10/10/30 16:16:39 fO96GI3P
☆☆☆
「まさに理想の女の子ってそう思っていたのにっ!」
「あら、本当?うれしいわ鬼子。」
にこり、と子供のように邪気を感じさせない笑顔。
が、その裏でがっちりと私の腕に組み付いて離さない力はまさに悪魔級。
「だから西洋さん。私には、」
「魔子。」
「いやね、西洋」
「魔、子。」
くっ。かわいらしい顔をしてなんて強引な。
「……魔子。」
「はい、鬼子。」
「いい加減、腕を離してくれない?」
「い、や。」
そう、授業が全て終わって、下校途中の今。彼女は私と腕を組んで離さない。
転校初日、何かと不便だろうと世話を焼きまくったせいかわからないが。
昼休み、この超絶美少女西洋魔子ちゃんはあろうことか、食事の時間に爆弾発言をかましやがったのだ。
「私、あなたのこと好きになっちゃったかも。」と。
頬を染めて上目使い。恋する乙女の顔だった。
認めたくはないが、クラスの中でも一際浮いている私である。
その私に向かって、こともあろうにこの悪魔っ娘は言いやがったのだ。
好き、と。
水を打ったように静まりかえる教室。
いや、そこかしこでひそひそとささやく声が聞こえる。
百合?マジで?ああ、でも日本さんだし?等々。
なぜか、私を百合っ娘にして、雛鳥たちが新たな餌に食らいつく。
そして、「お幸せにね?」「応援してるからね?」などとなぜか疑問形でみな口々に言う。
否定しようとしてもあまりの事態に頭と口が追い付かず、私が茫然としている間に、魔子がありがとーなんて暢気な声で応じていた。
「私は友達が欲しかったのに……なんで百合っ娘が……」
「あら?友達より恋人の方が素敵だと思わよ。」
「その恋人が男ならね。」
「うふふ、その認識がいつまで持つかしら。」
ひぃっ。
今の顔怖っ。獲物を見つけた猟師の、それも狩る顔だったわ。
ガチすぎる。
ああ、もうほんとに。
「どぉしてこんなことになってるのよぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!」
(完)
ロリババァは正義。
280:創る名無しに見る名無し
10/10/30 17:20:25 tYvSztCG
やっとおいついた
みんな描写が映像みたいにうつるわ、おもしろいww
でもリレーssって一人でたんたんと進めていくんだな、
はじめて知ったぜwwww
281:創る名無しに見る名無し
10/10/30 18:20:42 +7FdfuOL
リレー小説には触れないようにしよう
そのうち諦める
282:創る名無しに見る名無し
10/10/30 18:40:08 U0DwMrGz
ニュースから来た一見さんなんですが、
性別年齢容姿も萌えであれば、一切空白なんですよね。
萌えの男性キャラという変わり種も見たいです。
283:創る名無しに見る名無し
10/10/30 18:54:55 G4wb1daV
なんだよここにも沸いたのか
284:創る名無しに見る名無し
10/10/30 19:15:46 hR0tesCB
>>282
俺も見たい、が、やったらダメな雰囲気
ショタとか男の娘な鬼子とか描いてみたい、が、やったらダメな雰囲気
どうせ鬼子♀が鬼子♂に犯されるのとかが量産されるんだぜ、それにカプ厨がうぜえ
って言う層は嫌がりそう
285:【リレー小説】振り返れば日本鬼子がいる
10/10/30 20:03:19 pUAMd/p+
だが、人民解放軍は「お前らで何とかしろ」とけんもほろろだった。
警察と軍はどこの国でも犬猿の仲なもの。偉い同士、いばりん坊同士、嫌われ者同士。
同族嫌悪でいがみ合うのだ。
敗れた武装警察は全滅状態だった。
街はあっという間に無法地帯と化していった。略奪、破壊、性暴行。ありとあらゆる悪がまかり通った。
普通の警察=公安でも手のつけようがなかった。
大殺戮の後、鬼子はいずこへともなく姿を消した。
報道管制が敷かれ、徹底的に報道がシャットアウトされた。
