10/12/02 18:58:52 f7OvH+Hk
5年前になるかな。2月の寒い夜に外に出てタバコを吸っていた。
すると玄関先に出しておいた古いスニーカーの中で、汚い白黒の子猫が縮こまってがたがた震えていた。
それじゃ寒さはしのげんだろと、ひっつかんで家の中に連れていき、とりあえずダンボールにバスタオルを
2枚ほど敷いてその中に放りこんた。
腹も減っていそうだったので、晩の干物の残りと冷や飯に味噌汁をかけたやつをあげたら、
これがまた鬼のように唸りながら食う。
食い終わったら安心したらしく、今度は俺とダンボールを交互にきょろきょろと見ていた。
その様子が『寝ていいのか?ここにいていいのか?』と聞いているようだった。
「外よりは暖かいだろ」と言ってバスタオルの間放り込むと、そのうちに丸まって寝息を立て始めた。
以来そいつはずっと家にいる。滅多に喉を鳴らすこともない無愛想な奴だが、縁側で本など呼んでいると、
たまに後ろにピタリと寄り添ってくる。それがこいつの唯一の愛情表現なのかもしれない。
多分俺よりこいつのほうが先に死ぬだろうが、その時には庭の隅に小さな墓でも立ててやろうと思う。