【鬼子たんの】鬼子Lovers【二次創作です】at MITEMITE
【鬼子たんの】鬼子Lovers【二次創作です】 - 暇つぶし2ch107:創る名無しに見る名無し
11/08/08 23:47:29.87 ZE5lyqq7
>>56
あれ、たしかにSSスレには出てないような…?
どこで読んだんでしょう(笑)
ヤイカガシがかなり警戒してるので、正体は何だろうと思ってました。

>>57-60 みずのて
夏に涼しげな小編、ありがとうございました。
わんこから見ると、鬼子さんはこんなに大きく見えるんですね。
心細そうな鬼子さんもいいけど、頼れる背中の鬼子さんも好きだな。

そうそう、滝を通して女の姿がぼんやり見えるというなら、
「陰」じゃなくて「人影」の「影」では?

>>62-79 闇の邂逅
す、すごーい…なんという充実のプロローグ。
翁とお憎の関係とか、ヤイカガシが報酬を要求しないとか、細部に鮮やかな作りこみがなされてるのもにくいっ。
鬼の中の人はヌエさんですよね。彼(彼女)のどこか分裂した性格と能力は、たしかにこの出自なら納得かも。

>>90-98 「そういうことじゃなくてさ」
私も、鬼子さんの生真面目で天然に見えちゃうところが、長芋さんの鬼子さんを思い出しましたw
あと、心の鬼に取り憑かれたときの感覚や行動がリアルで、思いつかなかったけどありそうだなー!と。
形式も手伝ってか、文章がリズミカルで、とっても読みやすかったです。

>>103-104 心の鬼とは
鬼子は直接出てこない、こんな切り口もいいですね。あと健太かわいいぜ健太。
除夜の鐘で払う百八の煩悩も、心の鬼みたいなものなのかな。

108:創る名無しに見る名無し
11/08/09 21:39:17.70 CNX/RgHe
↓の通り絵師としてはこれは描かねば…!という事になってるんで、ちょっと本スレで宣伝してくる
ラフ程度ですがご容赦を。とりあえず"みずのて"から。

>>103
貴方も含め尋常じゃ無いクオリティになってる。

109: ◆XcAeHXuSbk
11/08/09 21:51:33.76 /ZxxhMPk
いやぁ、クオリティが高くなってきて活気が出てきていいですね。

110:創る名無しに見る名無し
11/08/09 23:13:56.44 iCgRGft/
編纂の際に忘れると困るので貼っとく。

64 名前:No.015 ◆BomVQKBWmRwO :2011/08/09(火) 21:52:18.31 ID:CNX/RgHe
現行SSスレ(【鬼子たんの】鬼子Lovers【二次創作です】)の"みずのて"より一枚
絵描きとして全作品に絵を付けたいくらい熱い事になってる。

URLリンク(dl6.getuploader.com)

戦闘シーンのが良かったかな…結構信頼関係無いと出来ない飛行法だと思う。
わんこには及ばないだろうけど、この絵だと風太郎もそこそこ力ありそうだ。まぁ天狗だしいいや。

111:創る名無しに見る名無し
11/08/10 14:12:33.03 LormDa4H
創作の原点ここにありって流れの様な気がす。
鬼子ワールドってこうでなくっちゃね。

112: ◆XcAeHXuSbk
11/08/10 15:04:05.60 kBcjavtV
く、レベルが高い所にしかも続き物を投下するのは気が引けるが
オレの心はシャボン玉で生産が幾らでも聞くので、投下させて頂きますね!

113:鬼はまず相談所へ!8  ◆XcAeHXuSbk
11/08/10 15:07:08.24 kBcjavtV
―人と共に歩みはするが、決して人と交わることはない。
それが掟であり、そしてそれこそが両者の均衡を崩さないための唯一の方法である。
しかし、それが崩れたのはいつ頃だろうか?
我らはじっと人を見てきた。いつしか人はそれに気付きはしたが、ずっと沈黙を保っていた。
だが、先に均衡を破ったのは”人”なのだ。我らはその問に答えただけである。
                                     名も無き古き鬼―

―我々は努力している。どうにかして人と共存できる道がないのかと。
一部の若い鬼達や、未だに過去の掟に縛られている老鬼達はこう言っている。「人が始めた戦争だ」
もちろん彼らが始めた戦争ではない。ましてや、この行動を戦争とは言えない。静かな侵略だ。
人の心に入り込み彼らを戦わせる。それがいかに愚かで、浅はかな考えなのかは彼らはまだ気付きはしない。
だから、我々は人と共に生きる道を選ぶ。彼らの中にも優しく接してくれるものがいるからだ。
いつの日か互いに姿を表し、共存している未来がある事を願うばかりである。
                                   とある城の元警備兵―

―いつからだろうか、人が怖いと思ったのは。
―いつからだろうか、人を恨むようになったのは。
―いつからだろうか、人を……手助けしようと思ったのは。

 心地のよい陽の匂いがする。 言葉にするのは難しいけれど、きっとその意味はわかるだろう。
だって、誰もが……始めて嗅いだ時にふと懐かしいと思ってしまう匂いなのだから。
 
 「ん……」
 朝、目が覚めるとまず目に入ってきたのは……鶏の臀部……
なにがどうなってるのか分からないが、とりあえず払いのけることにしよう。
それにしてもなんでこんなところで、しかも私の体の上で寝ているのだろうか。

 「せいっ!」
 「いだっ!?ってうえあああぁああぁぁ……」

 臀部のふさふさとした毛を握ると、力いっぱい縁側の外へ向けて投げた。
手元にはふさふさとして臀部の毛。尾毛というのが正しいのだろうか。
投げた鶏は木々の中へ。そして手元にはふさふさした尾毛。
この毛の使い道を十秒くらい考えてみたが、さっぱりと思い浮かばない。
とりあえず、その毛を縁側の際に添えてから話し声がする居間へと向かうことにした。

 「婆様!」
 「よく眠れたかい鬼子?」
 「はい!」

 「へぇ、その子が例の子か。ずいぶん大きくなったねぇ……」
……上座に座ってあぐらをかいている、狩衣を来た男が茶を飲みながらこちらを見て喋りかけてきた。

114:鬼はまず相談所へ!8  ◆XcAeHXuSbk
11/08/10 15:09:38.58 kBcjavtV
 「誰ですか!貴方は!」

まるで掴んだ棒の先を男に向けるように構える。
すると、先端部から紅葉が寄り集まったように薙刀が姿を現す。

 「やめなさい!」
 「でも婆様……」
 「この人はね」
 「いや、いいよ。私自身が自己紹介しよう。二回目のご対面だね、鬼子」
 「二回……目?」
 「そう、二回目。君を助けた時と今日だよ。私の名前は安倍晴明。邪険にしないでくれると嬉しいかな」

 そんな……私を助けたのは婆様じゃなく、この人?
ううん、違う。この人じゃない。だってハッキリと覚えてるもの。看病してくれていた婆様の姿が!

 「助けたってアンタ……結界の中にこの子を運んできただけじゃないか」
 「なっ!?仕方ないだろう、彼女を追ってきた陰陽師を返さなくちゃならなかったんだから」
 「また、アンタの所の警備隊だろ?まったく、厄介だねぇ……」
 「そういうなよ。アレでも居なくちゃ都を守れないんだから。それと、話の続きだが……」
 「明日、都に行かなくちゃ駄目なんでしょ?さっき聞いたよ」

 え?婆様がこの場所を……出る……?
どうして?婆様をここに閉じ込めたのは人間なのに!そう思うと、誰が最初に助けたのかという疑問は
どうでも良くなり、ザワザワと心の奥から黒い、ドロっとしたものが混み上がってくるのが理解できた。
だけど、感触はすぐに失せ私は質問を投げかけることにした。 

 「婆様、一体どういうことなんですか?都に行くって……」
 「それはね鬼子」
 「いや、それも私が話そう」

 男が、こちらを向いて座りなおし真剣な顔をして何かを言おうと視線を泳がしている。
先ほどまでの少しふざけているような顔ではない。
 
 「……時が来た、とでも言えばいいのだろうか。彼女に尋問の命令が出た」
 「そんな……どうして!?」
 「都に、鬼が出た。心から入り込み、疫病をもたらす鬼だ。手引きしたのが、彼女ということになっている」
 「婆様は一度も外には……!」
 「気付いたかい?君が外に出たからだよ」

 その後、晴明と名乗る男性から全ての事を聞いた。
私が村人から逃げている途中、緑色をした武者が後をつけていたこと。
私の姿が婆様ととても似ていたということ。そして、私が都に向けて無意識に走っていたということ。
これまで、どういう立場で婆様が生活していたのか全て話してくれた。
そして、その間……婆様は一言も喋らず、うつむいたままだった……。
私は……何も知らなかった。
自分が何処から来て、どういう目的で育てられていたのかということさえも。


115: ◆XcAeHXuSbk
11/08/10 15:24:57.17 kBcjavtV
いやぁ、スレのレベルが上がって上がってどうすればいいのかわからなくなってきましたよ!
だけど諦めない!ということで今回はコレにて終わりです。
以下、感想。

>>57-60
もう、滝壺のある所にイケナイ。
夏にぴったりな話ですね。ていうか水引鬼こえええよ!
この鬼子さんも、スタイリッシュアクションとかかっこいい動きしてくれそうで良いです。
次回作が楽しみ。

>>62-79
いいですねぇ……いいですねぇ!!
分量は多いけど、続きがドンドン気になる仕様!そして擬音の描き方。
これは是非とも、今後の活躍に期待でっす!

>>90-98
天然!この一言に限ります。
そして、鬼の描き方が絶妙。さすがは歌麻呂さんといったところでしょうか。
田中さんにはこれから度重なる不運が待ってるでしょうねww

>>103-104
間接的に鬼子が良い存在として描かれているのがいいですね。
鬼の描き方も、誰もが一度は経験し通ったであろう気持ちを使っている所が
にくいですねぇww

116:創る名無しに見る名無し
11/08/10 17:44:52.47 n/ZRvbcb
運良くレベルを下げてた人達だけ抜けて、意識や能力の高い人のみが残ったからね。正直この点は荒らしに感謝だ。
後で加筆修正に戻るとか言ってたが、この状況を維持するためにも彼の仕事が順調に忙しくなり創作へは戻らない事を祈ろう。

117:創る名無しに見る名無し
11/08/10 19:40:29.65 89bSLVvg
短編小説
『心の鬼とは』~ある少年の話し~

 「学校に行くのが嫌だ」

 俺の心はそう叫んでいた。
朝、自分で布団をたたむ。そして目障りな奴等から離れ、無言で朝食を取る。
独りで着替えて、ボロボロになったランドセルを肩に担ぐ。
【ギギー・・】
玄関の古びたドアを開ける度にこの音がする。嫌な音だ。
そして、児童養護施設を出て、寂しく学校に向かう。
これが最近の俺の日常だ。

「健太君。給食袋わすれてるよ」

後ろから走ってきた施設のおばさんが、怖々その袋を俺に渡そうとしている。
俺は、施設のおばさんを睨みつけ、手をはたく様に給食袋を奪い取った。
気に入らない表情をしてやがる。施設のババア共は皆同じ顔を俺に向ける。
5年生になった俺は・・・・・独りぼっちになっていた。

3年ほど前、俺の両親は交通事故で死んだ。
唯一身寄りのある人間は、田舎に住むじっちゃんだけだ。
しかし、そのじっちゃんも俺の両親、息子夫婦を亡くしたショックで、
身体を悪くし入院生活をしている。
学校に着いた俺は、ランドセルを置いて直ぐにベランダに出る。
したい事が何も無いし、騒がしいクラスの奴等の顔も見たくないからだ。

「お、ボロボロになった服を着てる健太がいるぜ。あいつ臭いから皆近づくなよ」

同じクラスのお調子者が、俺にそう声を投げつけて来た。
俺は・・・・・
無意識にそいつを殴っていた。鼻から、口から血を流していたが、
それでも俺は殴り続けた。
担任の先生が飛んで来て、俺を止めようとしている。理由も聞かずに・・。
最近の先生は、生徒に手を上げない弱虫ばかりだ。
その代わり、俺を見下す目をいつもしている。
俺は先生の手を振り払い、その担任を殴りつけた。

 正気に戻った俺は、警察署にいた。
児童養護施設で働くおばさんが、俺を引き取りに来ている。
そのおばさんが俺に向かって何か言ってるが、何も聞こえない。
手で耳をふさいでる訳では無いが、何も聞こえないのだ。
そう、嫌な事があるといつも何も聞こえなくなる。

「健太君。お爺さんが危ないんだって。一緒に病院へ行きましょ」

そんな言葉が俺の心に突き刺さった。
俺は、おばさんからお金をもらい、独りで病院へ向かった。
3年ほど前までは良く行っていたが、最近は半年ほどじっちゃんの顔を見ていない。
電車を何度か乗り継ぎ、14時頃、じっちゃんが入院している田舎の病院に着いた。
じっちゃんが居る個室の前で、顔や手に付いた友達の血を拭った。
会うのは半年ぶり。何故か直ぐ部屋には入れない。入ってはいけない様な気さえした。

118:創る名無しに見る名無し
11/08/10 19:40:57.15 aEOGqjmi
>>116
そんなに粘着しなくとも、作品自体は一切受け入れられてないから安心しろ。
古人攻撃繰り返し続けてるんじゃねーよ。

119:創る名無しに見る名無し
11/08/10 19:41:23.65 89bSLVvg
病室のドアが勝手に開いた。中に居た病院の先生が、ドアを開けたのだ。
俺が突然の事でビックリしていると、その先生が俺に向かって言った。

「健太君、来てたんだね。ドアの外で気配がしたから」

俺は、その先生に背中をそっと押され、じっちゃんが寝ている側まで連れて行かれた。
俺の目に飛び込んで来たじっちゃんは・・・・・半年前のじっちゃんでは無かった。

「いつもいつも自慢してたよ、健太君の事。思いやりがあって優しいし、
 人一倍力持ちな君は、虐められてる友達を助けたりってね。
 お爺さんはもう先が短いから、何か言葉をかけてあげて」

