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[28日目/ 奈那市公園/雑木林]
――私が…こんなところで死ぬはずがない…
薄暗い森の中、私は追い詰められた獲物のように
大木を後ろに、逃げ場も無く佇んでいた。
死ぬはずが無いという、不確かな言葉で
本当は脆弱な自分を、絶対的恐怖から守りながら。
いや、その言葉に守るほどの力は無いだろう。
ただ、恐怖から目を逸らさせて、正気を保たたせる程度にすぎない。
(それだけでも普段は十分役には立つかもしれないが)
(その言葉を心で呟いたとしても命が助かることには当然ならないため、今の私にとって)
(それはあってもなくても同じなのである)
向けられた銃口はきっと私の頭部か心臓を狙っているのだろう。
目の前の男は冷淡な微笑を浮かべ、こちらを虚ろな瞳で見つめている。
その銃口を向けている主はこの男である。
武器を全て失くしてしまった私に、無情にも向けられるマシンガン。
彼には、人間的な心はあるのだろうか?
私には彼の心を読み取ることができなかった。
そうだ。彼にとってこれが仕事なんだ…
だから人間的心など逆に妨げでしかない。
よって読もうと思っても読めるはずが無いのである。
だから単純に彼の考えていることは一つ―
私を何が何でも抹殺することである。