【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】at MITEMITE
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】 - 暇つぶし2ch30:創る名無しに見る名無し
10/11/17 18:49:59 5foSoAtP
彼女は何処にでも、何時でもそこにいる。
今日は何処かの地方都市の、その郊外の小さな公園のブランコにいる。近くの砂場では4-5人の子供達が砂遊びに夢中で、ママたちも他愛のない井戸端会議に花を咲かせる。
秋晴れの空は蒼く透き通り、秋風が時々に落ち葉を舞わせる。そんな何処にでもある、日常の平和な風景。

彼女は鬼だ。人の心に棲みつく鬼達と闘う。
時々、自問する。何故?自分はどうして鬼に生まれたのだろう?
優しいけれど無頓着な旦那さんに文句を言い、元気で騒々しい子供に手を焼きながら、公園のママ達のように集う。なんでもないけれど、そんな暮らしが出来ない。少し手を伸ばせば届きそうなのに、僅かな違いなのに。
彼女が闘う相手はなんだろう?人の心に棲みつく鬼達とは?何度か問いかけたが、誰も答えてくれない、虚しく響いた問いかけ。

砂場で子供の鳴き声が響いた。他愛のない、おもちゃの取り合い。ママたちも全く気がつかない程度の、何時もの公園の一コマ。秋風が公園に舞い込んで着物の袖を揺らし、立て掛けてあった薙刀の柄に少し触れた。フワッとそのまま流れ落ち、彼女の腕の下に戻った。
その時に子供の泣き声に気がついたママが、近寄ってきて子供を少しだけ叱った「お友達のお人形さんを勝手に取っては駄目でしょう。それはお空を飛ぶ鳥さんなの。あなたみたいに砂に埋めたらモグラさんになってしまうわよ」
叱られた子供は少しだけ不満顔だったが、向のお友達にお人形を突き返した。顔をクシャクシャにして泣いていた子供は、涙目になりながらニッコリと頷いた。

夕日が木漏れ日となって公園を照らし始めた。
三々五々、帰宅する人々の流れが早足で通り過ぎて、もう少しでこの公園も閑散とするだろう、何時もの平和で変化の無い日常。ふと気がつけば遠くでカラスが鳴いている。そろそろ帰ろうと思う。
彼女は強い。少し泣き虫だけれど。
「純真な子供」なんて言葉は彼女の前では空虚だ。彼女が闘う鬼達は誰の心にも棲みついている。いくら闘っても無くすことは出来ないけれど。

こんどあの病院に行ってみよう。ずいぶんと入院している少年の元へ。


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