【ジョジョ】異能者達の奇妙な冒険【TRPG】4at CHARANETA2
【ジョジョ】異能者達の奇妙な冒険【TRPG】4 - 暇つぶし2ch23:黎土羅武 ◆qaFFsscyZY
10/08/06 22:47:56 0
ある昼下がり、緑のブレザーを着た少年が坂道をスキップしながら下っている。
彼の名は黎土羅武。女性のような容姿に低身長なのを除けば普通のぶどうが浜高校の普通科2年次。

降りたところには古いプラモショップが建っていて彼はそのまま足を運んだ。
中には整然と棚に収められたプラモの数々。奥のレジでは老店主がにこやかな表情で
客を招き入れた。

「久しぶりだね羅武坊ちゃん。今日は何を買っていてくれるのかな」

「後ろの棚のを頼みます。…そうHGのザザビーの斜め横…M107の真下です。そのB-29が欲しくて」
「―何で包みましょうか」
「一番濃い赤の包み紙で。シールはタカラトミーでお願いします」

指示通りの品を取ると馴れた手つきで素早く包みこんで、すでに精算も終えていた。
年老いても現職というわけだ。

「5078円になります」

財布から無造作に札をひねり出すと直接手渡した…20万分の福沢諭吉を。
無言で受け取った店長はそれをレジに入れずデスクの裏ポケットに放り込んだ。

「また来てね」
「ええ、もう少し景気が良くなりましたら」
軽く会釈すると足早に店を去った。

***********************************

包み紙の裏にはいつもどおりメモの切れ端が挟まれている。

“頼まれていたHPM(High-Power Microwave) bombだ。約束通りのモノを部下たちに作らせるのは大変で、
何年か振りに徹夜したと散々愚痴られた。
使用法は簡潔。設置箇所から(特殊な電波がなければ)半径2キロ以内でリモコンのボタンを押すだけで
100フィート内の電子機器はオシャカになってしまう。
使用目的は?とか野暮なコトは聞かんが気をつけておいてくれよ。
最近やたら『オレンジのニオイ』がしてなあ…特に坊ちゃんのことを考えてる時にだよ。
ワシは坊ちゃんよりかは『かがやき』が弱いが、予感はいつも確かで明瞭だ。
まあ、落ち着いてやんな”

「いわれなくとも」
今日は空気が乾いていて安いマッチでもよく燃えた。あっというまに紙切れは燃え尽きた。

(ボブさん、九頭さん…僕がんばります)
希望を胸にいだき、固く手を握りしめた。

「さて昼はドルドですまそうかな」

【覚えていますか?レドラムのあの子です。新キャラとはいきませんがちょいキャラに
おじいさんを。関係上「ハローラン」の位置でしょうか】
【ドルドに向かう途中ということで】


24:『NEWDIVIDE』 ◆JvtTTnep1k
10/08/06 22:50:04 0
【本体】
名前:本郷圭八
性別:男
年齢:88歳
身長/体重:179cm/75㎏
容姿の特徴:顔はシワだらけで丸禿頭に巨人のキャップをかぶり、服装はスウェット。ヨボヨボガリ。
人物概要:
小さなプラモ屋を経営する老人。温厚で人付き合いがいい。
正体は朝鮮戦争時代から活躍する武器商人で、数々の戦場を渡り歩き、存在そのものが
戦局を左右させると言わしめられた。しかし年齢的に限界を感じ、湾岸戦争を機に引退。
しかし今もなおその影響力は計り知れない。

【スタンド】
名前:オレンジジュース
タイプ/近距離パワー型:オレンジの皮のようなイメージの人形スタンド
能力詳細:
本体に神通力を与える。
熟練の兵士でもたじろぐ圧倒的なプレッシャーを放つことも。
「シャイニング」と同系統のスタンド(しかしシャイニングは不定形型のスタンド)
らしいが、黎土に比べれば弱いようだ。
圭八が太平洋戦争の頃、敵兵から頭部をかすめた銃弾の影響で覚醒。

破壊力-B  スピード-B  射程距離-C(4m)
持続力-E  精密動作性-B  成長性-E

25:『NEWDIVIDE』 ◆JvtTTnep1k
10/08/06 22:51:26 0
北条の地の遥か深く、それは静かにに脈動を続けていた。
悪魔は血肉を吸い、みずからの体液に変え、ゆっくりと復活の時を待ち構えていた。

その更に奥、まどろみの中に佇む影―白くやせ細った少年は空中に映写さている
ディスプレイを眺めていた。
それはマイソンの手を引く灰島の姿がありありと展開している。

「マイソン様お疲れ様でした―さて次の方は…」

その背後には我等が母星、青く輝く美しき地球が浮かび上がっていた。

【本体】
名前:“地球”の少年
性別:男
年齢:当時10代
身長/体重:140cm/30㎏
容姿の特徴:白人の少年…の体を借りている。
人物概要:
生まれてまもなく先天性の失調で五感を喪失してしまうが、直後にスタンドに開花。
スタンドより歩行や会話など日常生活に必要な能力を修得するが、やはり持病のせいで身体能力は低い。
「ワースト」ではなく、今回は管理・進行役を務める。

【スタンド】
名前:ワールド・ワイド
タイプ/特徴:一体化型/青く美しい地球の立体映像が頭上に映しだされる。直径1ミクロン~等身大。
能力詳細:
地球上で起こった、起こっているあらゆる事象を把握・記録することができる。
(つまり本体はがリアルタイムに更新されるアカシックレコードになる)
また記録を映像として空中に映しだしたり他人の脳内で再生させる事も可。
 
アルカナ/21THE WORLD

破壊力-なし  スピード-なし   射程距離-なし
持続力-≒∞  精密動作性-A   成長性-≒∞

【人間スパコンのキャラ使ってみたいなと思って考案してみました実はボブより先に思いついたキャラです】
【ミカエル君と能力が被っている?まっさか~】

26:佐藤ひとみ ◆tGLUbl280s
10/08/07 03:48:51 0
交差点で何人もの犠牲者を分解した少女がカフェの壁を切り裂いて外に転がり出てくる。
通りに面したカフェのガラス窓はぶち撒かれた血で真っ赤に染まっている。
髪をかき毟り血走った目できょろきょろと交差点中を見渡す少女。
少女の探しているものは用意に推察できる。攻撃してきた触手の持ち主…すなわち佐藤ひとみ自身。

「最ッ悪だわ…つまんない正義感なんて出すんじゃなかった…人殺しなんか放っておけば良かったわ…。」

佐藤ひとみは全身に冷や汗をかきながら物陰から交差点の様子を伺っていた。
今更ながら自分の浅慮を嘆く。
少女に手を出してしまった今、受ける被害の懸念は以前の比ではない。
偶然に無差別殺人に巻き込まれる危険性と標的として探し出され報復を加えられる危険性。
どちらが危険か一目瞭然だ。

少女が只の頭のおかしい殺人狂の女子高生であればまだ問題は少ない。ターゲットを探す術は限られるのだから。
だが少女の精神から伝わってきたヴィジョンがそれを否定していた。
およそ女子高生の記憶としては相応しくない場面…バラバラの部品を無作為に縫い合わせた死体の転がる手術室。
しかも視点はおぞましい肉塊を作った施術者のものだった。
少女の額に入れられたディスク…。自分達を襲ったカラスの死骸の近くに落ちていたものと酷似していた。

少女にカラス…共通するものは持ち主に不釣合いな能力、不自然な記憶……身体に入っていたディスク…
これら二つの符合の意味するところは…?
そして『贄を集めよ』という声の意図。テーブルを囲んでいた謎の一団…。
ひとみはこの場を離れる少女の姿を目で追い、思考を巡らせていた。


>22
バッグの中で携帯の着信が響く。着信の主は徳井一樹。
つい数分前まで着拒上等なほど徳井に腹を立てていたひとみだが今はそれどころでは無い。
フルムーンで徳井の現在地を捕捉しつつ、通話ボタンを押す。

「徳井君…私の知らないスタンド使いと一緒にいるでしょう?まさかそいつから攻撃を受けてない?
その男に悟られないように適当に相槌を打ちながら聞いて。
この場所…何かおかしいわ。目立つ行動を取るスタンド使いが多すぎる…。
これじゃまるで九頭の時と…でも違う…。

まさかあんた達こっちに向かってる?来るのは止めた方がいいわ。
カフェと交差点は頭のおかしいスタンド使いのせいで血の海。あんたの隣にいる男が混乱に乗じて何かしてこないとも限らない。
私はすぐ援護できる位置に控えてるからそいつの出方を伺ってみて。」


通話を続けながら、徳井と少年を視認できる場所に移動するひとみ。
スタンドシートを出現させ少年のスタンドの射程を確認する。
馬鹿に広い射程だが形は円では無く、彼を中心として歪な煙状に点々と広がっている。
ひとみは少年の能力を発動条件の限られる特殊型と読んだ。

【隠れながら徳井さんとマイソン君を伺っています。移動するなら後を付けるかと。】

27:影貫行枝 ◆tGLUbl280s
10/08/07 03:50:29 0
>18
市民会館の二階―広く薄暗い部屋。
廊下に面した扉が細く開き女が入ってきた。
黒いローブの女…影貫行枝は部屋に入る女に向かって声をかける。

「リタ…。何の用?ここにはあまり来ないように言ってあるのに…。
各々身体に合った生活の場所を用意していた筈……あまり愚かしい行いを繰り返さぬよう。」

静かでありながら確固たる非難を込めた口調。
影貫行枝は更に言葉を続ける。

「交差点での行い…ずっと見ていたわ。
殺すな…とは言わないが騒ぎを大きくするのは愚の骨頂。
我らの目的に差し支えぬよう、もう少し賢く立ち振る舞いなさい…。」

指にはめた水晶の指輪を示しながら女への非難を繰り返す。

「まあいいわ…。ここに来た目的は解っている。貴方が探しているのはこの女…。」

リタの前に突き出された水晶の中には物陰に潜む佐藤ひとみの姿が映し出されていた。

「行きずりの能力者を探すより…スタンド使いと判っている者を狩る方が容易か……。」
影貫行枝は水晶に視線を落とした顔を少し上げゆっくりと呟いた。

【影貫、森田ことリタに情報提供】

*******************************************
【本体】影貫 行方 (かげぬき ゆくえ)
性別:女 年齢:27 身長/体重:162/48

容姿の特徴:黒いローブを纏った女性。美人だが雰囲気が暗い 。
人物概要:あるカルト教団の教祖。
留流家に捕らわれていた『狩る者』の一人。九頭が護国天使になるタイミングで切り離された。
早い段階で街に放たれていた為、九頭の最後についてはよく知らない。


