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主人公は、ふたりのNANA。ひとりは、ハチ公と呼ばれている自立心も才能も社会的スキルもない、男にだらしないナナ。
もうひとりは、映画で中島美嘉が同じ顔になってて恐かった、パンクで男勝りなんだけど実は繊細で悲しい生い立ちのNANA。
この漫画のうまいところは、ふたりの対比にもあるけれど、私はなによりナナにあるとみた。
芸能人の彼女になるというのはある意味、女性にとって最っ高の夢なのである。
そこでナナ。仕事は続かない、仕事がないから金もない、すぐやっちゃって男には振られる、才能もない努力もしないというダメっぷり。
ここでナナは読者から、「私も仕事、何したらいいのか分からないの!」「私もフリーターだし」「私も男に惚れっぽくて」
「何をしたいのか、何ができるのか分からない!」という共感をガッチリ掴む。
その上でナナは、女の欲望をこれでもか、これでもかと叶えていくのである。
『NANA』でも、クールで頭脳明晰、女にモテモテのイケメン・タクミは、ちょろっとやっただけのはずの女、ナナと結婚を決意する。
正直、小うるさくて面倒で、しかも識別不明の妊娠までしている女と、なぜ結婚したいのかがまるで分からない。
しかしそんなこたぁどうでもいいのだ。「そうあってほしい」から「そうなる」のが、少女漫画。これで女性に夢を与えるわけだから。
人は誰でも、誰かに必要とされたいと願っている。そしてあわよくば、いろんな人間に好かれてチヤホヤされたい。
もっと言えば、人から必要とされるにはそれなりの努力をしなければいけないが、できれば楽して必要とされてチヤホヤされたい。
ここでもナナは、持ち前のマヌケさを武器にして(つまり何の努力もなく)、「かわいいなあ」などと言われ、ブラストのメンバーにチヤホヤされる。
これも女性が夢見る最高の環境だ。
金も男を見る目もない平凡な女が、次々と妄想を現実にしていく様に、女性たちはもだえ、夢を見たのである。
これにNANAの魅力が加わり、爆発的なブームを呼んだ。
NANAやトラネスの分析は、また別の機会を作って書いてみたいと思うが、つくづく女性にとって魅力の多いストーリーである。
少女漫画に学ぶ[ヲトメ心とレンアイ学]
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