ネットの書き込みは次々に削除された。
だが、「次はこの街に現れる」「北京か上海が全滅させられる」という恐怖は、中国全土をあっと言う間におおっていった。
286:創る名無しに見る名無し
10/10/30 21:44:07 32UJwY/0
男性化はそのうち801板のお姉さま方が勝手にやるでしょう。
わざわざここでやる必要もない。
287:創る名無しに見る名無し
10/10/30 22:15:57 J/vgaqCu
島根県。出雲市在住の男子高校生はその夜、妙なモノを見た。
自分以外に誰もいない、夜の海水浴場。たまに非行少年、あるいは少女がうろついているときは諦めるが、
気分が沈んだ時にはここで腰を下ろして、ぼんやりと海を眺めるのが少年の趣味だった。
雨でも雪でもここには来るつもりだったが、幸い今日は良い天気だった。月光に照らされた水面は、絶えず波音と共に揺れている。
と―
「……?」
大した意味などないが、手庇を作っていた。不自然な飛沫が、遥か遠くに確認できたのだ。
それが近付くにつれて、心地よい波の音に雑音が混じり始める。
海水浴客―11月も目前の真夜中に? ありえない。なら酒に酔った者が遊び半分に海に入って、死に物狂いで浜を目指して泳いでいるのだろうか。
仮にそうだとしても、助ける気にも嘲笑する気にもならない。何しろ今日は、想いを寄せていた女子に彼氏がいたことが発覚した日なのだ。
別のクラスの同級生。去年同じクラスだったその男子の顔が頭から離れない。冷たい海風に体温と、堂々巡りを続けている思考を奪い去って欲しい。
何にせよ、この時間は誰にも邪魔されたくない。
頭の醒めた部分が、海から接近してくる物体を観察する。妙なシルエットだ。犬のようだ。 背中に何か乗せており、毛並みは白い。にしても巨大だ。
狼と表現した方が的確かもしれない。
何分経っただろう。浜辺に打ち上げられるようにして、犬は久村海水浴場に巨躯を横たえた。
その上に跨っていた人間―紅葉柄の着物を着た若い女は、長いストレートの黒髪を揺らしながら砂浜に降り立ち、犬の頭を撫で始めた。
「お疲れ様。日狗」
舌を出してダレているペットの名前らしき単語を女は口にしたが、聞き取れなかった。日本ではまず使わないような音が混じっている。リーゴウ、だろうか。
怪物じみた大きさの犬から、和装の少女に視線を移す。紐を通した般若の面を首に掛けている。手には薙刀。祭りの会場にいたら、さして違和感はないかもしれない。
遠泳を続けてきた犬を労う少女の面は、美人と呼んで差し支えないだろう。細い曲線を描く左右の眉の上あたりに、腫れもののような膨らみが二つあるのが玉に傷だ。
逃げるわけでも近づくわけでもなく、少年はその一人と一匹を眺めていた。女の額の出来物は、角のようにも見えるな、と思ったところで、女と視線がぶつかった。
「あ……」
間の抜けた声に聞こえた。隠れていたわけでもないのに、彼女はこちらに気付かなかったらしい。冷たい海を渡り終え、周囲に気を配る余裕がなかったのかもしれない。
「つかぬことを伺いますが、ここはどこでしょうか」
か細い声だ。夜の闇と同じほど黒い少女の瞳を見返しながら、少年は答えた。
「久村海岸だけど」
「日本ですか?」
格好と同じく、質問の内容もぶっ飛んでいる。あまり関わり合いにならない方がいい人種かもしれない。
「そうだよ。ちなみに久村海岸は島根県出雲市内にある海水浴場」
「島根……」
安堵したように溜息をついた女が、巨大な犬に声を掛ける。
「よかった日狗、私たち、ちゃんと日本に着いたみたい」
「どこから来たんだよ、あんたら」
投げやりな声で問う。
「私たちですか? 中国です」
「おいおい……冗談にしても―」
言葉を継ごうとしたところで、女が深々と頭を下げる。
288:創る名無しに見る名無し
10/10/30 22:18:59 J/vgaqCu
「申し遅れました。私、日本鬼子と申します。中国から参りました」
「ヒノモトオニコさん。あんた何しに来たんだよ」
「何をしに……」