そう言って、先生は病室を出て行った。
俺は・・・・・手を繋ぎ、元気に遊んでいた時の事を思い出しながら、ジッとじっちゃんを見つめていた。
病室に入ってから1時間くらい経っただろうか。
じっちゃんが、弱々しく目を明けた。

「じ・・・じっちゃん・・・」

俺は、半年振りに会ったじっちゃんに、それしか言えなかった。
じっちゃんは何か言いたげに、口を動かしていたが、言葉は出てこなかった。
うつむいたままの俺の頭を、じっちゃんが【ポン】と叩いた。
言葉を喋れない弱々しいじっちゃんが、震える手で軽く叩いたのだ。
その瞬間、ぼくが心の奥底に溜め込んでいた物が、一気に涙となり溢れ出てきた。
ぼくは、そのまま病室で泣き続けた。

 じっちゃんが亡くなった日の夕方、ぼくは久しぶりにとある神社に来ていた。
良く知っている神社。その前で手を合わせながら、その場にうずくまりながら、独り泣いていた。

「萌え散れ」

何処からかそんな言葉が聞こえた様な気がした。
ぼくは顔を上げて回りを見渡したが、誰もいない。気のせいだったんだろう。
そう思い、また顔を下に向けると、淡く光る紅色のもみじが沢山落ちていた。
とても綺麗なもみじだ。ぼくは、その綺麗なもみじを一輪手に採った。
すると、じっちゃんが死ぬ前に口を動かしていたが、言葉にならなかった事が
心の中に【スゥーーー】っと入ってきた。

「健太、やんちゃしとるそうじゃのう。どれ、ワシが殴ったるわぃ。
 どうじゃ?痛かろうて。手という物はなぁ友達と遊ぶ為にあるんじゃ。
 今叩いたワシの手はな、本当は健太と手を繋ぐ為にあるんじゃぞ」

解っていた。だからぼくは、病室で涙が溢れ出たんだ。
今までで一番痛かった。じっちゃんが叩いたのは、頭では無く心を叩いてたんだ。
そして、この神社に来たのも偶然ではない。
じっちゃんが背中を押して、連れて来てくれたんだ。

 通夜や、葬式が終り、またいつも通り児童養護施設と学校との行き帰りが始まった。
身寄りの無い今のぼくの周りには、いつもと違い、沢山の友達がいる。

おわり

120:創る名無しに見る名無し
11/08/10 22:48:20.53 ffSMKlXu
>>117>>119
このやろう。泣かせやがって。この、泣かせやがって
 健太ぁあーー!(つдT)
でもなんか、ちょっと元気でる話だったな・・・

121:創る名無しに見る名無し
11/08/10 23:43:40.91 DZkJZwSb
>>119
レスするつもりは無かったけど
どうしてくれるんだよ。思わず泣いちゃったじゃねーか。
健太の>>103とのギャップが悲しすぎなんだよ。
環境が悪いほうに激変すると誰でも心の鬼が現れるって
悲しすぎだよ。


122:創る名無しに見る名無し
11/08/11 00:20:51.08 d4D2jM4+
>>117>>119
ばかやろ、泣いちまったぜ。健太!
ひそかに活躍してる鬼子の健気さにも涙腺が…

123:創る名無しに見る名無し
11/08/11 00:33:45.26 wDxvg3t7
おぉう、闇の邂逅、思ったより感想が来ててビックリ。あれだけ長いのを読んでくださった方みなさん。
そのキッカケになる転載をして下さった方、本当にありがとうございました。一人ひとりにお礼レス付けたい所ですが、
今回はキャラの元ネタばらしをば。主要キャラは説明不要ですが、今回取り上げたのは・・・
>>107
>鬼の中の人はヌエさんですよね
うぉ、バレテーラ。敢えて名前ださなかったのに・・・今回、転載許可いただいたのを貼りはり。
ヌエはロダにアリマシタ。
URLリンク(dl7.getuploader.com)
なんか、色々変身絵とか見た気がするけど、見つからなかったデス。あと、あの話に登場した動物変身は
黒金蟲に斬り殺されたので再変身できないという作中設定。

トニカク娘は、兎に角というそうです。
URLリンク(p.tl)

カイコは・・・・あれ?見かけたはずですが、見つからないや。どこでみかけたんだっけな?
そのうち創作者さんが上げてくれるに違いない(プレッシャーw

ただ、話を作るにあたって、色々と設定を捏造してますので、創作者さんのキャラと大幅に違う場合が多々あります。
ご了承下さい。それでは失礼します~

124:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/11 19:27:50.07 J9XJbor3
思った以上に感想が膨らんでしまいました。
もっとまとめる力が欲しい。

>>113-114 鬼はまず相談所へ!
恥ずかしながら未読でしたので、昨日今日で一話から読みました。
正直、今まで読んでなかったことを悔いておりますw
こんな面白い話が書かれていたとは! 特に一話、二話とこの八話が面白い!
何が面白いって、大人な落ち着きのある鳴木さんの語り口調と、
夜烏賊と日輪の語り合いにクスっとくるんですよ。
海外コメディ風のギャグと、地の文が自分に合ってました。
これからの展開に期待です!

>>117 >>119 『心の鬼とは』~ある少年の話し~
これが……成長ってやつなんですねえ。
  「健太、やんちゃしとるそうじゃのう。どれ、ワシが殴ったるわぃ。
   どうじゃ?痛かろうて。手という物はなぁ友達と遊ぶ為にあるんじゃ。
   今叩いたワシの手はな、本当は健太と手を繋ぐ為にあるんじゃぞ」
言葉が沁みるっていうのは、きっとこういうときに使うんでしょうね。
たった四スレという短い物語なのにすっかり萌え散ってしまいました……。

125:創る名無しに見る名無し
11/08/12 10:57:50.40 URlpfEyI
>>118
そういえばそうだったな。早く綿抜鬼も消えれば良いのに。
せっかく排除出来かけてたグロ属性戻すとか、身勝手な基礎提案抜きでも存在そのものが害悪だわ。

126:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:37:57.77 JCjr/UVA
三文あらすじ。
「田中匠、心の鬼ヒワイドリに憑かれる」
「日本鬼子、見事田中を助け、仲良くなる」
「鬼子のおウチは祠の中……だと?」

この作品は一人称ですが、視点変更というタブーを犯しております。
読みにくいようでしたら今後改善して行こうかなと思います。

TINAMI URLリンク(www.tinami.com)
pixiv URLリンク(www.pixiv.net)

序 >>80-83
一話 >>89-99

127:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:38:34.74 JCjr/UVA
【編纂】日本鬼子さん一「そういうことじゃなくてさ」
   九の一

 この日、アタシは悩んでいた。周囲からすればたいしたことのない話なんだろうけど、
自分にとっては今後の人生の方向を決定づける重大な選択を強いられているんだと思っている。

 我をとるか、乳をとるか―。

 うん、正直冷静に語ってしまうと実に下らない。だから少し強引に事のあらましを話しておきたい。
 あれは朝目が覚めたそのときだった。

「……乳について語りてえ」

 開口一番、最悪だ。女性の部位は分け隔てなく愛する……というか、木を見て森を見ないようなことがないように
心がけていたはずなのに、今朝のアタシときたらこれだ。こんなのでは世間から失笑を買われかねない。
 とにかく、突如として胸語りの衝動にかられたアタシは貴重な高校生の夏休みを利用し、この猛暑の中、
本屋―主に同人誌を取り扱ってる店―へと赴いた。地元にはないので三十分電車に揺られて近くの大都市に着く。
このときも、目に行くのは女性の胸ばかりだった。確かに日頃落書きみたいなイラストを描いてるためか、
きれいな人がいたら参考がてらに目が行ってしまうのは認めよう。
でもこんなエロオヤジみたいな視線で人を見たことなんて一度もなかった。

 おかしい。

 何かがおかしい。

 でもその原因がわからない。昨晩兄貴の作った三時のおやつっぽい夕食にいちゃもんをつけたからだろうか。
それとも姉貴とのコスプレ談義が白熱を極め、四時間も盛り上がってしまったからだろうか。
 いや、そのあとで見た夢が原因かもしれない。
紅の和服に長い柄の武器を持ったコスプレ少女が悪を蹴散らす、そんな夢だったんだけど。

 ……どれも理に適っていない。そんなささやかな出来事のせいで価値観を変えられてたまるか。
 しかし現に価値観がすっかり変わってしまった自分に戸惑っている。同人誌を前にして、手先が震えているのが分かる。
どうしても胸に力を注いでいるクリエイターの作品に手を伸ばしてしまい、いつものように内容を吟味することはなかった。
 そりゃ、目の保養になるんだからいいかもしれないさ。
でも、もしそれだけの理由で享用してしまったら今までのスタンスはどうなる?
クオリティを二の次にしてまで、無秩序の奈落へ突き進む必要があるというのか?
 語弊があるといけないので、蛇足に一つ言いたい。乳漫画だとしても、乳に愛がこめられている作品ならいい。
そういう話は、自然と話もすっきりしていて、読了したときの気分は実に爽快だ。
アタシの言いたい「無秩序の奈落」ってのは胸をまるで道具のように使い、
それで読者を釣ろうとしているような、そんな卑怯な作品のことを言っている。

 まあ、結局アタシは後者の誘惑に乗って軍資金を使い果たしてしまったから、偉そうなことは言えないんだけど。
 そんなこんなで、いくつもため息をもらしながら地元に戻ってきた次第だ。

128:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:40:06.14 JCjr/UVA
↑投稿ミス。申し訳ないです……。以下二話本編です。

【編纂】日本鬼子さん二「せーの、で行こうか」
   十二の一

「日本さん。アタシは別に疑いたいわけじゃないんだ」
「はい」
「祠が異次元への入口で、日本さんがアタシたちと違う世界に住んでるってのも、
ギリギリアウトな展開だけど、まあ許容範囲をしようか」
「はい」
 さも当然だ、と言った口調に調子が狂う。

 現在アタシたちは祖霊社の賽銭箱の向こう側、社の奥にある祠まで入ってしまっていた。
床や壁なんてない祖霊社は、腰下ほどの背丈の木柵を超えてしまえば、楽に祠まで行けてしまうのだ。
 いやいや、さすがにこれはバチ当りすぎだろ、と思った。
でも既にバチ当りな行い(灯篭に腰掛ける、境内で卑猥な同人誌を読む等々)をしているので、なんかもう自暴自棄になっていた。

 まあここまでのことを「許容範囲」としていい。問題はこれだ。
「本当に、さっきの合言葉、言わなくちゃいけないの」
「はい」

 合言葉。
 これがなんというか、おぞましくてたまらない。

「私たちは―鬼も神さまも、人々の感情が命の源なんです。合言葉は感謝の気持ちを表してるんですよ」
 人間の言い分を言いたくても屈託のない笑顔を見せられたら閉口するしかない。

「か、神さまにしては、えらく腰の低い発想だね……」
 神さまが「感謝の気持ちを表す」なんて想像もつかない。
「時代が時代ですから」
 時代、ねえ。

 祠を開ける。中には石が置かれていた。紅葉の模様が彫られていて、
その表面は修学旅行のとき訪れた北野天満宮の臥牛像みたいに黒光りしていた。

「なら、そうだね、せーの、で行こうか」
 意識的に明るい声を出した。鬼子さんが頷く。
 石に手を触れ、二人で息を合わせた。

 せーのっ、

 ―ごちそうさまでした!

 いやいやいやいや、やっぱおかしいでしょ! 雰囲気ブレイキングだよ! 神さまが人間喰ってる図しか想像できないよ!
 とまくしたてる間もなく、天と地が逆さまになる錯覚に陥った。
 上の方へと引き上げられるような感覚。方向感覚を失い、激しい酔いに襲われる。もうこうなると何も考えられない。
「足が地につかない」って慣用句を発明した人もきっと同じ経験をしたんだろう。
 まあ、そんなうまいことを考える暇もなく、そろそろ胃の中のモノがこんにちはしそうになる寸前、上昇は終了した。

 すっと地面が現れてきて、不意を打たれたアタシたちは地べたに転げ落ちた。
「しょ、食後一時間はしないほうがいいね……」
「そ、そうですね。私も慣れてなくて」
 日本さんの顔が青い。アタシも同じくらい青いと思う。
同人誌ついでに道草を食ってたらアウトだった。よくぞ軍資金を全部使ったぞ過去のアタシ。
 って、お金を使い果たしたのはアタシじゃなくて、アタシに憑いてた心の鬼―あの変態ニワトリじゃないか。
 そう思うと、感謝したら負けな気がした。

129:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:40:31.85 JCjr/UVA
   十二の二

「田中さん、見て下さい」
 明るく振舞う日本さんの声に、ゆっくり顔を上げてみた。
 紅葉の林の中だった。全ての葉が紅に染まっている。
 まるで夏ではない。
 山の奥みたいだけど、湿気は不思議と感じられず、木々をすり抜ける肌寒いそよ風が日本さんの黒い髪を揺らした。
この場所だと日本さんのきれいな髪がより強調される。

「私の、おうちです!」
 幹と幹の隙間から黄金色の茅葺き屋根が見えた。それを見た途端、吐き気なんてものはすっかり治ってしまった。

 懐かしい、と思った。祖霊社にも負けない古めかしい姿をしているけど、
でも庭に出された竿竹や井戸の前に置かれたタライみたいな生活感が、どこかあたたかい。
 こんな家、小学校の「せいかつ」の教科書でしか見たことないのに、どうして故郷に帰ってきたような気分にさせるんだろう。

 日本さんの背を追いかける。小屋の周りは拓かれていて、白みがかった下草が切り揃えていた。
小屋の脇には畑があって、大根が植わっている。
 南からの日射しがやわらかい。
 ここは秋なんだ。なんで季節が違うのかは分からないけど、とにかく、こっちと向こうは別々の世界だってことだけは分かった。

 でもこの世界を満喫するのはまだ早い。
 それは、この世界へ渡る少し前に遡る。

「会ってもらいたい方がいるんです」
 数刻前、祖霊社の前で日本さんはこう切り出した。
「般にゃーさんと言って、神さまに御使いされてる方なんですけど」
「はんにゃー?」
 般若のいかめしい顔を思い浮かべた。
「はい。千年以上生きてらしてる猫又さんです」
 般若顔の老猫が脳内で漂う。
「とても気まぐれなんですが、きれいな大人の女性の姿に化けられる、素晴らしい方なんですよ」
 老猫がOL風の女性に変身する。
 もちろん、顔は般若顔だ。