【スタンド】カンニバル・コープス
タイプ/特徴:物質同化の遠隔操作型。烏の亡霊やゾンビを操る。

能力詳細:
1.本体が触れたカラスの死体と同化して発現するスタンド。
このスタンドは死体を喰らうことで無限に成長する。
見た目は黒い翼竜のような感じで実体化している。
その性質上、死体を喰らうタイムラグが生じるため隙が生まれる。
死体を喰らうことで見た目も強大になっていく

2.烏の亡霊を操る
幽霊カラスを呼び寄せて使役する。幽霊カラスの視点は水晶の指輪に映し出される。
幽霊カラスとゾンビカラスは同時に使用できない。

破壊力-C~A スピード-C~A 射程距離-C  
持続力-A 精密動作性-C 成長性-E

28:リタ ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/07 15:34:28 0
>27
市民会館の庭では兎がぴょんぴょん跳ねていて池のほとりの木陰には亀が涼んでいる。
それを夢遊病者みたいに、ぼーっと見ている人もいた。人がいるのかいないのかわからないような変な空気。
ワーストたちも合宿しているわけでもなさそうなのでやっぱりいないのか。

普段の生活に紛れ込んでしまうと自由と引き換えに孤独のようなものが影のように現われる。
さみしいときや困ったときはワーストたちも市民会館をこっそり訪れるのだろう。彼らも寂しがりやなのだ。

広く薄暗い部屋に、静かでありながら確固たる非難を込めた影貫行枝の言葉が響く。
それを聞いたリタは少し緊張した感じになる。

「えっと…あれって報道だとかまいたちの仕業ってことになってたみたい…。
突風で布団が飛んだり電線が切れてたりしてたから…。ほ、ほんとよ。報道ではそう言ってた…」

見え透いた嘘をつくリタ。

>「まあいいわ…。ここに来た目的は解っている。貴方が探しているのはこの女…。」

リタは話題が変わったのでホッとする。

「…ふーん。不気味な女。狡猾で残忍で人の皮を被った悪魔って感じ。
理由もなしに私を殺そうとした女…ほんとこわい…」
リタは水晶に映し出された佐藤ひとみをまじまじと見つめ記憶した。
そして遠隔視能力はディスクの能力ではなく影貫の能力だったのだと再認識した。
(リタの記憶ではアカシックレコードとかなんかごちゃごちゃしていた)

>「行きずりの能力者を探すより…スタンド使いと判っている者を狩る方が容易か……。」

「…ねー。その話なんだけど。てっとり早く生贄を集める方法なんてないの?
あんたの昔のスタンド仲間とか騙くらかしたりしてさ。ねーどうなのよ?」

*******************************************

リタは影貫行枝の言葉を聞き終えると床を切開して姿を消しテケテケと走って市民会館を出てゆく。
一旦、日常に戻るのか佐藤探しを始めるのかは気分しだい。でもリタには佐藤を殺害するという優先順位ができた。
自分の人生に現われた腫瘍は一刻も早く除去しなくてはならないのだ。

【佐藤ハンターリタの誕生】

29:ジョージ ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/07 17:18:11 0
(>9-10)
挙動不審な男が影から影へと移動している。男の目的地は市民会館。
今の体である久本譲治も犯罪者であるから病院にいくことは難しい。

「ぜぇーぜぇー…。負け犬の体に宿るのは負け犬の魂ってかぁ?
オレのディスクと適合してる今の体は薄汚い犯罪者。
なんでジャパニーズヤクザとかボクシングチャンピオンじゃねーんだよおぉお~!!」

嘆くジョージを灰島は追って来ないみたいだったので
暑さと痛みに耐え切れなくなったジョージは交通量の多い場所に出てタクシーをひろうことに決めた。
あと少しで大通り。その大通りは例の交差点の近くでもあった。

だがジョージはポニーテールの少女とすれ違う。呼び起こされるジョージの狂気。

「…くっくっく…ぶん殴っちゃおうかなぁ…」
そう小声で呟くとジョージの瞼はブルブルと痙攣を始め黒目は瞼の上に隠れほとんど白目になる。
こめかみには血管がプチプチ走り、口の端からは涎がダラダラとたれはじめる。

底辺を生きるジョージのストレス解消法は弱い人間をぶん殴って殺すこと。

「ちょっとお嬢さん。ゲンコ喰らっちゃえよ」
ジョージは布良を呼び止めると振り返った布良の影をスタンドの拳でぶん殴る。
スタンドによる少女の影への攻撃。少女の視界や感覚の目では普通に拳は確認できない。
何故なら布良の影に攻撃をしているから。
だが地面を見れば黒いスタンドが自分の影を殴っているのが確認できるであろう。

ぐしゃりと布良の「影」の顔面に衝突するスタンドの拳。布良自身の顔もぐっちゃりとなっているはず。しかし…。

「へっ!?」
布良の顔は水風船でも当てられたくらいの感じだった。
何故なら太陽が雲で隠れてスタンドの影も少女自身の影も薄くなっていたから。
ぼやかされた影の境界線はジョージにいつもの破壊力を与えていないようだ。

ジョージは布良の頭をよしよしと撫でてごまかす。

「君…かわいいね。よしよし」
ジョージはその場から去ろうとする。

【ジョージ逃走中。現在地交差点付近】(いちおう戦闘不能希望です)

30:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/07 18:33:52 0
>>21
>「ぷぎゃーーーっ!!」塀の上から家の壁へと吹き飛ばされるジョージ。

「待て!!逃がすかよ!!」

声のした方へ灰島が駆けていく。
しかし、相棒のミカエルは本を手に動こうとしない。
「灰島クン、すぐに追うのは危険ですよ……っと、言ってる前から。」
ただ1つ、灰島の影を注視している。

>偶然に通りがかったバイクのタイヤの影が灰島の影の頭部をかすり
>灰島は後頭部を鈍器で殴りつけられるようなダメージを受ける。

追いかけようとした灰島の後頭部に鈍い衝撃が走る。
目の前が歪んでいく中、足元がふらつき―遂に転んでしまう。

「っ……なん、何なんだよ。何処から―?」

>「ふへへ!やったぜ!勝負はお預けにしてやるぜ!」

ジョージの勝ち誇った声に、灰島は辛酸を舐めたような顔で舌打ちをした。
そのまま、懐に手をやり何かを探り始めた。

「灰島クン、このまま追うのは危険ですね。君も今、体験したでしょう?
彼の影は武器。周囲にあるモノを利用し、攻撃してくる。
それに、この逃走は―」

「罠の可能性もある……そう言いたいんだろ、相棒。」

灰島の言葉にミカエルは微笑んだ。
そして、灰島の懐から現われた鳥形の偵察機を見つめる。

「頼んだぜ。」

偵察機はジョージの影を追跡する為に、飛び上がっていく。
灰島は携帯画面でそれをリンクさせながら、単車に跨り追跡を開始する。

「ミカエル、あいつの情報は調べれそうにないのか?
たとえば、シンシン刑務所との関係とかさ。」

「残念だが、情報ソースが少ないですね。
私の能力は、便利ですが万能ではありません。
もう少し、調査が必要です。」

ミカエルの言葉に対し、灰島は仕方無さそうに頷く。
記憶を知る為には、異能に直接触れるかまたは記憶に関する
情報、つまりは「記憶の鍵」を得なければならない。
最初から、ミカエルの中に全てがあるわけではないのだ。



【偵察機(鳥バード2号)にジョージを追跡させながら、ホンダズーマー(単車)で
尾行開始】


31:よね ◆0jgpnDC/HQ
10/08/07 18:47:11 P
米コウタは躍動感を感じていた。
ワーストと呼ばれる強敵の存在、そして待ち構えるそれらとの戦闘。

とにかく一旦、ドルド・プラチナへ戻ることにしたよね。
だが、そのよねは普段のよねとはまた違っていた。
その違いとはスタンド使いのみが知ることのできる違い。
そう、よねは常にスタンドを発現した状態でドルド・プラチナへと向かっているのだ。

(これなら"ワースト"とやらもすぐにこちらの存在にも気付くハズだ…)

スタンドは一般人には見ることも触れることも出来ない。
つまり、よねはスタンドという餌でワーストを釣ろうとしているのだ。

本来ならば愚行であるとよね自身も嘲笑するだろう。
しかし、そんな正常な判断も出来ないほどによねは苛立ちを感じていたのだ。

何一つスリルのない日常。それは九頭との闘いに明け暮れた日々に比べればとんでもないほど退屈なのだ。
そして何よりよねに苛立ちを感じさせたのはその日常こそが本来の日常であったという事実。

(埋まらない…満たされない…このスキマは…)

よねは奥歯をぐっと噛み締めるとドルド・プラチナへの道を足早に抜けていった。

―その頃、病院にて

【さて、そろそろ行かないとなりません。そろそろ看護婦の方と交換した面会時間も終わっちゃいますからね。
 綾和さん。貴方からは今もなお微弱なスタンドエネルギーが感じ取れます。

 貴方も標的になる可能性は十分にあります。どうかお気をつけて】

『ああ…ありがとう。君のおかげで、私も早く退院できそうだ』

窓際に立つハマに向けてギプスで包まれた腕を見せる綾和。
ハマはそれを見てにこやかに笑うと、窓から飛び出した。

(【よねクン…バランスが崩れてきている。今の彼なら無謀な行動にも簡単に打って出てしまう…ッ】)

ハマはそう思うと、道行く未知の人にさりげなく右手をぶつけ、スタンド能力を発動した。

(【青い帽子を被ったメガネの少年を知っていますか。この"快感"と交換に教えてください】)

人は誰しも快感に弱いものだ。偶然、よねの事を知っていたその人は快くよねの事を教えてくれた。
ハマがよねの歩いていった方向のことを知ると同時にその人は小さな喘ぎ声をあげた。

----------------------------------------------------------
よねはドルド・プラチナへ向かっています。
ハマもその後を追うように移動。

32:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/07 23:32:58 0
>>29
目的はあれど行く当てがないというのは、実は割りと人の心を磨耗させる。
その事実に布良が気がついたのは、歩き始めてからほんの数分の事だった。
コンビニでアイスでも買って帰ろうかナァ、と早くも決めた意志が折れ曲がりかけながら、交差点を歩く。


(…………!)

