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挙動不審な男が影から影へと移動している。男の目的地は市民会館。
今の体である久本譲治も犯罪者であるから病院にいくことは難しい。
「ぜぇーぜぇー…。負け犬の体に宿るのは負け犬の魂ってかぁ?
オレのディスクと適合してる今の体は薄汚い犯罪者。
なんでジャパニーズヤクザとかボクシングチャンピオンじゃねーんだよおぉお~!!」
嘆くジョージを灰島は追って来ないみたいだったので
暑さと痛みに耐え切れなくなったジョージは交通量の多い場所に出てタクシーをひろうことに決めた。
あと少しで大通り。その大通りは例の交差点の近くでもあった。
だがジョージはポニーテールの少女とすれ違う。呼び起こされるジョージの狂気。
「…くっくっく…ぶん殴っちゃおうかなぁ…」
そう小声で呟くとジョージの瞼はブルブルと痙攣を始め黒目は瞼の上に隠れほとんど白目になる。
こめかみには血管がプチプチ走り、口の端からは涎がダラダラとたれはじめる。
底辺を生きるジョージのストレス解消法は弱い人間をぶん殴って殺すこと。
「ちょっとお嬢さん。ゲンコ喰らっちゃえよ」
ジョージは布良を呼び止めると振り返った布良の影をスタンドの拳でぶん殴る。
スタンドによる少女の影への攻撃。少女の視界や感覚の目では普通に拳は確認できない。
何故なら布良の影に攻撃をしているから。
だが地面を見れば黒いスタンドが自分の影を殴っているのが確認できるであろう。
ぐしゃりと布良の「影」の顔面に衝突するスタンドの拳。布良自身の顔もぐっちゃりとなっているはず。しかし…。
「へっ!?」
布良の顔は水風船でも当てられたくらいの感じだった。
何故なら太陽が雲で隠れてスタンドの影も少女自身の影も薄くなっていたから。
ぼやかされた影の境界線はジョージにいつもの破壊力を与えていないようだ。
ジョージは布良の頭をよしよしと撫でてごまかす。
「君…かわいいね。よしよし」
ジョージはその場から去ろうとする。
【ジョージ逃走中。現在地交差点付近】(いちおう戦闘不能希望です)