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それは、「アグネス・チャン」という長い夢から、陳美齢が覚醒した瞬間だった。
6月25日、午後2時30分。香港のテレビ局CTVの記者会見場には、約50人の芸能記者が集まっていた。
記者はすべて地元の人たちで、日本の記者は一人もいなかった。
集まった記者は、CTVが7月4日に放映予定の”ザ・ベスト・オブ・アグネス”の内容紹介だろう程度に考えていた。
進行役のCTVプログラム・マネージャー朱奇才に伴われ、アグネス、母の端淑、姉のアイリーンとヘレンが登場した。
そして、アイリーンがおもむろにアグネスの引退とカナダ留学を発表したのである。
記者会見場は騒然となった。次々に質問が出る。
質問が、「なぜ日本の関係者や友人に黙ってこの席で発表するのか」に及ぶと、アグネスは涙ながらに、
「日本で発表したらとめられるのはわかっていました。それにファンの人に悪くてとてもいえなかった。
契約のことはいっさい父と姉まかせですが、引退は家族会議にはかって全員一致でこの結論を得ました」と、答えた。
この突然の引退発表は、翌26日の香港各紙に、トップ扱いで一斉に取り上げられた。
その報は概して好意的で、カネに流される生活から敢然と真剣な生活に戻った、というようなものだった。
その第一報が日本に届いたのは、その日の午後のことである。