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強肩、適時打 重責果たす 日立工・仁田直希主将 茨城大会
2011年7月19日12時27分
日立工・仁田直希
(18日、水城12―2日立工)
「よし、いける」。
1回2死一塁、日立工の捕手・仁田直希(3年)は、
二塁のカバーに入った遊撃手・飛田和裕(同)に矢のような送球をし、
盗塁をもくろんだ一塁走者を悠々アウトにした。
6月中旬、練習中に左足のふくらはぎを肉離れした。
中学からたびたび痛めてきた古傷。
だましだまし練習を続けていたが、
大会前最後の週末の7月3日、福島県立平工との練習試合で再発した。
大会が始まっても痛みは消えない。
しかし、最後の大会で正捕手、4番、主将を任され、休むわけにはいかなかった。
初戦の三和戦で、チームは4失策で流れに乗れず、延長10回と苦戦した。
この日の相手は昨夏の覇者・水城。
わずかなミスも許されない試合の立ち上がりに、最高の送球で強肩を見せつけた。
機動力が自慢の水城だが、この日は、その後一度も盗塁を試せなかった。
打撃でも意地を見せた。
3点をリードされて迎えた4回、無死一、三塁。
1回戦からここまで7打席無安打とバットが振れていない自分に、仲間が絶好のチャンスをお膳立てしてくれた。
初球、佐藤和夫監督から
「外角の直球がシュート回転している」
と助言を受けた通りの球が来た。
ミートを心がけたバットの芯に当たり、快音が満員のスタンドに響いた。
観客席から「入った」とどよめきが起きた大飛球は左中間スタンド手前で失速したが、
フェンス上段を直撃する二塁打となり、
1点差に迫った。
左足を引きずりながら二塁に駆け込むと、反撃ののろしを上げた喜びで、
自然にガッツポーズが出た。
「さあ、これからだ」。
チームの士気は高まった。
しかし、これで奮起した水城の打線が牙をむいた。
その裏、長短5安打を浴びて7失点。
5回は1死も取れず、コールド負けした。
「せめて9回まで」との願いはかなわなかった。
試合後、涙に沈むチームメートが多いなか、
直立不動でじっと前を見て、
水城の校歌を聴いた。
「仲間を励ますのが自分の役目だから」。
泣きたい気持ちをぐっとこらえ、
最後まで主将の重責を果たそうとする仁田がいた。