「……行きたくない」
「え?」
「だって怖いもん。般にゃーさん絶対怖い」
「こ、怖くないですよ! とっても優しい方で、尊敬できます!」

 とっても優しい顔をする妖怪般若女をイメージする。
「余計怖いわ!」
「えっ、そんな……。で、でもお願いします! 一生のお願いです!」
「小学生か!」
「じゃ、じゃあ石鹸付けます! あ、ティッシュもいかがですか?」
「新聞の勧誘か!」

 ……と、懇願に懇願を重ねられた結果、仕方なしに受け入れ、今に至る。

130:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:41:15.04 JCjr/UVA
   十二の三

 想像してたような毒々しい世界ではなくて良かったけども、まだ完全に安心しきったわけではない。

「ねねさま!」
 小屋からはつらつとした声がした。

 恐怖の般若顔がよぎり、反射的に体を縮こめた。
 ……小さな女の子が飛び出してきた。桜色の浴衣から花びらを散らしながらこちらに向かってくる。
この子の周りだけ春がやってきたみたいだ。桜着の女の子もまた日本さんと同じように角を生やしている。
まだ生えたてなのか、日本さんのような厳つさは感じられず、むしろ愛着が湧く。

 女の子はちっこい腕でギュッと日本さんに飛びついた。
「えと、この人が……般にゃーさん、なの?」
「まさか、違いますよ」
 日本さんはほほえんで桜の小鬼の髪を撫でた。そのたびにアホ毛がぴょんぴょん跳ねる。

「この子は小日本です。みんなからは『こに』とか『こにぽん』って呼ばれています」
「こにぽんだよ!」
 女の子はツインテールの髪をぴょこんと揺らし、お辞儀をした。
それからの満開の笑顔に、アタシは震える何かを感じ、お持ち帰りしたくなる衝動に駆られた。

「アタシ、田中匠。よろしくね、こにぽん」
「うん! よろしくー」
 裾から桜を舞い散らしながらぴょこんと跳ねる。目を細め、口をやんわりを開けた屈託のない笑顔―輝かしいにぱにぱスマイルに射抜かれた。
 だめだ、アタシロリコンになる。

 この笑顔を見たら大きなお友達がたくさんできてしまう。
危険すぎる。この笑顔は危険すぎる。軽く人を殺せる。歩く殺人兵器だ。見たら悶える、触れたら死亡。
 でも、でも。
 もう一度だけ、こにぽんのあどけない様相を顔だちを見る。
 初対面のアタシに対する無防備な笑顔。大人の嫌なところなんてきっと何もかも全部知らない。天真爛漫、純粋無垢。

 もうダメ、抱きしめる!
 そのときだった。

「小日本に触れるな、人間!」

 小屋からの怒鳴り声に、アタシは硬直した。次こそ般にゃーか? いやでも声が妙に男の子っぽい。
 振り向くと、ズカズカと歩いてくる袴の少年がいた。
いや、頭に茶色い獣耳を付けているから、人型の犬か狼か、もしくはコスプレイヤーだ。
とにかく八重歯を剥き出しにした少年が明らかな敵意、もとい殺意を持って向かってきている。
 決意に満ちた眼差しは確実にアタシを八つ裂きにする気満々だった。

 これ、ちょっとヤバいんじゃない?

131:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:41:38.60 JCjr/UVA
   十二の四

 でも、その幼い顔のせいで孤狼の威嚇がただ何かをガマンしているようにしか見えない。
本気の噛みつきと見せかけて甘噛みでもしに来るんじゃないかと思ったのがいけなかった。

「か、かわいい……」
 口は正直だった。

「な、なな、何言ってんだよ!」
 犬っころが明らかな動揺を見せた。
「こ、小日本に触れでもしたら、すぐにでも噛みつこうとしてんだぞ!」
「うん、その反応がかわいいんだよ」
「ばっ……!」
 ダメだ、反応が理想すぎる。
 このままじゃ心の鬼がいなくてもショタコンになってしまう!

 般にゃーの存在なんてどうでもいい。
 こにぽんやらこの犬っこやら、この世界最高じゃないか!

「わんこ、田中さんは警戒しなくても大丈夫よ」
 わんこくんは不服そうだったけど、日本さんの言葉に従い、しぶしぶ威嚇をやめた。
「紹介しますね、この方は人間の田中匠さん」
「人間の紹介なんていらねえよ」
 この少年くんは人間嫌いらしい。なかなか面白そうじゃないか。
「で、こっちが守神見習いのわんこです」
「み、見習い言うな!」
「なまえはまだない、だよ!」
「おいこら、ウソ吐くな小日本! 俺の名前はな―」
「と、こんなふうに、少々生意気なところもありますけど、宜しくお願いします」
「鬼子! ムシすんなっての! つか、今のわざとだろ!」
 名前は結局知らずじまいだけど、特に問題はなさそうだ。

 とりあえずこの元気坊主は守神としては見習いだけど、いじられにおいては一級の神である、ということが分かった。

「よし、じゃあ友情の証に紅葉饅頭、買ってきて」
 郷に入れば郷に従え。人間が神をパシっていいのか分からないけど、多分慈悲深い神さまなら許してくれるだろう。
「はあ? ワケわかんねーよ! 自分で買い行け!」
 懸命に唸ってる姿が逆にかわいい。本人が一丁前と思ってるから余計にそう感じる。
「あ、そういえば私、ようかんが食べたかったんです」
 ふと思い出したように日本さんが口を挟んできた。ファインプレーだとしか思えない。
「こにはおだんご!」
 こにぽんが元気よく手を上げた。
「う、く……。チ、チクショー! あとで絶対金払えよな!」
 絶対だかんな! と捨て台詞を残し、半泣きのまま駆け去ってしまった。

 うん、奴はいじられ神であり、パシられ神だ。これから大いに崇めたてまつってあげよう。

132:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:42:13.46 JCjr/UVA
   十二の五

「あ、こにぽん、般にゃーは?」
 忘れてていいものを。条件反射で周囲を見渡してしまう。
般若面を探すも、日本さんの頭に乗っかる般若しかなかった。あれはもしやアタシたちを監視してるんじゃなかろうか?

「はんにゃーはね、さっきどっかいっちゃったよ」
 こにぽんが恐怖解消の魔法をかけてくれた。
 ああ、もうこにぽんは鬼なんかじゃない。天使だよ。

「ごめんなさい。お出かけ中みたいで……」
 アタシの安堵のため息を何かと勘違いしたのか、日本さんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいよ。またいるときにでも呼んでくれればさ」
 自分の顔がニヤけてる自覚はある。でも直そうとしたら多分余計に顔が歪むからあえてこの笑顔に似合う台詞をついてしまった。

「あの、お茶出します。わんこが帰ってきたら、一緒にお菓子を頂きましょう」
 般にゃーという未だ見ぬ恐怖の存在がいないのであれば、ここは楽園同様の世界だ。
静かだし、涼しいし。それに空気もきれいだし、紅葉もきれいだ。

「アタシ水汲んでくるよ」
「そんな、私がやりますから、上がっててください」
「いいっていいって。一回井戸汲みやりたかったんだよ」
 彼女の制止を振り切る。この辺りから離れないでくださいね、と背中から忠告された。
残念ながらアタシに迷子属性は備わっていないので林の方へふらふら行ったりしないし、
この余裕が何かのフラグであるわけでもない。

 現代文明の魔窟で生まれ育ったあたしにとって、水汲みなんて初めての経験だ。
この井戸は、となりのトトロでメイとさつきが汲んでいたポンプ式の井戸はなく、
ただ滑車に吊るされた釣瓶を投入して引き上げる質素なものだった。
 縄の付いた桶を井筒に投じる。ぼちゃり、という音が反響して耳に届いた。
 縄を引くと、思った以上の重みがかかり、腕が持っていかれる。これを上まであげなくちゃいけないのか。

 蛇口ってのはすごいよ。ありゃ魔法具だ。その代わり、井戸から汲みあげた水ってのは重みの分だけありがたみがあるんだろう。
この水で淹れたお茶は、多分どんなお茶よりもおいしいに決まってるさ。
「最後の、ひと踏ん張りだ」
 気合を入れ、縄に全体重を乗せると、ついに釣瓶が姿を現した。
「やった! 合いたかった、会いたかったぞ!」

「へぇ、嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 目と目が合う。

 井戸水に浸かった、謎の生物と。

133:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:42:51.72 JCjr/UVA
   十二の六

 桶の中のそれは魚の姿をしていた。しかし魚にしてはあまりにもアンバランスな顔かたちで、しかも手足が生えている。
某落ちゲーのすけとうだらの青魚版をリアル描写したような姿をしている。
手は柊の葉っぱを模しているのか、尖った指先と面積のある水かきを持っていた。
 いや、ここまででも気色悪いが、問題はその生臭さにある。
真夏の炎天下、浜に打ち上げられたイワシとサンマの腐敗臭を十倍に濃縮させたものよりも強烈だと断言できる臭さ。
某落ちゲーのゾンビさんだって苦笑いモンだ。

「ど、どちらさまでしょう?」
 待て、慌てちゃダメだ。こっちの世界にしかいない希少種だったら丁重にもてなさなくちゃいけないと思うんだ。

「パンツ、よこしてくれるのかい?」
 気色悪い魚に扮した変態を桶ごと地面に叩きつけた。
「丁重にもてなさくちゃとか少しでも考えたアタシがバカだったよ!」
 何が希少種だ。こんなのすぐにでも根絶やしにすべきだ。
「ぼくのどこが気に食わないのさ」
「なんかもう……色々全部だよ!」
 鼻息が荒いとか表面がぬるぬるとかもあるけど、井戸にひそんでいたこと自体が最悪最低だ。
 せっかく水を汲み上げたささやかな達成感を噛みしめようと思ってたのに、それだってぶち壊してくれた。
「色々じゃあ救いようがないね。というわけで、生のパンツを―」
 桶で思いっきりそれを殴った。そりゃもう、一発でばたんきゅうさせる程度の力量で。
「それ以上言ったらぶん殴るよ?」
「てて……もう過去のお話になってる気がするんだけど」

 勘違いしないでもらいたい。アタシは基本温和な性格だ、と思ってる。
この前怒ったのは半年前、姉が勝手に制服を着て遊んでたときだ。
 それがこのザマである。この変態青魚は「生理的に受け付けない」という最悪のカテゴリーに分類するしかないようだ。

「あ! ヤイカちゃんいじめちゃだめ!」
 無性にもう一発桶を入れようかと思ったそのとき、小屋からこにぽんがやってきた。
「こにさん……」
 脚の生えた魚が助けを乞うようにこにぽんに近寄る。わんこさんがいたら即刻噛み砕かれる事態だよ。

「ヤイカガシはね、神サマなんだよ!」
 こにぽんはアタシを戒めるように言った。
「わるい鬼をよせつけない、すっごい神サマなの!」
「それ、ホント?」
 こにぽんは頷いた。どうみても「これ」はヒワイドリよりもよっぽどタチの悪いと思うんだけど。
「当り前さ」
 ヤイカガシが自慢げにぬるついた胸を突きだした。奴が動くと臭いも動く。思わず鼻をつまんでしまった。

「君たちの世界でも、節分にイワシの頭を戸口に差すだろう? それはぼくを祀ることで邪気から家を守れるからなんだよ」
 確かに、この臭いのする家に入ろうなんて気は起きないな。
「うん、アンタはすごい神さまなのかもしれない。でも、正直この水は飲みたくないね」
「なんで?」
 こにぽんは不思議そうに頭を傾げた。ツインテールとアホ毛がぴょこんと揺れる。
「ヤイカちゃんは、お水をけがしちゃう鬼から井戸を守ってくれてるんだよ?」
「マ、マジすか」
「それにね、お水ににおいはつかないし、ヤイカちゃんとなかよしになれたらね、においも気にならなくなるんだよ!」
 もしかしたら、この変態生足魚はアタシの想像を遥かに上回る高性能ゴッドなんじゃなかろうか?

 問題は、どうしても好きになれる気がしないってことだけだな。

134:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:46:16.10 JCjr/UVA
   十二の七

 仕切り直して水を汲み、難なくお茶は出来上がった。
こにぽんの言った通り、風味がヤイカガシの体臭によって害されることもなかった。

 アタシと日本さんとこにぽん、それからヤイカガシと、お茶の間で一服しながら雑談をした。
「この世界って、神さまと鬼さんみたいのしかいないの?」
 あのわんこですら神さまの端くれだって話を聞いて、そんなことを尋ねてみた。
「ちゃんと人間もいますよ。この山には住んでませんけど」
 山にも里山のような山と、霊山みたいな神の宿る山があるようで、後者のような山には人は踏み入らないらしい。
この山の持ち主が般にゃーだっていうから恐ろしい。

 人間がこっちにもいるってのは、アタシらの世界にも神さまがいるのと同じことなのだそうだ。
「ほとんどの神サマが信仰を受けられなくなってしまわれているので、風に漂う木の葉のような存在になられていると聞きました」
 と、日本さんは苦笑い混じりに言っていた。
まあアタシが神さまに敬語を使ってないトコからして、神さまなんて死んじゃってるも同然なんだろうなあ。

 季節のズレについては、日本さんもわからないらしい。
「ウラシマ効果……じゃないよね?」
「大丈夫ですよ。浦島太郎は男の子ですから」
 あの、そういう問題じゃないすよ日本さん。

 他にも、色々な話をした。

「鬼子ォ! 乳の話でもしようじゃないか!」
 この世界ではもう何年も鬼を萌え散らしてきたって話をしていたら、ヒワイドリが縁側から押し入ってきた。
 ヒワイドリのような、人間の根本的な部分にひそむ心の鬼はいたるところに棲まっている。
これからもお世話になりそうな気がしてならない。
「はいはい、一昨日しましょうね」
 日本さんはお茶を一口飲み、ヒワイドリの誘いを華麗にスルーしていた。
「ケッ、最近釣れねえなあ。最初ンころはあんなに恥じらってたのによ」
「今でも恥じらいますが、一本調子だから同じ逃げ道を行けばいいだけなんですよ」
「ほぅ」
 日本さん、敵に塩送ってどうすんのさ。

「よっし田中ァ! 代わりに乳の話をしようじゃないか」
「ア、アタシに振るなよ!」
 いくら都会育ちといっても、ナンパなんて一度もされたことがないから対処方法が分からない。
ナンパされる程度の顔で生まれたかったなと、初めて平凡な顔を後悔した。
「いいじゃあねえか。ちょっとだけ、な、ちょっとだけだからよ」
「それはちょっとじゃないって言ってるのと同じだよ!」

 そりゃ、軽い猥談程度ならアタシだってできる。
でもこいつは酔ったオヤジと同じテンションだから、もう何をされるのか分かったもんじゃない。

「ヒワちゃん、こににならいっぱい話していいよ!」
 アタシの動揺を知ってか知らずか、こにぽんの和やかな笑顔が小屋を包み込んだ。
「こ、こににゃあ、ちと早ェと思うぞ?」
「はやくないもん! こに、もうじゅうぶん、オトナ、だよ!」
 板の胸を張るこにぽんに猥談鶏は焦りを見せた。
どうも、この心の鬼は単なるケダモノではなく、礼をわきまえた紳士として見なしてもいいのかもしれない。

135:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 21:59:55.25 JCjr/UVA
   十二の八

 と、庭の辺りが騒がしくなる。
「おぉぉまぁぁえぇぇらあぁぁぁっ!」
 怒鳴り声がしたかと思うと、買い物を終えたわんこが部屋に乗りこんできた。
「鬼子と小日本の視界に入るなと、何遍言ったら分かるんだ!」
 元気な奴だ。肩で息をしながら鶏と魚に声を張り上げている。

「あ、わんわんおかえりー」
 一方、室内はほんのりな空気が漂っている。少年は構わずヤイカガシとヒワイドリに迫った。
「ヒワイもヤイカも、手ェ出してねえな?」
「オレはただお茶をご馳走になってただけで、別に乳についてベラベラ話して鬼子の困り顔を堪能してたりなんかしてねえぜ!」
「ぼくも、田中さんから助けてくれたこにさんの優しさに甘えてやわらかほっぺをすりすりなんかしてないから安心していいよ」
 うん、確かに二人とも言ってることに間違いはない。
 でもこれ、絶対わんこで遊んでるよね。

「あ、そうだ、アタシの紅葉饅頭」
 歯茎を見せて威嚇するわんこの横顔を見て、最重要事項を思い出した。
「こにのおだんご!」
「ようかん、ありましたか?」
 わんこが明らかに不愉快な眼差しを向けるも、膨らんだ麻袋をちゃぶ台の中央に置いた。
「小日本、お団子だ。ちゃんと三色、桃白緑だからな」
「わーっ! わんこ大好き!」
「鬼子のようかんは……悪い、栗味しかなかった。一応季節に合ってるとは思うが、許せ」
「あ、栗ようかん食べたかったんですよ」
 なんという雑用魂だろうか。些細な心掛けが行き渡っている。
「それから田中、お前の紅葉饅頭。……うめーと思う」
 わんこが笹包みを寄こした。
「え、あ、ありがとう」
 あれほど人間を嫌ってたのに、アタシの分まで買ってくれた。
 これがわんこ流の友好の証なのか? そう思うと、思わず顔がニヤけてしまう。

「オレのおっぱいプリンはどこだ?」
「縞パンは買ってきてないのかい?」
「お前らは自分で買え! そして二度と来んな!」
 わんこの気苦労を見ると、将来胃潰瘍を患いそうな気がしてならない。

「ほう、生意気言うようになったじゃないか」
 ヒワイドリがあからさまな挑発をする。
「鬼子の素っ裸見ただけで真っ赤になるひよっこ坊主が」
「そ、それとこれは話が違うだろ!」
 わんこの顔が赤くなる。かわいい奴め。一方日本さんは冷たい視線を二人に投げかけていた。
「わんこ、もしかして……見たの?」
「みみ、見てねえよ! 見てねえから!」
 わんこが口を開きかけたヒワイドリのくちばしを抑え、言い訳を放った。そういうお年頃なのだろう。
「ヒワイのそういうヨコシマな考えが嫌いなんだよ! 鬼子をそんな目で見るな!」
「ならば、拳で語るしかねえみてえだな」
 ヒワイドリが翼の手で宣戦の体をとった。
「やってやろうじゃねえか!」
 わんこ坊主も負けじと拳を胸の前に突きだした。

「戦うなら外でやって下さいね」
『応ッ!』
 日本さんの無関心な注意に、二人は息をぴったり重ねて返答し、ぱたぱたと庭に下りた。
仲がいいんだか悪いんだか。

136:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 22:12:17.65 JCjr/UVA
   十二の九

「というかさ、あのナリで戦えるの?」
 ヒワイドリを指差し、鬼子さんに訊いた。
わんこの身長は目測百五十センチ代である一方、ヒワイドリの体長は三十センチ程度だ。
仮に変態鶏が太極拳の師範代だとしても、五倍の体格差を覆すことは無理だと思う。

「ヒワイドリは人型に変身できるんです」
「人型ァ?」
 わんこと対峙するヒワイドリを見る。
「なに、擬人化したら五十代前半のバーコードオヤジにでもなるの?」
 というか、それしかイメージできない。
「いいえ。二十歳ほどの青年です」
「まさか、似合わないよ」

 日本さんのほうをちらと見て、それから庭に視線を戻すと、
ヒワイドリは成人の日特番で警察沙汰を起こす、常識をわきまえない赤髪白袴姿の新成人的な輩に成っていた。

「イケメンかよ!」
「どうだ、この姿で乳の話をしてやろうか?」
「されてたまるか!」
 イケメンはイケメンでも、残念なイケメンだ。こっちの方がまだ気が楽だからよかった。
心身ともにイケメンだったらの野郎はアタシの天敵だからね。

 わんこと擬人化ヒワイドリは二メートルの間を置き、睨み合っていた。動いた方が負けなんだ。
 今紅葉の枝が静かに燃えようとしていた。風に揺れる樹から一葉の火の粉が舞う。
火の粉は風の流れに身をまかせ、やがてわんことヒワイドリの間にふわりと落ちた。

 その瞬間だった。

「タァッ!」
 アタシがまばたきをしたその間に決闘は急展開を迎えた。わんこが先制攻撃を仕掛けたのだ。
 わんこの裏拳が繰り出される。アタシの目に負えないスピードだ。そしてそれは―、

 そのときには、ヒワイドリがわんこを背負い投げていた。

 犬っころは地べたに大の字になって転がっている。一方擬人化した心の鬼は興味なさげに敗者を見下していた。
「終わりか、青二才め」
「まだ終わってねえよ、変態」
 のらりとわんこが立ち上がる。細いなりの割にはタフみたいだ。

「……ヒワイドリは、ああやってわんこを鍛えてあげてるんですよ」
 湯呑を手にした日本さんが外を眺めながら呟いた。
 わんこの肘打ちをかわしたヒワイドリが首筋めがけてチョップを繰り出す。
それを腕で防ぎ、左の裏拳打ちで反撃する。
はたから見れば喧嘩にしか見えないけど、二人にはそれ以上に得るものがある戦いなのかもしれない。
 喋らなければ擬人化したヒワイドリの心もイケメンじゃないか。喋らなければ。

137:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 22:13:13.99 JCjr/UVA
   十二の十

「ねねさまぁ」
 こにぽんのふやけた声がした。わんこたちにばかり目がいっていて、彼女のことを忘れかけていた。
「あらあら、眠くなっちゃったの?」
「うー……」
 目を閉じまいとする努力は認めるが、頭を上下に揺らしている。
すっかり睡魔にやられてしまっているようだ。
「すみません、ちょっと寝かしてきますね」
 こにぽんを抱きかかえ、鬼子さんは立ち上がった。
この子はわんことヒワイドリのひと騒動にも動じずオネムになったのか。
寝る子は育つ……って、このことわざをこにぽんに使っていいんだっけ?
もっとちっこい子に使うイメージがある。
「ヤイカガシと仲良く待っててくださいね」
 そう言って鬼子さんは部屋を出ていってしまった。

「二人きり……。仲良くしようね」
「つか、アンタまだいたんだ」
「ゲヒッ、やだなあ」
 下品な笑い声だ。どこからその効果音を出しているんだろう。
贅肉のようなエラをヒクヒクさせ、人間のようにお茶を飲んでいる。
気持ち悪くてしょうがないし、においも強烈だからせっかくわんこが買ってくれた饅頭が台無しだ。

 そのわんこはと言うと、依然ヒワイドリと拳を交わしていた。
見た感じわんこは劣勢だけど、体力はまだまだ残っているようにみえる。
 小屋の中は気まずい空気が漂っていた。
ヤイカガシが頭部に付いている大きな目をきらきら輝かして話題を待ち望んでいる。
 ムシだ、ムシしよう。

「アンタはさ、どーして日本さんに魅かれたワケ?」
 意思とは裏っ返しに尋ねかけるアタシがいた。
原因はたぶんツッコミ気質のせいだと思う。何だかんだで見捨てられない性格なんだよなあ。

 というか、こんな質問一択問題じゃないか。
「やっぱ、パンツ目当て?」
 付け足すと、ヤイカガシはゲスゲスと気味悪い声で笑った。
「まあ今となっちゃあそうだけどさ」

 こいつ、女の敵だ。
 こいつ、女の敵だ。
 大事なことなので、二回でも三回でも言ってやろう。こいつ、女の敵だ。

「でもね」
 女の敵が続けた。
「鬼子さんに抱いた最初の気持ちは、憧れだったんだ」

 憧れ。
 なんか、どっかの誰かさんが抱いた日本さんへの第一印象と似ている。

138:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 22:14:19.16 JCjr/UVA
   十二の十一

「強くて、カッコよくてさ。ぼくなんて名ばかりの神だけど、とてもやさしく接してくれたんだ。
そのとき思ったんだよ。ぼくなんかじゃ一生かけても、何代かけても及びはしないってね」
 ヤイカガシはぽつりぽつりと呟いていた。
「でも、せめて彼女のように生きたい、生き様に近付きたい……そう思って、鬼子さんのお供になったんだ。
一緒に旅をしたりもしたよ。懐かしいなあ」
 アタシに言ってるんじゃなくて、自分に問いかけているようだった。

 懐かしい、と口にできるくらい、ヤイカガシと日本さんは長いこと一緒にいたのだろう。

「田中匠さん、と言ったね?」
「はい」
「君を見ていると、鬼子さんと初めて出会ったころを思い出すよ。あのときの新鮮な志を持ってたときをね。
ぼくには鬼子さんの隣に立つことはできなかったけど、きっと田中さんなら並んで歩けると思う」

 ヤイカガシが深々と頭を下げた。

「鬼子さんを愛する一人として、一緒にいてあげてください。宜しく頼みます」
「や、やだなあ。なに? パンツがないまま三分経つと禁断症状出ちゃうクチ?」
 ヤイカガシの奇行に、戸惑いを通り越してすらりと冗談が出てしまう。
「まあ、そんなとこだね」
 相変わらず拒絶反応を起こしてしまう笑い声を上げる。
 けど、部屋にはお茶のほのかな香りが漂っていた。

 鬼子さんの隣がどうしてアタシなんだろう……。

「さて」
 アタシの疑問を置いてけぼりにし、ヤイカガシは庭に降りた。
「わんこさんの相手でもしようかな」
 そうぼやくと、彼はたちまち姿を変え、百八十センチの身長を得た。
 見た目は二十代前半の美男子侍といったところだ。
深藍の羽織と薄藍の胴着、黒染めの馬乗袴を身に付けている。長髪を柊の髪留めで結っていた。
「す、すごい……」
 知らぬ間に立ちあがっている自分がいた。
「げへ、驚いて思わず立ち上がっちゃったときのパンツ、欲しいねえ」
「あげるか! アンタの株大暴落だよ!」
 爽やかすぎる美青年スマイルにツッコミをかましてやった。

「参戦するよ」
 腰に差された刀を抜き、ヤイカガシはそれをわんこに向けた。
「な、卑怯だぞ!」
「大丈夫、いつもみたく峰打ちでやるからさ」
「そーじゃねえよ! 二対一だろうが!」
「わん公、オメェ本番が全部一対一だと思ってんのか?」
 擬人化コンビに挟まれたわんこが唸りだした。
「チ、チクショー! 二人まとめてかかってきやがれ!」
 遠吠え空しく、案の定変態コンビに散々に叩きのめされている。
わんこのその真っ直ぐなトコ、嫌いじゃないよ……。

139:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/12 22:14:44.51 JCjr/UVA
   十二の十二

 ―そんなこんなで日本さんちの初訪問は終わった。
 楓の巨木に半分めり込んでいる紅葉石に触れると元の世界に戻れるらしい。
 合言葉は行きとは逆で『いただきます』だ。採用理由は『ごちそうさま』と同じなので省略する。
 省略したって私見は変わらない。
 うん、やっぱおかしいよ、この合言葉……。

   φ

 おかしい。

 何かがおかしい。
 何がおかしいって、そりゃあの田中って人間の行動やら無知っぷりやら、言動やら……あいつの全てがおかしい。
特に俺や鬼子に対する態度が人間の常識をぶっ壊してくれている。

 神を畏れていない。鬼をも恐れない。
 そんな人間見たことがなかった。
 しかし、その田中はもう紅葉の刻印がなされた大石の先にある世界へ行ってしまった。

「なあ、鬼子」
 あいつがこの世界に来てから、ずっと胸中で渦巻いていたものを問いかける。
「あいつにまだ何も言ってないだろ」
「何って、なにをですか?」

 また誤魔化した。
 鬼子は自分の過去の話になるとからくり人形のような反応をする。
いつものやわらかい日差しのような温かみを遮断し、白んだ紅葉のような雰囲気で接するんだ。

「こっちの人間が、鬼をどういう目で見てるかって―」
「田中さんには、関係のない話ですよ。この世界の人間とは、会わせませんから」
 即答だった。答えをあらかじめ準備しているってことは、それ相応の覚悟があるんだろう。
 でもそんな覚悟、いくら俺でも許せるわけがない。
「あのな、そんなのボロが出るに―」
「わんこ、いいですか?」
 また遮られた。こういうことになると鬼子は決まって頑固者になる。
「田中さんは、『向こうの世界の案内人』なんです。
向こうで戦いに巻き込まれることはあっても、こっちの世界で戦いに巻き込まれることはないんですよ?」
「どうして……そんな冷めた嘘つくんだよ」
「嘘じゃありません」

