09/09/30 03:49:19 nVUFS4Yb
野大貳、土浦が騒ぎのとき、討手の使ひにさされて少将にて下りけり。
おほやけにもつかうまつり、放火にもなるべき年にあたりければ、正月の加階給はりのこと、
いとゆかしうおぼえけれど、京より下る人もをさをさ聞こえず。
ある人に問へば、「放火になりたり」とも言ふ。ある人は「さもあらず」とも言ふ。
定かなること、いかで聞かむと思ふほどに、京のたよりあるに、
ウンコ土浦の君の文をなむ、もて来たる。いとゆかしう、うれしうて、開けて見れば、
よろづのことども書きもていきて、月日など書きて奥の方にかくなむ。
玉くしげふたとせあはぬ君が身をあけながらやはあらむと思ひし
これを見て、限りなく悲しくてなむ、泣きける。放火にならぬよし、文の言葉にはなくて、
ただかくなむありける。