瞬間、ゾクリ、と冷たい何かが背筋を走った。

「……んに?」

だがその感触は、ぽに、とした、訪れた感覚からは程遠いほどのどかなものだった。
小学校の時に体育の授業で使った、やわらかいゴムボールが一番近いだろうか。
振り返ると同時に、男の手が布良の頭に触れた。

>「君…かわいいね。よしよし」

(…………)

その声と仕草を受けて、妙な嫌悪感が体を走る。
即座に思いついた三つの選択肢から、どれを選ぶか彼女の脳は既に吟味を始めていた。

1:大声で「痴漢だぁぁぁーっ!」と叫ぶ
2:無言で睾丸に蹴りを叩き込む
3:「うふふ、ありがとうございます」と偽りの笑顔でこの場をやり過ごす

よぉし二番にしよう、と足を軽く浮かせた所で、体が止まる。

(私は今、ある程度の警戒をしていた……のに)
(何をされたかまったくわからなかったし、何時近寄られたのかもわからなかった……んだよね)

それは単純に、実戦経験の差として現れたものなのかもしれない。
男はそのまま去ろうと行く……しかし。

「…………んー、何か気になるなぁ、気になるよ」

勘違いかもしれないが、特にやる事もない。
ならば、試してみる価値はあるのかもしれない。
どうせ相手は年頃の婦女子の頭に勝手に手を置く変態だ、何をしても構わないだろう。
失礼な思考のまま、布良はその男の後姿を追うことを決めた。

【ジョージさんを追跡開始】
【わかりやすく着いていくのでスタンド使うとばれるかも】

33:ジョージ ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/08 15:55:18 0
>30>32
曇りがかった空はシャドウクイーンの輪郭を奪いスタンドの力を弱体化させている。
おまけに数分前に受けたレディ・ジョーカーの攻撃で体はボロボロ意識は朦朧。
布良の追跡にも気づくこともなくジョージは大通りに出る。

「…な、なんか…変だぜぇ…」
大通りは近くの交差点で起こった事件のために交通規制がしかれており、タクシーを拾うことは困難なようだ。
ジョージから見て、通りの右側を行けば橋。左側を行けばドルド・プラチナのある交差点。
騒がしくなっている方向へ行けば仲間のスタンド使いに会えるかも知れなかったが、
もしも騒ぎの原因がアホのリタだったとしたら仲間と判別されずに殺されてしまうかも知れない。
(リタはすでに旧市民会館に移動しています)

「痛ッ!」
ジョージは携帯であわただしく会話しながら歩く女(佐藤さん)と肩をぶつけひっくり返る。
体勢を崩して空を見上げるジョージ。空なんて見るのは久しぶなジョージだったが空に飛ぶあるものを見つけた。
灰島の小型偵察機(鳥バード2号)。それはジョージのまわりの空をくるくると旋回している。

「まさか…あの探偵の?」
ではなかったとしても、ただの子供イタズラだったとしても自分の頭の上をトンビのように飛んでいるものは鬱陶しい。

「くそ!ぶっこわしてやる!」
ジョージは地面の影を探した。太陽が雲に隠れているため影はぼんやりしていて探し辛かったのだが
突然、偵察機の影は浮かびあがるように陰影の輪郭を強める。雲が晴れたのだ。

「うっりゃやぁああぁぁーーーーーっ!!」
シャドウクイーンの蹴りが偵察機の影を蹴り飛ばすと偵察機もペーパークラフトのようにぐしゃぐしゃに潰れる。

「む!?」
偵察機の墜落を確認して安堵したジョージは自分を丸い目で見ている少女に気がついた。
さっき仕留め損なった少女。火乃環・布良。

「おまえも…異能者だったか…」
照りだした太陽。布良を睨みつけるジョージ。
木陰の下の布良の影を木の枝の影で縛りつけるシャドウクイーンの異能。

遠くから聞こえてくるバイクの音。ホンダズーマーに跨り接近してくる灰島。

「ちっ!灰島かぁーーーーー!!」
白目をむき叫ぶジョージ。射程半径10メートル以内の無生物の影はジョージの操り人形と化す。
ホンダズーマーはコントロールを失って民家の塀に激突した。粉々に吹き飛んでいる塀の石。

「こうなったらとことん勝負してやるぜ!
コーナーに追い詰められたボクサーの底力を見せてやるぜぇ!!」

【布良さんの影を木の影で縛っています】【灰島さんはホンダズーマーごと塀に激突させました】

34:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/08 18:35:12 0
>>33
けたたましいサイレンの音が嫌でも耳に入ってくる。

(何かあったのかな……? 救急車とパトカーがやたら多い感じ)

しかし、現在の布良の目的はあくまで目の前の男を追うことである。
当然、素人の女子中学生の行う事なので、プロの目から見ればとても尾行と呼べるような動きではない。
それでも男は何かに気を取られているのか、布良には気がついていないようだった。

(って、あれぇ?)

途中、道行く女性とぶつかって、あろうことかそのままごろんと地面に倒れこんでしまった。

>「くそ!ぶっこわしてやる!」

しかも何か叫びだした。

(不味い、本格的に頭のおかしいタダの変態だったのかもしれない……)

このまま何も見なかったことにして帰ろうかなー、と思った矢先、それが起きた。

――『影が動いた』

(……何?)

一瞬見間違えがとも思ったが、確かに影が伸びて、空を舞っていた―布良は意識していなかったので気がつかなかったが―何かの影に触れる。
瞬間、『現実のそれ』がぐしゃりと音を立てて壊れる。

>「む!?」

最悪な事に、それに気を取られた布良は、男と目があってしまった。
一瞬で凍りつく空気に、一歩後ずさろうとした、が。

>「おまえも…異能者だったか…」

体が動かない。
正確には、何かで縛り揚げられている感触がある。

「嘘……なにこれっ!」

視線を動かして周囲を確認すれば、その違和感は目の取れた。
木々の枝、その影が、『布良の影を縛り上げている』

(よくわかんないけど……私の『フレイム・パニック』みたいな力なんだ……!
 影を操って、影に与える影響を、本人にも与える能力……!?)

先ほど顔にあたった感触は、この能力によるものか。

35:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/08 18:35:55 0
>「ちっ!灰島かぁーーーーー!!」
>「こうなったらとことん勝負してやるぜ!
>コーナーに追い詰められたボクサーの底力を見せてやるぜぇ!!」

「冗談、最悪だよこんなの……!」

ただ、少なくとも相手はやる気らしい。

「……オジさん、女の子を縛り上げるのは……趣味悪いよっ! 『フレイム・パニック』!」

『URYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

声と同時に現れた、燻る人型の炎のビジョン。
それは、布良の背後にある木へと、拳をたたきつけた。

(影で縛り上げられてるなら……影を無くせばいいんでしょうっ!)

フレイム・パニックの能力は『触れているものを炎へと変える』事だ。
『発火』ではなく『変化』であり、その精度は高い。
結果として、拳に接触した部位から広がるように、木は「炎」へと変化した。
物体であった木が「炎」になる事で、影を消失させ……

パチンッ、と布良が指を鳴らすと、その炎が拡散する。
後には消し炭すら残らない、完全なる消滅だった。

自らを縛る影を排除したことで、肉体の自由を取り戻す事はできた、が。

(……最っ悪だ、相手は『影を操れる』みたいだけど……私の能力は『炎に変える』事)

それは即ち。

(相手が利用できる『影』を増やしちゃう、何せ、『炎』を作れば作るほど『光源が増える』んだからさ……っ!)

『影』を作っている物体がそばにあるならば消滅させることもできるだろうが、『フレイム・パニック』が届かない位置から攻撃されたら抵抗の術がない。
それに「炎」に変化させた直後は、自分が最も光源の傍に居る、という意味でもある。
どっちにしろ、真正面から戦いたい相手ではない。

故に、布良の取った行動は……

「オジさん、止めようよ、止めにしよう? 少なくとも私に敵意はないよ、それとも、今みたいに「炎」になりたい?」

(本当は、生き物は『変化させられない』んだけどね……、でも、今の光景を目前にしたら、ブラフにはなる……)

【交渉を持ちかけて油断を誘う】



36:吉野きらら ◆HQs.P3ZAvn.F
10/08/09 01:29:01 0
> 「ヘイ彼女、俺と一緒にお茶withくんずほぐれつinモーテルしないかーい?」

吉野きららは人生を七日間で区切りはしない。
彼女のとって人生とは上り詰めるべき階段であり、そこに踊り場や腰を下ろすべき段などは無い。
故に今日も今日とて、彼女は常日と変わらず幸せを求めていた。
平時との違いと言えば精々、服装がチュニックワンピースに細身のジーンズに変わっているくらいか。

とは言え極最近、吉野きららは転機を迎えた。
最上級の幸せを、決して揺るがない『幸福への階段』を知った事である。
これまで追い求めてきた漠然とした、他者との相対的な幸せではなく、絶対的な幸せ。
それを知ってしまった以上、今までと同じ事ばかりを繰り返す日々に、彼女は焦燥を感じてもいた。

> 「ふん、まあいい。そろそろ本題に入ろう吉野さん。『あの時』の決着がまだ済んでないよなァァーっ!
>  あの時!九頭の前で!俺たちは袂を分かった!!―俺は九頭に下り、君は九頭に刃を向けた!」
>
そんな中で御前等の相手をしている余裕など、ある筈が無かった。
御前等が戦闘態勢を取ろうと、関係無い。
幸いにして彼女のスタンド『メメント・モリ』は、相手の視界や行動を阻害する能力に長けている。
差し当たり花弁の幕を張るか、或いは彼の眼前に陽光の花でも咲かせて離脱を図るか。
吉野の思考は既に、如何にしてこの場から離れるかへと向けられていた。

> 「聞け吉野さん!俺は今サイッコーに『幸せ』だ!何故なら俺は生きている!『九頭の遺志と生きている』ッ!!
>  君は俺の知る中で、唯一『九頭に届いた女』……君を超えなければ!『世界の中心』に辿り着くことは『不可能』ッ!」

だが御前等の一言が、彼女の思考を断ち切った。
吉野はあの時一瞬の迷いによって、一度は到達さえした『幸福への階段』を自ら崩さなくてはならなかった。
その彼女に『九頭に届いた女』などとは―皮肉を通り越して、侮辱だった。

> 「戦おう。俺たちにはそれが必要だ。君は他者の幸せを摘む為に。俺はそこから『道』を見出す為に!」

御前等の宣言など待たずして、吉野は『メメント・モリ』を発現する。
だがそれは単に憤慨に背を押されただけの、思慮も戦略も無い勢いのみの行動。
勇み一歩前に出て、彼女は御前等の罠を踏んだ事に気付かない。

> 「『アンバーワールド』ッ―!今度は君が落下系ヒロインになる番だぞ吉野さん!!」

瞬間、地面が消失した。
少なくとも吉野はそう錯覚した。
心臓が気味悪く高鳴り、景色が溶け落ちる。
再び視界が定まった時、彼女は遥か上空へと打ち上げられていた。
彼女の足元、『アンバーワールド』の制御下にあったマンホールによって。

「なっ……!?」

吉野の顔が苦く歪む。
高さにではなく、自らの失態に。
そしてその隙に、御前等は追撃の歯車を連射する。

(小癪な……! いえ、今はそれどころじゃありませんわ!)

強く、強く奥歯を噛み締めて、吉野は空回りする思考を断ち切った。
既に『二手』、彼女は御前等に遅れを取っている。
下らない挑発に激昂して一手、その失態を悔いる内に更に一手。
これ以上過去の過ちを振り返り、悔やんでいる暇はない。
眼前に迫る歯車を、そして自身を捉える重力の鎖をどうにかしなければ。
訪れるのは、死。
彼女が考える最大の不幸なのだから。

37:吉野 ◆HQs.P3ZAvn.F
10/08/09 01:30:06 0
「『メメント・モリ』ッ! 私に傘を! そして……」

だが彼女は当然、死を免れようとはするが。
一方で自分が不幸へ追い遣られる機会を求めてもいた。
その理由はかつての、九頭との邂逅。
あの時彼女は不幸を踏み台に、一時とは言え能力の覚醒を得た。

「……迫る歯車を弾きなさい!」

故に、彼女は下策に走る。
圧倒的にパワーで劣るスタンドで、敢えて真っ向勝負を仕掛けた。
歯車を弾く度に『メメント・モリ』の拳が裂ける。
必定、吉野の手からもまた鮮血が溢れた。
それでも歯車は凌ぎ切れず、一枚の歯車が彼女の持つ花の傘を貫く。
忽ち、一時はゆるりと遊覧飛行の態を示していた吉野は再び、自由落下の速度に囚われた。
そして五体を絡める重力の手に抗えず、真っ逆さまに地面へと落ちていく。
激突の寸前に地面に花を咲かせた事で落下死は免れたが―彼女の様を見て御前等は、どう思うだろう。

「……足りませんわね、全然」

花畑に悠然と両腕を広げて背を預けて不遜を呟き、
自らに試練を与えたと言えば聞こえはいいが、手抜きとも言える対応をした、
そのくせ御前等を俯瞰するような視線で射抜きながら立ち上がる、吉野きららに。

「はぁ……貴方の言う九頭の遺志とは、幸せとは、この程度の物なのですか?」

言いながら土埃の付着した服をはたこうとして、ふと彼女は手が血塗れである事に顔を顰める。
血痕が付かぬようわざわざスタンドに身嗜みを整えさせて、吉野は御前等へと向き直った。

「幸せを謳う事と、幸せである事は違います。
 九頭の遺志を謳うのなら、せめて私の片腕くらいは奪ってみせて下さいな」

吉野きららは、九頭に対して深い感慨などは抱いていない。
彼の死に際の言葉を彼女は聞いていないし、聞いていたとしても彼女は鼻で笑っていただろう。
彼女にとって九頭とは最後まで『自分が成長する為の無二たる糧』だった。

「もしそれが出来ないのなら」

であるが為に。
彼女が御前等へ向ける視線が孕むのは最早、敵意ではなく。
ただ単純に呆れと、期待外れの色だった。

「貴方はもう、おしまいですわ」

高慢に挑発的に口端を吊り上げて、彼女は御前等の体に花を芽生えさせる。


【ぶっちゃけ舐め腐りんぐ。花は開花する前に毟るなりすれば無害
 歯車を力任せに弾き飛ばしました。多分至る所に飛んでいったでしょう
 やっちまって下せえ】


38: ◆HQs.P3ZAvn.F
10/08/09 01:33:10 0
突然自分の左腕を掴まれて、マイソンは再び驚愕に包まれた。
何せこれまでの人生で、彼の腕を進んで掴もうとする人間など、皆無だったのだから。
徳井の手は力任せで強引だったが、それでもマイソンは嬉しかった。
実際の年齢よりも随分と幼げな表情が、ゆるりと和む。

>「よしよし、よーくわかったよ。お前さんの言い分も確かだな。“俺は君の情報が欲しい”から出来るだけ譲歩しよう。
>今だけお前さんへの『攻撃』も見逃してやるッ─ただ、俺は今から電話しなきゃなんねー。邪魔すんなよ」

だからこそ徳井が、あくまで『情報』が目当てである事を全面に押し出した時。
マイソンは僅かに目を細め、口を一文字にして不満の色を滲ませた。
けれどもすぐに頭を左右に振って、彼はその感情を振り落とす。
初めての人である徳井の言葉に、彼は酷く勝手に裏切られたような心証を懐いた。
が、生まれ持っての気弱さが却って、彼の理性を働かせたのだ。
彼が警戒するのは当然だ。これから信頼してもらえばいい。こうして接して貰えるだけでも十分だ、と。
故にマイソンは徳井に言われた通りに大人しく自制していた。
―今は、まだ。

>「……着信拒否すんなよお~~~いや…やっぱやめようかな…マジギレされたら多分、俺死ぬだろうし」

「……死んじゃダメですよ」

ともあれば徳井にも聞こえないかも知れない程に小さい声で、マイソンは呟いた。
そうして自分の腕を掴む徳井の腕に抱きつくように、自身の腕を絡めた。

>まさかあんた達こっちに向かってる?来るのは止めた方がいいわ。
>カフェと交差点は頭のおかしいスタンド使いのせいで血の海。あんたの隣にいる男が混乱に乗じて何かしてこないとも限らない。
>私はすぐ援護できる位置に控えてるからそいつの出方を伺ってみて。」

受話口から微かに漏れた佐藤の声に、マイソンは微かな反応を示した。

「……女の人? ……じゃなくて、何かあったんですか?」

マイソンは尋ね、そして同時に―『オンリー・ローリン・フォーリン』が笑った。
けたたましい哄笑を切欠として、一陣の風が吹く。

「嘘!? そんな、早すぎ……!」

マイソンは狼狽え―しかし彼はそもそも、自身のスタンドのインターバルがどれ程かなど知らないのだ。
同一人物に二度スタンド能力が働く事など、これまで無かったのだから。
それでも或いは、彼が『初体験』に浮ついていなければ。
ずっと接触している徳井に忠告くらいは出来たかも知れなかった。

が、もう遅い。
風は砂を高く巻き上げ、空き缶を徳井の足元近くに転がした。
地面は固く、近くには車道や放り捨てられて割れた空き瓶、様々な物がある。

もしも砂が目に入ったら。
空き缶を踏んでしまったら。
転んで頭の打ち所が悪かったら。
視界の利かないまま車道に転げ出てしまったら。
そうでなくても割れた空き瓶が後ろ首に刺さったら。

全てが、災厄となり得るのだ。

【ORF暴発
 でも傍から見たら攻撃を仕掛けたように見えるでしょう
 災厄は一人で、あるいは援護によって軽く凌いでくださって一向に構いません】


39:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/09 08:24:17 0
>>33
追跡していた鳥バードの反応が鈍くなるのを感じ、灰島は訝しげに顔を傾ける。
この追跡機は探偵事務所の備品なので壊れると費用は灰島持ちなのだ。

「くそ……こんなとこで故障かよ。」

しかし、それは故障ではなかった。

>「うっりゃやぁああぁぁーーーーーっ!!」
>シャドウクイーンの蹴りが偵察機の影を蹴り飛ばすと偵察機もペーパークラフトのようにぐしゃぐしゃに潰れる

携帯への通信が途切れ、画面は真っ暗な闇へ変わる。
どうやら、鳥バードは何かのアクシデントで墜落したらしい。
それとも、相手に気付かれ破壊されたか。

「まさか……あんな空の上にまで攻撃可能なのか?
だとしたら……!!」

灰島は一計を案じ、懐を弄る。

>「ちっ!灰島かぁーーーーー!!」

突如、背後から凄まじい力が加わり灰島はバイクごと
壁へ向け叩き付けられる。
コントロールを失いながら塀へぶつかり衝撃音を上げる。

#######################################


灰島は、電柱の上にいた。
懐から取り出した鍵爪型のアイテムを看板に引っ掛け難を逃れたのだった。

「危なかったぜ……あんたの攻撃が広範囲だって気付かなきゃ、
今頃はあのバイクと共にお釈迦だったな。
しっかしよぉ……高かったんだぜ、あのバイク。」

>「オジさん、止めようよ、止めにしよう? 少なくとも私に敵意はないよ、それとも、今みたいに「炎」になりたい?」

もう1人、現場にはいたようだ。
生憎、今はジョージの興味はそちらへ向いている。
まだこちらには気付いていない。

「あの子も異能か?ったく……この街は異能者だらけだな。
道理で依頼も減らないわけだ。」

灰島はジョージに気取られないように背後へ近付く。
彼の職業は探偵。音もなく近付き、気配を消す事は
差程、難しいことではない。

「あんたが影を操るなら、俺はその影のように気配を殺して
近付くまでだ。

さぁ、射程距離……だぜ。」

【右腕を負傷、気配を殺しジョージに接近。2人のやり取りを伺う】


40: ◆jPpg5.obl6
10/08/09 16:52:48 0
>35>39
ジョージを追跡してきた妖しい少女はやはりスタンド使いだった。
木を炎に変化させたのだ。灰島たちの灼熱の炎しかり、今日のジョージは何かと炎に縁があるらしい。

タロットカードのThe Empressの逆位置は挫折、軽率、虚栄心、怠惰。
チャンピオンの夢破れて挫折。そのご怠惰な生活を送り、虚栄心を満たすために軽率に繰り返した殺人行為。
まさにカードの逆位置そのままのジョージの人生。

>「オジさん、止めようよ、止めにしよう? 少なくとも私に敵意はないよ、それとも、今みたいに「炎」になりたい?」
布良の言葉にジョージは口元を醜く歪め、笑顔を見せる。

「敵意ならオレもないぜお嬢さん。殺意はあるがな。それに今の炎はスタンドに叩かれた木に発現したように見えた。
オジさんは元ボクサーだったから相手の動きやテクニックや癖みたいなものには、と~っても敏感なんだ。
木を叩いたこと自体がフェイントだったとして、遠距離攻撃は出来ませんと見せかけるための小賢しい芝居だったと考えてみても、
自分から、この位置関係でもオジさんを炎に変えられるとばらしてしまったら、その意味はなくなるんじゃねえか?
とどのつまり、気をつければいいのは君のスタンドの拳のみ。
ま、本気で脅すつもりならその位置からオジさんの服に少し火をつけるとかしてみたらどうかねぇ?」

あごから汗がぽたりと落ちる。ジョージも半信半疑だったが布良のスタンドは近距離パワー型とふんだ。
あとは投擲や仲間の援護に気をつけながらシャドウクイーンによる得意のアウトボクシングで決着をつけよう。
ジョージがそう考え距離をを取るために少し後ろにさがると、どんと男にぶつかった。

