾗｲﾀｰの戸部良也氏がこう指摘する｡
｢ﾔｸﾙﾄは､90年代の黄金時代は黒字経営だった｡それが今や慢性的な赤字経営に悩まされる時代になった｡地上波の巨人戦中継で放送権料収入があり､巨人戦ともなると球場が満%8