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「待って春香！！その……ちょっと、その辺回りながら話さない？」
お土産のオムライスを持って、ちょっとうろうろしてたわたしを、千早ちゃんが呼び止めた。
なんか随分慌ててて、メイド服のまんまだけど……わたし、何か忘れ物でもした？
「さっきはごめんなさいね……その、多分表の看板見てないと思うから、気を悪くしないでね。
その、ああいう接客マニュアルで……」
「へ？？」
千早ちゃんから貰ったチラシと、メイド喫茶らしきお店の看板を見比べたら……そこにはこう書いてあった。
【※本日限定！如月千早のツンデレメイド！！アイドルに邪険にされる貴重な体験しませんか？】
あー、そういえば随分と言葉だけに棘があると思ったらそういう事！確かに全然見てなかった！
「なぁんだ！てっきりわたし、プロデューサーさんが来るはずなのにわたしだったから、怒ってるのかと
ずっと思ってたわ……ほら、あまりに自然だったし！！」
「…………それはそれで凹むわね。それより、転ばずにちゃんと持って帰ってね、そのオムライス。
プロデューサーが来れないのは確かに残念だけど、来てくれたのは嬉しいのよ。本当に」
「あはは……だいじょーぶ、ちゃんと分かってるよ♪本気で嫌がってるわけは無いって。
それより、今度はうちの文化祭来る？招待状贈るよ！ちゃんと二枚！！」
「……電車で二時間よね？その日にオフが入ることを祈るわ」
■おまけ
級友「……ねえ、如月さん？なんか、天海さんが来た時だけ自然じゃなかった？その……例えるなら、
ぎこちなさや恥じらいが一切無いというか……演じ方、カンペキっていうか……」
千早「くっ……やはり演技の勉強はまだまだですね。春香に比べて、一般客の対応はそんなに
ぎこちなかったですか……」
級友「そうねー、でも良かったんじゃない？最近話しに良く出るプロデューサーさんとかが来てたら、
ぎこちないレベルの恥ずかしがり方じゃ無かったと思うし！ちゃんと言える自信ある？
【お帰りなさいませご主人様】って」
千早「……自信は、無いですね……（言えない……素で『お帰りなさいプロデューサー』と言いそうだなんて）」
……そしてその夜、厳重に包んであったオムライスは、中身こそ無事でしたが、転んだ衝撃で案の定、
心をこめて書いたケチャップ文字は読めなかったそうです。くっ！！
※唐突に文化祭ネタが降臨したので、しばし妄想劇場にお付き合いいただきました。
本当はＰが千早のメイド喫茶に行くつもりだったけど、千早は終始真っ赤だし、学校中にヤバイ噂が
広がりそうな雰囲気だったので、春香さんに代打をお願いしたでござる。