11/01/19 12:35:28 0
桜は千広に今日でチヒロの手を離すと告げる。世界はとても自分に冷たい気がして
自殺する時も千広の事を思い出しもしなかった。目が覚めた時も嫌でしかたがなかった。
自分を見限らないでいてくれたことを感謝する桜。
千広は病院にユーリを連れてきたり、桜が立ち直り就職するまでずっと支えていた。
桜はもしかしたら昔のように戻れるかもしれないと期待したが、千広の思いはずっと遠くにあった。
優しくて、ただ優しくてじゃあ千広は何のために生まれてきたのか。自分に時間を食い潰されるだけ。
奏は桜が真っ当に生きれば千広の幸せに変わりはない。時間なんてかかるやつは何十年もかかると話す。
何年も何十年かかっても誇れる人間に。まだサクヤは待ってるのか桜が気にすると、
あいつもバカだからなと答える奏。
宇宙人にも魔法使いにもなれないけど たったひとつ桜に使える魔法がある
「千広が支えてくれる手を離してやっと自立できる。歩き出せるって思うの。本当の意味で。
誇れる人間に近づける気がするの。ごめん…ごめんね。時間がかかって、もう全部が遅くて千広の時間を…」
「大丈夫?平気?」
「うん平気…ワタシはもう大丈夫だよ」
「そっか」
桜は泣きながら千広を抱きしめる。
「ありがとう。ありがとう皆が千広がいてくれたから、ここまで来れたよ。負けないでこれたよ。
だからホントに、本当に…」
「うん」
たった一度成功して。桜にしか使えない魔法。たったひとつ。
どうか千広を幸せにする魔法。幸せになって。
屋上で再会する千広とサクヤ。サクヤは涙ぐんで千広に駆け寄る。
よかった。奏さんに。勤め先教えてもらって。会えてよかった。大丈夫きっと大丈夫二人は。
駅で人に突き飛ばされ小銭を落とし、グズと言われる桜。
平気。何てことない。気にしない。世界は今も少し冷たく思えて。だけど負けない。
行こう。自分を想ってくれる他人がいてくれるなら。例えそれがほんの小さな星の光のようでも。
もう聞き逃したりしないように。その声を。その歌を。
「はい」男の子が小銭を拾ってサクラに渡す。微笑むサクラ。
「ありがとう」
おわり