10/05/25 01:34:32 QBF2tV39
深夜特急1ではこう書かれている
パスポートと現金だけは、パンツの中にしまってたり、
首から吊るした皮袋に入れたりして、しっかり抱いて寝る。
それは同室者を疑うとか疑わないとかの問題ではなく、
あとでごたごたしないための、ドリトミー暮らしを
するための最低限のエチケットといってよかった。
Tシャツ三枚にパンツ三枚。半袖と長袖のシャツがそれぞれ
一枚ずつ。靴下三足。なぜか水着とサングラス。洗面道具
が一式。近所の医者が万一の場合にとくれた抵抗物質と
正露丸一壜(たん)。アメ横で買った安物のシュラフと
友人からの貰い物のカメラ一台。ガイドブックの類は
いっさいなく、ただ西南アジアとヨーロッパの地図が
二枚あるだけ。本は三冊、それがザックに突っ込んだ荷物
のすべてである。
ふと、こんな装備でロンドンまで行けるのだろうかという
思いがかすめる。三冊の本のうち、一冊は西南アジアに
関する歴史書であり、一冊は星空についての概説書である。
読める物といえば、もう一冊の中国詩人選集の『李賀』
の巻くらいだが、それはとても何月も飽きずに繰り返し
読めるかどうかは自信が無かった。