 違う。
 そんなの鬼子の本心じゃない。こんな枯れ紅葉みたいな鬼子が言うことが本当なわけがない。
 ならどうしてそんなことを言うんだ。そんなこと……。

「鬼子……まさかお前、ただ単に自分の境遇を知られたくないからじゃねえよな?」

 一瞬、ほんの一瞬だけだったが、鬼子と視線が合った。
「言ったはずです。田中さんには関係のない話だと」
 誤魔化した。自分の過去を知られたくないから田中にそれを隠そうとしている。確かにこっちの方が理に適っているようだ。

 でも、どうして?
 どうして嘘まで吐いて、田中って人間を擁護するんだよ。

 分からねえ。分からねえよ、鬼子……。

140:創る名無しに見る名無し
11/08/13 12:00:58.42 94mRkIQ5
>>125
しかもコイツがゲーム制作を引き継ぎも無しに、途中で投げ出して逃走したのが今回間に合わなかった最大の理由だら?
なんでそんなクズに甘い対応したり擁護する奴がおるん?もう二度と戻れない様にするのが当然でしょう。
あんな駄作ではなく、まともな長編作品を投下出来る人が既に来られているんだし、アレの残した汚れは一切不要だよね。

141:朝霧 ◆QcDgB9bVWuga
11/08/13 12:12:20.29 3wajBLoF
>>140
>しかもコイツがゲーム制作を引き継ぎも無しに、途中で投げ出して逃走したのが今回間に合わなかった最大の理由だら?
全然関係ありません
こういった憶測による書き込みこそ不要です

142:創る名無しに見る名無し
11/08/13 12:26:09.48 rcFVs39f
>>140とか
個人攻撃して人の心を突き落とすのもいいかげんにしようね。
あなたの心にはどんな鬼が棲んでいるのかしら。

103さん、ほんとにおつかれさまです…。
あなたの作ったものは、ちゃんとぷろじぇくとに織り込まれてますから。

143:創る名無しに見る名無し
11/08/13 17:38:13.66 DXoroAQf
>>128-139
なんというインパクトw やっと汲み上げた水の中にヤイカガシが居たら、ワタシなら即、井戸の底に叩きこんで
縄を切りますw
・・・ナニヤラ、きな臭い伏線が入ってきた様子・・・・さぁ、どうなる?

144:創る名無しに見る名無し
11/08/14 19:11:41.12 k/BFkAuQ

>SS書きとして挑戦バカさんの作品に一言言わせてもらうと、
>1、「」の前に発言キャラの名前でセリフを出しているが、そもそもそのキャラの個性が分からない。
>2、同様に、「」の前のキャラって誰だっけ?ってなるほど多様性に走りすぎている。
>3、ドタバタ模様を書きたいんだろうが、文章自体がドタバタである。
>5、重層的な背景を匂わせているが、回答を出していない。
>6、誰とは言わないが、どこかのSS書きの作品を規定の事実として書きながら、その味わいや雰囲気を壊す方向で書かれている。
>7、残念ながら、先の国防省氏と同じように、文章の読ませ方が下手過ぎる。(書き手の脳内妄想は「」文だけでは読み手に伝わらない)


粘着された時の番人さん、一話として強引に奪われ追放された観光課さん以外にも被害者の方がいるの…?
こんな非道い人を擁護してしまうなんて、スレ住人がどこか歪んでいる気がして嘆かわしいわね。

145:創る名無しに見る名無し
11/08/15 00:15:12.04 THOnFk8Q
>>144
これ以上、SSスレを荒らさないでください。
彼もとい彼女は働く力の方向が間違っていただけです。
それでいいじゃないですか。過去のことを掘り返してグチグチ言わないでください。

146:創る名無しに見る名無し
11/08/15 01:49:41.60 NNLhrtYr
>>126-139
今回は、鬼子ファミリーのどたばた具合と微妙な力関係(笑)が分かって面白かったです。
般ニャーさんはどんな風に出てくるのかしら。

あ、視点変更ってわんこ視点への切り替えですよね。
頻繁でもないし、口調ですぐ分かったんで問題なかったですよ。


鬼子さんの住む世界は、鬼の力も神の力も強くて、人間もそれをおそれている世界。
田中さんの住む世界は、鬼も神も存在が絶えだえになっている、現実世界と近い世界。

鬼子さんは、誰かに対等に仲良くしてほしかったから、鬼を恐れない田中さんを必要とした。
だけど、自分の過去を知られたとき、そして鬼の力が田中さんに及びそうになったとき、
鬼子さんは田中さんに鬼の恐さを教えざるを得なくなる。
そのときの葛藤やいかに!

…てな感じで、長芋さん漫画やおによめでの華陀さん漫画のテーマにつながるわけですね!
と勝手に先走ってみる。
間違ってたらすみません(汗)

147:創る名無しに見る名無し
11/08/15 12:52:06.61 Wevf34BO
>>145
本当にそう思う。もうこれ以上荒らされないためにも、過去に彼が出した作品やらの事は忘れようよ。
基礎案(アニメ風?)、綿抜鬼、柚子、忍者小日本、オシリスキー…他にいたっけ?
これらの利用と基礎案の提案は一切本スレ・SSスレにおいて禁止、触れる人は荒らしへ加担していると理解して欲しい。
非道いかもしれないけれど、もうこれ以上荒らされたくは無い。なんで一人のせいでこうもグチャグチャにされなきゃならないんだよ…。

148:創る名無しに見る名無し
11/08/15 12:57:44.56 MbFd7NCe
>>147
賛成。もうこれ以上荒らしが発生する状況を放置は出来ない。
もし彼が戻ってくるなら、反省して荒らしの標的とはされない題材で書くと期待。
本当に鬼子関連で創作したい人だったら、その位理解してくれるはず。
実は荒らしも本人だったら知らないけれど。

149:創る名無しに見る名無し
11/08/15 13:24:11.15 xwraIhoy
そんな事より尻の話をしようじゃないか。

150:創る名無しに見る名無し
11/08/15 13:47:50.12 TIBo27w3
>>147
賛成はできないなぁ。
荒らしに攻撃されたらその作品には触れちゃだめ、っていうなら
荒らしの標的にされたらもうおしまい、っていう状況を作っちゃうよ。

でもまあフトモモの話をしようじゃないか。

151:創る名無しに見る名無し
11/08/15 15:41:23.04 8kQjnHbb
つか、何でいきなりルール云々の話を活発になりだしたここで始めてるんだか。そんなに気に食わないのか。活発になるのが。
そうでないなら、避難所でやれはいいだろ→URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
 つまり、だ。結論からすると乳は素晴らしいという事だ。

152:創る名無しに見る名無し
11/08/16 12:40:53.43 d7nDO7vH
そうだよな。スレが活気づいて自分の作品が埋もれるのが相当嫌で、自演を繰り返しているんだろうな、綿抜鬼の人は。
もうこれ以上荒らされないためにも彼の作品群や、彼を擁護する荒らしには一切触れない様気をつけないと。
元ネタにあんなグロ要素利用して、呪術の真似事で鬼子プロジェクトを潰そうとしていたんだね…ビックリだよ。

153:創る名無しに見る名無し
11/08/16 12:51:26.90 jajyd48g
じゃあ決まりだね。彼の作品に触れる荒らしも、彼をダシにスレを荒そうとする荒らしも、
どちらも一切触れないという事で良いでしょう。綿抜鬼は人気だったけどしょうがないよね。
そもそも「荒らしは一切スルーでお願いします」はスレ入口での、
鬼子ちゃんとの最初のお約束。それが守れていなかったのは反省すべきだね。
あと呪詛云々はさすがに違うと思うぞ。自演はしていただろうけど。

154:創る名無しに見る名無し
11/08/16 18:49:14.61 iDCl7KPR
じゃあ決まりだね(キリッ
毎度のこと名無しさん乙。議論所でやれ

155:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/16 19:16:31.74 3HktHMoN
自転車で一泊二日の東京湾一周の旅から帰ってきた歌麻呂です。
得るものはあった、はず。

>>143
さすがヤイカガシ、みんなの嫌われ役ですねw
きな臭い伏線、どうなるんだろうなあ……。

>>146
視点変更の件了解です。
これからも分かりやすい視点変更を心掛けて行こうと思います。
  >長芋さん漫画やおによめでの華陀さん漫画のテーマにつながるわけですね!
基本ミメーシスは避けてるつもりですが、どうなることやら……。
どう転ぶのか、自分でも楽しみだったりしますw

156:panneau ◆RwxKkfTs..
11/08/16 23:22:16.96 2K/rrRh3
2スレ目
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
スレリンク(mitemite板)
のdatが不完全なので誰かくだちい。

157:創る名無しに見る名無し
11/08/17 06:27:57.14 zVeRsXaZ
これわまた・・・・ワタヌキが魅力的に見えるSSを書きたくなる流れに!?
今まで特に意識してなかったけど、何か考えてみようかしらんv
スルーされるなら好きにできるよねw もっとも、R-18 R-18Gルールは守った上でねv

158:創る名無しに見る名無し
11/08/17 09:46:58.44 g2mGXD1V
>>157
奇遇だな俺もそう思った

159:創る名無しに見る名無し
11/08/17 12:33:13.39 zOvM6G9Y
よっしゃ!!じゃあ中国人を惨●し続けていた綿抜鬼が、日本のオタクと出会って、
その暖かさやキモさに触れたり会話している内に、自らの過ちに気付いてゆき、
悔い改めて浄化され、自分と同様邪気に憑かれた人々を祓う『日本鬼子』へと変身する話がようやくかけるな!!
やはり政治系統と切り離しては、このコンテンツは意味をなさないからね。

160:創る名無しに見る名無し
11/08/17 12:45:30.59 jsmtWZ6D
ああ、なんだ。どうりでタイミングが良いと思ったら本スレ115の人か。
綿抜鬼を潰して自分のキャラをねじ込むか、出来なければ逆に利用してどちらにせよ政治系OKとさせる。
そのためにここまで粘着していたんだね…。外部でも平気で鬼子を石原憎しのマスコットに利用しようとしてたけど、
一体何の恨みがあってスレ潰し・主旨改変にここまで力を注げるの?またID変えて逃げるんだろうけど、私には理解出来ないよ。

161:創る名無しに見る名無し
11/08/17 13:45:17.96 Cbqju1bv
おまいら最低限のルールはまもれや。それ前提でなければ綿抜鬼おしは意味ねえぞ
>>160
115
今回は勘弁してやれ。前のと違ってそっち方面はやらかしてねえだろ。あとそれ半分以上は妄想じゃね?
ちゃんとした根拠や証拠がねえならあんたがバカにしている奴以上の糞野郎に成り果てるぞ

162:時の番人 ◆B1etz7DNhA
11/08/17 18:59:55.19 xV3KJkIC
短編小説
『心の鬼とは』~ある女子大生、夏美の話し~

 今年の春から大学生となった夏美は、独り暮らしをしながら自由に学生生活を堪能していた。
今は夏休みなので、朝から夕方までアルバイト。夕方からは大学で知り合った新しい友達と
夕食会や飲み会、またはコンパやクラブで朝までGO~っと毎日忙しい日々を送っていた。
今日は一人で“こみけ祭り”。友達には、まだ自分の趣味を教えてないみたいだ。
何故なら、【漫画大好き!】と言う事にちょこっと恥ずかしさが残っていたようで、
言い出せずにいた。夏美は、会場の前でチラッと空を見て溜め息をついた。

「あぁ~、エネルギーポイントが吸い取られていく~」

夏の太陽が自分だけに降り注ぎ、体力を吸い取っている様な感覚に陥りながらも、
ユックリと会場に向かい足を進めていた。会場内に入ると、体が勢い良く回復していく。

「あぁ~回復呪文が充満スペースに到着~」

実際には、だた冷房が効いているだけなのだが、夏美の脳内解釈では回復呪文なのだろう。
好きなサークルのブースに行っては、目を輝かせて物色&お喋り。
時間が経つのも忘れて、キョロキョロと歩き続けていた。
楽しい時間を過ごしている時は、歩く時間が勿体無いので、
必ず早歩きで目的の場所まで行き、うだうだやっているのだが、
今日は、何かが違う。足が非常に重いのだ。
この会場に入ってから5時間が経った。昼食も取らず歩き回る事はいつもと同じ。
しかし、体が非常にだるくて足が重い。
体の調子が悪くなってからは、目的も無く、ボーっとホールの中をさまよっていた。

「お嬢ちゃん」

何となくそう呼ばれた気がしたので、ふと顔を上げてブース内を見た。
その中は、テーブルが一つ置いてあるだけ。
夏美は一度、手で目を擦り、もう一度ブースの中を見た。
すると、そのテーブルの真ん中に小さな青色のぬいぐるみが置いてある。
この会場内でテーブル一つとぬいぐるみがひとつのブース・・・。
テーブルには、張り紙がしてある。
【ご自由にお持ち帰り下さい】と。
それに、夏美の後ろを歩いている人達は、このブースに気付いていない様にもみえる。
変だなと思いブースNOを見ると、北地区オ-25と書いてある。

「北地区?ここって西と東しか無かったはずなんだけど・・・」

と思いながら、隣のブースを見ると東地区イ-34bと書いてある。

「やっぱり東地区だよね。表示が間違ってるんだわ」

隣の東地区イ-34bのブースを外から覗いてると、誰かが椅子に座りながらうなだれていた。

「横スクロールがぁ・・・」

とか何とか言っているその男性の手には、北地区オ-25に置いてある青いぬいぐるみと
同じ物が握り締められていた。
夏美は、他の人も貰ってるし、それに後一つしかテーブルに置いてなかったので、
とりあえず、その青いぬいぐるみを持ち、自分のBAGの中に入れた。
体調が優れない夏美は、そのまま家に帰りベッドの中に入った。
まだ夕方5時過ぎくらいだったが、夏美は深い眠りについた。

163:時の番人 ◆B1etz7DNhA
11/08/17 19:00:31.22 xV3KJkIC
 【コン・・・コン・・・】

 夜中の2時を少し回ったくらいに、小さな音が原因で夏美は目を覚ました。
まだ寝ぼけた状態だったので、目を少し明け、天井を眺めていた。

 【コン・・・コン・・・コツン】

また小さな音がした。
音のする方に顔を傾けようとしたが、何故か首が動かない。
【あれ?】と思い、今度は手を持ち上げようとしたが・・・動かない。

「な・・何これ・・・。もしかして・・・金縛り??」

そして・・・ユックリ・・ユックリと足首が締め付けられる。
そのまま・・・足がベッドに沈み込む様な感覚に陥った。
夏美は悲鳴を上げようとしたが、声も出ない。
身体から冷や汗が流れ始めた。
足首を締め付けていた何かが、今度は膝辺りを締め付けている。
夏美は・・・ユックリと自分の顔を持ち上げると少しだけ動いてくれた。
そして、そのまま自分の膝辺りをそっと見てみると・・・
白くて・・生ぬるく濡れた手が夏美の膝を押さえ付けていた。

【キャアアアアアアアァァァァァーーー】

声にならない心の叫びを出した夏美は、そのまま気絶してしまった。

「なんだ。また休胎鬼(きゅうたいき)でゲスか。
 さっきの男と同じでゲスね。散らさずこのままにしとくでゲス」

部屋の中からそんな声が聞こえてきた。誰の声なのか、何処から聞こえるのか。
夏美は、気絶しているのでこの声は聞いていない。

 翌朝の7時30分頃、夏美は猛烈な暑さにさいなまれ飛び起きた。
エアコンをつけずに寝ていたので、汗だくになりながら目を覚ました。
そして、辺りを見回すが、誰も居ない。

「フウ・・・怖かった・・・。金縛りって始めてだわ」

と溜め息を付き、部屋の中の空気を入れ替える為に、ベランダの窓を開けた。

「あれ?お気に入りのパンツが無くなってる・・・」


 皆さんは金縛りにあった事があるだろうか。
学校のクラブ活動が忙しい、受験勉強や会社の仕事が山済みで寝る暇も無い。
そう・・身体の異常を示すサインが金縛りで、動けなくなるのは良い事なのだ。
そんな時は身体を休め、ユックリしていれば自然に治っていく。
しかし、本当は心の鬼が身体を動けなくしている事に誰も気付いていない。
昔の人達が、金縛りと言う言葉に置き換えて、心の鬼の存在を打ち消したのかもしれない。
“休胎鬼(きゅうたいき)”は、身体を酷使している人に取り付きやすい。
そして、取り付いた人の身体を動けなくして、体力を回復させる心の鬼なのである。

本当は・・・「心の鬼」と一言で表す事は出来ないのかもしれない。

おわり

164:時の番人 ◆B1etz7DNhA
11/08/17 19:59:20.99 xV3KJkIC
言い忘れてました。

頑張れ横スクメンバー!

くれぐれも“休胎鬼(きゅうたいき)”に取り付かれないように
睡眠をとって下さい!


165:創る名無しに見る名無し
11/08/18 00:17:34.52 yi223Z2i
>>162~164の
時の番人さんへ。
金縛りが実は心の鬼だったなんて、
なんと言う展開なんだw
>>103,104,117,119は時の番人さんが書いたんですか?


166:創る名無しに見る名無し
11/08/18 10:45:55.29 BjHfoADA
なんかよく分からないけれど、綿抜鬼の人って既に鬼子プロジェクトから引退した人なんでしょう?
本人が主旨に反しない使い方なら大丈夫と権利放棄もしていた気がするし、作品自体が他の作品群に埋もれるなら問題は無いよね?
もし綿抜鬼がグロ系統で許せないなら、対抗する別キャラを用意したら良いのに、叩いている人はどうしてその努力をしないの?
また使ってくれと本人が出てくる事は無いなら、一度超えたら大丈夫なのに使わせない事だけ求めるのは何故?

擁護している人も作者が叩かれてるからと、キャラ事持ち上げようとしている感じなのはなんか違う気がする。
提案されたけれど無視されているキャラなんていくらでもいる。じゃあ自演して自分のキャラや自身を叩けば無視されないなら、
綿抜鬼の人が自演してないとしても同様の手段をもって、無理矢理キャラの押し込みは出来てしまいますよね?
もしそれで明らかに政治系のキャラや主張をねじ込まれたら?そもそも普通に『主旨違いですよ~』と説明しているのに対して、
『このスレにはこんな荒らしがいるのか!』なんて愚痴ると共に自演したりや仲間を呼んだりで、
主旨を変えるまで粘着されたらどうするの?荒らしの対象になったと感じたら、作品も思想も内容問わず全力で守り持ち上げるの?
でもその状態って自演だか本当の荒らしだか分からないレスが渦巻く、異常なドロドロした様相をずっと続ける事になるよね?

正直終わりが見えないやり取りに辟易してるんだが、誰か真面目に答えて欲しい。
とりあえず乳を揉みたい。…じゃなかった、作品の内容や質のみで勝負して欲しい。


167:創る名無しに見る名無し
11/08/18 11:45:39.47 7vGa6BmO
キャラもセットで排除されようとしていたら真っ先に擁護するよ綿抜鬼。

168:創る名無しに見る名無し
11/08/18 12:14:15.39 fWMVvBZ7
つかさ、生みの親は引退宣言して消えたけど他の人が取り上げて作ってる状態だろ。綿抜鬼。
しかも主なイラストはスレ外で見る事の方が多いしし。ここで騒いでいる奴は何をそんなに焦ってるんだろうねえ。
文字ネタで推すならSSやなんかでないとノイズで終わるだけだろうに。否定している人が一番印象を強くしてないか?
皮肉にも否定派が一番綿抜鬼を推している状態w

169:創る名無しに見る名無し
11/08/18 12:57:39.25 AMRDZdAN
引退かどうかなんて、契約でもしてるわけじゃないんだしどうでも良いけどね。
むしろ、前に鬼子作品を投下していた人たちにはどんどん戻ってきて欲しいくらいなんだけどw

あと、綿抜鬼ネタがよく投下されているのは、最初に提案したネタ自体よりも
それを受けて描かれた最初の絵が良かったからだと思う。

それに、さすがに同一人物が延々持ち上げてたら誰だって不審に思うでしょ。
綿抜鬼の場合は、ほぼ鬼子関係で投下実績がある人達が支持しているじゃん?
さすがにそういう人たちが政治系のキャラまで支持するとは思えないし、
荒らし側が、自分が押したいキャラを定着させるほどの作品を上げるような仲間を呼び寄せられるとも思えない。

はっきりいって>>166の後半はいちゃもんにしか見えない。


170:創る名無しに見る名無し
11/08/18 12:59:01.56 d6/iOJAR
>>166
落ち着いて、落ち着いて。
とりあえずこういう話はSSスレじゃなくて避難所でしましょうぜ。
自分の意見は避難所の733に書きました。

避難所10
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

171:創る名無しに見る名無し
11/08/18 18:10:55.68 nglNXHqw
引退じゃなくて休止宣言(最短12月復帰)だろ?一話含め加筆修正に戻るとも言ってたし。
誰だよ、引退なんて言ってる奴は。そいつが真犯人(もしくはその一味)じゃね~の?


172:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/18 18:42:06.79 xHSXXQkO
スレチ覚悟。
そういえばこっちに投下してなかったような気がする童謡風定型詩。
書いたのは今年の7/9のことです。自分を鼓舞するためのうた。


【童謡:紅あさやけ】
一、
 もみぢの風吹く朝の陽を
 背に負ひうつるは
 鬼のかげ

二、
 世のなか暗しと嘆けども
 やさしく散る葉に
 和やぎつ

三、
 こゝろの鬼らを萌え散らす
 たたかふ宿世は
 いつからか

四、
 もみぢの風吹く朝の陽が
 在るを忘れじ
 君が胸


現代語訳
一、
 紅葉の風が吹く日の出を
 その背中に負って映るその輪郭は
 鬼の姿をしている

二、
 人々が今の世の中を暗い暗いと嘆いても
 鬼子の萌え散らした、しとやかに散る紅葉に
 人々はなごやかになったのだ

三、
 心に棲まう鬼たちを萌え散らす
 そんな鬼子の戦う因縁は
 いつから始まったのだろうか


 紅葉の風が吹く日の出が
 あるのを忘れてはならない
 朝の陽はいつでも君の胸に

173:創る名無しに見る名無し
11/08/18 18:46:47.39 BjHfoADA
SSスレでやる話しじゃないよね。ごめんなさい。
どうせ荒らしてる側は避難所来ないんで、これで終わります。自分の言いたい事はただ一つ。

『荒らしはスルーして、みんな作品の投下とかで楽しもうぜ~。個人の思想や過去とか、興味無いよ』

>>171
自分が見たのはコレだけど、さすがに犯人とは違うでしょ?本人に聞かないと分からないけど、普通の認識違いだと思う。

>Saki_Ohenri @johgasaki HNですよ~。自己を卑下して、そういう名前をつけられていました。
>鬼子の基本ストーリーに「無謀にも挑戦する」から、という理由だそうです。後に分かった事ですが、
>一番最初にワタヌキを考案した人でもあります。その後、荒らしに標的されたので今は引退宣言をされています。
>1日前
>詳細


174:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/18 19:02:14.38 xHSXXQkO
>>162-163
金縛り!
そんなところに鬼子さんのいる世界の息が
感じられると思うと胸がアツくなりますね。

機会がありましたら、ぜひ本物の『お祭り』も行ってみると
より臨場感ある作品になるかもしれませんねえ。
(もう行ったことがあるんでしたらすみません……)

しかし、北地区ってなんだったんだろう……。
でもこのこと考えたら休胎鬼に憑かれそうな気がして恐ろしいですね。
夏にちょうどいい、冷え冷えになる作品でした! 面白い!

175:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:26:29.99 4a/sXz8B
わんこを応援したくなるお話。

SSスレ 
TINAMI URLリンク(www.tinami.com)
pixiv URLリンク(www.pixiv.net)

序 >>80-83
一話 >>89-99
二話 >>128-139

次回の更新は八月二十六日(金)を予定しています。
次々回の更新は私の都合上九月五日(月)を予定していますが、変更の可能性大です。
ご了承ください。

176:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:27:38.76 4a/sXz8B
【編纂】日本鬼子さん三「歓迎されてる……のか?」
   十の一

「なかなか面白い子を見つけたじゃない、鬼子」
 老いた楓の大樹の上から聞き覚えのある声がした。
「は、般にゃーさん! いらしてたんなら言ってください」

 般にゃー。
 ここ一体を統べる白い猫又だ。猫の姿だと顔が般若面のようにひしゃげるため、そう自称している。

「何度も言ってるけど、改まらなくていいのよ」
 苔に覆われた幹を飛び降りると同時に人間で言えば三十路前後の女性に成った。
反射的に目を逸らす。着物に収まりきらない大きなふくらみに惑わされないためだ。
 いわゆる成熟した大人の女性ってヤツだが、しかし般にゃーの実年齢は誰も知らない。というか、知ったら否応なく殺される。
 ―と、般にゃーがメガネ越しに睨んできたので、無駄な考えはここまでにしておく。

「わたしがいないほうが、ありのままの貴女達を観察出来るでしょう? ……って気紛れよ」
 彼女がそっと微笑むと、鬼子は顔を伏せて顔を赤らめた。

 もうからくり人形の鬼子じゃなかった。

「で、どこ行ってたんですか?」
「高天原よ」
 高天原(たかまのはら)は紅葉里から遠く離れたところにある、高貴な神さまがお住まいになる聖域だ。
鬼子は当然のことながら、俺やヤイカのような下々の神ですら伺うことは許されない。
「アマテラスサマとお茶してたの」
 般にゃーは大御神様のお供ができるくらい貴い身分なのか? まったくその気配が感じられない。
例えお茶をしたことが冗談だとしても、御名を拝借した冗談を言えるんだから、たいそうな身分であることに違いはない。
「ホントはもっとゆっくりしていく予定だったんだけど、急用が出来ちゃってね」
 般にゃーは帯から煙管を取りだし、煙草に火を点ける。急用で戻ってきたとは思えないゆったりとした調子で煙を吐いた。

「越沢(こえさわ)の村に鬼が出たわ」
「越沢って……すぐふもとじゃない」
 山林を走って二時間のところのある村だ。この周辺は般にゃーの結界で鬼の侵入はないと思ってたから、俺も鬼子も驚いた。
「いい? 被害はその村だけに留めなさい」
 なら越沢村はどうなってもいいのかよ、とは思わない。
そんなこと思ってる暇があったら戦いに向けて気を集中させる方がいい。ここにいる誰もがそう思っている。
 冷酷になってしまったわけではない。未熟な自分が悔しくて仕方がないんだ。
 なにせ、俺たちには空間を渡る術を持っていない。
鬼を祓うために二泊三泊は当たり前だ。その間に暴走を続ける鬼は容赦なく村を滅ぼしていく。
現地に駆けつけたら、家も畑も穢された村で鬼がのびのびと人間を喰らっている場面を幾度見たことか。
 そういうこともあって、今回は何としてでもヘマをしないよう鬼子の援護しなくてはならない。

「わんこ、こにを起こしてきて」
「おう」
 小日本は一度寝るとなかなか起きない。でも今日という今日は容赦せず叩き起こそう。
そう決心して小屋へと向かう。

177:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:28:07.32 4a/sXz8B
   十の二

「小日本、起きろ」
 手荒く襖を開ける。

「おうわん公、オメェも目の保養に来たか」
「むっつり助兵衛だねえ。時間差とはさすがだよ」
 さきほど拳と剣を交えた同志が、今や幼き女子を囲んで宴に勤しむ変態野郎となり下がっていた。
 怒りが上昇していくにつれてヤイカの悪臭濃度も上昇する。
「お前らな……」
 二匹の首根っこを鷲掴み、縁側に出る。
「二度と来んなって言ってんだろうが!」
 見ないなと思ったら何してやがるんだ。もう会うことがないよう祈りを込め、秋空の先までぶん投げてやった。

