【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】at MITEMITE【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト200:199 10/10/29 00:45:34 5L60+is7 すらりと伸びた手足。 黒い濡れ髪。 整った顔立ち。 切れ長の目。 爛々と燃えるように赤い瞳と額より伸びた一対の角がなければ、絶世の美人として後世に語り継がれたかもしれぬ。 この娘は鬼であった。 人の心を喰らう物の怪は数居るが、この鬼の好物は“怒り” 仲睦まじい夫婦を引き裂き、玉のような赤子を踏み潰し、手塩にかけた家畜を食い散らかす。蹂躙された者どもの憎悪こそ、この上ない甘露。 無論、人もただ手をこまねいていたわけではない。あの手この手と退治するための策を弄していた。 そしてついに、その労力が報われるときが来たのだ。 「おのれ人間め……!」 息も絶え絶えな鬼。その怒りに満ちた視線の先に居たのは、ただ一人の男。 岩を砕く怪力も、鉄を切り裂く爪も、目にも留まらぬ俊敏さも、この男には通じなかった。全て不可解な力で返され、いとも簡単にねじ伏せられてしまったのだ。 「何より腹立たしいのは、地べたに這いつくばる我が身の不甲斐なさよ。ああ熱い。怒りで身が焼けるようだ。地獄の業火とはこのようなものか!」 集落を襲い、多くの人々を苦しめてきた退治すべき鬼。 それを見下ろしながら、男が感じていたのは“安堵”でも“優越感”でもなかった。 この娘は人々の怒りより生まれ、怒りを喰らい育ち、怒りに身を焦がしながら死ぬ。 それは、あまりにも哀れすぎるのではないか。 「娘よ」 自惚れかもしれぬ。 「そなたは生きよ」 この場で成敗しておくべきだったと、後悔する日がくるやもしれぬ。 「この世は捨てたものではない。それを教えて進ぜよう」 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch