【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズンat CHARANETA2
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズン - 暇つぶし2ch26:ミク ◆sto7CTKDkA
10/07/17 22:50:51 0
時はその少し前にさかのぼる、
樹上を移動してきたミクは、少し離れた木の上から大蜘蛛の戦いを眺めていた。
エンカとセラエノが臆病風に吹かれて帰っていれば、戦いに介入しようと考えていたのだが。
どうやらその必要は無かったようだ。
セラエノの光が戦いの場を照らし、その声が響くのを聞いて、少しだけミクは笑う。
「2人ともこちらに来たのね。 そんなに叔父との出会いが大事なのかしら。
 それとも友達が心配だったのかしら?
 どちらにしても、派手に名乗りを上げてから共通の敵を作るなんて、見事な手際ね」
ユリが向かったこの屋敷は、学園の重要人物にして有名人のはずだ。
堂々と乗り込めば、逆に自分の立場を守ろうとして下手な手出しができなくなる事は十分に考えられた。
相手が強引に事実をもみ消そうとしなければ。

ミクは状況を自分に有利にするために、複数の細い糸を大蜘蛛に巻きつける。
それまで木々の間に張られた巣を走りまわっていた蜘蛛は、磔にあったように動きを止めた。
これが、急に蜘蛛が動きを止めた原因だった。
時間が経てば糸はさらに締り、大蜘蛛を輪切りにするだろう。
その前に蜘蛛が倒されても、それはそれで良し。
要はしばらく注意を集められれば、それで蜘蛛は役目を果たすことになるのだ。

地上の戦いにはそれ以上干渉せずに、ミクは張り渡した糸を使って空中から総帥の館に移動した。
何回か粘着質の糸を貼りつけてから窓を壊し、館の中に侵入する。
特に目的があるわけではなく、単なる好奇心からの行動だった。
仮に総帥とやらがごく普通の善人なら、適当に悪事の証拠らしきものをでっちあげるのもいいだろう。
本当に悪事の用意があれば、ユリたちより先にその情報を掴むのも悪くない。
とにかくミクは、楽しみに、刺激に飢えていたのだ。
館の中を散策しながら、ミクは硬い糸と柔らかい糸を張っていく。
糸は獲物を捕らえるのに必ず役立つはずだ。
それが館の住人か、後からこの館に乗り込んでくる者かは、まだわからないが。

27:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/17 23:41:00 P
木を伝い屋根を駆け抜け元の場所に戻ろうと走るグレン
体のサイズは大きくなっても猫としての能力は変わらない

念のために保健室に寄るグレン
そこにいたのは犬っころと取っ組み合いを演じるゴーストの教師であった
ゴーストなのに物理的に殴り合えるとはよほど強力な霊に違いない
加勢しようと犬に近寄るグレン
ただの猫では勝ち目はないが今のグレンはフリードと合体しているため負けはない
そうグレンは考えたのである
「その犬に近づいては駄目だ!」
とグレンに警告する保険医
「何故故?」
(にゃん?)
なぜ近づいてはいけないのかと保険医に問うグレン
保険医は犬の能力を斯く斯く云々と説明する
「なるほど・・・・・・」
(にゃ・・・・)
と肉体を持たぬ幽霊である彼だからこそその能力を無効化出来ると納得したグレン
「そんな事より蜘蛛が毒で大変なんだ!!」
(にゃにゃにゃにゃ~な!!)
と毒蜘蛛がいるからすぐに毒消しを持ってきてくれと保険医に頼むグレン
果たして保険医は来てくれるのだろうか?

>23
「やや?リリィさんがいない!?」
(にゃにゃ?にゃにゃにゃにゃ!?」
しばらく経って戻ってきたはいいが肝心のリリィが居ないことに驚くグレン
「一体全体どこに行ってしまったのだろう?」
(にゃにゃお?)

蜘蛛を見ると同行していた保険医はおもむろに消毒用アルコールの瓶をぶん投げ
「毒は熱消毒だぁ!!」
と火の点いたマッチを投げ捨てた
まさに外道である
誰かこのレズば・・・・・・お姉さんを何とかしてやってくれ
それを見たグレンは・・・・・ああこの人も性格は考慮せず能力だけで呼ばれたんだな
と妙な方向で納得したようだ
もしこの保険医が強力な攻撃魔法が使えたならばダンジョンのボスをダンジョンごと吹っ飛ばしたに違いない
「そんな事より転がってる人の毒を消してよ」
(にゃにゃにゃおん)


28:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo
10/07/19 22:47:21 0
「ええい!なぜ俺にすぐ報告をしなかった!
敷地内への侵入を許すとは怠慢も甚だしい!」
緑色の軍服の上からコートを肩に羽織り颯爽と廊下を歩く銀髪の細身の男
男は部下を叱責しながら帽子を被りつつ身仕度を整えていた
「申し訳ありません!我々も謎の蜘蛛対応に追われておりまして…」
「言い訳は良い!万一総裁の御身に何かあれば我々は只ではすまんぞ!」

「オワゾー殿はどのみち当てにはならん
私が不埒者の相手をしてくれる…」

>>21 >>26

>「鎮まりなさい!…」

「くっ…なんだこのテレパシーは…
蟲使いもいるとは厄介だ」
男は窓の外に目をやり樹上に蜘蛛を探していた最中 背後にいた部下の悲鳴と共にガラスが割れた
屋敷内にも張り巡らされた蜘蛛の糸が部下を窓の外へ引きずり出したのだ
「屋…屋敷にも糸は張り巡らされているのか…」
窓の外を始め至る所で部下達の悲鳴が響いている 蜘蛛にやられているかまたは別の侵入者にやられているのかは男に分かるはずも無い
「こうなれば蜘蛛であれ誰であれ叩き斬ってくれよう…
この私、アドラス・ヴィエーダーが相手をしてくれるっ!」
アドラスは腰から剣を抜くと雄叫びをあげ窓から外へと飛び出した


29:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo
10/07/19 22:48:02 0

>>24
リリィの目前には見覚えのある一人の老人がいた
壁一面ガラス張りの大窓から後ろ手に手を組み外を眺めている
「来たか…どうやら侵入してきたのは君達だけでは無いようだな」
振り返る事もせず窓の外を見続けたまま言葉を発していた
大窓からは時折閃光が差し込み 薄暗い部屋を瞬く照らす
「だが、あの蜘蛛は君達の覚醒を促す良いきっかけとなってくれるだろう…
誰であれ役に立てばそれでよい」

「さあ、かけたまえ」

老人はゆっくりリリィの方を振り向くと 目前にあるソファーへ座るよう促した
「手荒く扱った無礼を詫びよう


さて、何故ここへ来た?」
老人の目はまるでリリィを突き刺すかのように鋭くなり、じっと彼女を睨みつけるかのようだった

30:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/07/20 21:10:07 0
>25>27
> 「それ蜂蜜…美味しいけど食べるのは後にして、先に毒を魔法で消せないかな…
>  私もグラディスも、毒でやられちゃったみたいで…
>  メイションは大丈夫…?」
「メイションも毒にやられた!それに悪いが、俺には毒を消すような魔法はできないっすよ!」
エンカはメイションの背中から生えた触手に触れないように気をつけた。気味が悪いからである。
「なんでこんなところに蜂蜜がぶちまけられてんだよーっ!?」

> 蜘蛛を見ると同行していた保険医はおもむろに消毒用アルコールの瓶をぶん投げ
> 「毒は熱消毒だぁ!!」
> と火の点いたマッチを投げ捨てた
「なんてクレイジーなんだ!それに、よく見たら保険医さんじゃないっすか!?」
エンカは彼女の治療を一度受けているので、彼女の顔を知っていた。
> 「そんな事より転がってる人の毒を消してよ」
「まず蜘蛛から始末するってのは考え方としてはおかしくねぇ。」
エンカは保険医の行動を肯定した。
点火された蜘蛛に驚いて犬達が逃げ出したのもありがたかった。
「お前こそなんだよ!?俺はおめぇみてぇな奴知らねぇぞ!?」
エンカはグレンに言った。
「さっきリリィがどうのこうの言ってたよなーっ!?
 どういうことか教えろよ!退散するか突入するか決められねぇからよーっ!!」

31:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/07/21 06:29:40 0
薄暗い部屋の中、窓際には人影が立っていた。>
>「来たか…どうやら侵入してきたのは君達だけでは無いようだな」 
「その声は、 ベッドフォードさん・・・・・・ですか?」
驚きのあまり、自身の口調がいつのまにか元に戻っていることにも気づいていないようだ。
(どういうことなの?閉じ込められたのは、ベッドフォードさんの指示じゃなかったの)
リリィは先程まで、侵入者として地下牢に閉じ込められていた。
なのに指示した筈の人間は、自分の姿を見て人を呼びもせず、無防備な背を向けているのだ。
もっとも、たとえ背後を取ったとしても、リリィに何が出来るわけでもなかった。
入学式の時に見た壇上の姿よりも圧倒的な存在感と威圧感に、言葉すら満足に出てこないのだから。
まるで、蛇に睨まれたかえるのようだ。

だがそんな状態も長くは続かなかった。
>大窓からは時折閃光が差し込み 薄暗い部屋を瞬く照らす 
その光が、リリィがどう行動するべきか教えてくれた。
「あの!」
リリィは畏れを振り払うように、ぎゅっと拳を握り締めた。
「あの・・・・・・私たち、見たことも無いような蜘蛛達に襲われて・・・・・・。
 動けない子もいるのに、警備の人が犬をけしかけてるのを見ました。私、友達を助けて欲しくて。
 噛まれて毒を受けた子もいるみたいなんです。
 勝手にお屋敷の敷地に入ってしまったのは謝ります。本当にごめんなさい。
 ですが、私達、ベッドフォードさんに危害を加える気なんて無いんです。
 だからお願いします。私の友達を助けて!!」
>「だが、あの蜘蛛は君達の覚醒を促す良いきっかけとなってくれるだろう… 
>誰であれ役に立てばそれでよい」 
「そんな・・・・・・」
リリィは絶望的な思いで、ベッドフォードの後姿をみつめた。
話し合いは無駄なようだ。
リリィはくしゃっと顔を歪めると、皆の所に戻ろうとドアへと駆け寄った。
「・・・・・・・?!」
だが何度試しても、ドアはまるで壁のように重く、ピクリとも動かない。

>「さあ、かけたまえ」 
>老人はゆっくりリリィの方を振り向くと 目前にあるソファーへ座るよう促した
リリィは怯えた顔で、弱弱しく首を横に振った。
(あ・・・・・何で?体が勝手に・・・・・・!!)
リリィは操り人形のようにふらふらと動き、豪華なソファへと身を沈める。 

>「手荒く扱った無礼を詫びよう 


>さて、何故ここへ来た?」 
「と、友達と学内探検をしてて、たまたまこの場所に・・・・・・・きゃあああ?!」
突如リリィの足元に魔法陣が浮かびあがったかと思うと、八方から黒い影が伸び、彼女に襲い掛かった。
「いやあ!やめて!私の中に入ってこないで!!・・・・・誰か・・・だれ・・・・・か・・・」
助けを求めるように伸ばされた手も見る見るうちに漆黒に染まる。
光の消えたリリィの目から一粒涙が零れ落ちた。
やがて影は完全にリリィを飲み込み、室内には静寂が戻った。

リリィはゆらりとソファから立ち上がった。
「ここを訪れたのは、総帥の身辺をかぎまわる人間が消えるという噂の真相を確かめに、です。
 ユリという名の少女の発案のようです。子供の肝試しの延長に近いかと思われます。
 同行者の名前は、ユリ、グラディス、響桜花、レイヴン、メイション、鋼、そして猫のグレンです」
リリィは抑揚の無い声で質問に答えた。
「今現在私の使える魔法は、飛行術と発信のみのテレパシーです。」

リリィはベッドフォードに歩み寄ると、彼の足元に跪き、靴にキスをした。
「何なりとご命令を。――我が君」

32:ユーリ◇gIPsgrF.N6
10/07/21 20:56:45 0
>>30
>「さっきリリィがどうのこうの言ってたよなーっ!?
どういうことか教えろよ!退散するか突入するか決められねぇからよーっ!!」
計画通り遠巻きに見ていたがこのまま退散されちゃ面白くない。そう思ったユーリは行動に出る
「リリィなら――」
つい今さっき戻ってきた風を装って木陰から飛び出る
「屋敷の中に運び込まれた………」
と最後は消え入るように呟き、小刻みに震える体を抱き顔を伏せ
「私、これ以上怖いのはもう嫌っ、無理っ!!」
と言葉を絞り出して走り去ってしまった
………ように見せかけてまた木陰から空間の歪みに身を隠す
(まさか、リリィちゃんの方が当たりだったなんてなぁ)
と先程とはうって変わってケロッとした顔で頭を掻く。念のためにリリィの方も覗いていたらこんな結果になるとは
しかし、これでリリィを助けに行かせるように煽り、かつユーリは退場したかのような印象つけを出来た訳だ
あとはエンカ達が勇気(或いは蛮勇)を発揮してリリィの奪還に行けば、それに便乗する算段だ

33:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/21 22:51:57 P
>30>32

>「お前こそなんだよ!?俺はおめぇみてぇな奴知らねぇぞ!?」
「僕の姿はなんども見ているはずだよ」
(にゃあん)
「まず大きさの概念を捨てるんだ!そして黒い猫を思い浮かべるんだ
 この学園で見たことある二足歩行する猫と言ったら?そうそれが僕さ」
(にゃにゃにゃぁお!にゃん にゃんにゃんなや~)
正体隠す気全く無しのグレン
「好きな言葉は下克上!それが僕グレン・ダイザーさ」
(にゃん!にゃにゃ~ん)
サブキャラであるグレンがメインキャラであるフリードの出番を根こそぎ奪っているので下克上は大成功であろう

>「さっきリリィがどうのこうの言ってたよなーっ!?
  どういうことか教えろよ!退散するか突入するか決められねぇからよーっ!!」
「よくわかんないけどさっきまでいたはずの場所に居ないんだ」
(にゃな~)
斯く斯く云々と一匹で応援を呼んだこと等を説明するグレン
「毒を消すなら医者ってわけだよ」
(にゃ~ん)

>「リリィなら――」
>「屋敷の中に運び込まれた………」
>「私、これ以上怖いのはもう嫌っ、無理っ!!」
確か彼女は上級生でありフリードの姉と同程度の実力を持っているはずだ
まあフリードの姉なら「もうめんどくさいから屋敷ごと吹き飛ばして気絶したリリィさんを回収しましょう!」
とか言い出しそうである
実際そんな事を出来るかどうかグレンは知らない
私だって知らない・・・・・そんな事が出来たら早く卒業しろと突っ込みたい
そんな彼女が怯えるベッドフォード卿・・・・・一体どんな化物なのだろう?