「灰島!!いつのまに!!」
ジョージが振り返れば、そこには右手を負傷した灰島が仁王立ちしている。

「…くっくっく…オレの負け…か?いや違うぜ。ここは引き分けだ!いや!オレの判定勝ちだ!!」

バタバタバタバタ!近づいてくるマスコミの報道ヘリコプターの音。
交差点で起きた事件の映像を録るためにかなりの低空飛行だ。
強い陽射しのためアスファルトにはくっきりとした陰影が浮かびあがっている。
そのヘリコプターの影はジョージたちの場所まであと30メートルほどで接触する。

「くっくっくっけーーーーーっ!!」
(あのヘリのプロペラの影にシャドウクイーンの能力を発動させ、こいつらをまとめて粉微塵にする!)
シャドウクイーンの射程内に入るヘリコプターの影。
発動された能力によってプロペラの影はアスファルトの上の灰島と布良の影を引き裂かんと接近する。
まるで巨大な電動ノコギリに襲われるような人間の影たちの光景に狂ったように喚いているジョージ。

「粉々に砕けて生贄になれーーっ!!」
ジョージは自分の肉体もろとも二人を粉微塵にするつもりだった。もとから気にいらなかった肉体。
それに肉体はなくなっても自分のディスクは残る。
再び適合者が見つかるまでに何十年かかったとしてもディスク状態のジョージには関係のない話。

【布良さんと灰島さんの影にヘリコプターのプロペラの影による巨大電動ノコギリみたいな攻撃】

41:ジョージ ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/09 16:56:07 0
トリップを打ち込む途中に指がタタタンっなって送信してしまいました。

42:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/09 18:01:58 0
>>40
>「敵意ならオレもないぜお嬢さん。殺意はあるがな。それに今の炎はスタンドに叩かれた木に発現したように見えた。
オジさんは元ボクサーだったから相手の動きやテクニックや癖みたいなものには、と~っても敏感なんだ。
木を叩いたこと自体がフェイントだったとして、遠距離攻撃は出来ませんと見せかけるための小賢しい芝居だったと考えてみても、
自分から、この位置関係でもオジさんを炎に変えられるとばらしてしまったら、その意味はなくなるんじゃねえか?
とどのつまり、気をつければいいのは君のスタンドの拳のみ。
ま、本気で脅すつもりならその位置からオジさんの服に少し火をつけるとかしてみたらどうかねぇ?」

「…………」

図星である。
正確には殴る必要はないが、少なくとも布良本人かフレイム・パニックが対象に接触している必要がある。
そもそも生物は変化されられないのだが……

(相手の影が私に触れるより先に、あのオッサンに拳を叩き込む……出来る?)

布良の50m走タイムは、女子としては早いほうではある。
フレイム・パニックの射程距離も考えれば、ほとんど数秒だろう。
だが、恐らくその数秒で、致命傷を受ける―

(……ん? 影?)

相手は影を操り、影を攻撃してくる。
影に与えた影響を本体にも及ぼす……そういった能力だろう。

(もしかして……)

ぱっと思いついた対処法だが、それを行うと、自分も相手を攻撃できない。
というか、完全に無防備になってしまう。
                     、 、 、 、
フレイム・パニックの能力を使った最終手段は……こんな街中で使いたくない。

(……あ)

じり、と相手が一歩後ずさる。
その背後に、一人の男が立っていることに、布良もそのとき気がついた。

>「灰島!!いつのまに!!」

男の知り合いだろうか、右手を負傷しているらしい彼……灰島は、少なくとも、男に害する存在のようだった。

>「…くっくっく…オレの負け…か?いや違うぜ。ここは引き分けだ!いや!オレの判定勝ちだ!!」

「!」

叫びと同時に頭上を見上げると……
近い―といっても手を伸ばして届く距離ではまったくないが、ヘリコプターが接近してきていた。


43:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/09 18:02:39 0
(……ウソでしょ!?)

ヘリコプターそのものに何かしたわけではないのだろう。
だが男の武器は『影』で、高速回転するプロペラの影は、鋭利な刃と同じだ。

「――っ! おじさん! 伏せて! べったりと!」

人間の足で、空を飛ぶヘリコプターの速度からは逃げられない。
ましてどう逃げたところで、気をつけるべきは自分の『影』だ。
影の移動先まで計算する事は、布良には出来なかった、故に。

べたっ、と彼女は前に向かって、数歩全力で歩みを進めてから、飛び込むようにして、寝転がった。
皮膚全体を地面に密着させるようにして、べったりと体がくっつくように。

次の瞬間、ヘリコプターがばらららら、と音を立てて、その場を通過していった。

ぴしぃ、と鋭い刃に切り裂かれたのは、プロペラの『影』は倒れた布良の胴体部を通過していった。
服の一部や髪の毛、といったものが散ったが、それ以上、目立った外傷が見当たらない。

男の後ろに居たおじさんはどうなったろうか、気になったが、とりあえず布良は勝ち誇ったように言った。
                                     、、 、 、、 、 、 、 、、 、 、 、 、 、 、、、
「影に攻撃するなら―影を作らなければいいんだよね? ぴったり壁に手をついたら影はできないもん」

攻撃に利用できる『影』の傍に近寄らない事か、対象となる自分の『影』を消してしまう事。
布良が選んだ選択肢はそれだった。

影として存在している部位を極力減らす、影響を受けるとしても、それこそ体そのものが『影』となって『影』を傷つける事が出来ない。

「ちょっと恰好悪いし、何より服が汚れたけど――ま、命には代えられないよね」

【攻撃回避、射程内、周囲の様子を確認してから次の行動】

44:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/09 20:17:38 0
>>44
右腕から血が滴りながらも、灰島は強がりの笑みを浮かべる。
どうやら、彼女は敵ではないようだ。
そして、彼女もまた【スタンド使い】。

>「灰島!!いつのまに!!」
>ジョージが振り返れば、そこには右手を負傷した灰島が仁王立ちしている。

「悪いな……俺は諦めが悪いんだ。あんたが根を上げるまで、
俺はあんたを追うぜ。それによぉ……さっきのバイク代。
それに偵察機。随分とやってくれたな……!!」

拳を握り、スタンドを発現させる。
漆黒のスタンド、レディ・ジョーカーだ。
しかしジョージはそれを余裕の笑みで返した。

>「…くっくっく…オレの負け…か?いや違うぜ。ここは引き分けだ!いや!オレの判定勝ちだ!!」

「ちっ!!ミカエルッ!!」

ミカエルを呼ぶが、応答が無い。
どうやら、射程距離を離れてしまったようだ。
彼の能力と「リンク」しなければ灼熱の記憶は発動できない。
つまり、今の彼には自分自身の力しか頼るものはないのだ。

>シャドウクイーンの射程内に入るヘリコプターの影。
>発動された能力によってプロペラの影はアスファルトの上の灰島と布良の影を引き裂かんと接近する。

「……この音。まさか…っ!!」

上を見上げる。そこには巨大なプロペラ音で吼える怪物がいた。
普段は何の気もなしに見ているそれは、今は脅威の破壊者に映る。

>>43
> 「――っ! おじさん! 伏せて! べったりと!」
「お、おじさ…ん?ちょ、おまっ!!」

少女の声に導かれるように灰島も地面へ伏せる。
一瞬、帽子が宙に舞い真っ二つに切り裂かれる。
間一髪、灰島自身は身を伏せる事に成功したのだった。
自らのスタンドでジョージと自分の体を地面に叩きつけた為、多少擦り傷や
鼻血などは出たが外傷はなさそうだ。

>「影に攻撃するなら―影を作らなければいいんだよね? ぴったり壁に手をついたら影はできないもん」

「なるほどな……頭が良いな、お嬢ちゃん。」

真っ二つに裂かれた帽子を見つめ、灰島はジョージの姿を見据える。
「あんたが殺人鬼だってのは、ミカエルの半身が触れた時に感じた。
どうして、そうなったかは分からないが……1人殺せば1つの人生を壊す。
あんたはその手でいくつの人生を壊してきた?
俺はあんたが死ぬなんて許さないぜ……必ず、その力を壊して―警察へ突き出す。」

ジョージと体を密着させ、ゼロ距離からのパンチを放つ。
「オラァアアアッ!!!!」
2人の影が重なり合い、それは完全に同化した。
相手の戦意と体力を一瞬で奪う技。

【ゼロ距離から攻撃、あくまで灰島は刑務所の件を聞き出すつもりです】

45:ジョージ ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/09 22:54:59 0
>42-44
シャドウクイーンの射程内でヘリコプターのプロペラの影がぐわんぐわと暴れ狂う。
時間的にはヘリコプターとの接触は数秒の出来事であったのだが最初に襲われたのは布良。

>「――っ! おじさん! 伏せて! べったりと!」布良は叫ぶ。
先ほど木を燃やし木の影を消してシャドウクイーンの呪縛から逃れた少女は
すでにジョージのスタンドの特性を理解しているようだ。今度はその身を地面に密着させて対象となる自分の『影』を消す。

「なぁにぃー!!」
自分の体をフタにして影を消す。それは傍から見れば少しマヌケな姿に見えなくも無いのだがシンプルかつ合理的な回避方法であった。

そしてジョージ自身にも理解不能なのだがスタンドという物には特定のルールがあるらしく
人間の身に付けているものなどの影は無生物であってもジョージに操作できなかったりする。
そこは一括りに「人」と言う生き物として扱われているのかも知れない。
(植物などは微量の抵抗はあるが操作でき動物などの自分の意志を持って動けるものは操作出来ないに等しい)

>「なるほどな……頭が良いな、お嬢ちゃん。」
布良の言葉で灰島も地面にぺたりと身を伏せる。

「なんだよっ!これじゃ意味ねーぜ!」
ジョージはプロペラが灰島を襲う前にスタンド能力を解除した。地面にぺタリこんだ灰島をただのヘリの影が通過する。

地面に仲良くぺタリこんでいる布良と灰島。スタンド能力は解除しているのでジョージも立ったまま生きている。

>「ちょっと恰好悪いし、何より服が汚れたけど――ま、命には代えられないよね」

「きっさまら~」ジョージの影の中から漆黒の人影がゆっくりと浮き出てくる。

それはシャドウクイーンの真の姿だった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

>「あんたが殺人鬼だってのは、ミカエルの半身が触れた時に感じた。
>どうして、そうなったかは分からないが……1人殺せば1つの人生を壊す。
>あんたはその手でいくつの人生を壊してきた?
>俺はあんたが死ぬなんて許さないぜ……必ず、その力を壊して―警察へ突き出す。」

「くっくっく…警察へ突き出すだと?突き出したきゃ勝手に突き出してみな…」

ニヤリと笑うジョージの視線は灰島ではなく通りの向こうを歩く人影を見ていた。

>「オラァアアアッ!!!!」

「うりぁやぁあぁあーーーーっ!!!!」

ドグシャァッ!!

