11/07/03 12:13:05.79 0
―孫思バク―
彼の名を知らない薬物学者はいないであろう。唐では薬王として祀られている薬物学者だ。
私はあの後、仙界の孫氏宅を尋ねた。
「私は西園寺です。孫思バク様の処方を受けたく参りました。」
そういうとまもなく、玄関の戸が開き、白いひげを足まで生やした仙人のような老人が現れた。
「これはこれは…なんと…西園寺殿…一体何が…?」
彼の腰は曲がっておらず、老人とは思えないほど元気である。
私は今まで起こったことのすべてを彼に話した。彼は、いたって驚愕するでもなく
「わかりました。では、この衰弱を打開する為の食事および薬を助言すればよいのですね。」
「はい。まさにそういうことです。」
彼はしばらく私の体を診察した後、遠くの蔵から薬液の入った樽を従者に持ってこさせた。
「武神ならば、衰弱した体に大量の食料を取り込んでも死にはしないでしょう。
とにかく、この後大量の食事を取ってください。そして食後この薬を一気に飲み干してくだされば、
必ずや一夜で回復し、即戦力になるでしょう。」
「ありがとうございました。見返りは後日致しますので。それでは失礼致します。」私はその樽を持って仙界を出た。