「そんな事どうでもいい!毒の治療をさせろ!この新薬を試させるんだ!!」
そう言って紫色の怪しい薬の入った注射器を取り出す保険医
絶対マッドだこのババァ!?
「毒は完全に治るだろうが・・・・・・幼女になる!
 死ぬかTSか選べ!!」
しかもロリコンだこのババァ
ちなみに普通の毒消しも当然持っているのだが彼女は趣味に走っているようだ

「まあ当然返してもらいに行くよね?」
(にゃあ?)
ババァを見なかったことにしつつリリィを助けに行くのだろうと尋ねるグレン
フリードが起きていたなら「ここで助けないなら男じゃありません!!」と言っていたに違いない


その頃、グレンSUフリード内で爆睡中のフリードの夢のなか
「変身!!」
スワン!キャット!(電子音)
「僕は一人と一匹で一人の魔法使いだ!!
 さあお前の食べずに捨てたパンの耳の数を数えろ!!」
 僕は人を殺さない!その心を殺す!行くぞ!マインドブレイクだ!!」(廃人確定)
キャットマジカルマキシマム(電子音)

相変わらず意味不明の夢を見ているようである


34:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/21 23:47:34 0
ベッドフォード邸付近の森では激しい戦いが続いていた。
樹上の大蜘蛛は身動きが取れないまま糸を飛ばし、屋敷の警護の者たちはそれに交戦する。
毒に犯され動けない者達。
火炎瓶を投げつつ毒に苦しむ者に究極の選択を迫る保険医。
月明かりの指す森の中、場はカオスそのものであった。

そんな中、セラエノは何をしているかというと…
血溜まりの中で倒れていた。
その原因は、混乱の最中にエンカの届いた一言。
>「セラエノ!たぶんメイションは蜘蛛の毒にやられてるぜーっ!

アルビノの美少年が蜘蛛の毒に犯され…犯され…犯…
賢明な読者は何が起こったかは既にわかっているだろう。

################################

線の細くアルビノの美少年が蜘蛛の巣に磔になりもがいている。
身動きが取れないままもがく姿がそそられるが、それだけでは終わらない。
じっくりと身動きの取れない美少年に近づく醜く巨大な蜘蛛。
ここ、醜いというところが重要なので読み落さない様に!
美しいものが醜いものに蹂躙されるこのギャップが(ry
毒液の滴る牙がゆっくりと近づき、怯える美少年。
その表情を楽しむかのように剛毛に覆われた足が美少年の頬を撫で、その首筋にゆっくりと牙を立てていく。

【10行ほどの妄想が続きますが、自主規制のためカットされました】

毒で弛緩しても美少年の美しさは損なわれない!(←ここは譲れない)
蜘蛛の糸が美少年の裸体を締め上げ、亀甲縛りのまま吊るされるのだ。
最早なすがままの美少年に蜘蛛は圧し掛かる。
産卵の為に…!

##############################

勿論こんな事はない!
これはセラエノの脳裏に流れるヴィジョンという名の妄想である。

自分で妄想しておいて鼻血を噴出して倒れていては世話はない。
しかしいくらセラエノがショタ好きとはいえ、ここまで変態趣味はなかったはずである。
ベッドフォードが望む形とはかなり方向性が違ってしまっているが、何か覚醒してはいけないものに覚醒しそうなセラエノだった。

物語は切迫したシーンだというのにこんなのでいいのか?
よくない!言い訳がない!
だがこれで良いのだ!

なぜならば、血溜まりの中倒れるセラエノの口元は幸せそうに笑っているのだから。

35:ユリ ◆sto7CTKDkA
10/07/22 16:38:55 0
>27-28 >30 >32-34
>「メイションも毒にやられた!それに悪いが、俺には毒を消すような魔法はできないっすよ!」
「ええー…魔法使いなのに?
 魔法使いって、ごにょごにょって呪文唱えたらなんでもできるんじゃなかったの?」
とんでもない偏見だが、ユリのいた地方での魔法使いのイメージはだいたいそんなものだ。

蜘蛛退治のために保険医は火を使う。
森の中で火を使うのは危険極まりない行為だが、そこは変態でも学園教師。
炎は木に燃え移ることはないよう計算されている。
> 「そんな事より転がってる人の毒を消してよ」
>「まず蜘蛛から始末するってのは考え方としてはおかしくねぇ。」
「その考えおかしいよ絶対…毒消しを先にくれないと、私達狙われたら危ないじゃん…」
脅威の始末は重要だが、毒で困っているユリたちからすれば治療を先にお願いしたいのが人情というものだ。

>「お前こそなんだよ!?俺はおめぇみてぇな奴知らねぇぞ!?」
>「好きな言葉は下克上!それが僕グレン・ダイザーさ」
>「リリィなら――」
>「屋敷の中に運び込まれた………」
>「私、これ以上怖いのはもう嫌っ、無理っ!!」
「う~~いいから、先に毒消しお願い~」
行われる話し合いの中、いつもなら元気に会話に加わるユリも、毒で頭クラクラ状態ではそうもいかない。

>「そんな事どうでもいい!毒の治療をさせろ!この新薬を試させるんだ!!」
救いの神は患者を忘れていなかった。
患者のためというより自分のためかもしれないが、ユリからすれば毒が治ればそんなことはどうでもいい。
>「毒は完全に治るだろうが・・・・・・幼女になる!
> 死ぬかTSか選べ!!」
「幼女でいいから早く薬…」
座り込んでいたユリは毒々しい色の注射器を受け取り、針を引き抜くと、一気に薬を口の中に流し込む。
「……まっず~い! もう一杯!」
容量も用法も正しくない使い方だったが、薬は幸いすぐに効果を発揮し始めた。
毒消しと幼女化、両方の効果を。 正確に。

36:ユリ ◆sto7CTKDkA
10/07/22 16:40:39 0
「よっし!これで完璧!!
 ありがとう先生! 私はもう大丈夫だよ!
 他の人の毒も治療してあげて!」
少し後、ユリは手刀で適当に切った忍者服を身にまとい、引っ張って破った袖を帯代わりに腰に巻きつけた。
幼女化によって着ていた服がだぶだぶになって動きにくくための、やむを得ない措置だ。
危険な治療薬がなくなった今、メイションやグラディスにはまともな毒けしが使われるだろう。

「それじゃまずはあの大蜘蛛を倒そう!それから…あっ!」
ユリがそう言った時、明かりと燃える火に照らされていた大蜘蛛の動きに異変が起きた。
最初に地面に落ちたのは、警備員を振り回していた足だ。
もちろん切断されたのは足だけではない。
後を追うように蜘蛛だった体が、バラバラに輪切りにされて巣から地面に落ちていく。
ミクが用済みとなった蜘蛛を始末したのだが、ユリにそんなことはわからない。
「蜘蛛がバラバラになっちゃった… これってもしかして、エンカと一緒に来たセラエノって人の魔法?
 …ってあああああ!死んでるー!?
 どうしたの!? 大丈夫!? しっかりしろ傷は浅いぞ!」
血だまりに倒れたセラエノを見て、ユリは慌てて駆け寄り抱き起す。
その顔は幸せな夢を生きた者らしい安らかなものだったが、ユリは空気を読まなかった。
「せんせーい! 怪我人の治療お願いします!
 体中血まみれのちょー重傷患者です!!!」

ひとまず危機から脱して安心したユリは、エンカに聞きたい事があった。
「そういえばなんでエンカここにいるの?
 私達総裁の館に行くなんて言ってたっけ?」
もちろん、危険は去ったように見えるだけであり、実際には新たな危機が迫っていた。
館から剣を抜いたアドラスが向ってきたのだ。
呑気に話をしている場合ではない。

「えーとえーと、私達忘れ物を取りに来て森に迷い込んで、ここで蜘蛛に襲われて…って人の話聞いてるー!?」
リリィからのテレパシーを思い出して言い訳を始めるユリだが、剣を持つ相手に説得が通じるかは疑問に思えた。
「グレン! さっきリリィを助けに行くかって聞いてたよね!
 もちろん私は行くよ! ここで逃げたら女がすたる!」
熱血直情馬鹿のユリの辞書に、逃走の2文字は無い。
闘争の文字があるのみである。
幼女化してもそれは変わらない。
ユリの右手に、魔法で呼び出されたデッキブラシが現れる。
今のユリに使える、数少ない魔法のうちの一つだ。
「それじゃあいっくよー! 敵陣一番乗りはわたしだーっ!!」
ひらりとデッキブラシに飛び乗ったユリは、館に向けてブラシを急加速させる。
位置的に、ちょうど館から出てきたアドラスの正面だ。
「とっつげきぃぃぃぃぃぃl!!!!」
アドラスが突撃を避ければ、ユリは窓ガラスをぶち破って館に侵入するだろう。

37:ミク ◆sto7CTKDkA
10/07/22 16:42:55 0
>29 >31
「騒がしくなってきたわね」
館の中を歩きながら、ミクはユリの周辺の会話を聞いていた。
十分大蜘蛛は注意をひきつけたわけだ。
「お疲れ様。 あなたは本当に役に立ってくれたわ」
ミクは大蜘蛛に巻き付いていた糸を操り、締め上げる。
今頃はバラバラになった大蜘蛛が、外の人間に目撃されているだろう。
なにかあったら、あの時助けてあげたのにと恩を売ることもできるわけだ。
死んだ後まで役立つとは、よくできた蜘蛛ではないか!

ただ、歩きながらも館内に警備の人員がいないことが、ミクは気がかりだった。
外に警備員がいるのだから、館の中にも配置していなければおかしいはずなのに。
考えられる可能性は2つある。
1つは館の主人が底抜けの間抜けであること。
もう一つは…
そこまで考えて、ミクは歩みを止めた。
少女が1人、ミクには理解できないほど豪華な扉の中に入っていくのを見たからだ。

ミクは扉の前まで行くと、中の会話が聞き取れないものかと耳を澄ませた。
何も聞えなかった。
ため息をついてミクは1本糸を取り出すと、片側の端を自分の耳に当て、反対側を扉に当てる。
糸を使って内部の会話を盗聴しようというわけだ。
2方向で盗聴というわけにはいかないのでユリたちの会話は聞こえなくなるが、これは仕方がない。

>「だが、あの蜘蛛は君達の覚醒を促す良いきっかけとなってくれるだろう…
>誰であれ役に立てばそれでよい」
聞えてきたのは、糸を通して聞いたことのある総裁の声だった。
いきなり当りを引いたというわけだ。
>「と、友達と学内探検をしてて、たまたまこの場所に・・・・・・・きゃあああ?!」
会話を聞いていたミクは、リリィの悲鳴に眉をひそめる。
中で何が起こったか、盗み聞きしているだけのミクにはわからなかったのだ。
それでも、リリィを助けるために中に入ったりはしない。
事の顛末を聞きとろうとミクは盗聴を続ける。

>「何なりとご命令を。――我が君」
生気のない口調で全てを話すリリィの声を聴いて、ミクは事情を理解した。
つまり護衛は配置されていないのではなく、必要ではなかったのだ。
ミクは声を立てずに楽しそうに笑うと、扉を叩いて来訪を告げ、返事も待たずに中に入る。
「夜分お楽しみの所失礼しますわ。ベッドフォード総裁。
 私はこの学園の新入生、初音美紅と申します。
 今後ともよろしく」
リリィを跪かせたベッドフォードに笑いかけ、頭はさげずに本題に入る。
「実は私、友達のユリがあなたの事を調べようとしているのを止めに来ましたの。
 あの子ったら止めても聞かなくて…
 もちろん総裁に、調べられて困るような後ろ暗いことなどありませんわよね?
 総裁の周りを調べていた者が姿を消すなんて、根も葉もない噂話ですもの」
そんな事は露ほどにも思っていなかったが、ミクはそう言った。

「それで私、総裁にお願いしたいことがありますの。
 好奇心から出たいたずらでも、罪は罪。
 でも、私の友達のユリを見逃して下さるなら、私が総裁のお手伝いをさせていただきますわ。
 ユリ以外の者達はご自由にしていただいて結構ですから」
むろんユリ以外の者には、操られているリリィも含まれる。
リリィを助けに部屋に入らなかったのはそのためだ。
「よろしければ先ほど言われていた【覚醒】の事、もう少し詳しくお聞きしてもよろしいかしら。
 それとも、私の助力なんて必要ないと思っていらっしゃるのかしら?」

38:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/07/22 23:07:25 0
>32>33>36
> 「よくわかんないけどさっきまでいたはずの場所に居ないんだ」
> 斯く斯く云々と一匹で応援を呼んだこと等を説明するグレン
「なるほど、丸々牛々っつーわけっすね。」
何故か理解したエンカ。
> 「リリィなら――」
> つい今さっき戻ってきた風を装って木陰から飛び出る
「あんたはユーリ!リリィ達と一緒だったのかよ!?」
木陰から飛び出たユーリにエンカが聞いた。
> 「屋敷の中に運び込まれた………」
「なんだってーっ!?そいつはめっちゃまずいっすよーっ!」
> 「私、これ以上怖いのはもう嫌っ、無理っ!!」
> と言葉を絞り出して走り去ってしまった
「あ!コラッ!逃げてんじゃねーっすよーっ!」

> 「そんな事どうでもいい!毒の治療をさせろ!この新薬を試させるんだ!!」
「あ…あぁ、そうっすよ!早くメイション達を元気に…」
> 「毒は完全に治るだろうが・・・・・・幼女になる!
>  死ぬかTSか選べ!!」
「ハァ!?」
保険医の言葉に当惑するエンカ。エンカには彼女が冗談でそれを言っているようには見えなかった。
> 「まあ当然返してもらいに行くよね?」
「リリィは助けにいくっす!でも、メイションをほっといたらこの保険医に幼女にされちまうじゃねーかっ!」
しかし、メイションを性転換させられる心配はすぐに無くなった。その薬を使ったのがユリだったからだ。

