THE IDOLM@STER アイドルマスター part7at MITEMITE
THE IDOLM@STER アイドルマスター part7 - 暇つぶし2ch105:TOWもどきim@s異聞 1
11/11/12 11:13:40.72 PbZ+RX0H

 見上げていると呼吸が詰まりそうな鈍く重苦しい空模様から、針のように細く鋭い雨が容赦なく地上に降り注いでくる。
あまりの勢いに、窓にガムテープ張りされた社名もペラリと剥がれそうだった。 
ソファへと座った天海春香は、ともすれば猫背になりそうな背筋をピンと伸ばしながら、一台の携帯を親の仇の如く睨みつけ――

――ぱか。パタン。ぱか。ぱたん。

液晶に映った人名に目を通し、その度にため息混じりに再び閉じる。
ため息の数だけ幸せが逃げるぞー、などと、オーディションの失敗をちょっとおどけながら励ましてくれた
プロデューサーの言葉が鮮やかに蘇る。
あの時は容赦なく『おじさん臭いですよー』なんて茶化していられたが、実際ため息を繰り返すその都度に、風船から抜ける空気みたいに
エネルギーがどこかへ逃げていくような心地がした。
・・・・・・ため息を止める方法なんてわかっている。問題の原因も自分にある。

「――だーっ!鬱陶しいからやめなさいっつの!」

怒髪天、という言葉が似つかわしかった。紅茶色の髪の先端が蛇みたいにうねりを見せているような錯覚を覚える程の凄まじい怒気。
水瀬伊織が令嬢らしからぬ大股で歩み寄り、柳眉をつり上がらせてにじり寄ってきていた。
「そういうのは一人の時にやりなさいよ!ただでさえこのクソ重い雨で気分晴れないのに、何なのよさっきから!」
「・・・・・・あ、ごめん伊織。いたんだ」

偽らざる本音をポロッとこぼしてしまった時――あ、マズイ。と、頭のどこかが警鐘を鳴らした。
「・・・・・・へえぇぇぇ。彼氏からのメール返信待ちみたいな散っ々人を苛つかせるようなパフォーマンスしてるような脳内花畑の乙女には、私のことなんて
ハナから眼中になかった訳ね」
「か、彼氏!?伊織ったら何言ってるのやだなぁ、プロデューサーさんはまだそんなんじゃ」
「誰がいつアイツの話を持ち出したのよそれに『まだ』って何!?・・・・・・って違う。
・・・・・・あんた、これ以上ふざけるようなら」
「――い、伊織ちゃん!?どーどー!」
給湯室でいそいそとお茶を入れていた音無小鳥が、煮えたぎったマグマにも似たオーラを纏い春香へと迫らんとしていた伊織を
後ろから羽交い締めにして取り押さえる。
「止めないでよ小鳥!この色ボケは多少キツめでも一撃喰らわせてやらないと延々このままになるわよ!」
このまま行けば伊織ちゃんパンチの一発でもお見舞いされるのは確定的に明らかな勢いだった。小鳥に牽制されながらも着実に
こちらに迫りつつある伊織に対し春香は苦し紛れに、
「だだだだからゴメンてば伊織!・・・・・・あーそうだ!今度のオフにやよいと一緒に雑貨屋さん巡りに行く約束してたんだけど、空いてたら一緒にどう!?」
起死回生、という心地で繰り出した切り札は、思いの外効果覿面だったらしい。ピタリ、と面白い位に暴れ出す手前だったそのモーションはストップした。
神様のの様よりもやよい様である。こと伊織に関しては。
「・・・・・・フ、フン。まあいいわ。・・・・・・私抜きで勝手に約束なんてしてたのはちょっといただけないけどね」
このところ事務所で顔を合わせる時間帯が重なっていなかったかもな、と今更ながらに思い出す。
根は寂しがり屋な伊織だ。何だったら一昔前の漫画みたく、当日になったら体調不良の一つでも装って二人きりにしてあげた方がいいかな、などとにべもないことを考える。
「まあそれはさておいて。・・・・・・アイツもそろそろ営業から帰って来るだろうし、メールが遅い位長い目で見てやりなさいよ?」
「へ?・・・・・・ああ」
ついつい苦笑いしてしまう。成る程、事務所メンバーの中で一番『彼』とのメールのやりとりが頻繁なのは自分だ。パカパカ携帯を開いていたら、
自然と『そっち』を連想するのは致し方ないのだろうけど。
「・・・・・・あのね・・・・・・」



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