虚空を見つめてしばし黙考した後、鬼子と名乗った女は言う。
「日中関係をより良くするため、でしょうか。親善大使とか、交歓留学生とか、そんな感じかもしれません」
また漠然とした目的で訪日したものだ。
「その割には物騒な物を持ってるけど」
月の光で煌めいている薙刀の白刃を見ながら、少年は言った。
「あ、誤解しないで下さい。これはですね―」
バトントワリングのようにして薙刀を回転させながら鬼子は続けた。それまでと打って変わった、冷たい声音で。
「人の悪しき心―鬼を倒すための道具です」
「……へえ」
浜辺から腰を上げ、ジーンズの尻に付いた砂を叩いて落としながら、少年は唇の端を持ち上げた。
ひどく暗い、それでいて愉快な気分になってきていた。
薄い雲が月に掛かり、闇が濃くなる。
「じゃあ俺が、この国であんたがあった鬼の第一号―になるのかな」
「残念ながら」
鬼子の傍らの犬が、獰猛な唸り声を発している。
「私一人で大丈夫。だからあなたは休んでて」
視線をこちらに固定したまま、少女は犬に語りかけた。
薙刀の切っ先をこちらに向けた鬼子が、地を蹴って突進してくる。
十メートル以上開いていた距離を、一瞬で詰めてきた。大した瞬発力だが、初撃の突きを避けるのは容易かった。頭の位置をずらすだけでいい。
続けて首を刎ねる為に放たれた横薙ぎはかなり鋭かった。突きは様子見で、本命はこちららしい。油断した。舌打ちしつつ、後ろに跳躍してやり過ごす。
が、足がわずかに遅れた。更に速度の増した、鬼子の三度目の斬撃はそれを見逃さない。着地した時には、既に左足は身体から切断されていた。
「あらら」
右足一本でさらに距離を取りながら、少年は呟いた。
出血も痛みもない。砂上に置き去りにされた自分の左足は、深紅の光の粒子になって散っていった。
少女の着物の柄と同じ、紅葉の色にひどく似た色だ。
悪夢だ。なぜこんな目に遭っているのだろう。あの女は俺のことを鬼と言っていた。いや、自分で名乗ったのか?
数秒前の会話すら思い出せない。思考がほとんど停止している。
「他人を妬む気持ちに取り憑かれても、いいことなんてありませんよ」
気付けば鬼子の瞳には、鮮やかな赤い色が差し込んでいた。どちらが鬼なのか、判ったものではない。
「ああ、そうか」
そう言われて、少年はようやく自覚する。俺はあの男を憎んでいたのか。
胸を衝かれたような衝撃があった。鬼子の先に広がる海へ漂わせていた視線を、自分の身体に向ける。
胸の中心には、薙刀の刃が根元まで突き刺さっている。
「おい。これって投げて使ったりするもんなのか?」
「生憎と我流なので、詳しいことは……」
鋭くなった目付きを一瞬で元に戻した鬼子は、語尾を濁した。瞳の色も黒に戻っている。
「くそ……今なら誰と喧嘩しても勝てそうな気分だったのにな。やたら身体が軽かったし」
刃の刺さった胸の中心から、緋色の輝きが零れ始める。
「辛いことも多いと思いますけど、頑張って下さいね」
「他人事だと思って、適当に励ましやがって……」
「すいません」
律儀に頭を下げている。
「まあいいや。―有難う。少しだけ気が楽になった」
「じゃあ、心おきなく萌え散って下さい」
少女の控えめな笑顔を最後に、視界が赤一色に染まっていった。
うとうとしていたのだろうか。喉の痛みで目を覚ます。鼻が詰まっているし、頭も痛い。間違いなく風邪だ。
間抜けだ、と思いつつ、得をした気分にもなっていた。とても良い夢を見ていた気がする。
内容はほとんど思い出せない。
ただ―
白い獣を駆る、和服の美しい少女が登場することだけは鮮明に憶えていた。
289:創る名無しに見る名無し
10/10/30 22:20:30 J/vgaqCu
オワタ
しかし人の心に巣くう鬼って良くわからんな
290:リレー2
10/10/30 22:39:30 tYvSztCG
そして僕は神になった
完
291:創る名無しに見る名無し
10/10/30 23:09:44 vzaNxw1/