> 血だまりに倒れたセラエノを見て、ユリは慌てて駆け寄り抱き起す。
> 「せんせーい! 怪我人の治療お願いします!
>  体中血まみれのちょー重傷患者です!!!」
「気をつけろユリ!魔法による攻撃かもしれねぇぞ!」
とエンカ。
> 「そういえばなんでエンカここにいるの?
>  私達総裁の館に行くなんて言ってたっけ?」
「知らなかったのか?メイションが食堂の掲示板に書き込んでたんだぜ?」
> 館から剣を抜いたアドラスが向ってきたのだ。
> 呑気に話をしている場合ではない。
> 「えーとえーと、私達忘れ物を取りに来て森に迷い込んで、ここで蜘蛛に襲われて…って人の話聞いてるー!?」
「ユリ!その剣士はおめぇに任せるぜーっ!俺は他の奴らの相手をする!うぉおおおおっ!」
そう言って突撃したエンカは、警備の三人組にあっさり捕まってしまった。

39:ベッドフォード ◆k4Jcxtcjwo
10/07/23 10:27:41 O
>>31

>「なんなりとご命令を…」

「ならば君達の仲間にテレパシーで伝えるのだ
私に捕まり、身の危険を感じていると、な」

>彼の足元に膝まずき靴にキスをした

老人は腰を屈め靴に口づけをするリリィの頬をねっとりとそして優しく右手で撫でる
「怒りこそ最大の要因になるやもしれん
ふふ 良い子だ…私の為に働いておくれ 可愛い雛型よ……」
彼はゆっくりと立ち上がり 意味ありげな笑みを浮かべひざまずくリリィを見下ろしていた

>「夜分お楽しみの所失礼しますわ私は新入生の…」

突然現れた謎の少女は簡単に自己紹介を済ませると早々に本題へと話を進ませた

>「それで私 総裁にお願いしたい事が」
>「宜しければ【覚醒】の事」

招かれざる来訪者を前にしても老人は眉一つ動かさず言葉を発する

「良かろう…君の好きにするが良い…」
ミクの願いはいとも簡単に許された
だが、老人はただし…と言葉を繋げる
「見た所、君は只の生徒ではないな…?
是非君の正体を教えて貰いたい
さすれば【覚醒】が何であるか全てを話そう」


>>36
>「とっつげきぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

自分の目の前にはブラシに跨がり 猛スピードで突っ込んでくる謎の少女
剣を抜いてはいるもののこの速度は正直恐ろしい
剣が耐えられるか その前に自分にぶつかれば大怪我では済まない などとアドラスは色々な想像を頭の中を駆け巡らせていた
「避けるべきか…避けぬべきか…………」
アドラスは剣を構えたまま立ちすくむ
もし屋敷に突撃を許せば隊長である己の責任 なにより制裁が恐ろしかった

「屋敷へはネズミ一匹通さぬぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」

剣に風魔法を付着させ横に薙ぎ払うとユリをブラシから振り落とさんばかりの強風が轟いた


40:レイヴン ◆70VgGM3HY6
10/07/23 22:15:56 0
>5
大蜘蛛は空中に複雑に張られた巣を駆け回り、糸で捕らえようと仕掛けてくる。
鴉は刀で糸を斬り、桜花は『音』で糸を避ける。何度か繰り返されたそれはしかし、
大蜘蛛の唐突な行動の変化で途切れる事になった。

>一瞬の溜めの後、大きい投網のように大量の糸をレイヴンに向けて吐き出したのだ。
なんと、今までは点での攻撃しかしてこなかった大蜘蛛が面での攻撃に切り替えてきたのだ。
所詮は獣と蜘蛛を侮っていた鴉はそれに対処しきれず下半身に引っ掛けてしまう。
蜘蛛の糸は極めて高い剛性と柔性と言う相反する特性を両立した物質であり、
生半可な膂力では引き千切る事などできはしない。

>そして、蜘蛛自身は巨体に似合わぬ素早さで、空中から桜花に向かって飛びかかる。
そして鴉の動きを封じ込めたのを確認してから、大蜘蛛は桜花へと飛び掛った。
前に出るべく足を踏み出そうとするが……糸が邪魔で動けない。
しかも大蜘蛛は後部と巣を糸で繋いでおり、初撃を避けたからと言って
脅威が去るわけでもない。己の無力さを呪い、無意識に刀を握る手に力が入ってしまう。

……瞬間、全身に流れる『何か』が急速に失われ右手に、もっと正確に言えば
刀に流れ込んでいく感覚に襲われた。せめて刀を投げる程度の妨害を、と
振り上げた手はしかし刀を手放す事はなく、代わりに青白い光のようなものが
刀身から放たれて大蜘蛛を一撃で両断してしまった!
驚いて刀を見ると……うっすらと先ほどの青白い光を放っており、
手をかざすと何故か熱を感じた。しめたとばかりに足に絡みついた糸をその熱で焼き切り、
自由を取り戻す鴉。だが蜘蛛に苦戦している間に、事態は大きく動いていたのだった。


>19、>21、>28
流石に騒ぎすぎたのか、屋敷から警備兵が犬と共に現れたのだ。
警備兵はそれぞれが棒のようなものを持っている。一見貧弱に見えるが、
仮にもベッドフォード財団所属、その棒もただの警棒ではあるまい。
人死にを出さずに済ませるのは無理かも知れない、と気を入れ直した矢先

>「静まりなさい、何事ですか!(中略)
>まずはそれの排除を!」
頭の中に声が響く。その声は昼に、自分の服の記憶を見せてくれた
自称神様、セラエノのものだった。
「普通ならいいタイミングなんだが……どうも今回は外れらしい」

>「こうなれば蜘蛛であれ誰であれ叩き斬ってくれよう…
>この私、アドラス・ヴィエーダーが相手をしてくれるっ!」
屋敷の窓をぶち破って、警備兵の統括らしき男が登場したのだ。
律儀に門から出てきてくれたならまだ違うのだろうが、今回に限って言えば
こちらの言い分はまず通らないだろう。
「参ったね、こいつは……面倒ばっかり増えやがる」

41:レイヴン ◆70VgGM3HY6
10/07/23 22:16:43 0
>32、>36、>38-39
>「リリィなら――」
>「屋敷の中に運び込まれた………」
>「私、これ以上怖いのはもう嫌っ、無理っ!!」
リリィと一緒に屋敷に潜入すると言って姿を消したユーリだったが、
衝撃的な内容を伝えた後怯えたように走り去っていった。
……鴉はその言動に強い違和感を感じた。入学式の時も出発直前であった時も、
大よそこの程度で怯むようなノミの心臓じゃないと思い込んでいたからだ。

普段なら『女らしい一面もあるんだな』で済ませるのだが、この非常事態で
鴉の警戒心や猜疑心も大きく高まっており、ユーリのそれを演技ではないかと
思ってしまったのだ。もっとも、内容を偽っていると言う可能性は考えていない。
ウソをついてユーリが得をする理由が鴉には思いつかないからだ。

>「とっつげきぃぃぃぃぃぃl!!!!」
そんな事を考えている内に、酷い副作用つきの解毒薬でょぅι゛ょと化したユリが
警備兵統括アドラスに向かってデッキブラシに跨りながら突撃していた。
ユリの実力は疑う余地がないが、今は薬のせいで子供になってしまっている。
そんな状態で全力を出せるかと言うとまず無理だろう……急激なサイズの縮小から来る
リーチの差や、未発達な筋肉を無理やり酷使する事になればいつもより限界も早いだろう。

>「ユリ!その剣士はおめぇに任せるぜーっ!俺は他の奴らの相手をする!うぉおおおおっ!」
助太刀しようと思った矢先、エンカも同じように突撃したようだが……
あっさりと警備兵に取り押さえられてしまった。あのままだとエンカが人質に取られる恐れがあると
踏んだ鴉は、ユリへと向けかけた足をエンカの方へと向け走り出す。
「おいっ、そこのあんた! ここは俺たちで抑える!
 あんたは屋敷に連れてかれたリリィを探してくれ!」
ミクの張り巡らせた糸の罠を知らない鴉は、エンカにリリィ捜索を依頼するのだった。

42:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/07/24 14:00:47 0
>39
リリィはテレパシーで、総裁に捕まり、身の危険を感じている旨を外の仲間達に連絡した。

>「怒りこそ最大の要因になるやもしれん 
>ふふ 良い子だ…私の為に働いておくれ 可愛い雛型よ……」 
「お心のままに」
意味ありげな笑みを浮かべるベッドフォードを、まだ涙の跡が残る顔のままじっと見上げる。
「仲間達には連絡を済ませました。次のご指示を」

>「夜分お楽しみの所失礼しますわ。ベッドフォード総裁。 
>突然現れた謎の少女。
リリィはふらふらと立ち上がり、ベッドフォードの盾になれる位置に身を置いた。
 
謎の少女は「ミク」と名乗った。
彼女は、ユリを助けるのを条件に、総裁に助力を申し出た。
つまり、それ以外の人間はどうなってもいい、という事だ。
>「良かろう…君の好きにするが良い…」 
>「見た所、君は只の生徒ではないな…? 
>是非君の正体を教えて貰いたい 
>さすれば【覚醒】が何であるか全てを話そう」 

リリィはどんな話を耳にしても微動だにしなかった。
ただガラス玉のような目で、じっとミクを見つめているだけだ。

新たな命令を受けない限り、リリィはベッドフォードの傍を離れないだろう。

43:ルイーズ ◆jntvk4zYjI
10/07/24 14:10:09 0
「・・・・・・何の騒ぎにゃ、これは」
草葉の陰、もとい、草木の蔭から騒ぎを見物している三毛猫獣人。
そう、先程セラエノ達のデート(?)を邪魔したルイーズだ。
彼女はファンブルマンを捜す(という名目の散歩)をしている最中、とんでもないモノを目撃してしまったのだった。

「あ、ファンブルマン先生みっけ」
こちらも偶然による発見なので、ファンブルマンを見ることが出来た。
「セラエノたんは、えらいことになってるニャー。
 でもこんな騒ぎに巻き込まれたら、下手したら退学ニャー。どうしたもんかニャー」
>「そんな事どうでもいい!毒の治療をさせろ!この新薬を試させるんだ!!」 
「まあ、先生方が同行しているから、さほど心配は要らないニャー」
ルイーズは楽観的だった。

>38
>「ユリ!その剣士はおめぇに任せるぜーっ!俺は他の奴らの相手をする!うぉおおおおっ!」 
>そう言って突撃したエンカは、警備の三人組にあっさり捕まってしまった。 
>「ヒャッハー!こいつもさっきの小娘と同じ地下牢に放り込んで・・・・・・ぐはっ?!」
べしゃっと水っぽい音がして、警備達の顔に何かがぶつかった。
>「何だこれは?」
>「腐った果物だ!ちくしょう、前が見えん!」
エンカを拘束していた警備の手が緩んだ。

「・・・・・・腐ってないウホ。ちょっと熟れすぎただけウホ」
草陰に隠れているのは、両腕だけを野生のゴリラに変化させた三毛猫獣人だった。
(別にグレンとキャラが被るから変化させたわけではない。多分)
「全く、世話がやける連中ウホホ」

>鴉は、ユリへと向けかけた足をエンカの方へと向け走り出す。 
>「おいっ、そこのあんた! ここは俺たちで抑える! 
> あんたは屋敷に連れてかれたリリィを探してくれ!」 
「同行者が毒に犯されてたら身動き出来な―― ウホッいい男」
1人突っ込みを入れていたルイーズは、倒れている男性陣の姿に気づいたようだ。

「勿体無いけど仕方ないウホ。後できっちり借りは返してもらうッホ」
ルイーズは、なけなしの毒消しを取り出し、比較的狙いやすい位置にいるメイションにぶつけた。
何回か呼吸すれば、体の痺れは取れるはずである。

【リリィ:仲間達にベッドフォードに捕まり身の危険を感じている旨をテレパシーで連絡。
 ベッドフォードの盾代わりに傍に待機中。指示待ち】
【ルイーズ:高みの見物。エンカを拘束していた警備員に腐った果物で目潰し攻撃。
 メイションに吸引式の毒消しをぶつける】

44:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/25 02:45:00 P
>34>36>38>41>43
>「ユリ!その剣士はおめぇに任せるぜーっ!俺は他の奴らの相手をする!うぉおおおおっ!」
あっという間に捕まるエンカ
「まあ子供一人が大人3人を相手にすればそうなるよね・・・・常識的に考えて」
(にゃお・・・ん)
>「ヒャッハー!こいつもさっきの小娘と同じ地下牢に放り込んで・・・・・・ぐはっ?!」
べしゃっと水っぽい音がして、警備達の顔に何かがぶつかった。
>「何だこれは?」
>「腐った果物だ!ちくしょう、前が見えん!」
>「全く、世話がやける連中ウホホ」
「猫とゴリラのヒューザー?」
そういうグレンは背中から羽根が生えている
>「おいっ、そこのあんた! ここは俺たちで抑える!
  あんたは屋敷に連れてかれたリリィを探してくれ!」
「達ってことは僕も入るわけだね」
(にゃあん)
「そこの警備員A僕が相手になるよ!」
(なにゃあ!)
>「最初に言っておくが私は一種の特異体質でね一切の攻撃魔法が通じないのだ。君たち魔法使いは私を傷つけることは出来ない」
とはったりか本当か不明なセリフを吐く警備員A
後ろのほうでBとCがおい聞いてないぞとかどうせはったりだろ?とか言っているが聞かなかったことにしよう
「僕・・・・魔法使いじゃないんだけど」
だがそもそもグレンは魔法を使えなかった
>「えっ」
「えっ」
>「なにそれこわい」
だいたい魔法使いは魔法が使える人であって魔法しか使えない人ではない
ぶっちゃけ魔法が効かないなら殴ればいいのである
「フィー坊が言ってた・・・・魔法が効かないなら殴ればいいって
 という訳で食らえ!ショルダーブーメラン!!」
(にゃあ・・・にゃん にゃあ!にゃなあ!!)
背中に生えた翼をぶっちぎって警備員Aに投げつけるグレン
ぶっちゃけ翼は飾りでしか無いので投げても問題はない
>「ぜんぜんショルダーじゃないじゃないですか!やだぁ!!」
というセリフを言い残す警備員A
別に死んでないけどさ


保険医がセラエノを治療している
世にも珍しいショタコンを治療するロリコンの図である
「少女はいいぞぉ・・・女同士だから一緒にお風呂入り放題だぁ」
「なんか洗脳っぽい事し始めた!?」
(にゃあ!?)
あっと驚くグレン
どっちにしても成長するので賞味期限が短いのは同じである
「安心しろ私は天才だ!」



45:桜花
10/07/25 05:32:50 0
(不快だ…実に不愉快な音がする) 
地面に倒れている桜花はぼんやりとした頭でそんな事を考えていた 
桜花は先ほどの大蜘蛛から空からの奇襲を受け、地面に倒れているのだ 
右脇腹から血が滲んでいる。致命的な致命傷ではないが消して浅くもないだろう 
(ドラムの音が大きすぎる…なんだこの演奏は… 
まるで物語になっていない…素人の演奏以下だ…) 
どうやら周りで行われている戦闘の音が今の桜花には演奏に聞こえるようだ 
(違う…そこはソロパートじゃない… 
そこは周りの音と協調性を… 
あぁ…違う違う。何もかもが違うよ) 
そんな桜花の頭をいっぱつで覚醒させる音が響く 

>リリィはテレパシーで、総裁に捕まり、身の危険を感じている旨を外の仲間達に連絡した。 

ガバッと頭を上げる桜花 
(うぐっ…!!痛い…なんだ?何が起きているんだ? 
いや、それ以前にリリィさんが捕まった?なぜ?どうして?) 
戦闘を遠目で見ながら必死に頭の中を整理する 
(私は…そうだ、蜘蛛からの奇襲を避け切れずに吹き飛ばされたんだ 
この傷はその時の物か 
リリィさんは確か屋敷に侵入して…クソ、落ち着け私、私に焦るなどと言う事はない 
落ち着いて素数を数えるんだ…) 
みんなも慌てた時は素数を数えて落ち着こう  

46:桜花
10/07/25 05:34:22 0


(…よし、落ち着いた。 
この状況をどうにか切り抜けるんだ。 
幸い、剣を握っている人物はまだ私が覚醒している事に気付いていない。 
…コンバスは無事か?…うん、幸い弦は切れていないようだな。なら私だけでも屋敷に侵入する事は可能だ。) 
寝そべりながら桜花はコントラバスの弦に指を掛ける 
(私の曲は…地面を走る) 
桜花が指だけで弦を弾くと違う場所で音がなる 
遠かったり近かったり、様々な場所から楽器の音が奏でられる 
一瞬、剣を持った人物の注意が逸れた。 
脱兎の如く駆け出す桜花 
屋敷に飛び込み、息を整える 
「私の声は風に流れる」 
屋敷前で戦闘をしている人物全員に桜花の声が風に乗り聞こえる事だろう 
「みんな済まない。私はリリィさんが心配だ。 
私は一足先に屋敷に入らせてもらう。」 
全員にメッセージを送ると屋敷の探索を始める桜花 
(ちっ…思ったより広いな…反響音が聞き取りづらい) 
とりあえず屋敷の中を走り始める 
(どこだ?何処にいるんだ?) 


47:ユリ ◆sto7CTKDkA
10/07/25 11:35:57 0
>38-46
時はユリが館に向かって突撃する少し前の、エンカとの会話だ。
>「知らなかったのか?メイションが食堂の掲示板に書き込んでたんだぜ?」
「えーっ!? あの書き込みを読んでここに来たの!?
 はっやーい! やっぱりエンカもメイションと会いたかったんだね!」
あんな夜中に、わざわざ食堂前の掲示板を見に行くとは思っていなかったユリは驚いた。
見るにしても早くて明日の朝だろうと思っていたのだ。
初対面でも親族は親族。
エンカとメイションの互いを思う心に感動するユリだった。
これで再び、時間軸はユリの突撃時に戻る。

>「ユリ!その剣士はおめぇに任せるぜーっ!俺は他の奴らの相手をする!うぉおおおおっ!」
「まかされたーっ!!」
止まる時のことなど考えない猛スピードで、ユリはアドラスに迫る。
>「屋敷へはネズミ一匹通さぬぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」
迎え撃つアドラスは、その突撃を避けなかった。
「そんなところで剣なんか振ったって当らな…わぁぁぁぁぁ!?」
魔法の知識に疎いユリが魔法剣の効果など知っているはずもなく。
突然の突風に耐える間もなくデッキブラシから振り落とされる。
乗せていた主人を失ったブラシは大きく軌道を上に変え、館の上部に当たると光となって消えてしまった。
「いったーい!!…うぐぐぐ…」
一方振り落とされたユリも無事では済まない。
身体が小さくなっている分、衝撃にも弱くなっているのだ。
思いっきり背中を打ちつけてうめくユリに、リリィからのテレパシーが聞こえてきた。
それは、総裁に捕まって身の危険を感じている。 という内容のものだった。

「リリィ!?」
そのテレパシーを聞いて、ユリはがばっと跳ね起きた。
直情的で熱血系の性格の人間は弱点も多い。
しかし、時に感情の高ぶりをエネルギーに変え、普段の数倍の力を発揮したりもする。
今のユリがまさにそれだ。
友達を助けようとする思いが、力に変わるのだ。

>「おいっ、そこのあんた! ここは俺たちで抑える!
> あんたは屋敷に連れてかれたリリィを探してくれ!」
>「みんな済まない。私はリリィさんが心配だ。
>私は一足先に屋敷に入らせてもらう。」
「リリィが大ピンチだよエンカ!
 こっちは任されてるから、エンカも桜花と一緒にリリィを助けに行って!!
 はぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
エンカと桜花にリリィを任せ、ユリが雄叫びと共に地面を踏みしめると、小さな爆発と共にその体が光を帯びる。
俗にパワー爆発と呼ばれる、一時的に自身の戦闘能力を高める技だ。

「ボンガロ兄さん直伝! サニーゲイザー!!!
 リリィを助けるのを邪魔したいなら!! 私達の屍を越えていけぇぇぇぇ!!!!!!」
ユリが拳を地面に叩きつけて気を流し込むと、間欠泉のようにアドラスの足元から光となった気が噴出した。
まるで小さな太陽が出現したかのように、夜の森が明るく照らし出される。
技の威力は申し分ないが、欠点はユリがまったくペース配分というものを考えていない事だろう。
気の噴出が止まると同時に、ユリはものも言わずに前のめりにばったり倒れてしまったのだから。

48:ミク ◆sto7CTKDkA
10/07/25 13:12:36 0
>39 >42
>「良かろう…君の好きにするが良い…」
「総裁の御好意に感謝しますわ」
>だが、老人はただし…と言葉を繋げる
>「見た所、君は只の生徒ではないな…?
>是非君の正体を教えて貰いたい
>さすれば【覚醒】が何であるか全てを話そう」
正体を知りたいとの老人の言葉に、ミクは笑ってスカートを両手でつまむ。
勘の良いものならすぐ気づくだろうし、いつまでも隠せるとは思っていなかったから。
「ふふ…正体などとそのようなたいしたものではありませんわ。
 私は只の、この学園に巣を張るバケモノですのに」
ミクが少しスカートを持ち上げると、その中から2本の足が新たに伸びてくる。
人の足ではない。 うごめくそれは、黄色と黒の巨大な蜘蛛の足だ。
蜘蛛の足はしばらく動いた後、ミクが下ろしたスカートに隠れて見えなくなる。
「普段は人形遣いを称していますけど、これが私の本当の姿ですわ。
 ご満足いただけたかしら?」

外の騒動が大きくなり、館の中にいても外で戦闘がおきているのがわかるようになってきた。
ミクは、張っていた探知用の糸が切れるのを感じ取る。
館の中のものの可能性もあるが、今は侵入を許したと考えるのが妥当な線だろう。
リリィのテレパシーを聞いていたミクは、真っ先に乗り込んできそうなユリの状況を知ろうと糸を手繰る。
盗聴用の糸は、何も伝えてこなかった。
ユリが急激に動いたために糸が千切れたに違いない。

ミクは少し迷ってから、罠に使おうと館の中に張っていた硬質の糸を緩める。
ユリが飛び込んできたのなら、まず確実に罠に突っ込むだろう。
ここでそうなるのはまずい。
「館に侵入してきた者がいるようですわ。
 総裁にお聞きしたいのですけれど、彼らをここに迎え入れて【覚醒】について聞かせるおつもりかしら。
 それとも、彼らに気かせる必要は無いとお考えかしら?
 聞かれたくないのでしたら、今、私だけに【覚醒】についてお話し下さいな。
 その後で侵入者を追い出してまいりますから」
そう言いながらもミクは、侵入してきた者達はすぐにでもこの部屋を突き止めてくるだろうと思っていた。
選択肢は多くても、選ぶ時間はあまり残されてはいない。

49:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/07/25 19:24:27 0
>41>43>44>46>47
> >「ヒャッハー!こいつもさっきの小娘と同じ地下牢に放り込んで・・・・・・ぐはっ?!」
> エンカを拘束していた警備の手が緩んだ。
> 「・・・・・・腐ってないウホ。ちょっと熟れすぎただけウホ」
「その声はキンタローかっ!?」
違う、ルイーズである。そもそもエンカが名付けた名前を呼ぶにしても、タマタローの間違いである。
> 「おいっ、そこのあんた! ここは俺たちで抑える!
>  あんたは屋敷に連れてかれたリリィを探してくれ!」
「誰だか知らないっすけど!言われなくてもよーっ!!」
警備員Aはグレンが相手をして倒した。
残っているのはルイーズに果物をぶつけられた警備員Bと、
彼が離してしまったエンカを再び拘束しようとしている警備員Cである。
「言っとくけどよぉ、俺一人だけでもてめぇら三人を倒せるんだぜ~?」
>「小僧が偉そうなことを…ってなんじゃこりゃーっ!?」
エンカに触れた警備員Cが悲鳴をあげて彼から離れた。
>「狂ってるのかてめぇ!?体に毒蜘蛛をくっつけとくなんてよー!?」
「それほどでもねぇぜ?俺は毒蜘蛛の抗体が体に既にできてるからよぉ。」
警備員Cは間もなく小さな毒蜘蛛に噛まれ、体がしびれて動けなくなった。

> 「みんな済まない。私はリリィさんが心配だ。
> 私は一足先に屋敷に入らせてもらう。」
「オウカの声が聞こえるぜーっ!?」
> 「リリィが大ピンチだよエンカ!
>  こっちは任されてるから、エンカも桜花と一緒にリリィを助けに行って!!
>  はぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
ユリがエンカにそう言った。
「俺にもリリィのテレパシーが聞こえたぜ!だから、そうしてぇけどよぉ…」
エンカの前には警備員Bが立ちふさがっている。
「なんでてめぇは俺に触れてたのに平気なんだよ!?まさかてめぇも毒の抗体を持ってんのかーっ!?」
>「違う!しかし、問題ないんだぜ!」
警備員Bは上着を脱ぎ、マッチョムキムキの上半身をむきだしにした。
>「俺はハードニングという魔法が使える!肉体を鋼のように硬化させる魔法だ!
> だから俺には蜘蛛の牙が刺さらないんだぜ!」
「きたねぇっすよ!俺だってチクチク刺されるのを我慢してるのによーっ!」

その頃、メイションもルイーズの投げた毒消しにより体の痺れが取れていた。
>>「リリィお姉ちゃんが…危ない…!?」
彼にもリリィとオウカのメッセージが届いたようである。

50:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/07/25 22:32:34 0
「気分悪ぃ気分悪ぃ気分悪ぃ―……」
揺れることすらしなくなった人狼がブツブツと呟いてた。
保健医は女子の方を優先しているし、警備員が出てきて治療も満足に出来ない。
そもそも毛むくじゃらのグラディスは一見すればどちらからも敵に見えてしまう。

とどのつまり、グラディスの毒消しの優先度は低いのだ。
「あうあうあうあ―あうあうあうあ―あ―あ―……」
頭痛がするし吐き気もする、このグラディスはあんまり立てない状態である。
意識がしっかりしてるあたりはマシだろうか。

>42
「あ―……んあ……?」
突如、脳裏にリリィの声が響き渡る。
テレパシーだろうそれは、リリィの今の状況を伝えてくる。
「げ、げげ……不味いなー……」
状況の悪さを悟っても、グラディスは未だ毒が回っている状況。
普通ならこのままだろう。普通なら。


しかしグラディスは普通でない部類に入る。
人狼という種族は毒に対する抵抗は人並みだが、無理をするということに関しては中々融通が利く。
焦点はどこか微妙に合ってなく、毛の奥の肌はきっと青ざめてる。
不調でふらふらとしていて、しかし全てを飲み込み我慢して立ち上がった!
「ここで倒れたら……よー!
 男として!カッコがつかねーぜー!っぷ……」
しかし片手をきちんと口に添えてある。

>49
>「俺はハードニングという魔法が使える!肉体を鋼のように硬化させる魔法だ!
> だから俺には蜘蛛の牙が刺さらないんだぜ!」
>「きたねぇっすよ!俺だってチクチク刺されるのを我慢してるのによーっ!」
「んじゃあ、思いっきりぶつけたらどうなんだ。ちょいと実践して教えてくれやー」
グラディスはふらりとエンカの横に現れ、倒れるように右の掌を地面に叩きつけた。
すると、警備員Bの足元から小さな氷柱が生成される。
先は丸くしてあり、触っても凍傷以外には怪我することもないだろう。
「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
もう一度掌を叩きつけると、氷柱が一気に肥大化して――


警備員Bの股間に、棒なり玉なり潰れそうなぐらいの勢いで突き刺さった。

51:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/25 23:29:10 0
      ピシッと割れる音がした。
  血は沸き立つように沸騰し、ブクブクと泡だてる。
         そして血に赤黒く染まった本からそれは溢れ出す。
      覚醒の顕在として!


血溜まりの中、朦朧としたセラエノは見た。
血に染まった自分を抱き起こし叫ぶ幼女を。
その姿を見て、ただ思う。
…凛々しく美しい、と。

血が足りない。
大量に吹き出た血のお陰で思考が纏まらない。
だからこそ、セラエノは周囲の状況が全て見えていた。
いや、流れ込んできたのだ。

ユリが凄まじい勢いで突撃し、窓を破って現れたアドラスが強風を巻き起こし迎撃する。
その結果、叩き落されるユリと主人を失ったまま館の上部にぶつかり光となって消える箒。
直後、桜花の走らせた音と交錯するようにアドラスの足ものから吹き上がる閃光。
力尽き倒れるユリ。
その隙に館に駆け込む桜花。

一方、エンカは館に向かうも三人の男にあっさりと捕まっている。
何処からか飛んで来た腐った果実に怯む男たち。
颯爽と現れ自らの羽根を毟りぶつけるグレン。
エンカの思いがけない反撃と、倒れていたはずのグラディスが立ち上がり、氷柱を形成しえげつない攻撃を繰り出している。

館から流れ出るテレパシーはリリィの危機的状況を伝えていた。

様々な情景が流れ込むが、セラエノは反応しない。
反応できるだけの血が足りないのだ。

そこへ現れた保険医が治療と共に怪しげな言葉を紡ぎだした。
朦朧とし鈍った思考には効果的な洗脳といえるだろう。
言葉と共に先ほどの幼女化したユリの姿がフラッシュバックしてきたのだった。

そして…

52:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/25 23:30:51 0
ピシッと割れる音がした。
音の源はセラエノの鏡の仮面。
位置的には左目の上を縦断するように細い皹が入っていた。
「お、おお、お…ぶふっ!!!」
むくりと身を起こすとうめき声と共に盛大に鼻血を噴出した。
両膝両手をつきき血を垂れ流しながら呟いた。
「うふふ、高くなった血圧もこれで正常ね…!」
滴り血の池を形成し、大事そうに持ってきた何冊かの本は赤黒く染まっている。
血は沸き立つように沸騰し、ブクブクと泡だてる。
「よ…幼女!幼女は…いい!!」
呟きは徐々に大きくなり、最後には叫びとなって辺りに響く!
保険医の洗脳により、ショタ+加虐趣味にロリ+レズの趣味が加算されたのだった!
先ほどの鼻血はユリの姿に興奮しすぎて噴出したのは今更言うまでもないだろう。

そして血に赤黒く染まった本からそれは溢れ出す。
覚醒の顕在として!

血に染まった本から溢れ出したのは茨!
その茨からは全く魔力は感じられない。
つまり、召喚されたものでもなく、魔法によって作られたものでもない。
純然たる茨ではあるが、その量たるや最早津波。
剣で、魔法で防ぐ事もできるが、あまりの量の多さに追いつかないのだ。

茨の濁流に飲み込まれた犬や護衛たちがたちどころに倒れていく。
この茨の棘に触れたものは即座に深い眠りに落ちてしまうのだから。

際限なく溢れ出る茨だがエンカは避けて進むのはセラエノの意識がエンカを友人だと認めているからだろう。
そして倒れたユリも茨に埋め尽くされる事はない。
その理由は…わざわざ書く必要あるか?
洗脳によってロリレズ属性になったのだが、ショタSMな趣味も忘れたわけではない。
だからメイションは勿論、グレンにも茨が近づかないのは最早本能としか言いようがない。
そしてもう一人。
セラエノの横にいる保険医にも茨は近づく事はない。
同類だからなのだろうね、うん。
なんにしてもここに小さなオトモダチには危険すぎる神が誕生したのかもしれない。
男児にとっても女児にとっても。

辺り一帯を埋め尽くした茨はそれでも勢いが収まらず、ベッドフォード邸にも這い進んでいく。
館全体を飲み込むかのように壁一面に張り付いていく。
ベッドフォード、リリィ、ミクのいる部屋の窓が打ち破られた。
窓から雪崩れ込む茨が三人に襲い掛かる。

【治療と洗脳を受けショタSM+ロリレズの変態に目覚める。
本から茨が溢れ出し、幼女、美少年、エンカ、保険医以外の全てに襲い掛かる。
●茨の棘に触れると強力な眠りに落ちます。
●這いながら伸びるので宙に浮くか、美少年、美少女、エンカ、保険医の周りにいれば安全。
●茨からは魔法力を全く感じず、自然の茨と同じ強度です。
●但し際限なく溢れ出るのでキリがない】

53:ルイーズ ◆jntvk4zYjI
10/07/25 23:42:07 0
>「猫とゴリラのヒューザー?」 
「ウホッ?!ばれた?!」
がーん、とショックを受けるルイーズ。
>「その声はキンタローかっ!?」 
「違う、ニャンタローだウホ」
全員不正解である。
「あっ!間違えた。・・・・・・・あーあー。私タダノ通リスガリアルウホ。私カワイイ森ノ動物ウホね」
どう見てもかわいくないです本当に(ry

背中に生えた翼をぶっちぎって警備員Aに投げつけるグレン 
「ちぎった?!しかも投げた羽が元の場所に戻ったウホッ!!」
いろんな意味で凄すぎである。

「・・・・・・はっ、驚いてる場合じゃないウホ。次はあっちの男ウホッ」
いろいろ度肝を抜かれつつも、ルイーズは闇に乗じてグラディスの方へと移動した。
ちなみに、ルイーズにはリリィからのテレパシーは届いていない。
(リリィとは面識が無いため、仲間ではなく屋敷の関係者として認識されたのだろう)

「保険医ー。洗脳よりも回復のが重要ウホー。
 というより、ライバル増やしてどーするウホー」
ルイーズはこっそり突っ込んだ。
まあ、仮に大声で言っても保険医が聞き入れるとは思えないのだが。

「ふふーん。『お返しは三倍返しで』っと。これでいいウホッ!」
ルイーズは毒消しのカプセルにそう書き込むと、早速グラディスの背中めがけて投げつけた。
毒消しの中身はメイションのものと同じだが、今のグラディスは、氷魔法発動の真っ最中である。
魔法の呪文は集うには集中力が必要なのだが――
「まー何とかなるウホ。このくらいで気が散るとかありえないウホッ」
ルイーズは、やっぱり楽観的だった。

「そこのあんちゃん、そう、あなたウホ」
ルイーズはほれほれ、とレイヴンに合図を送った。
「さっさと戦わないと、おいしいところ全部持ってかれるウホ。
 ほら、そこでかあいい幼女が力尽きてるウホ。
 ここは幼女をかばいつつ、男らしく凛々しく戦うところウホ!」
ルイーズは小声でレイヴンをけしかけている。
「さあ、薔薇のように気高く咲いて美しく散るウホ!!
 私は森の動物だから、ここで一部始終を見てるウホ!」
すっかり存在がバレているというのに、本人だけはまだ隠れてやり過ごせると思っているようだ。
「・・・・・グッドラック♪」

だがそんなお茶目な発破も、セラエノ覚醒までのほんの余興に過ぎなかった!

54:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo の代理
10/07/26 22:11:35 0
>>42>>48>>52

>意味ありげな笑みを浮かべるベッドフォードを、まだ涙の跡が残る顔のままじっと見上げる。
「仲間達には連絡を済ませました。次のご指示を」

老人は先程と変わらぬ笑みを浮かべリリィの涙の跡をゆっくりと指先で撫でる
頬から目元へと中指を這わせ リリィの目を覗き込んだ
「共に雛型達を待つとしよう…彼らから私を守る盾となっておくれ…」

>「ふふ…正体など大した物ではありませんわ……
ご満足頂けましたかしら?」

ミクの正体を老人は始めから知っていたのだろうか リリィから視線を変えうごめく蜘蛛の足を驚くそぶり見せず、じっと見つめている
「やはりな…君も私の正体に気づいているのかな…」
老人はどこか納得したように笑い リリィの頭を優しく撫でるとまた喧騒が響く大窓の方へと体を向けた

>「館に侵入してきた者がいるようですわ……」

「いや、雛型達は全員この部屋に迎え入れるつもりだよ…
無論、まだ【覚醒】について知らせるつもりはないがね…
まあ君にだけ話す時間は十分にあるだろう
見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」

突如 大窓のガラスを突き破り茨達が室内へと雪崩混む
瞬く間に部屋は茨に侵食されて行き 高価な調度品は茨が絡みその原形をなしえなくなっていく

「予期せぬ事態ではあるが…この力恐らく…」
握られた杖の魔力か 茨は老人の足元を避けていった
「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」

55:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo の代理
10/07/26 22:13:10 0
>>47
「ふっふっふ……ははははっ!!!!我が剣技の前にはあらゆる手段も児戯に等しいっ!!!!」

見事に技が決まり突風にブラシから吹き飛ばされたユリは地面に疼くまり たたき付けられた衝撃の痛みに耐えていた
そんな彼女をざまあみろと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべたアドラスは剣を握りしめ 一歩一歩ユリの方へと歩みよる

「ふふふ…死ぬ前に言いたい事はあるか娘?」

先程とは打って変わり少し冷静さを取り戻したのか落ち着いた声で台詞で決めるべく剣を突き差そうとした途端ユリは突然跳ね起き 剣から逃れた

「ほお…よく逃げ回るネズミだ…
まあいい、私の最強の剣技を味わい そして…」
確かに出で立ちと台詞回しは 見られる程度には決まっていた
落ち着きを取り戻し余裕を見せるアドラスの辞書から失敗の文字は既に消えさっている

>「ボンガロ兄さん直伝!!!サニーゲイザー!!!!!」

「のわぁぁあああぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!」
光の気がまるで滝のようにアドラスの体を直撃した
帽子はどこかへと吹き飛び ネクタイは半分が千切れ糊の利いた軍服はもはや見る陰も無い

「この…小娘が……やってくれる………
馬鹿なガキだ…魔力を使い果たして倒れ…」
足を引きずってユリの方へ進み捨て台詞を吐く余力はあったのか 言い終えるとアドラスもユリの隣で急に倒れた

56:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/26 23:38:53 P
>52>53>55
>「さあ、薔薇のように気高く咲いて美しく散るウホ!!
 私は森の動物だから、ここで一部始終を見てるウホ!」
「僕も森の動物なんだけど・・・・」
(にゃお・・・・・)
だが今は飼い猫である

「後で復活してきたらややこしいから縄でしばっちゃおうよ」
(なにゃあ)
と倒した敵をどう処理するか提案するグレン
自分でやればいいと思うのだが残念ながらグレンは縄を持っていない

「よし!」
といって医療カバンから荒縄を取り出しユリに近づく保険医
セラエノを洗脳することに成功し満足したようである
お前はいつも縄を完備しているのか!?
まあ患者が暴れないようにするためのものだろう・・・・たぶん
保険医の目は血走り息は荒い
誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって

ワン!ワン!
だがそれを阻止せんと立ちはだかる犬A犬B
「おい!誰かこの犬達を何とかしてくれたまえ!!」
なんども言うようだが保険医に戦闘能力はない

「僕は猫だよ・・・・・犬に勝てるわけ無いでしょ」
(にゃお・・・・・にゃ)
さっきの人間のほうが犬より数倍強いのに尻込みをするグレン
相手は犬の姿をした悪魔ブラックドックとか地獄の番犬ケルベロスではない
だがそれでも猫である以上相性的に犬は苦手なのだ
果たして誰がピンチを救うのか?

ちなみにフリードはこの騒がしい中爆睡中である
故にグレンと交代することはないだろう

「取り敢えず言っておく!僕は微妙に強い!!」
(にゃあ!にゃおん!!)
そう言って決めポーズをするも指が微妙に震えている
だがまだフリードの目覚めの時ではない

57: ◆jntvk4zYjI
10/07/27 20:31:30 0
>50
警備員Bの股間からキーン!と金属的な音が響いた。

「勝ったウホ」
「ああ」

一人二役で勝利宣言をするルイーズ。
確かに、ハードニングという魔法は、肉体を鋼のように硬くする。
しかし、それだけなのだ。

>「よし!」 
>といって医療カバンから荒縄を取り出しユリに近づく保険医 
>保険医の目は血走り息は荒い。
「あら~ん♥」 
顔を隠して照れたルイーズだが、指と指の間からしっかりユリと保険医を観察している。
>誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって 
「常識?なにそれおいしいの?」 

>ワン!ワン! 
>だがそれを阻止せんと立ちはだかる犬A犬B 
「ちっ、戻ってきたウホッ。
 おのれワンコめ、胸熱で萌え萌えの展開に水を差すとは・・・・・・許せんウホッ!
 そこの猫少年、行け!かかれっ!」
>「僕は猫だよ・・・・・犬に勝てるわけ無いでしょ」 
「さっきの人間の方がよっぽど強かったウホッ!大丈夫、君ならきっとやれるウホッ!!」

>「取り敢えず言っておく!僕は微妙に強い!!」 
「手が震えてるウホッ。あーあ、かわいそう~。
 誰かぁ~グレンがピンチよ~。おねがぁい、助けてあげて~(棒読み)」
そう言いつつ、ルイーズはレイヴンと鋼を代わる代わるじーっと凝視している。
グレンをけしかけておきながら、自分は戦う気ゼロのルイーズだった。

>46
屋敷の中に潜入した桜花の前に、甲冑の鎧が立ちはだかった。
しかし、鎧の中から人の気配は無い。もしかしたら、ゴーストが何かが憑依して操っているのかもしれない。
甲冑はぎしぎし音を立てながら、手に持っていた大斧を振り上げた。
このままでは、桜花の体は無残に両断されてしまうだろう。

セラエノ覚醒まで、残りあと僅かである。

58:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/07/27 21:03:19 0
>見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」
彫像のようにベッドフォードの傍に控えていたリリィが、ぴくりと身じろぎした。
>突如 大窓のガラスを突き破り茨達が室内へと雪崩混む 
>瞬く間に部屋は茨に侵食されて行き 高価な調度品は茨が絡みその原形をなしえなくなっていく 

>茨は立ち尽くすリリィにも襲い掛かり巻きついたが、リリィが眠りに落ちる事はなかった。
>なぜならば棘が刺さった場所はその豊満な胸だったから。 
茨はリリィの服を引き裂き、彼女の体から何かを剥ぎ取る。
だがそこまでだった。
茨は興味を失ったようにリリィを解放すると、潮が引くようにリリィから離れていった。
後には、糸の切れた人形のように床に転がる少女が残された。

>「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」 
リリィは床に手足を投げ出したまま、ゆっくりとミクの方に顔を向けた。
そして言った。
「その前に・・・・・・あなたは、20年前からの異変についてどうお考えですか?」

乱れた前髪のせいで、リリィの表情は全く見えない。
だが妙にクリアな声でミクには聞こえただろう。
リリィはゆっくりと唇を湿らせると、けだるい声で続ける。
「20年前から現れ始めた・・・・・・天才と呼ばれる存在のことですよ」

59:エンカとメイション◇jWBUJ7IJ6Y の代理
10/07/27 21:56:13 0
>50
> 「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
> もう一度掌を叩きつけると、氷柱が一気に肥大化して――
>「あおぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
警備員Bがそう叫んだ通り、彼は顔を青くして、股間を抑えつつ倒れた。
何がどうなったかは具体的に説明したくはない。
「ひえ~、キレてるぜグラディス!」
とエンカ。

