10/12/31 04:22:17 7o139is00
前話:>>243-247
----------
文字通りに天と地が何度もひっくり返り、不規則で耳障りな音と全身を伝う衝撃が収まったの
を見計らって、クラウドは指先から順番にゆっくりと体を動かしてみた。ところが、どこにも痛み
や異常は無く、それどころか殆どダメージを受けていない様だった。それからゆっくりと瞼を開く
と、その理由はすぐに分かった。
「……防盾魔法?」
自身の周囲をうっすらと光の壁が包み込んでいる、これが衝撃を吸収してくれたのだと言う
こと、その正体がシールドマテリアの作り出す防御壁だと言うことは、経験からすぐに察しが
付いた。
「はぁ~、我ながらギリギリ間に合って良かったよ」
声の方に顔を向けると、座り込んでいたユフィと目が合う。彼女の右手には、まだうっすらと
光を纏ったマテリアがあった。あの状況下で魔法の発動を間に合わせたのはさすがだと感心
する一方で、マテリアの出所が気に掛かった。少なくとも6年前の旅で得た物でない事は確かだ。
「それは?」
「ああコレ? さっきおっちゃんから預かったの。ホントはシェルクのなんだけどね」
お陰で助かったよと嬉しそうに続けるユフィとは対照的に、返答を聞いたクラウドは肩を落とす。
(……ここまでは用意されたシナリオ通り、と言う訳か)
思わず溜息を吐いたクラウドを見て、ユフィは首を傾げた「どうしたの?」。
「いや……」返答を濁して周囲を見回すと、頭上には大きく変形したエレベーターの扉が、片や
先程までは天井だった場所が横合いに見えた。換気口を覆っていた金網は歪んだままだった
が、その向こうから僅かだが外の光が漏れ入っていることに気がつくと、クラウドは躊躇なく
金網を蹴破った。
こうして二人は無事、エレベーターの外に出る事ができた。
「ちょっと、これって……」
ようやく解放されて安堵したのも束の間、目の前に広がる光景を見たユフィは呆気にとられて
言葉を失う。それもそのはずで、これこそ先程モニタ越しに見せられた風景―つまり建物の
外―だったからだ。
後ろを振り返ると、白い壁面の新本部施設が見えた。少し顔を上げたところに小さな亀裂を
確認できたが、見る間にそれは塞がっていった。どれをとっても状況が理解できない。