「体長15フィートの虎? それも電脳世界から飛び出してきたと?」
「キミは部門長としてよくやってるとは思うが、少し疲れてるのではないかね?」
「今回のサイバーテロは、担当者によってうまく対処出来た。それで良いじゃないか」
…………
……
「なあ、ケン」
「はい」
「例の『日本鬼子』は、その後どうなってる?」
「え、あぁ……今はその、男性化を進めている模様です」
「な……!」
「更に言うと、ショタや男の娘化も模索しているようです」
「…sho ta…?」
「あぁ、ショタっていうのはですね……」
【メガネ好青年説明中】
「何故そんな事を? あのミステリアスな美少女を、どうしてそういう風に変えたがるのか?」
「分かりません」
「一歩譲って容姿や衣服をモディファイするのは認めよう。いや寧ろ積極的に行う事を期待したい」
「だが性別変更はダメだ! ましてやその……あぁクソッ、日本人は全員ペドフィリアかっ!!」
「いや、あの」
「それと未だ説明を受けてないが、その男の娘(Man's daughter)ってのも、どうせクソッタレなものなんだろ?」
「いいえ、ボス。それは正しくは、男性な娘(Male's daughter)と言いまして……」
「どっちでいいわ、そんなもん! その名称からして既に怪しさ大爆発じゃないか!」
「あーもういい、聞きたくない! 俺はもう何も聞きたくないぞ!!」
(仕事と家族以外の事で、こんなに熱く語るボスを見るのは初めてだ)
「……で、キャラクタ案の最終投票が明日行われる予定になってまして」
「なに、それは本当か? ……いやどうせ真っ当な女性じゃないんだろ?」
「いいえ、ボス。こちらは本流の話なので、女性です」
(ツノは付いてるけど、説明がメンドクサイから流しとこう)
「なんと、そうか! 俺はまた会えるんだな、あの娘に! それも更にグレードアップした状態の!」
「ええ、但しグレードアップは投票の数日後と思われますが」
「おうっ、そのくらい待つさ。……ケン、業務の合間で良いから、そのサイトの監視をしておくように!」
「イ、イエス、ボス」
(い、言えない……その他のは兎も角、男の娘はちょっと良いかな、と思ったなんて口が裂けても……!)
292:【リレー小説】振り返れば日本鬼子がいる
10/10/30 23:26:04 pUAMd/p+
警察でもどうしようもない日本鬼子が、明日にも襲ってくるかも知れない。
いつ終わるとも知れぬ極限の恐怖は、やがて、徐々に無気力さと快楽至上主義を蔓延させていった。
一月を待たずして、欲望と悪徳にまみれた中国の化けの皮ははがれ落ちていった。
他人の物を平気で盗む者、つまらないイザコザから人を殺す者、女と見れば暴力で犯す者、
自分の娘や息子と相姦する者。それが伝えられ、世界中が恐怖した。
必死に正そうとする者の声は、ほとんどの者に届かなかった。
そうして人々は、偽りの繁栄、偽りの豊かさを、自らの手で破壊していったのだ。
繁栄や豊かさは全て、見かけ倒しの偽りだったということにも気づかぬまま……。
永遠とさえ思われてきた、中国の繁栄は幕を閉じ、堕落と荒廃の日々がとって変わった。
中国を覆ったこの悲劇は、しかしほんの前触れに過ぎなかったのだ。
293:鬼子、受難の文化祭
10/10/31 00:15:14 4nLkwx1L
「ん~。」
「$%&∀∑∠★☆!!!!」
「んちゅっ、あむ、ちゅる、はむん。」
「¥&%$3#☆∑∀∠!!!!!」
私、日本鬼子。
頭に被った般若面がちょっと自慢のただの普通の女子高生。のはずだったんだけど。
今、私は同級生の金髪碧眼、超絶美少女西洋魔子ちゃんから、だだ甘濃厚べろちゅーをされている。
正直、頭がついていけてない。フリーズしている私の口内をこれでもか、と魔子が蹂躙し尽している。
あ、私冷静だ、とか、初めてなのに、とか、気持ちいいかも?、とか色んなことがぐるぐる渦巻いて、声なき叫びを上げるのが精一杯。
でもとりあえず、これだけは言っておこうと思う。
……私はノーマルだっ!