 仕切り直して、小日本の眠る部屋に戻る。今の騒動にも動じず、すやすやと寝息を立てて目覚める気配はない。
「起きろ」
 涎を垂らし眠りこける小日本の肩を揺らす。
「ふにゅ……」
 寝言で返事をされる。
「鬼が出たんだ。早く出ないと」
 もう一度揺する。
「ねむいのらぁ」
 反応に意識が宿っているようにも思えるが、八割方夢の彼方を漂っているようだ。
緊急事態でもなおのんびりな小日本にため息が出る。
「……まりゃまりゃ食べられるよぅ」
 八割じゃない。十割食いもんの夢の中だ。寝ぼけてやがる。
俺が団子を買ったせいなのか? くそ、田中の奴が使いっ走りにしたからこうなったんだ。覚えてやがれ。

 でも、実に幸せそうな寝顔だ。口をもぐもぐして、にへらと破顔させる。
 不覚にも言葉を失ってしまった。
 こんな幸せそうな小日本を強制的に現実へ引き戻してしまっていいのか?
 小さな幸せをぶっ壊していいのか?
 幸せってのは、小さければ小さいほど、それを潰すのに覚悟が必要になる。

「寝るなら、俺の背中で寝ろ」
「……ふぁあい」
 ふわふわとした手つきで瞼をこすり、身を起こす。多分寝たまま無意識にやってるんだと思う。
一つ大きなあくびをし、「ん」と両腕を前に出した。このまま背負えってことだろう。
 まったく、ワガママなお姫様だよ。

 小日本の武器である「恋の素」を帯に付けてやる。恋の素は幸せと縁と結ぶ鈴で、鳴らすと穢れを浄化させる効果がある。
それから角を隠すために笠をかぶらせる。布団を引っぺがし、小日本を背に負った。
「いららきましゅ」
「イデデッ! それ髪の毛だ!」
 後頭部で結った髪束に喰いつきやがった。なんて食い意地を張ってるんだよこのお姫様は。

178:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:28:40.57 4a/sXz8B
   十の三

 庭には藤紫の装束の般にゃーと紅葉の着物の鬼子が準備を終えて待っていた。
鬼子は瞳はいつもより鋭いものとなり、紅に燃え上がらせている。
 鬼の中には、姿を変えることで力を増強させたり、特性を得たりする。
俺たちは通常の姿を『生成(なまなり)』と呼ぶのに対し、変化した姿を『中成(ちゅうなり)』と呼び分けている。
「行ってらっしゃい、三人とも」
 般にゃーが煙草を吐く。
「来ないのかよ」
「貴方たちだけでなんとかなるでしょう?」
「あのな……」
「それとも、わんちゃんはわたしの力がないと鬼子を守りきれないのかしら?」
 そう言われると言い返そうにも言い返せない。般にゃーは俺の性格を見通している。
ただただ悔しかった。
「そんなワケで、わたしはお留守番してるわ」
 お気楽に言ってくれる。
 まあ、それが般にゃー流の激励だってことは承知してるんだけどな。

   φ

 鬼子とわんちゃんとこにちゃんが紅葉の森に消えるまで、わたしはずっと三人のうしろ姿を見送っていた。
 結界の内側で鬼が出没するとなると、敵は冒涜された神ではなく、人間の心から生まれた鬼である可能性が高い。
心の鬼は先日鬼子一人で戦った「黒い鬼」のような腕っぷしは持ってないけど、それを補う独自の特性を持っている。
慣れてない相手だから、苦戦するかもしれないわね。
 人間の心ほどフクザツなもんはない。長いこと「あっち」と「こっち」の人間を観察して導き出した結論だ。
 あのコたちは心の鬼と戦う経験があまりにも少なすぎる。

「鬼子、アンタには辛いことばかり任しちゃってるわね」
 いくら煙を吸ったって、この罪悪感が癒えることはない。アマテラスサマが仰ってたことを考えると、肺臓に穴が空きそうになる。
「神々に気付かれずに勢力を拡大させる鬼の集団がいる……か」
 異変、と思うにはオオゴトだけど、最近どこか違和感のようなものが猫ひげを伝って感知していた。
 そもそも、鬼は集団行動の出来ない問題児ってのがわたしたちの通説だった。
互いにいがみ合い、殺し合い、本能の赴くままにふらふらして落ち着かない。
例外は鬼子とこにちゃんだけ。
 それなのに、いきなり国規模の集団が出現するなんて信じられない。
 天変地異だと慌て者の神々が喚いてて呆れるけど、同時に鬼子たちに対する期待と疑念が一層増しているのも確かだった。
 鬼にあらずは鬼は祓へじ。もうそんなことしか神は言えない。

 アンタたちの神話はどこへ行ったのよ。

179:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:29:07.60 4a/sXz8B
   十の四

   φ

 針葉樹とシダの森を駆ける。人間のいる場所には近付かないよう尾根伝いに村へと向かった。
苔に呑まれ、朽ち果てた倒木を飛び越え、奔放に伸びる蔓の輪をくぐる。

「ん……どこ?」
 背中の小日本がもぞもぞと動き出した。目が覚めたらしい。
「山を降りてるところだ。鬼が出た」
「……ん」
 小日本はそれっきり何も言わず、おとなしく乗っかってくれていた。

 辺りは鬱蒼としていて薄暗い。霊域の近くだからか、樹から見下ろすサルやリスの眼光に意思が宿っているようにも感じられた。
 風を裂く鬼子の後ろ背を追う。
 いつか、俺が鬼子の前を走ってやる。黒髪なびく背中にのしかかる荷を、少しでも担いでやりたい。
小日本だって背負って走れるんだ。そのくらい屁でもない。

「森、抜けますよ」
 鬼子の合図と同時に視界が開ける。西の空の大きな月が俺たちを出迎えた。
絵画のようなうすら雲が掛かる望月は、どこか引き込まれてしまう魅惑があった。

「あれ、見てください!」
 鬼子が指差す方向が赤く揺らめいていた。畑の向こう側に群立する民家の方から赤い火が立ち昇っている。
「行こうぜ!」
 鬼の仕業だったら今すぐにでも食い止めなければならない。鬼子は頷く間もなく走りだした。俺もその背を行く。

 畑に足跡を残し、全力で足を動かす。早く、一秒でも早く。
揺らいだ目先の小屋が徐々に大きくなっていく。畑から小道を横切り、茅葺きの家を横目に炎の元まで急ぐ。
 熱気が伝わる。走れ。息が荒くなる。走れ。鼓動が大きい。走れ。もうすぐそこだ。走れ!
 鬼子が立ち止まる。
 そこには。

「いねぇーつけばぁー」
 ……そこには、かがり火を囲うようにして踊る村人たちの姿があった。
陽気に歌を詠い、気持ち良さそうに酒を呷り、飯を貪り食っていた。

 小日本を下ろしてやる。そして、脱力した。
 なんだこの宴は。この村の祭はこの前の収穫祭をやったばかりじゃないか。

「君らは旅人か?」
 村人の一人が声を掛けてきた。鬼子がびくりと身体を硬直させ、村人を凝視する。とっさに俺が鬼子の前に出る。
「……狛犬様ではございますまいか。それに笠をかぶれる桜着の小童……そちらの紅葉着の乙女は角の生えた、鬼と見受けるが」
 耐えろ。歯を食いしばり、相手の出方を窺う。
 叫ぶか、嘆くか、狂い笑うか……。

「なんと面白い組み合わせであることか。さあ、今日は祭ぞ。共に騒ごう」
 酔いの回った豪快な笑い声を上げ、ばしばしと頭を叩かれた。
神に触れるなんて禁忌でしかないが、無礼講というものなのだろう。
堅苦しい祭は嫌いだからこのくらいがちょうどいい。
 ……が、感触は不気味で仕方がない。

180:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:29:34.20 4a/sXz8B
   十の五

「こちらに来なさい。共に呑み、共に語らうもまた一興」
 上機嫌な村人に付いていく。太鼓の音は鳴り響き、どやどやとあちこちから声が湧いている。俺たちを見て挨拶してくれる人もいた。
「歓迎されてる……のか?」
 少なくとも、鬼子を見て悲鳴を上げる人間がいないのは確かだ。

「こに、おまつりだいすき!」
 小日本はぴょこぴょこと跳ねていた。しかし、俺は素直に喜ぶことができるほど純情ではない。
「そうでずね、わだじもだいずぎ……ずびっ」
「って、泣いてたのかよ鬼子!」
 思わずツッコんだが、気持ちは分からなくもない。鬼子、祭に行くことが夢だったもんなあ。

 だけどよ、俺たちがこの村に来た理由、忘れたとは言わせないぞ。
 鬼祓いに来たんだ。

 なのに、鬼が見当たらないなんておかしい。こりゃ一筋縄ではいかないかもな。
「なあ、オヤジさんよ」
「どうなされた」
「最近この村に鬼は出なかったか?」
「鬼? ああ出ましたぞ」

 あまりにも素っ気なく言い放つもんだから、軽く聞き流してしまうところだった。
俺の中で緊張がはしる。
「そこにいる、かわいい鬼さんがね」
 そう言って、男は一人わっと笑った。
「鬼子のことじゃねーよ!」
「可愛いって、そんな……」
「鬼子も照れるなっ!」
 涙で赤くはらした目を細め、鬼子は笑っていた。
こんな笑顔、いつぶりだろう。最低でも俺たちの前じゃ絶対に見せない。

「ねねさま、こに、おどりたい!」
「そうね、踊ってらっしゃい。周りの人に気を付けてね」
「うん!」
 二人はすっかり祭の気分に浸ってしまっている。
「しあわせをーおすそわけー」
 謎の節を付け小日本はくるくる回る。鈴がりんりん鳴り響くたび、季節外れの桜が散っていた。

「他には見なかったか?」
 仕切り直し、村人に尋ねた。
「見ておりませぬ。おかげさまで今年は豊作です。ご覧くだされ、このアワの山を!」
 村人は祠の前にある粟の山を自慢げに見せつけた。

 しかし、その山は庭園の砂山程度のもので、とてもじゃないが一年を乗り切れるような量ではないし、粒もやせている。
 ……そもそも、なんで『粟』なんだ。

「オヤジさん、米はどこだよ」
「米? そんなもの作っておりませぬぞ」
「はあ?」
 何を言ってやがる。作ってないわけがない。有力者に収めるものは米と定められているんだから。
 ……そういや、先の収穫祭で越沢村は不作だったのを思い出す。
 何が豊作だ。嘘吐き男め。

181:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:30:02.93 4a/sXz8B
   十の六

「わんこ、見てください!」
「なんだよ」
 鬼子に肩を叩かれ、振り向いた矢先、その光景に言葉を失った。

「ぽろぽろふわふわこにっぽーん!」
 まるで、演壇の一点に集まる灯火が小日本を照らしているようであった。
そして、そのまばゆい円状の地から、黒い斑が浮き出ていた。
 しばし幻想に包まれた舞姫に見とれてしまった。それは俺だけでなく、村人たちも同じだった。

 照らされる円状の地面、黒い斑模様……。
 そうだ、ここは舞踏場じゃない。現実はそんなきらびやかではなく、もっと残酷だ。

「鬼子! これは鬼の仕業だ!」
 ようやく確信が持てた。そもそも森を抜けたときにおかしいと思えなかったのがいけなかった。
「なんで、もう夜になっちまってるんだよ。出発したときはまだ南に陽があったのに、どうして満月が西に傾いてる刻になってんだよ」
 暗いのは穢れのせいだ。この村全体を包み込む穢れで夜だと勘違いしていたんだ。
 そして穢れを生み出した鬼は先日戦った『影の鬼』のような神様が堕ちて生まれたものではない。
人間の心に棲まう鬼が力を溜めに溜め、村全体を巻き込むまで成長してしまったものだ。

 鬼の餌は男の言動、村人の行動からして『嘘』だろう。
 すると奴の正体は―、

「心の鬼は月に偽装している!」
「はいっ」

 鬼子の目が真っ赤に燃え上がる。薙刀を編み出し、空高くへと跳躍した。
 月に模した鬼が、危機を察知したのか、偽装を解き、姿を現した。

 嘘月鬼(うそつき)。薄黄の岩石質の球体に二本の角が生えており、目と口を思わせる三ヶ所の窪みがある鬼だ。
 心の鬼は鬼子の突きをかわすも、石突で叩き落とされる。そのまま鬼子も着地した。心の鬼が隠していた太陽が姿を見せる。

 黒、黒、黒。土も家も人も。黒、黒、黒。
 般にゃーですら気付かないほど僅かな邪念がここまで村を蝕んでいたなんて……。
 ただ一点、小日本の周りを除いて村は全てが穢れに呑まれてしまっていた。

「こに、邪気祓いお願い!」
 体勢を整え、鬼子は再び嘘月鬼との間合いを詰める。
 人間どもの悲鳴が湧き立ち、逃げ惑う。ようやく彼ら自身の姿を自覚したようだ。嘘を吐き、人を、自分を騙し続けた結果がこれだ。

「さくら咲け咲けーめばえ咲けぇ」
 不穏な気配の漂う中で、小日本だけがいつまでも潔白だった。幼い少女が舞えば舞うほど、周囲の穢れが清められる。
 鬼子と心の鬼の戦いは一方的だった。擬態という特性を見る限り、戦いを好まない鬼なのかもしれない。
 薙刀の切っ先が嘘月鬼の背を掠る。奴の動きを崩すにはそれで十分すぎた。

「萌え散れ!」

 心の鬼に斜めの直線が引かれると、岩石のそれは紅葉を舞い上げ、ずるりと巨体を滑らせた。
裂けた嘘月鬼は委縮し、最終的には消え失せた。
 村の穢れも恋の素の舞で祓われ、元の姿を取り戻しつつある。

 一件落着、といったところか。
 多分、勧善懲悪の物語だったら、ここで話は爽快に幕を閉じるのだろう。

182:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:30:45.21 4a/sXz8B
   十の七

