FFの恋する小説スレPart10at FF
FFの恋する小説スレPart10 - 暇つぶし2ch223:ラストダンジョン (380)   ◆Lv.1/MrrYw
10/10/25 23:40:46 Z3E9w06r0
「でも……」クラウドは再び顔を上げる「その力に呑み込まれてしまうのも、逆にそれを捨てようと
するのも、どちらにしても“人ではない存在”になってしまう気がするんだ」形は人でも中身が人
ではない存在、それがモンスターだとクラウドは言う。
 表情こそ変わらないが、心なしか声を落とすとこう続けた「……俺たちが知るリーブは、恐らく
ここにはいない」。
「クラウド?」
 その変化が何を意味しているのかを計りかねてユフィが問うが、クラウドは答えずに話を進める。
「あいつは俺に『リーブを殺せ』と言った。でも、俺たちの知るリーブはとっくにいないんだ。少なく
とも……ここには、もういない」
 そう言って目を伏せたクラウドは、ここへ来るまでの経緯を手短に説明した。1階エレベーター
ホールでユフィ達と別れた後、3人の乗ったエレベーターは途中の階で停まった。半ば強制的に
降ろされたフロアで彼らを出迎えたのは、無数の射撃装置とそれを従えたリーブだった。自らを
人形だと告げた以外にはたいした説明も無いまま銃口は3人に向けられ、成り行きで交戦。この
混乱に乗じてティファ、ヴィンセントとはぐれたクラウドは、さらにその先でもう一体の「リーブ」と
対峙することになった。
 そこでどんな遣り取りがあったのか、具体的な話をしようとはしなかった。だからユフィもそれ
以上聞こうとはしなかった。クラウドの言う「あいつ」が、そこで対峙したリーブの事を指していた
のだと分かれば、それで充分だったからだ。
「仲間を守る力……俺はそう思って剣を振るってきた。だけど、今となっては破壊でしか役に立た
ない」そこでいったん言葉を切ると、首を小さく横に振った。「いいや、都合良く『守る』と、そんな
ものは言い訳なんだ。今も昔も、結局やってることは同じだった」
 言い終えた後、俯いたクラウドの肩が小さく震えた。笑っているらしい。その様子が恐ろしくなっ
て、ユフィは窘めるように声を掛ける。
「ちょっとクラウド、さっきからどうしたん……」
 ユフィの心配をよそに、クラウドは話を続ける。
「否定できないなら、ありのままを受け容れるしかないよな」そう言って無理やりに作った笑顔を
向ける「外見がどうだろうが、あいつはリーブなんかじゃないんだ。でなきゃ『これを壊せ』なんて
俺たちに平然と言える訳がない」なんの躊躇もなく、そこに仲間などと言う感情も遠慮もない。
だからあんな物がリーブである筈がない。
「ちょっと待って、それは違う! おっちゃんは……おっちゃんは……!!」
 クラウドの身に何が起きたのかは分からない。ただ、今のユフィには彼の心情が理解できた。
少し前までの自分と同じだったからだ。だからこそ反論した。

 ―「そう見えるように振る舞っているだけで、なにも平気と言うわけではありません」

「おっちゃんだって平気でそんなことを言ってるんじゃない!」勢いでクラウドの両肩を掴む
「……理由は……よく分かんない。けど! そうしなくちゃならない理由がある。おっちゃんは
自分の感情よりも……」
 そこまで言ったユフィの言葉を遮って、溜息混じりにクラウドは相づちを打つ「そう、ユフィの
言う通りなんだ」。まるで呆れたとでも言わんばかりに肩を落とす。
 その様子を見て、言っていることと態度に食い違いがあるとユフィは思った。
「クラウド、分かってるなら何……」


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