>52
茨の濁流が始まったのはそのすぐ後だった。
「くそっ!なんだ!?どうなっちまってんだよーっ!?」
茨が自分を避けているとは思いもよらないエンカはその場から動けなくなってしまった。
「さっきの警備員も茨に巻き込まれちまったみてぇだ!だが、なんで俺達は平気なんだ!?
 それがわからねぇとよーっ!うかつに身動きがとれねぇぜ!」
グラディスにそう話しかけるエンカ。
エンカの側にいる限り、グラディスも茨に巻き込まれる心配はない。

さらに少しすると、メイションが茨の濁流を突っ切ってエンカ達の前に現れた。
「メイション!おめぇ、どうやって茨を避けてきたんだ!?」
>>「わからないけど、茨の方が僕を避けてるんだ。」
メイションはエンカとグラディス達もまた茨に避けられていることに気づいた。
>>「たぶんお兄ちゃん達も茨を突っ切れると思う。けど、一体これはどういうことだろう?」
「わからねぇ!わからねぇけど、もしかしたら俺達にとって都合が良いかもなーっ!
 このまま茨と一緒に屋敷の中に突っ込むぜーっ!
 だが、メイション!おめぇは茨の濁流をさかのぼって正体を確かめてくれねぇか!?
 俺達に害意があるような奴なら、例え今は安全だとしても、後で困るかもしれねぇからよーっ!」
>>「OK、いいよ。ところで、お兄ちゃんの名前…」
メイションはエンカの名前を聞こうとしたが、エンカはすぐに茨の向こうへと見えなくなってしまった。
屋敷に向かって走っていったのだ。
>>「とにかく、この茨をなんとかしなくちゃ。そうしなければならないとしたら。」
メイションは茨の濁流をさかのぼっていった。

【エンカ:屋敷に向かって移動】
【メイション:茨の上流に向かって移動】



60:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/07/27 23:10:52 0
>42、>47、>49-50、>52-53、>55-56
エンカを押さえ付けている警備兵を打ち倒そうと一歩を踏み出した鴉だったが
目に飛び込んできた光景に足を止めてしまった……


>「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
グラディスの魔法が炸裂したのだ……男にとっては最悪の形で。
思わず竦み上がってしまった鴉を責める事は、同じ男ならば出来ないはずだ……。
「ちょとそれsyレならんしょ……」
「グラディス! そんな見る方も痛い攻撃するなよ!?
 見ろ、すっかり芋虫と化してるじゃねぇか!」
ついつい敵であるはずの警備兵の容態を心配してしまうのだった。

「……って、んな事言ってる場合じゃない!」


>リリィはテレパシーで、総裁に捕まり、身の危険を感じている旨を外の仲間達に連絡した。
先ほど伝わったリリィからのテレパシー……鴉はきな臭さを感じていた。
きちんとした人となりを知らないとは言え、危険な状態にもかかわらず冷静に
状況を伝える事が出来るような性格を、リリィはしてなかったはずだからだ。

服の記憶を手繰っても、森の中でテレパシーを受け取った時もかなりうろたえていたのだ。
それよりも直接的な危機に晒されていながら、先のテレパシーからは焦りとか怯えと言った
感情がまるで感じられない……そして総裁に捕まったという部分。
「……ワナ、か。十中八九、いや確実に、だな……。
 まぁいいさ、どの道避けて通れないなら食い破るまで。
 鴉の狡賢さを見せてやろうじゃないか」

61:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/07/27 23:13:32 0
>気の噴出が止まると同時に、ユリはものも言わずに前のめりにばったり倒れてしまったのだから。
>足を引きずってユリの方へ進み捨て台詞を吐く余力はあったのか 言い終えるとアドラスもユリの隣で急に倒れた
>そして倒れたユリも茨に埋め尽くされる事はない。
>「そこのあんちゃん、そう、あなたウホ」
突如太陽が現れたかのように森が明るくなる。
その光に、闇に慣れきっていた鴉の目は眩んでしまう。
数秒後光が収まった時、そこには大技に全力を注ぎ込んで倒れてしまったユリがいた。
大技の直撃を受けたアドラスも、捨て台詞を言うだけ言って倒れてしまう。
「……配分を間違えたのか。元の姿なら何とかなったんだろうが……
 参ったな、こんな時に……相討ちなんて、今時流行らないぜ?
 (*´ω `*)こんな顔並みに、な……」
そしてこのあるさま。

エンカの方はグラディスの援護もあり問題ないだろうと考え、ユリを抱き起こそうとして……
いきなり茨の津波が襲い掛かってきた!が、何故かユリとたまたま近くにいた鴉を避けて行く。
様子を伺うと、メイションやエンカ、そして先ほどからフリーダムに暴れまわる保険医以外は
例外なく茨に襲われており、しかも茨に触れたものは強い眠りに落ちているようだ。
「どういう原理か、誰の仕業か、そんなのはどうでもいいな」

そんな事を呟きつつユリを背負ったところで謎の生物に声をかけられた……
鴉は不覚にも数秒思考停止状態に陥ってしまったが、続く言葉を聞いて苦笑する。
「……悪いが俺にはあんたみたいな知り合いはいないぞ……同類でもない。
 んで、おいしいところだって? そんなもん、欲しい奴がもってけばいい。
 報酬が出るわけでも減算される訳でもないんだから。……んじゃ何故助けるかって?
 ……善意に理由が要るなんて初めて聞くな」
ルイーズの発破は時化ってて使い物にならなかった!
そして相変わらず自覚なしにイタイ台詞を吐く鴉。多分これが素なのだろう。


>誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって
天の声に導かれたか、縄を持ち目を血走らせながらユリに近づく
不埒な保険医にツッコミを入れる恥知らずな鴉がいた!
「……ふんじばるならそこでぶっ倒れてる警備隊長を頼む。
 触りたくないって? ならその縄は不要だな」

保険医に冷ややかに接する鴉。恩を忘れたわけじゃないが、いつ自分も
この保険医の歪んだ性癖の矛先を向けられるか分かったもんじゃない。
自分にあまり拘りを持ってるわけじゃないが、どうも生理的にダメらしい……
腹立ち紛れに犬AとBを茨に蹴り飛ばしてやった。これで少しは大人しくなってくれればいいのだが。


「……さて、屋敷に向かうとするか。
 グラディスは……立てないか。鋼、シルヴァ嬢、悪いがグラディスを頼む」

【レイヴン:ユリを背負い、エンカと桜花の後に続く様に屋敷に向かう】

62:ミク ◇sto7CTKDkA代理
10/07/28 20:35:11 0
>52 >54 >58
>「いや、雛型達は全員この部屋に迎え入れるつもりだよ…(中略)
>見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」
「余興…ですの?」
総裁の言葉の意図をミクが考える前に、余興が押し寄せてきた。
それは、セラエノが作り出した大量の茨の波だった。

糸が風を切る音と共に、窓からなだれこむ茨の先陣が切り払われた。
だが大量の茨はその程度では止まらない。
瞬く間に壁も床も天井も、茨に覆われて見えなくなっていく。
>「予期せぬ事態ではあるが…この力恐らく…」
「魔法の茨ではありませんから、これはおそらくセラエノの奇跡でしょうね。
 御存じかしら? 新入生の彼女、奇跡が使える神でしてよ」
大量の茨に囲まれた部屋の中、平然と立ち続けるベッドフォードに、ミクは空中から話しかける。
別に空を飛んでいるわけではない。
茨が防ぎきれないのを見て瞬時に糸を張り巡らし、室内を自身の巣と変えたのだ。

壁や床に付いた糸が伸びる茨に切られても、すぐに新たな糸が茨の上にまで張り巡らされ。
糸同士は絡み合ってより強固な糸となり。
結果茨と様々な太さの蜘蛛糸のため、絢爛豪華だった室内は無残にも廃屋のように様変わりしている。

>「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」
>「その前に・・・・・・あなたは、20年前からの異変についてどうお考えですか?」
思わぬ方向から話しかけられて、ミクは怪訝そうにリリィの顔を見た。
操り人形には何もできないだろうと考えて、リリィの事は意識もしていなかったのだ。
リリィの顔は、前髪に隠れて見えはしない。
>「20年前から現れ始めた・・・・・・天才と呼ばれる存在のことですよ」
最初ミクは、ベッドフォードがリリィの口を借りて言わせているのかと考えた。
次に、これも【覚醒】の一種であるのかと考えた。
どちらにしても、原因を知る方法をミクは持たない。
ミクは寮の自室の近くで同じ問題について語り合っていた、赤服、黒服、白服の3人組の事を思い出した。
あの3人はそれぞれ違う考えを持っていたが、白服の娘の考えは自分の考えに近かった。
あの娘はなんと言っていただろうか?

「ふふ…そうね…。 今までは考えられなかった事ですものね…。
 あなたたちのように集められるほどに天才がいる、なんてことは。
 私の考えでは、誰かが天才を求めたから天才が増えたのよ。
 時代か、人々か、あるいは神と呼ばれるようなもっと大きな意志かが天才を求めたの」
白服の少女は「だから期待に応えられるようにお勉強がんばろーね」で話を閉じていた。
しかしミクの考えは、その先は違うものだった。

「人の世は昔から問題に直面する時、それを乗り越える能力を持った人物を排出するもの。
 そして能力を持たない者は、嵐の中の船のように能力を持つ者に翻弄されるもの。
 私のように道と時間を踏み外さない限りは…ね。
 あなた達が集められたのも、案外近い将来に起きる事に備えるためかもしれないわよ?
 自分が持つ者の側にいることを喜んで、日々精進なさいな。
 能力を持つ者は、持たない者の全てを手に入れることが出来るのだから。
 総裁もそうお考えでしょう?」
弱肉強食。それがミクの考えの根底にあった。
支配し支配され、奪い奪われ、結びついては離れていく。
人の世は同じ事の繰り返しだとミクは思っている。
今まで見てきたように、これからも。何があっても。

63:ユリ ◇sto7CTKDkA
10/07/28 22:07:36 0
>61
「うゃ~…頭がガンガンする…ちょー頭痛い…」
ユリはレイヴンの背中で気絶から目を覚ました。
目を覚ましたと言っても気絶から回復しただけで、本調子からは程遠い。
目の前で揺れるレイヴンの背中をしばらく見ていたユリは、おもむろにギュッとしがみついた。
「お兄ちゃんの背中…暖かいよ…」
小さかった頃、兄に背負われた事を思い出しているのだ。
回復まではしばらくかかりそうだが、幼女に抱きつかれても特殊な趣味以外の人はあまり嬉しくないかもしれない。


64:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/07/29 00:25:59 0
>52>53>59>60
>「あおぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
>警備員Bがそう叫んだ通り、彼は顔を青くして、股間を抑えつつ倒れた。
無常且つ残忍な魔法に、一部の味方(主に男)からもブーイングが巻き起こる。
>「ひえ~、キレてるぜグラディス!」
>「グラディス! そんな見る方も痛い攻撃するなよ!?
> 見ろ、すっかり芋虫と化してるじゃねぇか!」
「うっせー、威力調整も何も出来るもんじゃねーんだよー……ぢくしょー気持ぢわるっ」
手を突いたままぜぇはぁぜぇはぁ息を荒げて、吐き気をどうにか抑えようと試みるグラディス。

そんな必死なグラディスを無視して、茨が洪水と化していく。
しゅるしゅると気分の悪い音が周りを
>「さっきの警備員も茨に巻き込まれちまったみてぇだ!だが、なんで俺達は平気なんだ!?
> それがわからねぇとよーっ!うかつに身動きがとれねぇぜ!」
「俺に聞くなよー……ぜぇ、はぁ、こーいうことには、ぜぇ、疎いんだ。聞くんだったら他にしてくれー……」
半分投げやり気味に、回る視界との苦闘中の毛むくじゃらは答える。

「……お?」
が、突然息をしていると頭痛がぐんぐん引いていく。
吐き気も気だるさもみるみるうちに解消していってるのが手に取るようにわかるのだ。
辺りを見れば、『お返しは三倍返しで』などと書かれたカプセルが転がっていた。
「おー、誰だか知らないけどありがてー……あーでもまだ収まりきらねーなー」
しかし持ち主が誰か知らないので、カプセルを拾っておくことにする。あとで誰かに確認すればいい。

>「メイション!おめぇ、どうやって茨を避けてきたんだ!?」
>>「わからないけど、茨の方が僕を避けてるんだ。」
「あん?……おー、本当だ。エンカとメイションを中心に茨がいないなー」
>>「たぶんお兄ちゃん達も茨を突っ切れると思う。けど、一体これはどういうことだろう?」
>「わからねぇ!わからねぇけど、もしかしたら俺達にとって都合が良いかもなーっ!
> このまま茨と一緒に屋敷の中に突っ込むぜーっ!
> だが、メイション!おめぇは茨の濁流をさかのぼって正体を確かめてくれねぇか!?
> 俺達に害意があるような奴なら、例え今は安全だとしても、後で困るかもしれねぇからよーっ!」
そう言い残すと、エンカは屋敷へと走っていく。

しかし、エンカは気付いていない。グラディスは茨の動きと関連していないことに。
茨がエンカとメイションを再び隔てたとき、グラディスはエンカ側に残る。
そして危うく茨に触れそうになりつつも、エンカを追う。
「とっとっとー!?おいおいエンカー!俺は茨に敵視されてらー!?
 ってか痛いトゲに毛がぶちぶち抜かれて痛ぇー!に、人間モードぉー!」
背伸びする演出無しのゴキゴキという音を鳴らして、犬耳の青年へと戻るグラディス。


「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
 俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
屋敷の玄関の前に来たところで、グラディスはエンカの歩みを止める。
「んー……桜花の雰囲気っつーか、においっつーか、そんなのがこっちからする。
 んで向こうに三人くらいが集まってる。多分総裁とリリアーナと、残りの一人が兵士か秘書かなんか?
 どうするどっちいく?俺一人じゃ行動できねーからさー」
グラディスはエンカの選択に従うつもりである。

65:桜花
10/07/29 19:39:24 0
表は大分カオスな事になっている事はいざ知らず桜花は屋敷を走り回っている 
時々よろけるのはきっと脇腹の傷から血が流れているので若干貧血なのだろう 
(全く…私がこんなになって走り回っているんだ 
リリィさんを見つけたらお説教だな) 
考えている事とは裏腹に口元に笑みを浮かべる桜花 
その時 

>屋敷の中に潜入した桜花の前に、甲冑の鎧が立ちはだかった。 

「………!」 
慌ててブレーキをかける桜花 
(敵!?でも…) 

>しかし、鎧の中から人の気配は無い。もしかしたら、ゴーストが何かが憑依して操っているのかもしれない。 
甲冑はぎしぎし音を立てながら、手に持っていた大斧を振り上げた。 

「……!」 
慌てて身をかわす桜花 
(危なかった…) 
しかし、音があるのなら桜花にとっては先ほどの大蜘蛛と大差はない 
「残念だったな、ゴースト。 
生身?のままなら音が聞こえず私も苦戦をしたかもしれないが 
貴方の敗因は音の鳴る物を身につけていた事だ!」 
かんぱつ入れず繰り出される斧の斬撃をするすると避ける桜花 
「単調…!そんな曲では聞き手は楽しめない」 
拳を握りしめ、鎧の腹を見据える、そして 


メゴッ!!!! 


鈍く潰れたような音が屋敷に響く 
桜花は拳を振り抜いた姿のまま鎧の方を見ている 
鎧の方はまるでハンマーでも叩きつけられたように腹部の装甲が大きく凹んでいる 
「痩身と侮ったな… 
音楽家の握力なら私でもゆうに五トン… 
は言い過ぎだな…えっと……二トン位なら出せる!(キリッ」 

66:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/29 19:58:42 P
>61
>「……ふんじばるならそこでぶっ倒れてる警備隊長を頼む。
  触りたくないって? ならその縄は不要だな」
「そう言われてしぶしぶと全く好みではない男を亀甲縛りにする私であった」
とナレーターの真似をしつつふんじばる保険医
こんなに出ずっぱりなのに彼女には名前の設定はないのである
ついでに小さなカードにこう書いて貼っておく
”この者幼女暴行実行犯”

「あ、蹴った」
茨に絡め取られるワンコx2を手を振って見送るグレン
「さらば犬っころ二度と会うことはあるまにゅい」
どうやら口調変換薬が切れてきたようであるこのままだと猫語に戻ってしまうだろう

>「……さて、屋敷に向かうとするか。
 グラディスは……立てないか。鋼、シルヴァ嬢、悪いがグラディスを頼む」
「よし!お屋敷のにょこり物を漁りにのりこみゅにゅ!!」
どうやらな行が発音できなくなってきたようだ

保険医は
「他人の家に勝手に入り込むのは犯罪ではないのかね?」
と突っ込んむがそんなことは今は重要ではない
「誘拐犯のアジトに入り込んで人質を解放にゃら問題にゃいにゅ」
物は言いようである

そして保険医は
「さて・・・・毒の治療が残ってるものはもう居ないな・・・では私は帰らせてもらう」
彼女が保険医室に戻ったらまだゴーストの教師と犬が格闘中だったりするがそれはまた別の話である
>64
>「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
 俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
「にゃにゃ~な」
(僕はおいしいものが食べられると思って参加したんだよ)
どうやら完全に薬が切れたようである

そしてグレンは屋敷の”食堂に向かって”全力で走りだした
「にゃあん」
(この匂いはヒラメのムニエル)
やはりこの猫食べることしか考えていない

グレンの中のフリードは途中で少し目が覚めた
目の前にはなんか怪しげな触手があった
「え?茨の触手?・・・・・夢ですねこれは起きないと」
夢だと思ってまた目を閉じた


67:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/29 22:48:57 0
ベッドフォード邸から少し離れた場所。
溢れ出る茨の中心にセラエノは立っていた。
血に塗れまだらになった黄色い衣。
一筋のヒビの入った鏡の仮面。
その姿であって背筋を伸ばし手を広げ、その前には血に染まった本が浮いている。
開かれたページが微かに光、そこから溢れ出るように茨が這い出るのだ。

半トランス状態で茨を生み出していたセラエノが不意に意識を戻す。
その原因は茨の濁流を遡ってきたメイションの存在。
トランス状態より美少年への反応の方が強かったのだ!

「あら、あなた、メイションね?はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
エンカの友人で一緒にあなたを探しに来たのよ。」
(く~~、写真より実物の方がかわいい!なにこの白さ?ああ、そんな赤い瞳で見詰めないで~)
にっこりと微笑みながら握手の為に手を差し出すが、その手は微かに震え、声も微妙に裏返っていた。
手早く自己紹介と事情説明と共に美少年の手を握ろうという下心は隠しきれなかったようだった。

「無事に会えてよかったわ。エンカはどこへ?」
軽く鼻血を吹きそうなのを堪えながらエンカを探す。
先ほどの言葉からエンカは毒に倒れたメイションを見つけたはずだが一緒にいない。
本来の目的を果たし(更にリリィとユリを食べたふうでもなく大満足)たのでここに特に用はないのだが。
とはいえ、たとえエンカがここに居たとしてもこのまま帰ることも出来ないだろう。

「まあいいわ。これだけの騒ぎを起こしたのだし、このままにはしておけないから、一緒に行きましょ。」
胸元で開いていた本をパタンと閉じ、足元に散らばる魔道書や辞書と一緒に抱えると握手した手を離す事無くそのまま館に向かって歩き出す。
館に向かいまっすぐ歩くが茨はその歩を阻む事はできない。
セラエノの身体は茨をすり抜けていくのだ。

本を閉じた瞬間、全ての茨は動きを止めその存在感が薄くなった。
半透明になり触れる事も出来ない、まるでゴーストのように薄い姿だけを残す事になる。
もう暫くすれば茨自体完全に消えてしまうが、それまでは既に刺された者の眠りの効果は続くだろう。
セラエノの胸に抱えられる茨を生み出した本。
それは魔道書でもなんでもない。
魔力のひとかけらすら感じられぬ単なる絵本。
血に染まってはいるがその題名は何とか読めるだろう【眠り姫】と。

半透明の茨でびっしりと覆われた館。
その玄関に到着すると、よく通り声で発する。
「夜分遅く騒ぎを起こしてすいません。
私は学園新入生のセラエノ・プレアデス!
御挨拶と事情説明に参りました。どなたか取次ぎをお願いできますか?」

茨に覆われた外観と違い、玄関から中はそれほど茨の浸食を受けていない。
だがそれでもセラエノの言葉に応えるものは居なかった。
変りに、メゴッ!!!! という激突音が館の奥から響いて来た。

その音に首をかしげながらも、それでもまだメイションの手は離さないで居るセラエノだった。

68:ルイーズ ◆jntvk4zYjI
10/07/30 07:52:05 0
「な、何だこれウホ?!」
突然の茨の濁流発生に驚くルイーズ。
茨に飲み込まれた人々は次々深い眠りについていく。
特定の人間だけは茨の方接触を避けているようだが、ルイーズは対象外のようだ。
茨は容赦なくルイーズに迫る!
だがしかーし!
「・・・・・・ 変 身 !」
ルイーズの体がまばゆく光ると、次の瞬間には巨大なウサギに変身していた。
「うひゃひゃひゃ!これで茨なんかへっちゃら!――ぬおー?!」
確かにウサギは茨と相性がいい。
天敵から逃れるため、ウサギが茨の茂みに逃げ込むほどに。

確かに、ウサギに変身したルイーズに眠りの呪いが降りかかることは無い。
だが茨の奔流には勝てず、そのままどんぶらこ、どんぶらこと押し流されていった。

茨の上をゴムマリのように弾みながら流されていくルイーズ。
だがその移動は、始まりと同じく唐突に終わりを告げる。
「うひょー!!!」
突然茨が半透明になった。
ルイーズの体は茨をすり抜け、地面へと叩きつけられた。
「あいたたたた・・・・・・。ああ、ひどい目にあった」
ルイーズが身を起こすが、既に騒ぎを起こした生徒達の姿は無い。
保険医やファンブルマンもどこかへ行ってしまったようだ。
「んー。・・・・・・ファンブルマン先生も消えたし、これ以上巻き込まれる前に逃げるかー」
まだ当事者の自覚が無いルイーズだった。
遠くに見える屋敷は半透明の茨に絡みつかれ、静かに佇んでいる。
「あーどうするかー」
他の生徒たちを見捨てることも出来ず、さりとて面倒事に首を突っ込むのも躊躇われた。
ルイーズは心を決めかねたまま、その場で行ったり来たりしている。

>65
>鎧の方はまるでハンマーでも叩きつけられたように腹部の装甲が大きく凹んでいる  
>「痩身と侮ったな…  
>音楽家の握力なら私でもゆうに五トン…  
>は言い過ぎだな…えっと……二トン位なら出せる!(キリッ」
  
目の部分が物言いたげにちかちか点滅を繰り返している。
だがやがて光は薄れ、鎧はバラバラになって床に転がった。
黒いもやのようなものが鎧から離れていったが、はたして桜花は気づいただろうか?

やがて桜花の耳に、仲間たちの足音が届くだろう。

69:エンカとメイション◇jWBUJ7IJ6Y
10/07/30 13:50:18 0
>64
> 茨がエンカとメイションを再び隔てたとき、グラディスはエンカ側に残る。
> 「とっとっとー!?おいおいエンカー!俺は茨に敵視されてらー!?
>  ってか痛いトゲに毛がぶちぶち抜かれて痛ぇー!に、人間モードぉー!」
「おん?」
エンカも、エンカは茨に避けられているが、グラディスはそうでないことに気づいた。
「この茨は何かを見て攻撃する対象を選んでるみたいっすね。」
エンカはこの茨が遠距離自動操縦タイプの魔法だと考えた。
しかし、何をトリガーにして攻撃対象を選んでいるのかはわからなかった。
> 「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
>  俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
> 屋敷の玄関の前に来たところで、グラディスはエンカの歩みを止める。
「俺はお前らがそんな事考えなけりゃここに来る予定じゃなかったんすけどねーっ。」
> 「んー……桜花の雰囲気っつーか、においっつーか、そんなのがこっちからする。
>  んで向こうに三人くらいが集まってる。多分総裁とリリィと、残りの一人が兵士か秘書かなんか?
>  どうするどっちいく?俺一人じゃ行動できねーからさー」
> グラディスはエンカの選択に従うつもりである。
「当然リリィの方っす。さっきテレパシーで、危ねぇって言ってたんだからよーっ。」
エンカはリリィの救出を優先するつもりだ。
「それにしても人間の姿でも鼻が効くんだなぁ?お前は本当にグラディスか?
 …悪く思うなよ?俺はさっきから幻覚に振り回されてるんだ。
 いつの間にか本物のグラディスから偽物にすり替わっていて、
 リリィの居ないところに誘導されちゃ困るからよ~。
 お前だって、俺がいつまでも本当の俺だと思うなよな~?」

>67
>>「(この人…一体何なんだ…!?)」
セラエノを見たメイションはそう思った。
血に濡れた黄色い衣に鏡の仮面。
マジックミラーという発想のないメイションには、彼女の格好は奇妙にしか見えなかった。
しかし、はっきりとわかっていることが一つある。茨を生み出したのは彼女だということだ。
> 「あら、あなた、メイションね?はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
> エンカの友人で一緒にあなたを探しに来たのよ。」
> にっこりと微笑みながら握手の為に手を差し出すが、その手は微かに震え、声も微妙に裏返っていた。
≫「こんばんはセラエノさん。メイションです。」
メイションは少しよそよそしい態度でセラエノの握手に応えた。
> 「無事に会えてよかったわ。エンカはどこへ?」
≫「?」
無事に会えてよかった、というのはセラエノが自分と会えたことが良かったという意味だろうか?
エンカに会えた事実を認識していないメイションはそう思わざるを得なかった。
≫「あなたがエンカ君と僕を捜しに来たのなら、どうしてエンカ君の居場所を知らないの?」
メイションは状況的に、セラエノをまだ信頼していなかった。
> 「まあいいわ。これだけの騒ぎを起こしたのだし、このままにはしておけないから、一緒に行きましょ。」
セラエノが本を閉じると茨が薄くなっていく。
メイションは、なぜ彼女が茨を出したのか?そして何故今それを消すのか?
その理由を考えながらセラエノと一緒にいた。
> 「夜分遅く騒ぎを起こしてすいません。
> 私は学園新入生のセラエノ・プレアデス!
> 御挨拶と事情説明に参りました。どなたか取次ぎをお願いできますか?」
> 代わりに、メゴッ!!!! という激突音が館の奥から響いて来た。
≫「やっぱり茨はあなたが出していたんだね?それに怪我してるみたいだけど、大丈夫なの?
≫ …それともその体についた血は他の人の血なのかなぁ?
≫ もしもあなたがリリィお姉ちゃんやユリお姉ちゃんに害意があるなら、
≫ 僕はこの場であなたを倒さなくちゃならなくなる。」

70:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/07/31 18:47:00 0
>>62 
>「ご存知かしら?新入生の彼女、奇跡が使える神でしてよ」 

「やはりな この力は少し強力すぎると思ったが神なら合点が行く…では…」 

老人が言葉を続けようとした瞬間 突然リリィが口を開き 彼の話を遮った 
リリィは20年前に現れた天才の事についてをミクへと投げ掛ける 

>「私の考えでは……総裁もそうお考えでしょう?」 

ミクの考察に老人は不敵な笑みを浮かべながら耳を傾ける 
時折、不気味な笑い声を小さく漏らすも話の腰を折る事無く相変わらず静かに窓の外を見続けていた 

「持たざる者は持つ者に支配される…君の言う通り世の理とも言える…… 
では、話の続きだ…まずは彼女の質問から答えよう」 
ゆっくりと後ろを振り向くとリリィの方へと視線を向けた 
「20年前から現れた天才達…全ては私の予想通り、いや正しくは写本の記述を準えていたよ… 
この天才達の発生こそが私の計画の大元を成すのだからな… 
【覚醒】は過程の一部にすぎぬ…」 

「蜘蛛よ お前も【覚醒】の一端を担ってはどうだ? 
ただ戦い、感情を刺激すればよいだけだ…」 

71: ◆jntvk4zYjI
10/08/01 05:54:03 0
>67
屋敷の扉が、音も無くゆっくりと開いた。

>ALL
セラエノ達が中に足を踏み込んだ途端、屋敷の照明が一斉に落ちた。
すぐに復旧はしたものの、灯りはなぜか、一部の廊下や階段だけを明るく照らしている。
まるでこの先に進めと言っているかのようだ。

もし灯りの指示に従ったなら、迷わず総裁の部屋へとたどり着けるだろう。

72:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/08/01 17:42:33 0
「そう焦ってはいかん…話にはまだ続きはある…」
【覚醒】について中々話さぬベッドフォードに対する苛立つミクの気持ちを見越したかのように老人は諌めるかのような口調で話を核心へと導いていく
「結論から言おう…【覚醒】とは彼等自身が持つ力の限界を縛る制約から目覚めさせる事だ…
無論、幾重もの戦いを経ねば簡単には目覚めぬがね…」
老人はまたミクへ、にやりと不気味に笑いかける
「だが、それだけでは不十分だ…
完全に【覚醒】させるには遺物(アーティファクト)の力を解放し彼等に注がねばならん…
その時、彼等は真に目覚めた己の力に酔いしれる事だろう…」
老人は一端間を置くと手に握られた杖へと視線をやった
握られたその杖からは溢れんばかりの禍々しい魔力が感じられる
「だから、私は彼等天才達の出現をずっと待っていたのだよ
写本の記述に従い下準備を進めてきたのもこの日の為にな……
遺物と漆黒の鎧は【覚醒】と計画には欠かせぬ存在なのだ…
この機会を逃せば、また数百年いや数千年待たねばならぬ…」
灯の明かりに従い、扉の前に辿りついた雛型達
茨に覆われた部屋の中には老人、ミクそしてリリィが彼等を待っていた
「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
これは覚醒への一歩だよ…」

73:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/01 23:01:38 0
≫ もしもあなたがリリィお姉ちゃんやユリお姉ちゃんに害意があるなら、
≫ 僕はこの場であなたを倒さなくちゃならなくなる。」
メイションの毅然とした言葉にセラエノは握っていた手を離し、糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
膝を付き俯き、呼吸は荒く、その足元にはポタポタと血が滴り落ちる。

(はうぅぅぅ!なんてかわいいの!そんな目で見られたら私…!
駄目!これ以上手を繋いでいたら本当にきゅん死にしちゃうかもしれない!)
きゅん死にとは、あまりにも可愛いものを目の当たりにした時、胸がきゅんとなって死んでしまうことを言う。
メイションと手を繋いでいるだけでも鼓動が早鐘のように打っていたのに、ここに来てこの健気な言葉にセラエノの限界に達したのだった。

「はぁ…はぁ…だ、大丈夫よ。
私、ちょっと血圧が高くって、鼻血が出やすい体質なの。
服に付いた血も返り血ではなく鼻血よ。」
流石に、あなたがあまりにも可愛くてハァハァ興奮して鼻血出しちゃった、テヘ!とは言えないセラエノ。

深呼吸を数回繰り返したあと、ようやく立ち上がりメイションの問いに答え始めた。
「そうね、順を追って話しましょうか。
図書館からの帰りにエンカに会って、あなたを探しているというので一緒に探す事にしたの。
手がかりを得る為に掲示板を見に行ったらそこであなたのメッセージを見たわ。
そのあとミクという子にベッドフォーフォ邸の場所を教えてもらってここまで来たの。」
そしてその後の説明を続ける。
夜闇での蜘蛛との戦闘の最中、エンカは毒で痺れたメイションを見つけたという声を上げたがセラエノはその姿を見ていない。
また、その最中にはぐれてしまった、と。
テレパシーも交えての説明なので、メイションはエンカの顔を認識する事になるだろう。

更に続くセラエノの説明。
「茨は私が生み出したもの。
私の持つ特殊な力を応用したものだけど、その力を認識したのはついさっきなの。
だから仮説は立てられるけど、正確な事は私にもわかっていないわ。」
図書館で司書によって認識させられたセラエノの力。
その原理は奇蹟の力を応用したものだが、まだそれを認識して一日と立っておらず、セラエノ自身もよくわかっていないのだった。

「リリィやユリに害意はないわよ。
本来あなたを迎えに来たのだけど、リリィが危機的状況なのであれば救い出すつもり。
それから・・・」
一通りの説明が終わると、メイションの両肩に手を置き、ぐっと力を入れる。
「私のこともセラエノ【お姉ちゃん】でいいのよ?」
一連の説明の中で結局これが言いたいのは秘密だ!
でも実際にメイションに面と向かって【セラエノお姉ちゃん】などと言われてしまったらまた鼻血が噴出してしまうであろう事は想像に難くない。


話が終わるのを待っていたかのように館の扉が開いた。
メイションに夢中になっていたセラエノの意識が引き戻され、慌てて両肩に置いた手を外し、佇まいを正した。
「ん、んん。では、行きましょう?」
気まずそうに咳払いをしたあと、扉を潜る。
直後に屋敷の証明は一瞬落ち、まるで道案内をするかのように一部の廊下や階段だけが照らされ浮かび上がる。
「随分と趣向の込んだ案内ね。」
メイションを安心させるようにクスリと笑うと、照明に従い進んでいく。
ベッドフォードたちのいる部屋へと。

74:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/02 00:13:04 P
グレンは食堂を目指している

何事も無くたどり着くグレン
マニトゥ料理長が1匹現れた
「にゃあ!にゃあ!」
グレンはご飯を強請っている
「・・・・・・・・なんぞこのでかい野良猫!?」
全長130cm以上ある二足歩行する巨大な猫に驚く料理長
「なにゃあ!」
(否飼い猫である!)
グレンはおいしいもの頂戴とばかりに料理長に擦り寄った
「ゴロゴロゴロゴロ・・・・」
料理長の白衣に黒い毛が着いた
「うっとぉしいわ!」
マニトゥ料理長の攻撃
グレンは回避した

数分後・・・・・・
「ぜぇぜぇ・・・・」
マニトゥ料理長はだいぶ疲れたようだ
「これやるから出て行け!!」
グレンの勝利!グレンは少しの経験値と
グレンはヒラメのムニエル(残飯)を手に入れた

>71
残り物を食べてお腹いっぱいになったグレン
「にゃなぁ!?」
今頃になって本来の目的であるリリィ救出を思い出したグレン
屋敷の照明は一部の廊下や階段だけを明るく照らしている
多分何かの罠だと思われるが猫であるグレンは大して考えもせずに明かりの指示に従うのであった

>72
「にゃにゃ!にゃんにゃにゃ!!」
(僕!参上!!)
とばかりに総帥の部屋に飛び込むグレン
そこにいたのはいかにも大ボスっぽい老人であった
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
 これは覚醒への一歩だよ…」
グレンはなぜかその膝の上でゴロゴロしたい衝動に駆られた
悪の大ボスの膝の上には黒猫というお約束に負けそうになったのだ!
だがグレンはその衝動を乗り切り
「にゃあな!」
(リリィお姉ちゃんを離すか僕を膝の上に乗せてゴロゴロさせるんだ!)
・・・・・・どうやら乗り切れてないようである

グレンの中のフリードは
「ZZZZZZZZZZZZZZzzzzzzzzzzz・・・・・・・・おじいちゃんこのノート何?
 え?おじいちゃんの恥ずかしい過去だから見ちゃ駄目?
 黒歴・・・・これ以上読めないや」
また変な夢を見ていた


75:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/02 00:56:57 0
>69
>「当然リリィの方っす。さっきテレパシーで、危ねぇって言ってたんだからよーっ。」
「そーだな。桜花の方は、後から来てもらうかねー」
しゃーねーしなーと言わんばかりに頭をかくグラディス。
桜花の無事を信じていないわけではないが、ちょっとだけ引け目を感じるのだ。

桜花のいるであろう方向に目を向けていると、疑惑の視線を感じる。
視線の元は、当たり前にエンカだった。
>「それにしても人間の姿でも鼻が効くんだなぁ?お前は本当にグラディスか?」
「……あん?」
何か疑われるようなことをしただろうかと色々思い起こしても、それらしきことはない。
うんうんうなって考え始める前に、エンカが説明を続ける。
>「…悪く思うなよ?俺はさっきから幻覚に振り回されてるんだ。
> いつの間にか本物のグラディスから偽物にすり替わっていて、
> リリィの居ないところに誘導されちゃ困るからよ~。
> お前だって、俺がいつまでも本当の俺だと思うなよな~?」
「あーあーなるほど。まー大丈夫大丈夫、そんな雰囲気もねーからなー。
 ……幻術系には適正の欠片も無いからわかったもんでもねーけど!大丈夫に決まってらー!にひひ」
笑うグラディス、やっぱり楽天的に考えていた。

>67>65>71>72
さあ向かおう、というところで茨が半透明になる。
「んー?こりゃー……」
手を伸ばせば、触れるはずの手がすり抜けた。
グラディス自身の様子も変化した様子も無い。
「おっ、ラッキー!丁度いい、さっさと行くぜー!多分こっちだ!」
付いてこーいとばかりに駆け出すグラディス。駆け出すといっても、本当に常人が走るのと同じレベルで。
エンカが付いてこれるために、それと一応警戒はしてるためだ。
警備員がまだいるかもしれない。ちょいちょい警戒はしておいて損は無いだろう。
桜花の居る筈の方面でメゴッ!という強い音がしたが、兎に角総裁の居る部屋へと走る二人。
すると突然、屋敷の灯りが消える。と思った次の瞬間には、すぐに灯りが再点火された。
しかしその灯りは廊下の奥で消えており、まるでそこに誘うかのような光の道。
その部屋とは、間違いなくリリィのいる部屋。
「……どうにも『歓迎』されてるみてーだなー。そんなら上等ぉー!」

目前にまで見えた扉を見れば、ごてごてとは言えないが明らかに豪華な意匠や飾りを為された様子が見て取れる。
領主の扉、主人の扉、ラスト・ボスの扉、そんな感じが相応しい。
高まる緊張を落ち着け、扉に手をかける。
「よし……開けるぜ、エンカ!」
ぐっとゆっくり力を入れていく。
古めかしそうな割には、物音一つ立てずに扉が開いてゆく。

部屋の中に見えたのはまず、2つの人影。女性的なものと、男性のもの。
次に、一面ガラス張りの壁。時折ガラスの向こう側が見える。
そして、一番重要な、床に体を投げ出した友人の姿。
「リリィちゃん!」
駆け寄りたい感情が湧き出るが、それを抑える。流石にこの状況では不味い。
下手すればあっというまに人質になりかねない、いや、既に人質のようなものだ。
部屋に入ってきた二人を見て、人影の一つ―ベッドフォードが口を開く。
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
「あー?雛形?覚醒?なんだか知らねーが、やられてーんならやってやるぜー!
 そっちが友達痛めつけてきたんだ、大火傷しても文句はねーよなー!?」
右の掌を掲げ、熱気が集まって小さな火種が点く。小さな火は瞬く間にボール台の大きさの炎へと拡大。
メラメラと火の粉を飛ばす炎をベッドフォードに突きつける。
「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」

76:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/08/02 08:28:04 0
>62 >70
リリィの問いにミクが答えても、リリィは無反応だった。
彼女だけでなく、主であるベッドフォードから声をかけられても同様だった。
リリィは労のように青白い肌で、死体のように床に転がっている。
だがそんなことを他の二人が気に止めるはずも無く、話は覚醒の核心へと移っていく。

部屋のドアが開き、仲間たちが姿を現した。

仲間達の呼び声に、リリィはわずかに身じろぎした。
彼女の目にかすかに光が戻ってくる。
「あ・・・・・・皆・・・・・・みんな!助け」
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした

>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
>「にゃあな!」
>「あー?雛形?覚醒?なんだか知らねーが、やられてーんならやってやるぜー!
> そっちが友達痛めつけてきたんだ、大火傷しても文句はねーよなー!?」
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
グラディスの言葉に反応するように、体を締め付けていた魔力が首へと回った。
返答いかんによっては、彼女の首が落ちるかもしれない。

『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
 この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
 それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
リリィを助けに来た彼らの脳裏に、テレパシーが届いた。
声は、男とも女ともつかないものだった。
だが、セラエノをもってしてもどこから発せられたものかは分からないだろう。
『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
 ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』


77:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/08/02 19:34:29 0
>72>75>76
> 「んー?こりゃー……」
「おん?グラディス、平気なのかよ?」
どういう理由かしらないが、茨が徐々にその存在感を失っていく。
> 「おっ、ラッキー!丁度いい、さっさと行くぜー!多分こっちだ!」
「ちょ、待…おいーっ!」
エンカはグラディスを追いかけながら思った。
やはりあの茨を出した何者かに害意があり、メイションがどうにかしたのだろうか?と。

> 「……どうにも『歓迎』されてるみてーだなー。そんなら上等ぉー!」
エンカとグラディスは扉の前にいた。急に消えた灯りは、この扉の前までの道しるべとして再点火されたのだ。
これは罠だろうか?それとも、誰かが自分達を助けようとしているのだろうか?
> 「よし……開けるぜ、エンカ!」
「あーよ。」
二人そろって扉を開けると、探していた人物はすぐに見つかった。
> 「リリィちゃん!」
「よせグラディス!」
エンカはグラディスがしたいことがすぐにわかったので彼を抑えようとした。
> 「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
> さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
> 杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
> 「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
とグラディス。
> 「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
> これは覚醒への一歩だよ…」
総裁がそう言った途端、エンカは素早く身を低くした。そして叫んだ。
「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
土下座で謝ったエンカと、屋敷ごとベッドフォードを吹き飛ばさんとするグラディス。
エンカとグラディスは、互いに何やってんだ?といった目で顔を見合わせた。
「何やってんだよ!?おい!?」
エンカの方から聞くことになった。
「考えてもみろよ!?俺達は強制的にここに連れてこられたわけじゃあねぇ!
 自分達で勝手に人の家に押しかけてんだぜーっ!?
 警備の奴らもちょうど俺達三人でやっつけちゃったしよーっ!
 総裁が怒るのも無理ねぇじゃねぇかよ!」
エンカはふとミクの存在に気づいた。
「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?
 また何か悪いこと企んでんじゃねーだろうなぁ!?
 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」

> 『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
>  この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
>  それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
エンカはそんな声が頭に響いたのでビックリした。
そして、どうやら様子を見るかぎり、その声が聞こえたのはエンカだけではないようだった。
エンカは、総裁の仲間がもう一人いて、姿を隠したままテレパシーを出しているものと理解した。
「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
エンカが総裁に叫んだ。
> 『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
>  ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
「お、マジかよ!?…ところで、あんたにもこのテレパシー聞こえてるんすよね?」
エンカには総裁の表情が読みにくかったので、一応聞いておくことにした。
「もしもあんたの気持ちがそれで収まるならよぉ。俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?
 生憎俺は今のところ何も持ってねぇんだけど、学園の外にある森とか廃墟を探せば何か見つかるかもな~?
 そうそう、俺も森で古い魔道書を見つけたんだぜ~?」

【エンカは、総裁のアンティーク収集を手伝う代わりに、不法侵入の罪を許してもらえないかと提案した。】


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