【邪気眼】二つ名を持つ異能者達【其ノ弐】at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者達【其ノ弐】 - 暇つぶし2ch106:海部ヶ崎 綺咲
10/11/02 17:58:44 0
>>105
湖の異常に気がついた付近の人々が恐らく呼んだのだろう、
サイレン音を鳴り響かせて数台のパトカーが湖の入り江に姿を見せる。
その頃には湖も以前の静けさを取り戻していたが、
多くの目撃者の証言からいずれは湖に起きた異常事態の事実は知られるだろう。
もっとも、それが何の原因で起こったかは、恐らく永遠の謎とされるであろうが。

「湖底の調査をしても、カノッサの“カ”の字も見つけることはできないだろう。
 何せ底の底に沈んでいるんだからな」
誰に言うでもなく、氷室は独りごちにそう結論付けた。
(……あ、そういえば)
彼女の横に居た海部ヶ崎は、そこでふとアリシアの言葉を思い出し、彼女に告げた。
「アリシアがここを離れろと言っていた。何かあるのかもしれない。早く離れよう」
「その必要はないよ」
「え?」
訝る海部ヶ崎に、氷室は目をあらぬ方向に向けて答える。
「もう戻って来た」
海部ヶ崎がその視線の方向を見ると、
そこにはアリシアが虹色らを引き連れてこちらに走り迫る姿があった。
「皆! よかった、無事に脱出できたんだな。おーい!」
手を振る海部ヶ崎に、虹色らも「おーい」と手を振って答える。
「……フン、大げさな」
およそ半日ぶりの再開を喜ぶ彼女の横で、氷室は一人冷めたことを呟きながらも、
その瞳はどこか眩しいものを見るかのように揺らいでいた。

─合流後、真っ先に口を開いたのはアリシアだった。
「お待たせ致しました。
 さて、皆さんお集まりになったのでお聞きしますが、皆さんはこの後どうされるのでしょうか?」
内容は文字通り今後の動向についてである。
それに、まず誰よりも早く即答して見せたのは海部ヶ崎。
「私は霊仙さんの仕事を引き継ぐつもりだ。
 あの人は情報屋の仕事をする一方で、弱き力なき人々を無償で助ける仕事もしていた。
 父上も霊仙さんも恐らく普通の少女として暮らすことを望んではいるだろうが……
 どうせ異能者として生まれたついたなら、この力を正しきことに使って生きていきたい。
 そう、霊仙さんのように……」
そう言うと、海部ヶ崎は手にしていた無間刀を、そっとアリシアに手渡した。
「この刀は返す。そしてできることならこの世から消して欲しい。
 私の目的は父上の愛刀だった無間刀を取り返すことだったが、実際に使ってみて解った。
 何故、父上が自分の愛刀をどこか嫌悪していたきらいがあったのか。
 ……この刀があまりにも強力すぎるからだ。
 使い方によっては、世を善にも悪にも染めることができる。
 極端な力は極端な危険性をも秘めている。父上はそれを解っていた。
 父上は、この刀を愛刀にしていたわけじゃなかった。
 自分を刀の番人として、常に手元において封印し続けていたに過ぎなかったんだ。
 ……封印するくらいのものであれば、初めから無い方がいいんだ」

海部ヶ崎の脳裏に父親の声が蘇る。
『本来ならこんなもの、この世に無い方がいいんだが……』

(父上、これでいいんですよね……?)
心の中で問うた時、脳裏に浮かんだ父親の像が、ニコリと笑った気がした。

「極端な力、か……フッ」
静まり返る一同に、氷室の乾いた声が響く。
氷室は一気に視線を向ける一同を一瞥しながら、ゆっくりと短い言葉を紡いだ。
「復讐などもうどうでもよくなった今、私は自由気ままに暮らすよ。
 占いで生計を立てるのもいいかもな」

【海部ヶ崎 綺咲:無間刀をアリシアに渡す。今後は何でも屋(情報屋・ボディガードなど)として生きる予定】
【氷室 霞美:自由気ままに生きると明かす】


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