10/09/10 22:27:41 Zb1V72TIO
私は親辻。優秀な人間である
我が絢辻家は代々エリートとして数々の業界で活躍し、それなりの成功を収めてきた
当然、私もその類に漏れない
成績、運動、ルックス、表向きの素行、全てを兼ね備えた私は完璧な人間だった
その超人じみた能力とエリートオーラ故に、小さい頃は周りからスーパーアヤツ人などと称えられてもいたものだ
だがそんな私にも失敗はあった
そう、子育てだ。私は娘達にもエリート街道を邁進して欲しい
たった一度の人生を成功して欲しい
そんな想いから、２人の娘に厳しく当たった
上の子は、その温和な性格と、生まれ持った絢辻的超スペックで私のしごきをいともせずこなし、
エリートコースまっしぐらな勝ち組人生の真っ只中を爆走した
だが、下の子はそうはいかなかった
しかし、真面目で努力家な子である為、厳しくすればする程、娘は必死になって努力した
上の子程の才能はなかったが、その形相には鬼気迫るものを感じ、私はそれに期待をした
案の定娘は期待に応え、いや、期待以上の成果を出し続けた
私はひたむきに努力し、伸び続ける娘の成長が楽しくて、下の子には更に厳しく当たり続けた
そんなある日、全国模試の結果をみた。素晴らしい順位だった
とうとう次女は、才能で勝る長女を凌駕したのだ
私は嬉しかった。この子は一体どこまで伸びるのだろう？
私が嫌われることで、この子が勝ち組の中から更にのし上がっていくのならば、私は喜んで鬼となろうと
しかしそれは間違いだった。もう少しで私は娘に人間として大切な感情を失わせてしまう所であった
私は学んだ。子供には愛情を持って接しなければならないのだと
私はエリート。故に失敗からは常に学習、反省し、
同じ過ちは繰り返さない
故に孫には最大限の愛情を注ぐことを誓う
かつてしてやれなかった娘達への分も込めて
｢は～い、おじいちゃんですよ～｣
｢あ、おじ～ちゃ～ん！｣
｢…何しに来たのよ｣
｢何、だと？ふん。知れたことを。孫娘に会いに来たに決まっているだろう。
おぉ～、娘辻ちゃん大～きくなったねぇ～｣
｢えへへ～｣
｢お父さん？キャラ変わり過ぎじゃない？気持ち悪いんだけど｣
｢こぉ～～～んなに可愛い娘辻ちゃんの前で、顰めっ面なんてできないよね～｣
｢ね～｣
｢…よくみて。この子、ほぼあたしと同じ顔なんだけど？ねぇ？どういうつもり？ねぇ？｣
｢はっはっはっ｣
｢あははははは｣
｢………｣
｢はっはっはっはっはっはっはっ｣
｢あはははははははははは｣
｢…………………｣(ﾒｷﾒｷｯｺﾞｼｬｯ!)
｢あ～!ママがおじいちゃんのおみやげ壊しちゃった！
ぐすっ…え～～～ん｣
｢おぉ～娘辻ちゃん泣かないで。
よ～～しよしよし、おじいちゃんがいくらでも買ってあげるからね～｣
｢あのね…そう何でもホイホイ買い与えられると困るんですけど～…
帰って？ねぇ、今すぐ帰って？｣
私は親辻。優秀な人間である。だが、そんな私でも子育てに関しては未だ難航を続けている始末である
しかし私はエリート。必ず子育ても極めてみせよう
なぜなら私はエリート。それもエリート中のエリート、超エリートだからである