「おお、お、鬼だ! 鬼だあ!」
 俺たちを案内してくれていた村人が奇声を上げ、鬼子を指差した。明らかに恐怖の対象として捉えられていた。

「何言って……あなた、私たちを歓迎するって、言ってましたよね?」
 鬼子の瞳に戸惑いの念が窺える。

「嘘だよ! そんなもの、嘘に決まってるではないか!」

 村人は目を大きく見開き、口をだらしなく開け、今にも気を失いそうだった。
鬼祓いの姿のままでいる鬼子に気付いた他の村人も悲鳴を上げ、家の中に入ろうとする。
しかしその家の中は穢れに満ちていて、混乱を生み出した。
「不作でもう生きてゆけぬ現実を見たくなくて、我が身に嘘を吐いた。他人に嘘を吐いた。
やがて嘘に嘘を重ね、止むことを知らず……だからといって、村のみんなを巻き込む道理がどこにある?
鬼め、苦しむのはおれだけでよかろうに! 返せ! おれらの村を、返せ!」
 心の鬼は人間の負の感情に芽吹く。先の見えない不安や絶望が「嘘」の鬼に成ることだってある。
だから心の鬼を宿した人間を一概に責めることはできない。
 でも、

「わたしのおうちをかえして!」
 かつん。
 鬼子の般若面に小石が当たった。投げたのは小日本ほどの背丈の娘だった。
黒染みの目立つ家に佇み、涙を浮かべた目に迷いはなく、きりりと鬼子を睨んでいる。
 慌ててその母と思しき女が娘を庇うように抱きしめる。

 心が苦しくなった。
 鬼子はきっと、俺の苦しみどころじゃない。

 鬼子は薙刀を高天原に収めると踵を返し、無言で森へと足を運びだした。
「二度と来るな! 穢れ者!」
 今度は大柄の男が石を投げつけた。こぶし大のそれは鬼子の帯に命中し、彼女は膝を着いた。
「テメ……ッ!」
 怒りが込み上げてきた。すぐにでも人間の分際に跳蹴りを喰らわそうと地面を踏む。

「め! わんこおすわり!」
 小日本が俺と男の前に立ちはだかった。とっさにしゃがみこんでしまう。
 むっと頬をふくらませ、袖を広げる小日本の後ろでひそひそと村人が囁いている。
本当に小さい声だから、人の耳を持つ小日本には聞こえないだろう。

「あの子、鬼に魅入られちゃったのよ」
「憐れな。狛犬様もどうなされたのか」
「凶兆じゃ、凶兆じゃあ」
 深くも考えずに言霊はきだしやがって。
俺も言えたもんじゃないから、ここは黙って小日本の手を取った。
「……行こう」

 チクショウ。
 何が鬼子を守るだ。
 石っころから守ってやれることすらできないくせに。
 ……チクショウ。

183:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:31:11.42 4a/sXz8B
   十の八

 鬼子は腰を押さえながらも、一歩一歩地面を踏み締めていた。
 どうして鬼子は、ここまで苦しみ抜くんだ。
 身体も精神も傷付き果ててもなお前進をやめることはない。

「もうさ、鬼祓うの、やめようぜ」
 分かってる、こんなの責任転嫁でしかないと。
でも、もう耐えきれないんだ。
鬼子のつらそうな顔を見るのが。鬼子のつらそうな顔をひた隠しにする顔を見るのが。
「感謝のかの字もねえしさ、くれるのは石ころばっかりじゃねえか。こんな見返りのないことやったって、意味ねえよ」
 こう言うしか救う術の見つからない浅はかな俺をぶん殴ってやりたかった。

「わんこ」
 鬼子が口を開く。
「あなたは将来、何になりたいの?」
 その口調はやわらかくて、あたたかいものだった。
操り人形じゃない。生身の鬼子の声だった。
「い……一人前の、里山守だよ」
 鬼子のようなやさしさを持つ守神になれたらどんなに素晴らしいことか。
そう夢見た俺だが、その意志は折れそうになっている。

 里山守ってのはつまり、人間を守る神だ。
 俺が守る人間とやらは、果たして守るに値する存在なのか?

「そのために今、何してる?」
 鬼子の問いに人間不審の念を一旦隅に置く。
「守になるための……修行だよ」
「私がしてることも同じことよ。こにぽん、畑の邪気も祓っておきましょう」
「うん!」
 小日本が畑で舞踏する。

 同じこと……。石をぶつけられても、貶されても耐え忍ぶことが修行だっていうのか?
 分からん、全く分からん。

「めばえ咲けぇ!」
 黒く汚染された土壌が潤い満ちた耕作地に変わる。そしてそのやわらかい土から芽が生え、成長する。

「みんな、ウソつきだったんですね……」

 秋の夕暮れ、鬼子が独り言を呟いた。
 ああ、そうだな。
 鬼子だって嘘吐きだ。俺だって嘘吐きだ。
 どうして本音でぶつかり合えないんだろう。どうしてこんな悲しくなるんだろう。
 分からん、全く分からん。
 唯一分かるのは、俺たちの戦いはこれからも続く、ということだけだった。

 きっと、永遠に。

184:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 00:50:08.38 4a/sXz8B
   十の九

   φ

 日本さんたちと出会った翌日、アタシは再び都市へと赴いた。
 いや、決めつけないでもらいたい。アタシだって同人誌を買う以外の目的で電車に乗ることだってある。
 今日のおでかけの目的は他でもない、日本さんとこにぽんへのプレゼントを買うためだ。
別に地元で買ってもよかったんだけど、質を求めるならば、大きな店へ行ったほうがいい、との判断でだ。
結局お金がなくて安物になっちゃったんだけどね。

 帰りの電車を降り、古めかしい時計塔のある駅舎を出ると、空もいい感じの橙色に染まっていた。
 駅前の青いイチョウ並木を歩く。
 人々で賑わってはいるが、相変わらず道路はボロい。観光で生きてる町なんだから、歩道をもう少し広げてほしいもんだ。
 などと詳しくもない地方自治に対して愚痴を思っていると、どこからか聞こえる女の子の泣き声に気付いた。
 花の香に誘われる蜂のようにその声の元へと足が進む。

 そこには、ボロ生地が重ねられた黒い浴衣の女の子が大声で泣き喚いていた。
青白い肌はどこか不健康で、帯まで届くツインテールの髪はぼさぼさしている。
無意識に日本さんの髪と比べてしまうけど、アレは特殊で、こっちがいわゆる普通の髪だ……と思いたいが、
多分この子の髪はあまり洗われてないと思う。
 何より目を惹いたのは、つぎはぎだらけのクマのぬいぐるみだ。
少女はその片手を握りしめているが、首はだらりと垂れ下がり、足は地面を引きずって泥まみれになってしまっている。

 街路を行く大人たちは小さなSOSを完全に無視し、通りすぎていく。
 そりゃ、仕事は忙しいだろうし蒸し暑い日が続くから面倒事は避けたいってのが常だろうさ。

 でも、世間ってのはこれほど冷たいもんなの?
暑いから冷たくしようとかデタラメ考えてるんなら、アタシは世間ってのをぶっ飛ばしてやりたい。

 だから、女の子と同じ目線になるようしゃがみこみ、枝毛だらけの髪をそっと撫でてあげた。
「キミ、迷子になっちゃったの?」
 できる限りやさしい声で語りかける。ぶっちゃけこういう場面に出くわしたことがないからアドリブ全開だ。
見切り発車というものだろうが、乗り掛かった船ともいう。

「……はい」
 陰湿な口調だけど、見た感じの歳にしては礼儀よく返事をしてくれた。今どき珍しい子だなあ。
「お母さんかお父さんはいるの?」
 ふるふる、と首を横に振る。一人のようだった。
「おうち、どこだかわかる?」
「大きな神社の近く……」

 大きな神社。言うまでもない、祖霊社のあるあの八幡宮だ。
駅からだと歩いて数十分のトコだけど、子どもにとってその距離は国と国を跨ぐような長さになる。
 同時に八幡宮はアタシの家の方角でもある。
「じゃあ、お姉さんと一緒に行こうか」
 女の子はこくり、と頷くと手を差し伸べた。二人で手を繋ぎ、歩きはじめる。
「ここまで、一人で来ちゃったの?」
「はい」
「どっか、行きたいトコがあったのかな?」
「いいえ、ただちょっとお散歩をしてたら、いつの間にか知らないところまで来てしまったんです」
「そっか……」

 二人で歩く大路は、どこかゆったりと時が流れているようだった。
女の子の歩幅で歩いているからかもしれないけど、不思議と懐かしい気分がしていたからなのかもしれない。

185:避難所より転載
11/08/19 01:20:09.07 L+6q05hL

   十の十

「あ、そのぬいぐるみ、すごく大事そうにしてるね」
「ワタシの『オトモダチ』ですから……」
 ギュ、と玉だらけのぬいぐるみを抱きしめた。
「その子の名前はなんて言うの?」
「名前ですか? 名前は……」

 自然と会話が弾んだ。
 女の子はおとなしい子だったけど、居心地の悪い空気は感じられなかった。
質問に「わからない」という答えを出さないはっきりした子だからなのかもしれない。
口数は少ないけど、聞き手としての素質があった……なんて評価する立場の人間じゃないけど。

「あ……」
 日も暮れ、一番星が見えだす頃合に女の子は立ち止まり、上を向いた。アタシもつられて上を見る。
 大きな赤い鳥居が目の前に立っていた。その圧倒的な存在感に言葉を失う。
「おねえさん、ありがとうございました」
 ぺこり、と手入れの不届きな長髪を揺らした。
「いやいや……というか、もう暗いし、家の前まで送ろうか?」
「いえ、ここまで来れば大丈夫ですから」
 子どものクセに遠慮をわきまえている。十年前のアタシにこの子を見習えと言ってやりたいね。

「あの、名前、教えてくれませんか?」
 ぬいぐるみを抱きしめ、女の子が訊いてきた。
初めて向こうから話しかけられたからちょっと驚いたけど、それ以上に嬉しい気持ちの方が強かった。
「アタシ、田中匠。男の子っぽい名前だけど、中身は純情乙女なんだ」
 純情乙女と書いてオタクとルビ振ってやってください。

「田中さん……」
 女の子は名前を小さく呟き、よれよれのクマのぬいぐるみを差し出した。
「これ、もらってくれますか」
「え、でもそれ、『お友達』なんでしょ?」
 こくり、と頷いた。そんなの受け取れるハズない。
「田中さんはお友達だから、きっとワタシの『オトモダチ』も大切にしてくれると思いますから。それに―」
 すっと、息を吸う。
「その子を渡しておけば、またいつか会えそうな気がして」
 「友達」という言葉を聞いて日本さんにお説教した言葉を思い出した。

 一緒にいて、話して、少しずつ相手のことが分かってきてさ、嫌なところを見つけちゃっても、
それでもやっぱり一緒にいてもいいなって思える存在……っていうのかな?

 また同じことをこの子に言いそうになったけど、この子に言っても仕方ない。
 それにこの子とは随分前から親しくしていたような、そんな気がした。

「……そうだね」
 だから、彼女からぬいぐるみを貰うことにした。彼処に修繕痕がある。長いこと一緒にいたことが実感できる。
「それでは、田中さん、また遊びましょう」
 そう言って、女の子は手を振り、雑沓へと溶け込んでいった。

 ……今更だけど、彼女の名前を聞きそびれちゃったな。
 でも、根拠もなくまたすぐに会えるような気がしていた。
「あっ」
 帰り路を歩こうと思ったそのとき、思いがけぬ忘れものに気が付いた。

 わんこのプレゼント、買ってないや。

186:創る名無しに見る名無し
11/08/19 13:08:09.94 +BB/tJiE
>>185
転載乙。・・・でも、まとめる人が後で歌麻呂さんの作品を抽出しやすいように
どこかに「歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg」を入れればもっといいんじゃないかな?

嘘月鬼・・・ほんの一時とはいえ、鬼子を喜ばせたと見るべきか、それとも上げて落としたと見るべきか・・・・
破滅するまで現実逃避させる鬼・・・恐ろしすぎる。
あと、にげてー田中さんにげてー
はんにゃーが神代クラスになってる Σ(゚д゚ ) いったい、実年齢はいくつなん・・・・あ、はーい。誰だろ。宅配便かな?

187:歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
11/08/19 22:02:00.68 4a/sXz8B
>>186
嘘月鬼、登場させるのかなりビクビクしました。
まあこんな感じで、これからも私なりの心の鬼を
いくつか登場させていきたいと思います。
そうそう、般にゃーの年齢はですn……おや、庭が騒がしいぞ?

188:創る名無しに見る名無し
11/08/22 01:12:36.28 mJelXS9i
>>175-185
むむむ?人間は、鬼のことや鬼子のことをどう認識してるのかしら。
自分の心が鬼を生むことがある(今回なら自分の嘘が嘘月鬼を生んだ)と分かってるのかな?
鬼子が人に仇なした鬼と戦っている姿を見てなお、鬼子が直接的な災いの元だと思うのかな?
(形だけの感謝さえなく、すぐに石を投げて追い出そうとするほどに)
鬼同士の共食いとでも思っているのか、それとも「鬼」全体に対する怒りの八つ当たりなのか…。
読解力がなくてすみません…。

そういえば、小日本は武器だけは代表デザインと違うんですね。
たしかに穢れを祓うのが彼女の能力だとすれば、鈴だけで充分かな。
わんこがそのまま背負ってるから、帯の真後ろにでもつけるのかな?かわええのう。

わーたんが礼儀正しい女の子でびっくりです。こういうのもいいね!
田中さんは、鬼子の家に行ったから、わーたんが「見えちゃった」のかな。
あ、おうちが神社の近くにあるってことは、その辺に天魔党のアジトでもあるのかしら?わくわく。

小日本のスポットライトから穢れが判明するところの描写、最初はうまくイメージできなかったけど、
二度目に読んだときは、なんて鮮やかな映像なんだろうとはっとしました。
あと、
「アマテラスサマが仰ってたことを考えると、肺臓に穴が空きそうになる。」
この憂鬱と悲しみの感じ方が、誇り高い般ニャーらしくて好きです。

189:創る名無しに見る名無し
11/08/22 14:14:33.29 uiJdYm8P
>>188
おそらく、「自らの心から生まれた鬼」は認識してないと思われ。誰だって自分の醜い部分は直視したくないもの。
そんな時、目の前に異形の娘が居る。こんなに攻撃しやすい対象はないとおもわれ。
これがゴツいオッサン鬼でバカでかい金棒をもってる異形の鬼だったら逃げ惑うだけだったろうな。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch