10/07/25 13:12:36 0
>39 >42
>「良かろう…君の好きにするが良い…」
「総裁の御好意に感謝しますわ」
>だが、老人はただし…と言葉を繋げる
>「見た所、君は只の生徒ではないな…?
>是非君の正体を教えて貰いたい
>さすれば【覚醒】が何であるか全てを話そう」
正体を知りたいとの老人の言葉に、ミクは笑ってスカートを両手でつまむ。
勘の良いものならすぐ気づくだろうし、いつまでも隠せるとは思っていなかったから。
「ふふ…正体などとそのようなたいしたものではありませんわ。
私は只の、この学園に巣を張るバケモノですのに」
ミクが少しスカートを持ち上げると、その中から2本の足が新たに伸びてくる。
人の足ではない。 うごめくそれは、黄色と黒の巨大な蜘蛛の足だ。
蜘蛛の足はしばらく動いた後、ミクが下ろしたスカートに隠れて見えなくなる。
「普段は人形遣いを称していますけど、これが私の本当の姿ですわ。
ご満足いただけたかしら?」
外の騒動が大きくなり、館の中にいても外で戦闘がおきているのがわかるようになってきた。
ミクは、張っていた探知用の糸が切れるのを感じ取る。
館の中のものの可能性もあるが、今は侵入を許したと考えるのが妥当な線だろう。
リリィのテレパシーを聞いていたミクは、真っ先に乗り込んできそうなユリの状況を知ろうと糸を手繰る。
盗聴用の糸は、何も伝えてこなかった。
ユリが急激に動いたために糸が千切れたに違いない。
ミクは少し迷ってから、罠に使おうと館の中に張っていた硬質の糸を緩める。
ユリが飛び込んできたのなら、まず確実に罠に突っ込むだろう。
ここでそうなるのはまずい。
「館に侵入してきた者がいるようですわ。
総裁にお聞きしたいのですけれど、彼らをここに迎え入れて【覚醒】について聞かせるおつもりかしら。
それとも、彼らに気かせる必要は無いとお考えかしら?
聞かれたくないのでしたら、今、私だけに【覚醒】についてお話し下さいな。
その後で侵入者を追い出してまいりますから」
そう言いながらもミクは、侵入してきた者達はすぐにでもこの部屋を突き止めてくるだろうと思っていた。
選択肢は多くても、選ぶ時間はあまり残されてはいない。