【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズンat CHARANETA2
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズン - 暇つぶし2ch81:ユリ ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:26:24 0
>79-80
>「……そうか。じゃあ、ユリが嫌になるまでおぶっててやる。
> 好きなだけそうしてるといい……」
「うん…ありがと…」
ユリはそう言って、安心しきってレイヴンの背中に体を預ける。
毒は抜けきっているのだが、直前の戦いで少なくなった力を完全に使い切っているのだ。
夢の中にいるように、リリィのテレパシーを聞いても、苦しむリリィを見ても。
ユリはほとんど反応しなかった。
ただ、徐々に力が回復するにつれて、意識もやはり回復にと向かってはいる。

>「すまないなぁ、俺は自分から約束を破るダメな兄ちゃんだ……
> 埋め合わせは帰ったら必ずするから、いい子にしてるんだぞ?」
「お兄ちゃん…どこに行っちゃうの…?」
焦点の合っていない目が、ぼんやりとレイヴンの歩む先を見た。
その先に見つけた親友(ユリはそう思っていた)の顔に反応し、ユリの意識は現実にと戻り始める。
「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」

82:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:29:00 0
>70-81
笑みを浮かべながら総裁の話を聞いていたミクだが、『写本』と聞いた時には少し考えるそぶりを見せた。
写本である以上原書があるはずであり、ベッドフォードがどんな本から覚醒について知ったか気になったのだ。
ベッドフォードの言葉を信じるならば、その本にはリリィが言う異変の原因についても記されているに違いない。
>「蜘蛛よ お前も【覚醒】の一端を担ってはどうだ?
>ただ戦い、感情を刺激すればよいだけだ…」
「それは結構なお話ですこと。
 でも、その簡単なお仕事の結果はお聞きできませんの?」
ミクからすれば、感情が刺激されて覚醒すればどうなるのか。
というのはなかなか重大な問題だ。
藪を突いて蛇が出るのはいいが、自分が藪を突く役目を果たすのは気にいらないからだ。

>「そう焦ってはいかん…話にはまだ続きはある…」
>「結論から言おう…【覚醒】とは彼等自身が持つ力の限界を縛る制約から目覚めさせる事だ…
ベッドフォードは覚醒の結果について語り、戦う事に加えて鍵が必要なのだと述べた。
杖に視線を向ける老人を見ながらミクは、あるいはあの杖が遺物なのだろうかと考える。
>「だから、私は彼等天才達の出現をずっと待っていたのだよ(中略)
>この機会を逃せば、また数百年いや数千年待たねばならぬ…」
「【覚醒】についてのご教授、感謝しますわ。
 私も総裁の目的達成のため、微力ながらご助力いたします」
ミクは総裁にそう言って笑いかける。
【計画】の内容についてはわからなかったが、退屈しないで済みそうだというのは良くわかった。
ミクからすればそれで十分だ。

>「にゃにゃ!にゃんにゃにゃ!!」
>「リリィちゃん!」
>「あ・・・・・・皆・・・・・・みんな!助け」
扉が開いて入ってきた仲間の声に反応し、リリィが助けを求めようとする。
しかし、その声は最後まで続けられることはない。
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
苦しむリリィを見て怒るグラディスを見て、ミクはなるほど上手いやり方だと思う。
リリィに同情するつもりはない。
蜘蛛はカマキリに捕まった蝶を見ても、同情しないものだからだ。

>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
>「にゃあな!」
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
>「よせグラディス! 屋敷を燃やしたらここにいる全員焼け死ぬぞ!?
> こんなクソジジイと心中なんぞ俺はゴメンだ!」
部屋に入ってきた者のうち、何人かの行動は予測済みのものだった。
最悪すぐにでも攻撃されるものとまで思っていたのだが、約1名、予想外の行動を取った者がいた。

>「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
>「何やってんだよ!?おい!?」
ミクは何をやっているのか聞きたいのは自分だと思った。
後の説明は確かに理にかなっていたし、そう行動してもおかしくない。
しかし、しかしだ。
助けに来た友達が苦しむのを目の前にして、相手に土下座するというのはミクの想像の範疇を超えていたのだ。
>「この手の輩に弱味を見せる、自分から折れるって行動は絶対に取っちゃいけないんだぜエンカ……。(中略)
> 俺は思うがね。その方がよっぽど有意義だ」
幼女を背負った男の言葉に、ミクはその通りだと思った。
リリィに蜘蛛糸を巻きつけて精神的に揺さぶろうと考えていたのもすっかり忘れて、そう思った。

83:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:31:34 0
>「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?(中略)
> 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」
「お久しぶりねエンカ。
 他の人たちには初めましてでよろしいかしら。
 私は初音美紅。
 あなたたちのお知り合いのユリの友達よ。
 こちらにおられるのはこの館の主、ベッドフォード総裁。
 と言っても、今更自己紹介が必要な状況でもないかも知れないわね」
ミクは自己紹介はしたが、エンカの蜘蛛に関する言葉はわざと無視する。
別に知られて困るようなことではないし、ほぼ敵味方に別れた状況で言うべきことでも無かったからだ。
言わなければならないことは、他にある。

「実は私人質を取られて脅されていて、あなたたちと戦わなくてはいけないの。
 苦しむリリィを助けたいでしょうけど、私も負けるわけにはいかないわ。
 悪く思わないでちょうだいましね」
人質を取られているとは思えないほど楽しそうに、ミクは笑う。
実際問題ユリが人質かと言われると疑問符が付く所だが、ミクにその事を教えるつもりはない。

>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
> 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
急にエンカが妙な事を言い出したので、ミクは不審の目でエンカを見る。
テレパシーはミクに聞こえていなかったのだ。
>「お、マジかよ!?…ところで、あんたにもこのテレパシー聞こえてるんすよね?」
その言葉に、ミクは総裁を見た。
他の者の反応を見るに、自分にだけテレパシーが聞こえていないのだと思えたのだ。

>「もしもあんたの気持ちがそれで収まるならよぉ。俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?(中略)
> そうそう、俺も森で古い魔道書を見つけたんだぜ~?」
>「……じゃあ、ビジネスの話に入ろうか。(中略)
> だったらお為ごかしする必要もないだろ……」
アンティーク。 先ほど総裁が語っていた遺物の事だろうか。
あるいは漆黒の鎧の事だろうか。
総裁はテレパシーを使って、彼らにそれを探すように強制しているのか?
ミクには、まだそう考えるだけの余裕はあった。
だから、糸を張ってレイヴンの動きを封じ、それ以上の総裁への接近を阻もうとした。
「そこのあなた、それ以上進まずに止まりな…」
>「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」
余裕がなくなったのは、元気を取りもどしつつあるユリが呼びかけてからだった。

驚いて声の主を見るミクの視線の先で、幼女化したユリがぐしぐしと目をこすっていた。
幼女化の程度を知らない上に、熱血直情型の性格を知っていたために、まったく気づかなかったのだ。
「う…」
ミクももちろん、ユリが来た時の対処法は考えていた。
その場で言いくるめるか、今は黙らせておいて後で言いくるめるかのどちらかだ。
問題は、ユリに気づいたタイミングが最悪だったいう事だ。
言いくるめれば、他の侵入者が怒りの感情で戦うのは難しくなる。
黙らせれば、仲間を攻撃された侵入者たちが怒って交渉はご破算になるだろう。
ベッドフォードにユリの事をお願いしている立場上、その意志を無視して行動するのは今はまずい。
ミクは先ほどより余裕のない表情でベッドフォードを見、戦いか交渉かの意思表示を待った。


84:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/03 22:59:07 0
「あら、どうして?」
メイションの罠ではないかという懸念にセラエノは理解が出来ないと言うかのように首を傾げる。
セラエノからすれば勝手に押しかけたわけではない。
メイションを探しに着てみれば蜘蛛との戦闘になっており、更に館の護衛との入り乱れた戦闘になった。
最中に茨を大量に生み出し館を覆ってしまったことへの事情説明に来たのだ。
その口上は既に済ましており、その返答として扉が開いた。
ゆえに押し入ったという前提は成立せず、罠にかけられるという事すら考えていない。
つまり、セラエノは自分の正しき理に絶対の自信を持っており、全ての行動は正当なものなのだから。

メイションの心配など気にする風でもなく一歩踏み出した時、テレパシーが届いたのであった。
セラエノはテレパシーを声のように感じる事が出来る。
察知すれば大体何処から発せられたのかは把握できるのだが、このテレパシーは何処から届いたのか把握できない。
しかも内容は驚くべき事であったのだが、次の瞬間には吹き飛んでしまう事になる。

このたった一言の為に。
>「何とかならないの!?セラエノお姉ちゃん!?」
(セラエノお姉ちゃん?お姉ちゃん?
お姉ちゃんってお姉さんより親近感UP!UP!よね!
しかも美少年が懇願する目つきで私のことをセラエノお姉ちゃん!?)
この間0.03秒。
くるりと振り向いたセラエノの仮面からは滂沱の鼻血が滴っており、胸に抱える本を更に赤く染めていた。

「お、お姉ちゃんに任せなさい!さあ、私の腰にしっかりと捕まって!」
ちょっと強めな笑みを浮かべ、メイションを引き寄せるセラエノ。
それと同時に半透明になっていた茨が色を取り戻し、蠢動をはじめる。
美少年の懇願する一言がセラエノを開眼させた瞬間だった!
そして、ベッドフォード邸玄関に巨大な茨の蛇が出現した!

###################################

ゴゴゴゴゴゴ!!

悠然と佇むベッドフォード。
締め上げられ嗚咽を漏らすリリィ。
土下座をし、何とかリリィの罪を軽減しようとするエンカ。
怒り火球を発生させるグラディス。
猫の本能の衝動と戦うグレン。
刀を捨てゆっくりとベッドフォードに近づくレイヴン。
未だ焦点の合わないユリ。
思わぬ状況に困惑し、状況を見守るミク。

それぞれの思惑が交錯する部屋に地鳴りとともにそれは入ってきた。
打ち破られた窓に突っ込んできた巨大な蛇の頭。
否、茨の塊り。
それとともに室内の茨も色を取り戻し、脈動を始める。

85:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/03 23:02:47 0
「お待ちなさい!全員動かないで!
あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!
それ以上すれば本当に暗殺者として成立しますよ。」
その言葉とともに茨は鉄格子のようにレイヴンとグラディスを取り囲みその動きを牽制する。
声とともに茨の塊りがほどけ、その中からメイションとセラエノが現れた。
部屋をぐるりと見回すと、大きく息を吸いあえてゆっくりと言葉を紡ぐ。

「はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
館を覆う茨は私の力が暴走した結果の事。まずはお詫び申し上げますわ。
こちらはメイション。
急を要するようでしたので窓から失礼しますわ。」
リリィからのテレパシーを感じた時からリリィが何処にいるかはわかっていた。
今になって窓から直接乗り込んだのは、礼儀よりリリィの身の危険、そして何より美少年の懇願の為。

「早速ですが、私とそちらのエンカはこのメイションを探しに来ました。
彼らが何故ここに来たかは知りませんが、そこのリリィがベッドフォードさんを暗殺に来たとの事。
もしそれが事実ならば一同手出し無用。
法に基づき適正に処罰されるべきでしすから。
即ちこのような私刑ではなく、彼女は私と同じく学園新入生ですので学園に一度預け追って然るべき処罰を。
故にエンカ、そんな土下座は無用だし、アンティーグの代償で法を捻じ曲げる事は罷りならないわ。
そしてそれを持ちかける事自体にも不信感を持ちます。」
一旦息を継ぎ、更に言葉を続ける。

「リリィが暗殺を目論むテロリストだとの事。
そう断じるにはそれなりの証拠がおありでしょうね。
今すぐその提示を。
私の力で彼女の服の記憶を読み、彼女の行動の全貌は明かせられますが…?」
最後の言葉は捏造は通じないという釘。

「私が見る限り、彼女は館の周辺で蜘蛛に襲われ戦っていただけで、館に侵入はしていなかったようですが?
館周辺で護衛に連れて行かれる事はあっても…
もし手違いでしたら今すぐ彼女の解放を。
私はメイションを探すという目的も果たしましたので明日からの学園生活の為、騒ぎを収めてみんなで帰りたいのです。」
毅然と言い放つセラエノだったが、あまり余裕はなかった。
血に塗れ判り難くはあるが、その肌は蒼白。
保険医の造血治療があって立っていられるのだが、大量の血を流しすぎているのだ。
そしてこれほどの大規模な茨を生み出し操作するという始めての体験に力は尽きようとしている。

明日から学園生活が始まる。
2週間後には浮遊島でのバトルロイヤル&フィジル大海孔見物などイベントは目白押しだ。
イベントにやたらとバトルが付いて回るのはベッドフォードの差し金なのかもしれないが、今はまだわかりようはない。

その事を考えれば明らかなオーバーワークだが、それでもセラエノを支えるのは…
美少年と美少女の存在であるのは言うまでもない。

86:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/03 23:10:15 P
>75>76>77>80>81>83-85
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
「なあ、にゃあん」
(もう男の人ったらすぐに暴力で解決しようとする)
だがしかし猫語なので誰にもわからない
しかもグレンも雄である

> 『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
>  この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
>  それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
「にゃあん?」
(テレパシーしか使えない戦闘能力皆無なリリィお姉ちゃんがテロリスト?)
何気にひどいことを言うグレン
だがしかし猫語なので誰にもわからない
>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
「にゃあ?」
(もしかしてMなの?)
またまた何気にひどいことを言うグレン
だがしかし猫語なので誰にもわからない

>『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
 ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
助けて欲しければお宝よこせという謎の声
「にゃあん?」
(これじゃ駄目?)
とばかりに伝説の猫缶を取り出すグレン
もちろん駄目に決まってるし伝説の猫缶は伝説の缶切りがないと食べられないのである
っていうか総帥猫じゃないし

>「テロリスト、だと? ……でっち上げる気か、
 それも結構。お前らの計画がおじゃんになっても構わないならな……」
どうやらレイブンははったりをかまして何とかするつもりらしい
「にゃにゃあ」
(ここでの会話はすべて録音されている外で待ってる球形ロボによって)
グレンもはったりをかますがそもそも猫語なので(ryである

>「俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?」
総帥のアンティーク収集を手伝うことによって今回のことをなかった事にしようというエンカ
>「すまないなぁ、俺は自分から約束を破るダメな兄ちゃんだ……
  埋め合わせは帰ったら必ずするから、いい子にしてるんだぞ?」
刀を捨てて総帥に近づくレイブン・・・・何か考えがあるのか?
だがしょせん猫の頭では何をするつもりなのかはわからなかった



87:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/03 23:12:03 P
>「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」
>「う…」
どうやら知り合いらしいが・・・・・・なんか事情がややこしそうなので
「にゃあん?」
と鳴いてごまかしておいた

という状況の中で侵入してくる茨
やはり中にフリードがいるため避けるようだ
知らないうちに盾にされているフリード

そしてその頃グレンの中で寝ているフリード
「エターナルフォースブリザード?お祖父様なんですかこれ?
 え?わしが若い頃に考えた最強の呪文?相手は死ぬ?」
まだ変な夢を見ていたようだ

どうやら茨の持ち主はセラエノのようである
セラエノを見たグレンはもうひとつのお宝を思い出した
「にゃなぁ!!」
(ちゃちゃちゃん聖杯!!)
それはセラエノの血を受けたコップである
だがたかがコップされどコップ当然貴族の子息であるフリードのコップである
結構いいものであり当然とばかりに純銀製である
「にゃあ」
(これでどうだ)とばかりに総帥に聖杯(仮)を差し出すグレン
多分駄目だろうな

88:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/08/04 20:50:48 0
>>75>>77>>78>>79>>80>>82->>87 


部屋に入ってきた雛型達の反応は多種多様 まさに様々であった 
望み通り怒りに身を任せる者 土下座し取引を持ち掛けてくる者など 
最も放たれた火は杖から発せられた力で見事に消されてしまったのだが 
当の老人は子供が持ち掛けるビジネス等に乗る気は無く話を聞く耳すら持っていないという素振りで雛型達に背を向け窓の外を向いてしまった 
その時、老人が見ていた壁一面の大窓は巨大な蛇 いや茨の塊により突き破られる 
ガラスが飛び散り普通の人間であれば怯むような状況でさえ 
老人は動じる事無かった 

>「早速ですが…(略)」 

セラエノの話を茨の蛇を眺めながら聞いているも 
老人の興味は話の内容よりも彼女自身に向いている 
「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい… 
なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」 
急に振り返りセラエノを見る目は気味悪い程輝いている 
すると老人はやっとミクの方へ目配せをする 
「神が断れば 動け」」 
そうテレパシーを送られたようだった 

>「にゃあ」 
老人の足元に差し出された銀の杯 
杯を見るやまたも老人は目の色を変えた 
「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」 
グレンから強引に杯を奪い取る 
「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」 

89:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/04 21:56:37 0
グラディスが怒りに任せて炎を出したそのとき。
>「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
突然、エンカがDOGEZAの体勢に入った。
『は?』とばかりにお互いを見やるエンカとグラディス。
横でレイヴンが何か言ってるが、聞こえているのはエンカとの対話のみ。
>「何やってんだよ!?おい!?」
「エンカ、君こそ何をやってんだっつーの!?」
>「考えてもみろよ!?俺達は強制的にここに連れてこられたわけじゃあねぇ!
> 自分達で勝手に人の家に押しかけてんだぜーっ!?
> 警備の奴らもちょうど俺達三人でやっつけちゃったしよーっ!
> 総裁が怒るのも無理ねぇじゃねぇかよ!」
「知るかっての!ただ少し忍んだだけでこれはねーだろーが!
 挙句に人質取った悪人みてーな風にリリィちゃん使ってんだから容赦しなくてもいーだろ!
 ってか、易々と頭下げてんじゃねー!せめてもーちっと溜めてから使えよー!」
>「謝って済むなら争いなんか起こらないんだ。
> ……その土下座は、彼女の親に『娘さんを下さい』って言うときにでも取っておくべきだと
> 俺は思うがね。その方がよっぽど有意義だ」
「そーそー、レイヴンのいうとおりだ!……あれ?いつ来たんだ?気付かんかったなー」
ガン無視しておいてこれである。

>「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?
> また何か悪いこと企んでんじゃねーだろうなぁ!?
> 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」
老人ではない、もう一つの影に向かってエンカが叫ぶ。
見たところ、女の子らしいが。
「……蜘蛛ぉ?ってこたー……この子が、もしかしてあのでかい蜘蛛の首領!?」
>「お久しぶりねエンカ。
> 他の人たちには初めましてでよろしいかしら。
> 私は初音美紅。(略)
> 悪く思わないでちょうだいましね」
「知るかっつーの!よくも蜘蛛で俺達を……」
>『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
> この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
> それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
グラディスの不満たらたらの言葉は、突然のテレパシーによって止められた。

>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
> 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
「仲間だけど、テロリストだあ?随分と誇張表現が大好きじゃねーの!
 何処をどう見て暗殺を企てているように見えんだかねー!妄想に捕らわれてんじゃねー!」
>『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
> ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
「ふ、ざ、けんなっ!濡れ衣被せといてそれかよ!?腹立った、てめーぜってー燃やしてやる!」
ギャースカギャースカテレパシーの主にキレるグラディス。
目の前のベッドフォードよりも気に入らないらしい。

90:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/04 21:57:29 0
と、突如、ガラスが割れ砕ける音がした。
音の出所は探さずとも目に付く、壁の一面のガラス。
そこには龍とそこに乗った神が居た。
否、大量の茨と仮面をつけた何者かが居た。
>「お待ちなさい!全員動かないで!
>あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!
>それ以上すれば本当に暗殺者として成立しますよ。」
「うっ?……もう消えたぜー」
やってもいない暗殺の罪には問われたくない。
そう思うグラディスの手には、ベッドフォードの杖から発する威圧に消えていた。

>「はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
>館を覆う茨は私の力が暴走した結果の事。まずはお詫び申し上げますわ。
>こちらはメイション。
>急を要するようでしたので窓から失礼しますわ。」
仮面―セラエノが簡単な自己紹介を終えて、すぐさまベッドフォードに説得・説明へと入る。
エンカとセラエノはメイションの捜索に来たことや、もしリリィが暗殺に来たなら法で裁かれるべきということ。
行動の全てを見せることができること、暗殺を目論む明確な証拠の提示の要求。
>「私が見る限り、彼女は館の周辺で蜘蛛に襲われ戦っていただけで、館に侵入はしていなかったようですが?
>館周辺で護衛に連れて行かれる事はあっても…
>もし手違いでしたら今すぐ彼女の解放を。
>私はメイションを探すという目的も果たしましたので明日からの学園生活の為、騒ぎを収めてみんなで帰りたいのです。」
カッコ良く場を纏めたセラエノにグラディスから賞賛の視線が送られる。
先程までの不機嫌はどうしたのか、すっかりセラエノに傾倒していた。
「ほおお……すげー、かっけー……!マジすげー……!」

>「にゃあ」
これでどうだと言いたそうに、銀色の杯を掲げるグレン。
銀の魔除けの雰囲気から、グラディスはうっと後ずさる。
「うげえ……銀かよー」
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」
行き成りベッドフォードが、猫のグレンから強引に杯を奪い取った。一体どうしたというのだろう?
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
グレンの前足を持って持ち上げるグラディス。
「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
ぶらーんぶらーんと前に後ろに振り子運動させる。

91:名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中
10/08/04 23:39:22 0
床が崩れるぞー

92:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/08/05 07:16:54 0
>77
『僕の声は、トクベツな人達にしか聞こえないんだ』
テレパシーは笑みを含んだ声で、土下座をしているエンカに囁いた。
『残念だったね』

>80 >90
>「テロリスト、だと? ……でっち上げる気か、 
> それも結構。お前らの計画がおじゃんになっても構わないならな……」 
『正直、僕はもうどっちでも構わないのさ』
刀を投げ捨て総裁へと近づくレイヴンの背に、笑みを含んだ声が届く。

>「ふ、ざ、けんなっ!濡れ衣被せといてそれかよ!?腹立った、てめーぜってー燃やしてやる!」 
『それは結構。だが総裁は、彼女を気に入っているようだ』
声の主は、わざとグラディスを煽るような物言いをした。

だがセラエノの次の一手により、場の状況は一変する。



>「リリィが暗殺を目論むテロリストだとの事。 
>そう断じるにはそれなりの証拠がおありでしょうね。 
>今すぐその提示を。
セラエノは知らないが、実はリリィの入学受付には問題があった。
なにせ、時間切れで受け取れないと言われているにもかかわらず、
『お願いします受け取ってください』と強引に書類を押し付けてきたのだから。 
だがそれ以前の問題で、テロリスト云々のテレパシーはベッドフォードには届いていないのだが。

>老人の興味は話の内容よりも彼女自身に向いている  
>「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい…  
>なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」  
協力、と言えば聞こえが良いが、実際のところは脅迫である。
リリィを締め上げる魔力は強くなりこそすれ、弱まっている様子はないからだ。

>91
>「にゃあ」 
これでどうだと言いたそうに、銀色の杯を掲げるグレン。 
>銀の魔除けの雰囲気から、グラディスはうっと後ずさる。 
>「うげえ……銀かよー」 
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」 
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」 
>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」 
グレンの前足を持って持ち上げるグラディス。 
興奮した様子のベッドフォードに、その場にいる皆の注目が集まる

>床が崩れるぞー 
度重なる破壊のためだろうか リリィが横たわっている部屋の床に穴があいた。
芋虫よろしく転がっているリリィは、そのまま落ちるしかないだろう。

93:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/08/05 08:14:53 0
>80>84>85>88>90>92
「おっ、と!」
エンカはレイブンが投げ捨てた刀をキャッチした。
その後、ゆっくりと総裁に近づくレイブンにエンカが言った。
「待てよ!何するつもりだよ!おめぇの言うこともわかったが、
 変に強気なことしたらリリィがもっと痛い目にあうかもしれねぇのによーっ!」
> 当の老人は子供が持ち掛けるビジネス等に乗る気は無く話を聞く耳すら持っていないという素振りで雛型達に背を向け窓の外を向いてしまった
「(あのジジィ、俺達なんか眼中にねぇって感じだ。でも、だったら一体何がしたいのかわからねぇぜ?)」
エンカはそう思った。

> ゴゴゴゴゴゴ!!
「なんだこの音は!うおぁああっ!?」
> それぞれの思惑が交錯する部屋に地鳴りとともにそれは入ってきた。
> 打ち破られた窓に突っ込んできた巨大な蛇の頭。
> 否、茨の塊り。
> それとともに室内の茨も色を取り戻し、脈動を始める。
> 「お待ちなさい!全員動かないで!
> あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!」
> 声とともに茨の塊りがほどけ、その中からメイションとセラエノが現れた。
「セラエノ!?メイションも一緒…ということは、この一帯の茨の正体はセラエノかよ!?」
≫「おかしいですよ、セラエノさん!?」
たぶん、メイションはもうセラエノ“お姉ちゃん”と呼ぶことはないだろう。
≫「リリィお姉ちゃん!!」
「待てメイション、セラエノが説得してくれるみてぇだからよーっ!」
セラエノの説得(あるいは説教?)に対する総裁の反応は、エンカにとっては気に入らなかった。
> 「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい…
> なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」
「良かったなぁ、セラエノ?おめぇを神として敬意を払ってくれてるみてぇだぜこの人は?
 銅像でも彫ってもらって玄関に飾らせたらどうだ?」
エンカはセラエノに皮肉を言った。
「だいたい気に入らねぇのはよぉ!俺が地面に落ちた小銭を拾おうとして爪の間にゴミが入る事より気に入らねぇのはよぉ!
 おめぇが俺の知らないことを知りすぎてることだぜーっ!
 なんでこの部屋に入ってきたばかりのおめぇが、俺が総裁に謝ったことを知ってんだ!?
 なんでリリィが蜘蛛に襲われただの、館に侵入していなかっただのって知ってんだ!?
 俺はそんなおめぇに不信感を隠せねぇよなーっ!俺達はずっと一緒に歩いて来たのによーっ!」
メイションも同じようなことを思った。そして、もしかして自分の頭の中にある情報を読んだのだろうか?と思った。
もしもそうだとしたら、メイションはセラエノが嫌いになっただろうが、
しかし、リリィが連れていかれた時よりずっと前からメイションは蜘蛛の毒で意識を失っているので、
それはないだろうなと思った。黙ってセラエノの返答を待つことにした。

エンカがふと総裁の方を見ると、今度はグレンの差し出した銀の杯に夢中になっていた。
「(なんだよこのジジィはよぉ…不思議な薬でもキメてんのかーっ!?)」
> 「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
> ぶらーんぶらーんと前に後ろに振り子運動させる。
「グラディス、かわいいからやめとけよ。
 そいつはグレン・ダイザー、下克上が好きらしいから、グレンのペットが飼い主だぜ?
 さっきまでは普通に喋れてたんだがなぁ?」

> 度重なる破壊のためだろうか リリィが横たわっている部屋の床に穴があいた。
> 芋虫よろしく転がっているリリィは、そのまま落ちるしかないだろう。
「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
落ちそうになったリリィを助けようと走ったエンカだったが、今度はエンカの足元の床に穴があいた。
特別な力を持たないエンカは、そのまま落ちるしかなかった。
しかし、2mほど落ちたところでエンカの体が止まった。彼を受け止めたのは蜘蛛の糸だった。
「ミク!どうして俺を助けた!?てめぇだって人質を取られてるはずだろうがっ!?」
エンカにはミクを含めた他のメンバーが見えなくなったので、当てずっぽうに叫んだ。
厳密に考えればミクの蜘蛛の糸に引っかかったからといって、
本当に助けてもらったのか、偶然なのか、また蜘蛛のエサにされそうなのかわからないのだが。

【エンカ:レイブンの刀を持った状態で穴に落ちる。ミックミクにされる予感】

94:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/05 15:18:54 0
>84-93
思わぬ事態に困惑するミクの耳にも、地鳴りのような音は聞こえてきた。
窓から飛び込んできたのは蛇の頭とも見える茨の塊であり、自然のものではないのは明らかだ。
ミクは茨に対応するために体を少し巣の上部に持ち上げ、脈動し始めた茨から身を遠ざける。
>「お待ちなさい!全員動かないで!
声と共に茨の中から出てきたのは、ミクの予想通りセラエノだった。
館を覆った茨がセラエノの仕業だったという仮説は、これで証明された。

セラエノは自己紹介の後、事態が適法に処理されるよう告げ始める。
内容はミクから見ればお笑い種だ。
人食いサメに食べられる前にすべきなのは、念仏を唱えるか退治する事で説法を聞かせることではない。
そしてベッドフォードはミクの見た所、人間よりも人食いサメに近い存在なのだ。
もちろん、ミクはセラエノに感謝したい事もある。
一つは、服の記憶を読み取れるという自分の能力をセラエノが明かした事。
もう一つは、ミクに必要だった動揺から立ち直る時間を稼いでくれたという事だ。
ミクはユリの様子をうかがった。
思った通り、ミクとは違う意味でセラエノの言葉を理解できていないようだった。

>「神が断れば 動け」」
ベッドフォードの意思表示に、ミクは無言で笑いかけて了解の意思を伝える。
それに合わせて音もなく、手のひらほどの大きさの蜘蛛がミクの作った巣の上部に移動を始めた。
セラエノは総裁の誘いを断るだろうと考えて、使い魔を戦いやすい位置に配置したのだ。

>「だいたい気に入らねぇのはよぉ!(後略)
エンカはセラエノが知りすぎている事に不信感を抱いたようだが、ミクはそうは思わなかった。
セラエノが神である以上、何らかの方法で知っていてもおかしくないと思っているからだ。
もちろん知りすぎている事に反感を持つ者もいるだろうが、特殊能力者が理解されないのは世の常だ。
少しはセラエノを理解してあげないと、彼女の心が闇の側に落ち込むわよエンカ。
そんな事を考えられるほど、ミクは落ち着きを取り戻している。

>「にゃあ」
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」
「ブリュ…なんですって?」
ミクにとって意外な事に、ベッドフォードは二足歩行する猫の差し出した杯に興味を示した。
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
>「グラディス、かわいいからやめとけよ。
確かにその猫は可愛くておいしそうに見えたが、ミクにとっては老人の心変わりの可能性が気になった。
セラエノが誘いを断っても、遺物探しのために交渉を始めるのではないかと思えたのだ。

総裁の部屋に大穴が開いた時にミクが真っ先にした事は、ユリに糸を飛ばして彼女を引き寄せることだった。
>「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
エンカの声がした方は一瞥したが、すぐに視線をユリに戻す。
落ちないように糸で捕らえておけば、後で何とでもできるからだ。
「ユリ。 もう良い子は寝る時間よ。
 詳しい話は明日してあげるから、今日は何もかも忘れて、ゆっくり寝なさい」
>「え。え? えーと。確かミクって寮に残ってたはずだよね…? でもここは総裁がいて…あれ?
> ね、ねえミク、なんか顔が近いよ? それに真顔だしそれにそれに…むーっ!?」 
ミクはユリの顔を両手で挟んで引き寄せると、そのまま強引に唇を重ね合わせた。
突然の事にユリは目を白黒させてむーむーと言いながら暴れていたが、しばらくするとおとなしくなる。
口移しで催眠性の毒を飲まされたのだ。

>「ミク!どうして俺を助けた!?てめぇだって人質を取られてるはずだろうがっ!?」
すぐにはその問いに答えずに、ミクはユリを糸で縛って使い魔の蜘蛛に引き渡す。
後は使い魔に任せておけば、当面はミクもいろいろ安心というわけだ。
誰かがユリを起こそうとすれば目が覚めるだろうが、それは蜘蛛が邪魔しようとするだろう。
ユリの体が巣の上に引っ張り上げられていくのを見届けてから、やっとミクはエンカを見る。

95:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/05 15:22:38 0
「まるで助けられては困るような言い方ね。
 こんな時には、まず命の恩人に礼の一つも言うのが礼儀というものではないかしら」
するすると自分の体を支える糸を伸ばし、ミクはエンカの止まっている位置まで下りてくる。
「人質を取られているからこそ、あなたを助けたのよ。
 私が総裁に協力している以上、総裁を助ける協力者になりそうな者を助けるのは当然。
 そうではなくて?」
ミクはそう言って、足下の穴を覗き込んだ。
「下まではかなり深そうね。
 続きは降りながら話をしましょう」
エンカを支える足場が下に降り始め、ミクも同じ速度で穴を下に降り始める。

「他の者達と違って、あなたは総裁に土下座してリリィを助けようとしたでしょう?
 それに、ベッドフォードに協力しても良いという意思表示も見せた。
 単刀直入に言うと、エンカも私と同じように総裁に協力する気はないかという事よ。
 そうすれば、リリィやメイション君、それに他の仲間の助命も嘆願できるでしょう。
 総裁は学園の有力者だから、協力すれば今後の学園生活が有利になるかもしれないわね。
 悪い話ではないと思うのだけれど、いかがかしら?」

話しているうちに、ミクたちは穴の下に到着した。
そこは石造りの、自然にできたとも人工的にできたとも思える洞窟のような場所だった。
「欠陥住宅ではないでしょうから、何かの考えがあってこの上に館を立てていたと考えるのが普通でしょうね。
 私達を下に落として、あの老人が何をしたいのかは知らないけれど。
 …他の者達も近くに落ちているのかしら?」
ミクは糸を離れて床に降りると、エンカをひっかけていた蜘蛛糸を外して自由にする。
これは、エンカが協力を受け入れても拒んでも変わらない。
「そういえばあなた、森で魔導書を見つけたとか言っていたわね。
 もしかしてこの騒ぎ、その魔導書が原因なのではなくて?」 
周囲を見回しながら、ミクはエンカにそう尋ねた。
エンカの持つ刀にまったく警戒していないように見えるが、もちろんそんな事はない。
攻撃すればミクの周囲に張られた蜘蛛糸に捕らわれることになるだろう。

96:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/05 17:16:41 P
>88>90-93
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
「にゃあん」
(こんなものフィー坊なら 36個持ってるよ)
んなわけがない伝説の遺物なのだ
だが世界には写しただけで複製品を創り出すと言われているシャドーミラーも存在する
本物が本物のまま増やされていないとは限らない
「にゃあおん」
(水差しなんて知らないよ)
と律儀に答えるグレン
まあフリードの所有物の事なんてフリードしか知らないので
もしかしたら持っているかも知れない

>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
びろ~んと伸びる猫
狼男に前足を握られて重力に足を引かれびろ~んである
>「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
「うなぁ」
振り子のように振られるグレン
ちょっと気持ち悪くなってきた

中にいるフリード
「・・・・・・うえっぷす」
まだ目が覚めていないがなんだか気分が悪くなってきたようである

>「グラディス、かわいいからやめとけよ。
 そいつはグレン・ダイザー、下克上が好きらしいから、グレンのペットが飼い主だぜ?
 さっきまでは普通に喋れてたんだがなぁ?」
「にゃあん」
(夢は使い魔と主人の地位を逆転すること)
出番的意味でもう成し遂げられていると思われる

>床が崩れるぞー
なにこれ?手抜き工事?姉歯?ってな具合に抜ける床
転がり落ちるリリィ
取り戻すなら今のうちである
>「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
一緒に落ちていくエンカ

「にゃあん?」
(飛び込むべきか飛び込まざるべきか?)
だがしかしグラディスの腕につかまれているせいで身動きがとれないグレン
「にゃああん」
(オープンユニオン)
フリードと分離しその手から逃れるグレン
ぽむっと床に落ちる体操服短パンで寝ているフリード
ただいま爆睡中である
「にゃあん」
(チェンジユニオンスイッチオン)
またしてもフリードと合体し羽根の生えた長靴をはいた猫の姿となるグレン
「なあにゃ!!」
(早く助けなきゃ!!)
と言って穴に飛び込もうとするグレン
はたして誰か止めようとするのか?
それともそのまま飛び込んでいくのか?

97:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/05 23:00:13 0
ベッドフォードはセラエノに、協力すれば他の者は不問にすると明言した。
本来ならば破格の条件。
だが、セラエノの露出した口元に笑みが浮かぶ事はない。
恐らくミクが想像した通りであろう言葉が紡ぎだされる。

「学園の生徒である以上、事と次第によってはあなたに協力するのは吝かではありません。
しかし!これは事と次第に当てはまりません。
罰せられるべきならば適正に罰せられるべきであり、法と正しき理を捻じ曲げて救済するなど言語道断!
そして、罰せられるに値する証拠を提示できないのであれば、これは単なる脅迫でしかない。
故に彼女を救出し、お暇させていただきます!」
毅然と言い放つセラエノ。
その言葉に一遍の澱みもなく、茨がその意思を汲み動き出す。

その茨の動きを止めたのはエンカの皮肉だった。
投げつけられた言葉に注意が向いたところに更に言葉は続けられる。
>「だいたい気に入らねぇのはよぉ!俺が地面に落ちた小銭を拾おうとして爪の間にゴミが入る事より気に入らねぇのはよぉ!
> おめぇが俺の知らないことを知りすぎてることだぜーっ!
> なんでこの部屋に入ってきたばかりのおめぇが、俺が総裁に謝ったことを知ってんだ!?
> なんでリリィが蜘蛛に襲われただの、館に侵入していなかっただのって知ってんだ!?
> 俺はそんなおめぇに不信感を隠せねぇよなーっ!俺達はずっと一緒に歩いて来たのによーっ!」
「エンカ…私は…あなたが目で見るように、耳で聞くように、残気を感じる事が出来るの。
だからこの部屋で少し前に何が起こったかを一望すれば把握できるのよ。
リリィについてはこの部屋に着いた時に、既にサイコメトリーで彼女の行動を把握したからよ。」
残気とは生命体が発する気の残り。
誰がどのように動いたか、残像のようにセラエノは把握する事が出来る。
そしてリリィの罪の証拠提示を求めた時には既にリリィの行動を把握していたのだ。
証拠提示の際に捏造されないように。
全ては理に乗っ取った行動であり、一片の後ろめたいところはない。
にも拘らず…
セラエノの胸には小さな痛みが生まれていた。

エンカは自分が神である事自体が気に入らないのだろうか?
いや、それでもいい。いいはずなのだ。
自分が神である事はどうにもならない事。
それを拒否する気持ちはやがて迫害へと至り、セラエノの望むべく形になるのだから。
なのに胸が痛むのは自分自身でも理解できないでいる。

理解されない、不信に思われる。
慣れているはずなのに、望んでいるはずなのに、エンカの皮肉とその後に続く言葉に胸が痛むのだ。
神の視座は往々にして理解されない。
そう判っているはずなのに…
セラエノの声は揺らぎ、説明をしているだけなのにどこか言い訳がましくなってしまっている。
ベッドフォードに対する言葉とは比べ物にならないほどに。

この感覚に戸惑い、理屈立てようとするが上手く行かなかった。
上手く行くはずがないのだ。
初めての感覚に精神的にも肉体的にも消耗しつくしている。
そんな時に考えてもマイナスな考えは生まれてもプラスの考えは生まれるはずはない。
呼吸は浅く、速くなり、肉体にもその影響が現れ始めていた。

98:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/05 23:03:09 0
更に追い討ちをかける事が起きる。
床に穴が開き、落ちそうになったリリィを助ける為にエンカが駆け出したのだ。
次の瞬間エンカも足元に開いた穴に落ちてしまうのだが、その時セラエノの胸に去来したものは…
黒い粒子が棘のように刺さった痛みから滲み出るような感覚。
それがなんなのかは今のセラエノは知る事はできない。
ただ、部屋に入った時、状況把握などで気に留めなかった【あの言葉】が鮮明に蘇る呼び水となったことだけは確かだった。

≫「おかしいですよ、セラエノさん!?」
≫「リリィお姉ちゃん!!」
(……あれ?セラエノ【さん】?リリィお姉【ちゃん】?
え…どうして……
エンカ…メイション…どうして、リリィ…なの?)
あらゆる事象を、感情を理屈をつけ理論立てコントロールしてきたセラエノ。
だが今は棘の痛みから噴出した黒い粒子が胸全体に広がり塗りつぶしていく。

元々体力、精神力ともに消耗しつくしている状態で、美少年の懇願というドーピングが突然消えうせる。
それがどういった事を引き起こすのかは最早考えるまでもない。
糸が切れた人形のように崩れ、両膝を付く。
あたりを埋め尽くしていた茨も全て消えうせてしまった。
最早今のセラエノにはなんの力も残っていない。

ゆっくりとそのまま倒れふそうとするセラエノだったが、だがここで倒れるわけには行かない。
神の威厳の為にも倒れるわけには行かないのだ。
美少年ドーピングが切れ、理解不能の黒い粒子に胸中を塗りつぶされたセラエノを支えるのは神たる自覚。
何とか踏みとどまろうとした時、それは起こった!
>「にゃああん」
>(オープンユニオン)
グラディスの手から逃れる為に分離したグレン。
ぽむっと床に落ちる体操服短パンで寝ているフリード
「び、美少年の寝姿(体操服短パン)~~!?」
凄まじい勢いで鼻血が噴出し、その勢いで体が起き上がってしまうセラエノ。
ドンだけの勢いなんだよ!というツッコミは喜んで受けよう。

ともかく期せずして立ち上がれたのだが、グレンがすぐに合体して長靴を履いた猫姿になってしまったので最早これまで。
いや、美少年の寝姿を下手にチラ見させられたのでその落差は更に大きい。
力も血も使い果たしたセラエノは今度は仰向けに倒れ起き上がる事はできなかった。

【セラエノ、大量の鼻血を噴出して仰向けに倒れて気絶】

99:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/08/06 01:11:11 0
>80-82、>85、>88、>92-93、>98
>「お兄ちゃん…どこに行っちゃうの…?」
「……ユリのお友達が泣いてる。
 だから助けに行くんだ。ユリだって、お友達が泣いてるのは嫌だろう?」
背中越しに語る内容は、あまり間違っていない。
ただ鴉にとっての誤算は『総裁の近くにいる少女』もユリの友達だったと言う事だろう。

>人質を取られているとは思えないほど楽しそうに、ミクは笑う。
少女の自己紹介と、それに続く言動のあまりの乖離ぶりに鴉は不信感を募らせる。
十中八九ウソ……ではないにせよ、誤解曲解を招くような言い回しをしていると感じたのだ。
仕事柄騙し騙されは茶飯事だった為、特にそうした部分に対する勘が
自然と養われたわけだが……

>ミクは先ほどより余裕のない表情でベッドフォードを見、戦いか交渉かの意思表示を待った。
故にか、ミクの表情の変化にいち早く気づいた。
ユリの友達と言っておきながら、ユリがミクに気づくまでミクはユリに気づかなかった。
……詮無き事か、今のユリは薬の副作用で幼女化しており知らなければほぼ別人である。
だが気づいてからのミクは、先ほどまでの余裕が鳴りを潜めていた。

>「待てよ!何するつもりだよ!おめぇの言うこともわかったが、
> 変に強気なことしたらリリィがもっと痛い目にあうかもしれねぇのによーっ!」
>その言葉とともに茨は鉄格子のようにレイヴンとグラディスを取り囲みその動きを牽制する。
そんな考え事をしていると茨がまるで鉄格子のように展開し道を塞いだ。
続く声を聞くに、この茨を操っているのはセラエノだろう。
「……揃いも揃って勝手な事を言ってくれるよ。
 言っただろう、ビジネスの話をすると。部屋の端と端で話すなんて
 不自然な状況を終わりにしたかっただけなんだがな……」
もちろん、ウソである。本当はリリィの様子を間近で確認する為に
距離を詰めようとしただけである。

>「良かったなぁ、セラエノ?おめぇを神として敬意を払ってくれてるみてぇだぜこの人は?
> 銅像でも彫ってもらって玄関に飾らせたらどうだ?」(略)
「うるさいぞエンカ!」
あえて苛立っている様な声色で怒鳴る鴉。
「黙って聞いていれば、グダグダと……女の腐ったような事しか言えないのか!
 セラエノが神様だろうが、お前の知らない事を知っていようが、そんな事はどうでもいい。
 ……必要なのは『敵か味方か』だけだ。少々的外れだが、セラエノは第三者的な立場で、
 いやどちらかと言えばこちらよりの立ち位置で場を収めようとしているだろうが……
 痴話喧嘩も結構だが、帰ってからやれ。犬も食わないもんを俺達に食わせる気か?
 ……いいから黙ってろ。ヒステリーは女の特権だ」


100:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/08/06 01:11:52 0
>雛型達に背を向け窓の外を向いてしまった
>老人の興味は話の内容よりも彼女自身に向いている
>杯を見るやまたも老人は目の色を変えた
「……聞く耳もたずか」
長生きしてる割には人の使い方が下手だな、と思う鴉。
その上、人が変わった様にころころと興味の対象を変える……

(「まさか……」)
鴉に浮かんだ疑問、それへの解答候補は三つ。
・既にイカレてる
・多重人格者
・……黒幕が別にいる

(「どれも根拠が薄い……今はそれよりも……」)
茨の檻の中で、鴉はリリィを一瞥する。やはり動きはない。

>『正直、僕はもうどっちでも構わないのさ』
響く声はどことなく総裁の心中を表しているようにも感じられた。
ならば、『もうどっちでも』と言う言い回しはしないはず。
だが完全に一致と言うわけでもないようだ。
(「ちっ……場を引っ掻き回すだけの道化師か。クソ忌々しい」)

>度重なる破壊のためだろうか リリィが横たわっている部屋の床に穴があいた。
>芋虫よろしく転がっているリリィは、そのまま落ちるしかないだろう。
>あたりを埋め尽くしていた茨も全て消えうせてしまった。
気が逸れたその瞬間を狙いすましたかのように
突如部屋が崩壊し、リリィが転がり落ちそうになった。
エンカも駆けつけようとしたが、足元に開いた穴に飲み込まれていく!
だが鴉はリリィを優先した。この屋敷には縦横無尽に蜘蛛の糸が張り巡らされていた。
特に意識しなくても引っかかるだろうし、エンカ自身も意識があるから
そこまで深刻な事態にはならないだろうと――。

崩落と共に消え失せた茨の事を気にする暇もなく駆け寄った鴉は精一杯手を伸ばし
「……っ!」
奈落の底に落ちかけたリリィを辛うじて捕まえる事に成功したが、
片手で脱力した人間を引き上げるほどの膂力を鴉は持ち合わせていない。
そんな状態はリリィ側にも相当の負担を強いるだろう……
もっとも、それ以上に深刻な異常が鴉を襲っているのだが。
「ぐっ……!っ、く、くっ……」
リリィの自由を奪っていた総裁の魔力が、許可なく触れた鴉を痛めつけているのだ!
無理な体勢の中、拷問に等しい痛みを受け続けている鴉。
崩落は自身の近くにも及んでおり、恐らく長くは保たないだろう……!


101:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/08/06 01:12:57 0
―――一方その頃―――


>「他の者達と違って、あなたは総裁に土下座してリリィを助けようとしたでしょう?
> それに、ベッドフォードに協力しても良いという意思表示も見せた。
> 単刀直入に言うと、エンカも私と同じように総裁に協力する気はないかという事よ。
> そうすれば、リリィやメイション君、それに他の仲間の助命も嘆願できるでしょう。
> 総裁は学園の有力者だから、協力すれば今後の学園生活が有利になるかもしれないわね。
> 悪い話ではないと思うのだけれど、いかがかしら?」
「止めておきなさい、少年よ。君の目の前にいるのは無慈悲なる蜘蛛神。
 異界の神を由来とする滅びを紡ぐ者の甘言に呑まれれば、君も異形と成り果てるだろう。
 道は己で決めるもの、踊らされ踏み外す事努々無きよう」
その声はエンカに向けられていた。声のした方を向くと、ミクの張った蜘蛛糸をまるで
枝の様に掴みながら一羽の白いハヤブサが、陽光の様な淡い光を放ちながら止まっていた。
その言葉はどこか曖昧で、真意を伝えようとする意思は感じられなかい。

「この姿では初めましてですね、初音美紅殿。
 まさか、貴女ほどの方が直接人心を惑わしておられるとは……
 退屈は長命の最大の敵とはよく言ったものですな。
 黄衣の女神と言い、近年は人の姿を取るのが流行りなのでしょうかね?」
どうやらこのハヤブサはミクやセラエノの事をよく知っているようだ。
世間話をしているように軽い調子だが、その眼光は獲物を狙っているかのように鋭い。



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