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猫のエルは看板娘 愛想のなさも人気です
大津「井上靴店」 命救われ恩返し
菱屋町商店街にある井上靴店=大津市長等、井上慎一店長(63)=に、アイドル
猫がいる。1歳3か月の雑種の雌で、名前は「エル」。捨て猫で拾われ、一時は病気
で命も危ぶまれたが、今は安住の場所を見つけた。すり寄らず、少し距離を置くなど
猫特有の愛想のなさが、かえって客に「癒やし」を与えているが、エルはそんなこと
を知ってか知らずか、きょうも店内を闊歩している。(西井遼)
床の上に体を伸ばしきって昼寝したり、商品棚に入り込んで体を丸めたり。白と茶の
サラサラの毛をゆらし、大きなまん丸の目でゆったりと店内を見回す。普段は悠然と
しているエルだが、男性客が来ると少し身を隠すなど“乙女チック”な一面も併せ持つ。
そんなエルが、井上さんと妻、和代さん(57)の元にやって来たのは昨年6月。生後
1か月ほどの捨てられた子猫を、和代さんの友人が連れて来た。目やにでまぶたは
閉じ、皮膚もただれて毛が抜け落ちていた。肺炎にもかかり、動物病院で「そう長く
ないでしょう」と告げられた。
だが和代さんは2週間、毎日病院に連れて行き、夜は抱きしめて「絶対、死なせや
しないからね」と声をかけ続けた。名前は光を意味するフランス語「ルミエール」から
取った。「いつか、みんなを照らすような存在になってほしい」との願いを込めて、和代
さんが看病中に名付けた。
1か月が過ぎた頃から、エルは徐々に回復を見せ、美しい毛も生えてきた。今年5月、
市内の大型商業施設内にあった店を今の場所に移したのを機会に、和代さんはエル
を店に連れて来るようになった。猫嫌いの客への影響は心配だったが、「捨て猫の
エルを昼間、家に閉じこめておくのはかわいそう。そばに置いてやりたかった」。そんな
思いが伝わったのか、エルにひかれて店に来る人も出始めた。(続く)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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