☆☆☆
あの悪夢の日から一週間、未だに私は魔子に付きまとわれている。
昼食時に放たれた魔弾のごとき魔子の告白は、すでに学校中に知れ渡っている。
おかげで私は同級生からだけでなく、下級生、上級生からも変な意味で目立つようになってしまった。
私は女の子が好きではない。あ、いや、人間的に、とか友達的にも好きではない、というのではなく。
ただ、そう、恋愛対象とか性的欲求の対象として、私は同性を見ることができないのだ。
だというのに、件の転校生、10人いれば10人が綺麗、かわいいと言うようなそんな美少女、西洋魔子は、私を恋愛対象として見ているのだ。
父親の仕事の都合で海外からやってきた彼女。どうやら向こうでも女子高のようなところにいたらしく、幼い頃から女の子に囲まれて育ったせいか、好きになるのも常に女の子であったという。
そんなバカな、と思ったものの、本人からそうなのだ、と言われてしまえば納得せざるを得ないわけで。
とはいえ、だからといって私が彼女の気持ちに応える義務などどこにもない。
確かに、彼女はかわいい。それはもう私のような平凡な日本人なんかとは比べものにならないぐらいのかわいさだ。
緩やかにウェーブした金髪はふわふわの砂糖菓子のようで、涼やかな蒼穹を思わせる瞳は吸い込まれそうなほどに碧く、
整った高い鼻筋、桜色の綺麗な唇、彼女を構成するパーツというパーツが全て完璧なほどに美しく、
神がそうあるべくして配置したといわんばかりの黄金律で配されていた。
だが。だがしかし。だが、しかし、である。
私にその気はない。
私は百合ではない。男が大好き―というと語弊ありまくりだが―の、本当に普通の女の子なのである。
だから、私は彼女に言ったのだ。
女の子とは無理だから、と。
が、魔子はめげなかった。めげなかったというよりしつこかった。そして怖かった。
こう、口の片端を釣り上げて、笑っているのに笑っていない目で言ったのだ。
「大丈夫。私が教えてあげるから。」
鳥肌が立って、体が震えた。
いったい何を教える気だ、なんて当然の疑問が涌いたけれど、終ぞ聞くことはできなかった。
本当に、その時の魔子は怖かった。
そのときからだ。今日まで一週間の魔子の攻勢が始まったのは。
登下校はもちろんのこと、移動教室の時でさえ、彼女は私と腕を組んで歩き、食事時にはあ~んして、なんて男が夢見る―『月刊 大和撫子』の恋愛指南コーナーに書いてあった―
シチュエーションを平然と行い、常に恋人同士であろうと私に接してきた。
魔子ほど可愛い女の子に懐かれて悪い気はしないが、それはそれ、である。
隙あらば私の唇他を狙う、割と不埒な心の持ち主だということが分かったものの、女の子に対して乱暴なこともできず、いつも押されっぱなしだった。
それでも最後の一線はなんとか突破させはしなかったのだけれど。
294:鬼子、受難の文化祭
10/10/31 00:16:25 4nLkwx1L
そうして毎日のように彼女との恋?の攻防戦を繰り返して週末を迎え、ひとまず落ち着けると思った昨日の日曜日。
なんと魔子は我家に押しかけて来るという荒業までやってのけた。
あの時の祖母―厳しい鬼ババ、見た目幼女―の顔はめったに見られない困惑顔でざまぁ、なんて思ったものの、ざまぁな目に合ってるのは自分だと気づいて一人落ち込んだものだ。
あと、日本家居候の自称心に住まう鬼という鶏冠野郎が何やら興奮して盛っていたような気もしたが、得意の薙刀で摩り下ろしてやったので、きっと気のせいだろうと思うことにした。
早く家から出て行かないかな、アレ。
そんなこんなで一週間、ひとまず魔子の攻撃を潜り抜け、今日の最終授業まで生き抜いた。
今は来月の文化祭でやるクラスの出し物を決定するLHRの時間である。
「とまぁ、こんなわけで各クラス、何かしらやらないといけないわけですが、誰か―」
「はいっ!委員長!!」
勢いよく挙手をしながら立ち上がった魔子が、声を上げて司会をしているクラス委員長の言葉を遮った。
「ま、魔子さん?」
突然のことにうろたえる委員長。そりゃそうだ。ちらりと横を見やると、何やら気合いの入った魔子の顔が見える。
「私に案があります!」
「えっと、何かな?」
何を言う気だ、このおバカ。嫌な予感がビンビンにやってきた。
と恐々としていたのだが。
「演劇がいいと思います。演目は『白雪姫』で。」
至極まともなことを言った。
おや?私の勘も当てにならない、のか?
「お姫様は鬼子!そして王子様役はもちろん、私!!」
ぶふっと、変な音が口から転び出た。
……嘘だと言ってよ、委員長。
295:鬼子、受難の文化祭
10/10/31 00:18:02 4nLkwx1L
「え、ちょっと、魔子!」
「なぁに?」
笑顔で小首を傾げる。くそっ、可愛いな。じゃなくて!
「あ、あんた何変なこと言ってるのよ!?」
そう。私が白雪姫だなんて無茶振りもいいとこだ!!
「え~?魔子、変なことなんて言ってないよぉ~?」
こ、この悪魔っ娘め。いつもは使わないぶりっ子口調なんぞで惚けおってからにっ。
ええい、私にヒロインなんてできるわけないでしょ!クラスのみんなだって呆れてるに決まってる!!と言おうとしたら。
「はーい。私、さんせー。」
「私もー。」
「いいじゃん、面白そー。」
「定番だけど、それだけにやりがいがあるわね。」
「いよっ、熱いね、お二人さん!」
なんて、クラスメイトに後ろから撃たれるような仕打ちを受けてしまい。
え?え?、と私が混乱している間に。
「それじゃ、賛成多数ということで、文化祭の出し物は演劇、『白雪姫』、日本さんがお姫様役、魔子さんが王子様役ってことで決定しますね。」
と委員長が〆に入り。
「は~い!」
まるで小学生のように元気な答えが29人分返ってきて。
私が、ヒロイン役に、決まってしまったのだ。
……嘘だと言ってよ、委員長。
296:鬼子、受難の文化祭
10/10/31 00:20:42 4nLkwx1L
☆☆☆
耐えに耐えて、文化祭本番。
恥ずかしながらも一生懸命に練習し、クラスのみんなとの距離も大分近づいてきた、なんて舞い上がっていたのがいけなかったのだろうか。
ラスト、王子様の口づけで目覚めるシーンで、魔子がこんな暴挙に出るなんて。
真っ白になった頭で思う。
「ぷはぁ。」
苦しい、という私の心を呼んだかのようなタイミングで魔子が離れる。
ツゥっと。
白銀の糸が私と魔子の唇を結ぶ。
目の前で行われた過激な演技に、舞台前の観衆が静まり返った。劇の間中、たまにあったひそやかな笑い声さえ聞こえない。
なにやら、鶏冠野郎が鼻息荒くパイプイスを前後にガッチャンガッチャン揺らしているような気がするが、きっと気のせいだろうと思いたい。
後で覚えてろ。
「ほら、まだ劇は終わってないよ。」
囁く魔子の声に促され、もはや一かけらの気力も残っていない私は、言われるままに残りの演技をやり遂げた。
王子と姫が手と手を取り合ってお互いに見詰め合う。
七人の小人が二人の周りに集まって、めでたいめでたいと喜びのダンスを踊る。
姫と王子、二人が愛を囁きあって。
そして幕。
体育館を揺るがす轟雷のような拍手の中、にこにこ顔で手を振り礼をする魔子とは裏腹に、抜け殻となった私の瞳からは意思の光が消え失せ、言われるままに動くことしかできなかった。
それ以降、その日の記憶はない。
翌朝、目覚めるとそこは家の中で、縁側の雨戸を開けると庭に鶏冠野郎が首だけ出して埋まっていたのが見えた。
(完)
鬼子のキャラがブレた。女の子を書くのは難しい。
そして、削除ミスも一つ。
最初の>嘘だと~は削って読んでください。
そして、百合百合女子高生モノしか妄想できなかった俺の貧困な妄想力を許してください。
297:創る名無しに見る名無し
10/10/31 00:27:55 SCHgy3RI
>>296
乙
298:創る名無しに見る名無し
10/10/31 00:31:46 1p39SPod
>>296すごく…百合です…
こう…ドキドキしますた…
299:創る名無しに見る名無し
10/10/31 02:39:43 pKZmsxRt
リレーの奴はここの連中はこういう事やってるぞとか言って批判させたいのか?
創作としてただの無双物、十分な火力を持つ鬼子を軍がほっておくはずがない
日本人として認識されてるならば、軍が政府を介して日本弾圧に踏み切る展開など、もっと想像力を見せろ
後もうちょっと設定など掘り下げてがんばってくれ
次回作に期待