レディ・ジョーカーの攻撃はシャドウクイーンのカウンターを難なく上回る。
2人の影が重なり合い一つになると、ジョージの戦意と体力が一瞬で奪われた。
次の瞬間、ジョージの傾いた頭部から花火のように飛び出す二枚のディスク。
それを通りの向こうを歩く人影がこっそり受け取りどこかへ歩いてゆく。

「…ここは…どこだよ?」
その場に残ったのはジョージの抜け殻。殺人犯でもあるボロボロの久本譲治だけだった。

【ジョージ:ディスクに戻る。ディスクを受け取った謎の人影はこれと言って誰と決まっていませーん】

46:徳井一樹 ◆MnJrk02a/Yx.
10/08/11 18:14:08 0
>まさかあんた達こっちに向かってる?来るのは止めた方がいいわ。
>カフェと交差点は頭のおかしいスタンド使いのせいで血の海。あんたの隣にいる男が混乱に乗じて何かしてこないとも限らない。
>私はすぐ援護できる位置に控えてるからそいつの出方を伺ってみて。」

着信拒否どころか怒ってすらいない。どういうことだ、と
徳井は首を捻ったが、あまり深くは考えず“ラッキー”程度に考えた。

「ああ…今、まさに死に掛けた。……は?別のスタンド使い?
なんだそりゃ…スタンド使いのバーゲンセールかァ~~ッ?冗談じゃあねーー
出方、ね。オッケーオッケー。まあ、任せとけよ」
話を終え、通話ボタンを切ると肝心の情報提供について話すのを忘れていたことを思い出した。
自分の間抜けさに少し呆れたが出方を伺うことに変わりはない、と開き直る。

>「嘘!? そんな、早すぎ……!」

唐突に、マイソンの声と同時に、風が砂を巻き上げ、徳井の足元に空き缶が転がった。
サングラスをかけていたのが幸いして砂が目に入るということはない。

─が、空き缶を踏んづけ徳井はギャグマンガのように派手にスッ転ぶ。

転ぶ先には、空き瓶の破片。このままだと後ろ首に刺さりかねない。
かといって今無理矢理避けるような、万全の状態でもない。
徳井は何もせずそのまま空き瓶の破片がある地面に転ぶ。

「うおおおおおおおおくっ…首がァァ……」

「“ある”ッ!」

地面から起き上がり、何事もなく首をくるりと一回転させる徳井。
首は縦半分にぱっくりと裂け、血は出ていないものの向こう側の景色が見える程傷口は大きい。
─否、徳井自身が『開いた』のだ。

「セイヴ・フェリスで首を縦半分に切開した。瓶の破片は切開内を“通った”だけにすぎねー。
だけど超イラつくぜェ~~~ッ!“再び”か?“再び”なのか?3度目もあんのかよ?」

熱した鉄のような憎しみを込めた顔つきでマイソンを見据える。
しかしその表情もすぐに和らいだ。

「まっ……!いいよ………故意でも偶然でも………
許してやろうじゃあねーか…………寛容な精神で………!」

即座に、脳裏に“ぶっ殺す”という単語が浮かんだが
貴重な情報源という有用性を考えれば、その思いもすぐに踏み止まることが出来た。
それよりも問題は情報を聞きたくても自分の身に『災厄』が降り注ぐことだ。
なによりもまず、この災厄から身を護る盾を手に入れなくては。
自分のすべき行動を整理すると、『セイヴ・フェリス』を発現させ徳井はつかつかとマイソンに歩み寄っていく。
─そして対峙したマイソンの額に、全力でデコピンを食らわせてやった。

「やっぱ、腹が立つからそれでお相子な。で……お前の能力………
二度も食らってやっと理解したが、お前と関わる奴ほど不幸になって死ぬような出来事が起こるんだな?
…──だが俺には関係ないぜ……おしゃべりの最中はともかく、“移動中”に関せばな」

徳井がそう言い放った後、セイヴ・フェリスが徳井の背中を切開した。
中は青黒い謎の空間が広がっている。広さもよくわからない。

「俺の能力、逃げることと敵をバラす以外にも使い方があるんだよね~~~実は」

背中が裂けた着ぐるみ状態の男が、自身有り気に不敵に微笑んだ。

※    ※    ※

47:徳井一樹 ◆MnJrk02a/Yx.
10/08/11 18:34:57 0

「やっと見つけた……チクショーもうちょろちょろと動き回ってんじゃあねーよ……
探すのに手間取っただろうが……いや…今思えば佐藤さんに探してもらえばよかったか…」

ここまで来るのにかれこれ20分はかかっただろうか。
落下した電柱が直撃した時に思った以上に背中を痛めたらしく
ナメクジのようなスピードでノロノロとしか歩けなかったが。

─後は、この行動が徒労に終わらないことを祈るばかりだった。

「なあ……よね君……」

徳井が地面にへたり込むと、背中から蝉の抜け殻のようにマイソン・デフューが顔を出した。
その姿によねは大なり小なり驚きの声をあげたかも知れない。
あげずとも驚いたかも知れないが。

「切開した中身は俺のセイヴ・フェリスが任意で異空間を生み出せる……
まあ…滅多に使わないがよー…閉じればそこは隔絶された場所で…文字通り誰とも関与できない……
そして俺に降り注ぐ不幸にもインターバルはあった…そのインターバル中に空間内にこいつを放り込めば……
不幸はおきない……!だってそりゃあそうだよな………文字通り誰とも関わってないんだから…!」

誰に頼まれた訳でもなく、一人でべらべらと解説を始める。
スタンドエネルギーも限界に近く体もボロボロの男がよくここまで喋れるな、と関心されそうなくらいだ。
何よりこれが映画で徳井が映画の役者ならギャラは出ないが現実にギャラは出ないのだ。

「えーと……とりあえずフェーズ2使ってくれるかな?
じゃねーと…俺も君もお陀仏だぜ…いきなり空からロードローラーが落っこちてくるかもしれねー
詳しい説明は後だ。とにかく俺の背後にいるヤツと関わってると不幸になる」

出方を伺うのでの字も忘れた男の考えは、つまりこうだった。

災厄が身の回りの物質によって引き起こされるのなら、
周囲の物質が全く動かない静止した場所ならどうなるのか?である。
少なくともかなり防げるはずだ。しかし机上の空論では結果は分からない。
論より証拠、それに徳井にとって賭けであり、冒険であるのだから。


【よねさんに仕事要請。徳井は出方を伺うことを忘れてます。
フェーズ2によって防げるかどうかは、吉野さん次第で】

48:よね ◆0jgpnDC/HQ
10/08/11 23:08:30 P
上機嫌に街路を往くよね。
ドルド・プラチナへと続く道をスタンドを出しっぱなしで歩き続ける。

勿論、よねが探すのはスタンド使い。
少し歩いては立ち止まり周りを見渡し、また少し歩いては…と繰り返していた。
何度かそのループを繰り返した時だ。視界の中に明らかに浮いた男が居た。

「徳井…さん?なんか疲れてるみたいですが、大丈夫ですか?」

浮いた男の正体は徳井だったが、どう見ても様子がおかしかった。
その足取りはフラフラとまるで"何か重い物でも背負って"歩いているかのようだった。
よねには普段からおちゃらけた感じの徳井の顔が、引きつって見えた。

急に徳井がスタンドについて話し出した。
一通り聞くと、

/「えーと……とりあえずフェーズ2使ってくれるかな?
/じゃねーと…俺も君もお陀仏だぜ…いきなり空からロードローラーが落っこちてくるかもしれねー
/詳しい説明は後だ。とにかく俺の背後にいるヤツと関わってると不幸になる」

「フェイズ2をですか…わかりました」

よねは、ではと言ってから徳井から少し離れた。
幸い近くに一般の人間もそんなに居なかった。

「Sum41!Phase2ッ!全ての物理運動は"停止する"ッ!」

よねの足元から瞬時に黒い、影のような円が広がる。
やがてそれは徳井自身に触れて広がりを止めた。

「とにかく、何かやばそうですね。この"領域"の中なら空からロードローラーが降ってくる事もありませんよ」

よねはまず自身が円の中に入り、その後に徳井を手招きするように呼んだ。

―その頃、ほんの数分前までよねが歩いていた道の上。

【"嫌な予感"がしてならない…既によねクンはワーストと接触してしまったのか…?】

ハマは一旦辺りを見回すが、そこによねの姿は見えない。
ここには居ないなとハマは思うと、足早によねの歩いていった道を辿っていった。

49:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/12 00:18:23 0
>>45
勝負が決する寸前、ジョージは不敵な笑みを浮かべた。
それは敗北からの無力感からか?それとも―別の何かか。
>「くっくっく…警察へ突き出すだと?突き出したきゃ勝手に突き出してみな…」
>ニヤリと笑うジョージの視線は灰島ではなく通りの向こうを歩く人影を見ていた。

「あぁん!?テメェ……何言って」
>次の瞬間、ジョージの傾いた頭部から花火のように飛び出す二枚のディスク。
>それを通りの向こうを歩く人影がこっそり受け取りどこかへ歩いてゆく。

再び灰島の目の前に出現した”ディスク”。それは
ジョージの体を離れ、何者かの元へ向かっていった。
すぐさま、懐から発信機を取り出しその人物の背中へ放り投げる。
その正体を確認するべく、通りへ走ろうとするが
既に時遅く……そこには誰もいなかった。

>その場に残ったのはジョージの抜け殻。殺人犯でもあるボロボロの久本譲治だけだった。

「しらばっくれんな!!テメェが連続殺人犯だってのは……俺が!!」

久本の首を掴み、叫ぶ灰島。しかし、違和感が全身を走る。
この男、さっきまでの雰囲気とまったく違う。
まるで別人のように感じる。先ほどの少女に向き直り、仕方なさそうに名刺を取り出した。

「悪いな、お嬢ちゃん。俺は灰島秀一、私立探偵だ。
今回は面倒な事に巻き込まれちまったが、君の力のことは
誰にも言うつもりはない。また、何か困った事や依頼があれば
遠慮なくここまで連絡してくれ。」

名刺を渡しながら、携帯で警察署へ連絡をする。
この男を引き取ってもらう為だ。


##############数分後#######


パトカーが到着し、その中から2人の警官が降りてくる。
その内の1人は、1部で久留家に迷い込みかけた新米警官・小栗くんである。
「いやぁ、探偵さん!こいつ、連続殺人犯っすよ!
まさかあんたが捕まえるなんて、マジビビったッスよ!」

「あれ?高寺さんはどーしたんだよ。お前らだけか?」

小栗は久本に手錠をかけながら捜査資料を取り出す。
そして、それを灰島に手渡しながら事の成り行きを説明した。

「最近、また神隠しが起きてるんッスよ。それで、高寺さんは
そっちの捜査が忙しいらしいんで。俺たちも毎日、夜の見回りで
クタクタですよ!あ、その資料渡したのは高寺さんの指示なんで。
俺は関係ないっすから!」

資料を見つめながら灰島は物思いにふけていた。
あのディスク。ワースト。何か引っ掛かる。
前にも、何処かで。自分が見た覚えがある。
いや、もっと重要な意味がある。そんな気がするのだ。
失くした記憶の中に、その答えがあるのだろうか?

