10/07/24 04:01:04 oLQoGAtu0
「ごちそうさま~!」
今日も朝食をぺろりと食べてしまった2人。
「ねーねーアリシア。今日はリジェールのケーキ食べに行くんでしょ?」
ラファがアリシアのところへやってくる。この街で美味しいと評判のケーキ屋へ行く約束をしているのだ。
「うん!どんなお店か楽しみよね~」
「レーゼとメリアドールも行きたいって言ってたから、あとで誘ってみるね」
「そうね。みんなで行きましょ。ラヴィアンも行くでしょ~?」
「うん、行く行く!」
「あれだけ食ってまだ食うのかよ、アリシア」
食堂で朝食を取っていたムスタディオがあきれたように言った。
「甘いものは別腹なのよん」
アリシアは涼しい顔をして食堂を出て行った。
「凄いな……」
隣にいるラッドもあきれ顔である。
「でも、アリシアって最近綺麗になったよな」
ラッドがそんなことを言い出す。
「うん、確かに。ラヴィアンも痩せたし、美人になったよな~」
ムスタディオも同意する。そして、ニヤリと笑ってラッドの方を向いた。
「ラッド~。お前、もしかしてアリシアを~?」
「い、いや違うよ、そういう意味じゃなくて!」
ラッドが真っ赤になって否定する。
「照れるなよ。今度、飲みに誘っといてやるからさ」
「……頼むよ」
その日の夕方。
「ムスタディオ!今日は飲みに行くわよ!」
ラヴィアンが、宿で暇そうに本を読んでいたムスタディオの背中をばしっと叩いて言った。
「おお、ラヴィアンか。いいぜ。どこに行くんだ?」
「ベヒーモスのステーキが食べられるお店があるんだって!今日はそこへ行きましょ!」
「そいつはいいな。行こう行こう!」
「アグリアス様も誘っておいたから、楽しみにしててね~」
「な!……ば、馬鹿!アグ姐は関係ねぇだろ!」
赤面して慌てるムスタディオを見て、ラヴィアンは笑った。
こうして、アリシアとラヴィアンは「強くて綺麗な女」になることができたのであった。
後日。
その日は、レーゼ、アグリアス、アリシア、ラヴィアンの4人で入浴する日だった。
「それじゃ、お先に」
レーゼは、むっちりした体をタオルで覆って浴室へ入ってゆく。
アグリアスのすらりとした体とは対照的な、女性らしい魅力に溢れている。
「……うむむ」
見ると、アグリアスが難しい顔をして、自分の体を姿見に映していた。
「どうかしましたか?」
アリシアが尋ねた。
「いや……。私の体は、どうにも筋肉が目立ってしまっていかん。
……どうやったら、レーゼのように女らしい体つきになれるのだろう、と思ってな」
(……人の悩みって)
(……それぞれなのよね)
2人は顔を見合わせて笑ったのだった。
END