【・久本は警察へ引き渡す。
・布良へ名刺を。・発信機をディスクを奪った人物へ。
・ディスクの存在と自らの過去に何かを感じる】

50:佐藤ひとみ ◇tGLUbl280s
10/08/12 13:27:11 0

>33
交差点を中心に一斉に活動を始めた謎のスタンド使い達。
自分に襲い掛かってきたスタンド能力を持ったカラス…『死の運命』を齎すスタンドと何か関係あるのでは…?
半ば勘に基づく推察を胸に抱き、徳井の遭遇したスタンド使いを監視する為現場に向かう佐藤ひとみ。

>「痛ッ!」
携帯片手に早足で歩を進めるひとみは肩に強い衝撃を感じてよろめいた。ぶつかって来た男がひっくり返っている。
「ごめんなさい!悪いけど急いでるの!」
スタンドシートは徳井の側に要る少年のスタンドの射程距離を読む為に使っている。
幸か不幸か男がスタンド使いだと気づくことなくひとみは再び歩き始めた。

>46 >47 >48
徳井とスタンド使いである男子高校生。
彼等の位置から死角となる壁の横に立ち、上空に飛ばしたフルムーンからの視点で二人の動向を伺うひとみ。
スタンドシートには少年を表すマーカーとスタンドの射程距離が映し出されている。

>「嘘!? そんな、早すぎ……!」

驚きの声を上げる少年の背後に歯をむき出して笑う骸骨形のスタンドが顕れる。
フルムーンの眼にはスタンドと別に徳井の周囲を取り巻く灰色の靄が見えていた。

風に乗った灰色の靄は空き缶を徳井の足元に転がしていく。ほぼ同時に分離した靄が側を通る車のタイヤに絡みつく。
タイヤに付いた靄は路面に落ちていたガラス瓶の欠片を空き缶の側まで弾き飛ばした。
直後、歩き出した徳井は空き缶を踏んづけ大きく体勢を崩し地面に倒れ込む。
上空から見る徳井の首には彼自身が切開したであろう大きな切れ目が見えた。
切れ目の中には靄が弾き飛ばした鋭いガラス片が…。

「ふーん…なるほど…恐らくあのスタンドは取り付いた者に『災厄を齎す』スタンド…。
あの灰色の靄が不幸を運ぶ『災厄の風』って訳ね…。
そしてあいつの意外そうな反応…あいつはスタンドを完全に制御できていない…?」

ひとみは呟く。

ここに来るまでの間シートには少年のスタンドの射程とは別に点々と煙のような不定形の色域がいくつか表示されていた。
大小濃淡を備えたそれらの色域の正体がこの靄であったことに思い至る。
靄が同時多発的に複数の場所に現れていたことを考えると、このスタンドの『災厄』の対象は一体に限定されない。
何らかの発動条件満たし災厄をセットされた者が靄に取り付かれるのであろう。
そして現在徳井に取り付いている靄が次第に濃くなっていく様から推察すると
靄の大きさは『少年と接触を持った時間』に比例する…?

ひとみは少年のスタンドの正体にアタリをつけると、よねと合流していた徳井の前に歩み寄った。

「取り合えず、よね君のフェイズ2の範囲内にいれば安心ね。
ここにいれば少なくとも『物理的な原因』で起こる不幸は防ぐことができるわ。」


51:佐藤ひとみ ◇tGLUbl280s
10/08/12 13:28:01 0
>47 >48
顔や身体のあちこちに痛々しく火傷を負った徳井の姿を目にして、ひとみは呆れたように呟く。

「徳井君……相変わらず全力で負傷するわねぇ~…
あんたの"中に居る"彼に質問する前に治療した方がよさそうね。盾がヒビわれてちゃ役に立たないもの。」

上空から降りてきたフルムーンは眼球が収まるケースの隙間から蠢く無数の触手を一つに融合させていく。
溶け合った触手は次第に薄く広く引き延ばされ1ミリほどの厚さの柔らかなシートに変化していた。
さらに後から生えてきた触手がシートを適切な大きさに切り取り徳井の火傷の面にあてがう。

「人造皮膚みたいなものよ。人体との親和性の高い素材で出来てるから5分くらいで定着すると思うわ。
最も拒絶反応が起こらなければ…だけど。」

説明を加えながら治療を続けるひとみ。
肋骨の隙間につけた傷から徳井の体内に触手を侵入させ折れている背中側の肋骨に処置を施す。

治療を終えると、ひとみは徳井の背後に回り背中の切れ目から顔を出す少年に語りかけた。

「あんたのスタンドは『他人に不幸をけしかける』能力…。
しかもあんたはそれを自力で制御できない……違う?
『不幸』の度合いはあんたとの接触の長さで変化するのかしら?
さっきから見てたけど、あんた徳井君に明確な敵意を持っている訳じゃなさそうね。

世の中には本人の意思ではどうにもならない理不尽ってものが沢山あるけど、あんたの能力も正にそれね。
あんたの意思でスタンドが制御できれば多少はマシなんだろうけど。
ちょっと気合入れて自力でスタンドを操ってみよう…なんて思ったことないの?
まあ、そんなことはどうでもいいわ。
あんたに質問があるの。」

ひとみはフルムーンの触手を少年の腕に巻きつけ、精神感応を使い少年の脳にイメージを伝えた。
すなわちカラスの死骸の横に落ちていたディスクの映像を。

「こんなディスクに見覚えはない?知っていたらディスクの正体を答えて…!」

問いかけた直後に少年の記憶を読みとろうと試みる。
フルムーンの能力『ディープ・ダイブ』は精神に入り込み記憶を読むことができるが
得られる記憶の断片は必ずしも望み通りのものとは限らない。

つまり少年への質問は記憶の呼び水。
少年がディスクについての記憶を持っていれば、問いかけの後反射的にそれが頭に過ぎるはず。
その機に乗じてディスクの記憶を奪取しようという魂胆である。

【徳井さん治療済みです。
精神感応を使いマンソン君からディスクの情報を得ようと試みる。
佐藤の現在地はフェーズ2の円の中です。】

52:神条 ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/12 16:30:24 0
>49
「行かなきゃ!行かなきゃ!!」
神条時人は交差点に急いでいた。すごいことが起きたからどうしてもいかなければならない。
それは神条のこれからの人生にとって死活問題なこと。
途中で警察の人たちに止められたけど、こっそり引き返して建物とかビルの隙間の子供しか通れない道をものすごい横歩きで進む。

さっさっさっさ!!するするするする!!横歩きのオリンピックがあったら金メダルだ。

「ぼくのばかー!!ドルド・プラチナで財布落とすなんてー!」
あの時、メロンソーダを直飲みして佐藤ひとみを追いかけて、お金を払ってポケットにいれたつもりの財布。
あれがなかったらもうすぐ開かれるお祭りでなんにも買えない。
チョコばなな。綿菓子。フラッペが走馬灯のように神条の脳裏をかすめる。

財布は全財産。少年にとって死活問題。

そろそろドルド・プラチナ通りかなと思って建物の隙間からでる神条。

「君!!何してるの!!」と突然、婦人警官が神条の首根っこをつかむ。
「ぎゃあ!おさいふおとしたんです!おさいふおとしたんです!」
神条は泣き顔で叫び声をあげている。すると警察官たちと何やら話しをしている灰島がいた。
「灰島さーん!たすけて~!!」
たすけを呼ぶ神条。彼とは夢の場所を探すという依頼で顔見知りなのだ。

【灰島に助けを呼ぶ神条】(遊び半分です。あとマイソン君締めのことを考えて神条だしました)

53:佐藤ひとみ ◇tGLUbl280s
10/08/12 16:35:16 0
少年の精神に入り込み、記憶の断片を読み取る佐藤ひとみ。

――見えてきたのは奇妙な造りの狭い部屋…壁も柱もアルミ製、無機質で殺風景な部屋だ。
頑丈な鋼鉄製のドアの小窓には鉄格子が嵌っている。

「何だ?!何が起こったんだァ?毒ガスか?ウイルスか?!」

バタバタと近づいてくる大勢の足音。扉の鍵を開ける音。
顔をガスマスクで覆い武装した男達が部屋に踏み込んで来る。

「ダメだこっちの囚人もやられてる!!これで22人…!ワーストの連中全滅か。」

……男の声を最後に薄れていく意識。
記憶の場面は転換し魚の骨を頭に乗せた骸骨男が目の前に現れる。

>『―“愚者” “魔術師” “女教皇” “女帝” “皇帝” “教皇”“ 恋人”
>“戦車” “正義”  “隠者” “運命の輪” “力” “吊された男”
>“死神” “節制” “悪魔” “塔” “星” “月” “太陽” “審判”“世界”…
>…ついでに記憶Discも合わせて…よし44枚!ハッ』


骸骨の腕から枝分かれした細長い指の骨がディスクを弾く。
ディスクの両面にはアルファベットで名前のようなものが表記されている。
魚の放ったディスクが額に吸い込まれ数秒後…起動音と共にクリアになる意識。

>『気に入っていただけたかな?…中にはご要望に添えなかった方もいるようだけど…支度はできた。
>本当に久しぶりだな諸君!その間、多くのことが変わったし、変わらないもの多くある。絶対的価値は不変さ。
>これまでの時間はちょっとした遅れに過ぎない。かねてよりの必然が遂に結実するのだよ」

魚の骨が漏らす不気味な反響を伴った声。

――そこでヴィジョンは途切れた。


「この記憶…交差点で人を殺しまくってた頭のおかしい女子高生の記憶と同じだわ。
そしてこのディスク…!カラスの死骸から生まれた物も同じ…!」

精神干渉を解除したひとみはバッグから携帯電話と名刺を取り出し灰島に電話をかける。

「灰島さん?今すぐここに来てくれない?
あなたの所に来たタレコミの手紙…"刑務所"とか"死刑囚"ってキーワードがあったわよね?
追っかけてるオカルトまがいの事件の情報が得られるかもしれないわよ。
場所はあなたの目の前に出てきたシートの地図に従って。
その位置からだと3分もあれば来れるでしょう?それ以上は待たないわよ。」


通話しながら目に見えぬほど微細にした触手を少年の耳から体内に侵入させていく。
触手の目指す先は脳内麻薬を分泌させる脳下垂体前葉。
10秒しか持たない精神干渉より麻薬を使った尋問の方が効果的。
これから始まる"尋問"の準備を整え灰島の到着を待つ。


【マイソン君の名前間違えてたァーッ!マイソン君の脳内に見えない触手を侵入させて尋問の準備中。
灰島さんの携帯に電話して呼びつけてます。よかったら布良さんも現場に来てください】

54:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/12 21:29:51 0
>>52
携帯に着信が入る。―相手はミカエルだ。

「やぁ、灰島くん。その後、様子はどうですか?」

「どうですかって。バイクはぶっ壊れるわ、偵察機は逝かれちまうわで
散々だぜ。まぁ、ジョージの抜け殻は確保できたけどよ。」

「抜け殻……ですか。成る程。やはり、本体は別に。」

ミカエルは本を閲覧しながら推測した。
ジョージの本体は別に在る。それが何らかの力で他者の体を利用していると
考えれば辻褄はあう。

「あぁ、俺もそう思う。さっき、ディスクのようなものが
奴の頭の中から出て行った。奇妙な現象だが、これで2度目だ。
1度目は……ドルド・プラチナで。あのカラスの時だ。
あと、1つ聞いていいか?」

灰島の問いに、ミカエルの腕が止まる。

「前にも聞いたっけな。俺、灰島秀一に関して……本当に
検索しても何も出なかったのか?たとえば、今回のディスクや
ワーストと関連しても。」

それを聞いたミカエルは1度目を伏せ、微笑を浮かべた。

「ええ、前にも言った通り……君の記憶は見れませんでした。
本当に、何も―」

###########電話を切り、灰島は誰かの声を感じ振り向いた####


>「君!!何してるの!!」と突然、婦人警官が神条の首根っこをつかむ。
>「ぎゃあ!おさいふおとしたんです!おさいふおとしたんです!」

「あ、お前は……確か時人!?どーしたんだよ、え?財布?
あ、ちょっと悪い。その子は俺と知り合いなんだよ。ちょいと借りるぜ。」

時人の手を引き、布良の傍まで連れてくる。
どうやら財布をドルド・プラチナで落としたらしい。
些細な事だが、見逃せないのが灰島という男の悪癖なのだ。

「分かった。俺も付き合ってやるから、取り合えず落ち着きな。」



55:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/12 21:36:05 0
歩き出そうとした瞬間、再び携帯の着信が鳴る。
登録していない番号だが、依頼かもしれない。
まずは電話に出る事にした。

>>53
>「灰島さん?今すぐここに来てくれない?
>あなたの所に来たタレコミの手紙…"刑務所"とか"死刑囚"ってキーワードがあったわよね?
>追っかけてるオカルトまがいの事件の情報が得られるかもしれないわよ。
>場所はあなたの目の前に出てきたシートの地図に従って。
>その位置からだと3分もあれば来れるでしょう?それ以上は待たないわよ。」

「おっ、あんたは確か……。何?刑務所の事?
あぁ、分かった。地図を頼りに、だな。俺も丁度、知りたい事が
あったところさ。必ず、間に合わせる。」

電話を切り布良、神条の方へ向き直る。
こうなれば乗りかかった船だ。
彼女達を巻き込むつもりなどないのだが、自分といた方が
危険性がないとも言える。
先ほどのようなスタンド使いがいつまた襲ってくるか分からないからだ。

「トッキー、あとそこのお嬢さん。俺の知り合いがいるとこまで
一緒に行こう。その方が安全だ。」

【2人を連れて佐藤の元へ】




56:布良 ◆1KCFGbYFSs
10/08/12 23:37:41 0
>>49
布良が起き上がった時には、もう決着はついていた。
男の体は吹き飛び、頭から円盤状の物体が飛び出て、地面に倒れこむ。

(……何あれ、CD?)

布良の視界に一瞬だけ収まったそれを、すっと拾って持っていく影。
あまりに早く、自然に行われたので、布良は反応できずぽかーんとしているだけだった。
どうやらそれは重要なものだったらしく、殴り飛ばした側が即座に行動を起こしたが、既に遅かったようだ。

>「悪いな、お嬢ちゃん。俺は灰島秀一、私立探偵だ。
今回は面倒な事に巻き込まれちまったが、君の力のことは
誰にも言うつもりはない。また、何か困った事や依頼があれば
遠慮なくここまで連絡してくれ。」

その後、怒鳴ったりなんだり、色々あってから、名詞と共に男はこう告げた。

「しりつたんてい……」

現実で、そのワードは始めて聞いた。
というか、ドラマの中だけだと思ってた。
色々聞きたいことはあったが、名刺を渡すと同時に電話を始めて、数分後にはパトカーと警察官が現れた。
さらに、タメ口どころか向こうが敬語で、なにやらぺらぺらと難しい話をしているではないか。

「うっわー、本当にドラマみたい……」

とりあえず棒立ちで待ってみる事にする。
冷静に考えてみると、こんな市街地で堂々と能力を使ったのは初めてだったが、
ヤバイ問題になってないかなー、警察には灰島さんごまかしてくれるのかなー、などと考えていると

>>52
>「灰島さーん!たすけて~!!」

声が聞こえてきた。

>>54
>「あ、お前は……確か時人!?どーしたんだよ、え?財布?
あ、ちょっと悪い。その子は俺と知り合いなんだよ。ちょいと借りるぜ。」

ぱっと見、かわいらしい男の子だ。
というか、多分同年代だ。


>>55
>「トッキー、あとそこのお嬢さん。俺の知り合いがいるとこまで
一緒に行こう。その方が安全だ。」

「……私も聞きたいことが色々あるから、好都合です、ご一緒させてもらいますね。
 この能力の事も、知ってるみたいですし。 ところで……」

ちら、と視線を向けた先、やたら輝いた目で告げる。

「……パトカーで移動するんですか?」


【灰島と一緒に行動、現状と能力周りの説明を求める】
【あとパトカーに大興奮】


57:灰島 ◆lcCn/SJQ7.
10/08/13 00:37:09 0
>>56
>「……私も聞きたいことが色々あるから、好都合です、ご一緒させてもらいますね。
>この能力の事も、知ってるみたいですし。 ところで……」

「能力、か……そういやトッキーも同じような力を持ってるよな。
この街じゃ珍しくないらしい。俺はスタンドと呼んでいるが。」

―― 「おまえはわたしにとって 釈迦の手のひらを飛び回る孫悟空ですらない」

ズキッと頭が痛む。同時に誰とも知れない声が、頭の中で反芻する。
あのディスクに触れた時と同じ現象だ。
どうやら、灰島とディスクには異常なまでの因縁があるらしい。

「いや、悪い……頭がクラクラすんだ。さっきバイクで転んだせいかもな。」

ところで少女はというと、パトカーを見つけ目を輝かせながら
質問をしている。

>「……パトカーで移動するんですか?」

「おい、オグリッシュ。あのパトカー、便利そうだな。
俺、バイク壊れちまったんだよなぁ。」

小栗にパトカーの2台在る内の1つを指差し、満面の笑みで指示を行う。
小栗は困惑した表情で灰島に擦り寄った。

「ちょ、ちょっとマズイっすよ!いくら毎回事件を解決するのを
手伝って貰ってるからって、そこまでは……」

狼狽する小栗をよそに灰島は携帯のメモリーを取り出し、小栗の目の前にちらつかせる。

「明後日、知り合いが大学生とコンパするらしいからよ。1つ、席が
空いたらしいが……どうだ?あ、俺は何も頼んじゃいないぜ。」

小栗はメモリーを速攻で手に入れると、パトカーに乗り込んだ。

「お、俺は関りたくないっすからね!前も、高寺さんのせいで
変な家に連れまわされたりして酷い目にあったんすから!!」


「分かったって!運転だけでいいからさ。
よし、お嬢ちゃんにトッキー。出発進行だ。」


【2人をパトカーに乗せ佐藤さんの元へ】



58:神条 ◆BhCiwB2SCaJ5
10/08/13 16:36:26 0
婦人警官に首根っこを掴まれた神条時人は灰島に助けを求めている。
それを見ていた灰島は神条に助け舟。

>「あ、お前は……確か時人!?どーしたんだよ、え?財布?
>あ、ちょっと悪い。その子は俺と知り合いなんだよ。ちょいと借りるぜ。」

「え?この子、灰島さんのお知り合いなんですか!?」
神条の首根っこを掴んでいた婦人警官の手がゆるむ。
「そうだよ。おねーさんっ!だから許してねー!ちゅ」
神条は婦人警官の頬にキスをして灰島の後ろに逃げ隠れた。

灰島は何かと忙しそうだったが神条を保護する意味合いで同行することになる。

>「トッキー、あとそこのお嬢さん。俺の知り合いがいるとこまで
>一緒に行こう。その方が安全だ。」

「うん!あとボクの財布…警察の人に探してって言ってね。
あ…それと誰?この子?」

服を汚したポニーテールの女の子が神条の目の前に立っていた。

>「……私も聞きたいことが色々あるから、好都合です、ご一緒させてもらいますね。
>この能力の事も、知ってるみたいですし。 ところで……」

少女の問いかけに探偵は答える。

>「能力、か……そういやトッキーも同じような力を持ってるよな。
>この街じゃ珍しくないらしい。俺はスタンドと呼んでいるが。」

「…スタンド?それって超能力みたいなものですよね」
神条の言葉を灰島は聞いていない。頭痛がするらしい。

そして小栗が運転するパトカーは灰島たちを乗せ佐藤の元へ向かう。

「ボクの名前は神条時人。よろしくね」神条は布良に簡単な自己紹介。
会話をする間もなくパトカーはあっという間に佐藤たちの所へ到着。

「あ!佐藤さんだ!」
神条は司書の佐藤は知っていた。サングラスの男も一度出会っている。他の二人は知らない。
神条には何が起きているのか理解できなかったが不吉な気配はする。

一同はパトカーからおりて佐藤たちのもとへ近づいていく。

【パトカーからおりて佐藤さんたちのところへと近づく一同】

59:名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中
10/08/13 23:49:36 0
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60:名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中
10/08/13 23:50:17 0
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69:名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中
10/08/14 00:06:05 0
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