【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズンat CHARANETA2
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズン - 暇つぶし2ch50:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/07/25 22:32:34 0
「気分悪ぃ気分悪ぃ気分悪ぃ―……」
揺れることすらしなくなった人狼がブツブツと呟いてた。
保健医は女子の方を優先しているし、警備員が出てきて治療も満足に出来ない。
そもそも毛むくじゃらのグラディスは一見すればどちらからも敵に見えてしまう。

とどのつまり、グラディスの毒消しの優先度は低いのだ。
「あうあうあうあ―あうあうあうあ―あ―あ―……」
頭痛がするし吐き気もする、このグラディスはあんまり立てない状態である。
意識がしっかりしてるあたりはマシだろうか。

>42
「あ―……んあ……?」
突如、脳裏にリリィの声が響き渡る。
テレパシーだろうそれは、リリィの今の状況を伝えてくる。
「げ、げげ……不味いなー……」
状況の悪さを悟っても、グラディスは未だ毒が回っている状況。
普通ならこのままだろう。普通なら。


しかしグラディスは普通でない部類に入る。
人狼という種族は毒に対する抵抗は人並みだが、無理をするということに関しては中々融通が利く。
焦点はどこか微妙に合ってなく、毛の奥の肌はきっと青ざめてる。
不調でふらふらとしていて、しかし全てを飲み込み我慢して立ち上がった!
「ここで倒れたら……よー!
 男として!カッコがつかねーぜー!っぷ……」
しかし片手をきちんと口に添えてある。

>49
>「俺はハードニングという魔法が使える!肉体を鋼のように硬化させる魔法だ!
> だから俺には蜘蛛の牙が刺さらないんだぜ!」
>「きたねぇっすよ!俺だってチクチク刺されるのを我慢してるのによーっ!」
「んじゃあ、思いっきりぶつけたらどうなんだ。ちょいと実践して教えてくれやー」
グラディスはふらりとエンカの横に現れ、倒れるように右の掌を地面に叩きつけた。
すると、警備員Bの足元から小さな氷柱が生成される。
先は丸くしてあり、触っても凍傷以外には怪我することもないだろう。
「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
もう一度掌を叩きつけると、氷柱が一気に肥大化して――


警備員Bの股間に、棒なり玉なり潰れそうなぐらいの勢いで突き刺さった。

51:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/25 23:29:10 0
      ピシッと割れる音がした。
  血は沸き立つように沸騰し、ブクブクと泡だてる。
         そして血に赤黒く染まった本からそれは溢れ出す。
      覚醒の顕在として!


血溜まりの中、朦朧としたセラエノは見た。
血に染まった自分を抱き起こし叫ぶ幼女を。
その姿を見て、ただ思う。
…凛々しく美しい、と。

血が足りない。
大量に吹き出た血のお陰で思考が纏まらない。
だからこそ、セラエノは周囲の状況が全て見えていた。
いや、流れ込んできたのだ。

ユリが凄まじい勢いで突撃し、窓を破って現れたアドラスが強風を巻き起こし迎撃する。
その結果、叩き落されるユリと主人を失ったまま館の上部にぶつかり光となって消える箒。
直後、桜花の走らせた音と交錯するようにアドラスの足ものから吹き上がる閃光。
力尽き倒れるユリ。
その隙に館に駆け込む桜花。

一方、エンカは館に向かうも三人の男にあっさりと捕まっている。
何処からか飛んで来た腐った果実に怯む男たち。
颯爽と現れ自らの羽根を毟りぶつけるグレン。
エンカの思いがけない反撃と、倒れていたはずのグラディスが立ち上がり、氷柱を形成しえげつない攻撃を繰り出している。

館から流れ出るテレパシーはリリィの危機的状況を伝えていた。

様々な情景が流れ込むが、セラエノは反応しない。
反応できるだけの血が足りないのだ。

そこへ現れた保険医が治療と共に怪しげな言葉を紡ぎだした。
朦朧とし鈍った思考には効果的な洗脳といえるだろう。
言葉と共に先ほどの幼女化したユリの姿がフラッシュバックしてきたのだった。

そして…

52:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/25 23:30:51 0
ピシッと割れる音がした。
音の源はセラエノの鏡の仮面。
位置的には左目の上を縦断するように細い皹が入っていた。
「お、おお、お…ぶふっ!!!」
むくりと身を起こすとうめき声と共に盛大に鼻血を噴出した。
両膝両手をつきき血を垂れ流しながら呟いた。
「うふふ、高くなった血圧もこれで正常ね…!」
滴り血の池を形成し、大事そうに持ってきた何冊かの本は赤黒く染まっている。
血は沸き立つように沸騰し、ブクブクと泡だてる。
「よ…幼女!幼女は…いい!!」
呟きは徐々に大きくなり、最後には叫びとなって辺りに響く!
保険医の洗脳により、ショタ+加虐趣味にロリ+レズの趣味が加算されたのだった!
先ほどの鼻血はユリの姿に興奮しすぎて噴出したのは今更言うまでもないだろう。

そして血に赤黒く染まった本からそれは溢れ出す。
覚醒の顕在として!

血に染まった本から溢れ出したのは茨!
その茨からは全く魔力は感じられない。
つまり、召喚されたものでもなく、魔法によって作られたものでもない。
純然たる茨ではあるが、その量たるや最早津波。
剣で、魔法で防ぐ事もできるが、あまりの量の多さに追いつかないのだ。

茨の濁流に飲み込まれた犬や護衛たちがたちどころに倒れていく。
この茨の棘に触れたものは即座に深い眠りに落ちてしまうのだから。

際限なく溢れ出る茨だがエンカは避けて進むのはセラエノの意識がエンカを友人だと認めているからだろう。
そして倒れたユリも茨に埋め尽くされる事はない。
その理由は…わざわざ書く必要あるか?
洗脳によってロリレズ属性になったのだが、ショタSMな趣味も忘れたわけではない。
だからメイションは勿論、グレンにも茨が近づかないのは最早本能としか言いようがない。
そしてもう一人。
セラエノの横にいる保険医にも茨は近づく事はない。
同類だからなのだろうね、うん。
なんにしてもここに小さなオトモダチには危険すぎる神が誕生したのかもしれない。
男児にとっても女児にとっても。

辺り一帯を埋め尽くした茨はそれでも勢いが収まらず、ベッドフォード邸にも這い進んでいく。
館全体を飲み込むかのように壁一面に張り付いていく。
ベッドフォード、リリィ、ミクのいる部屋の窓が打ち破られた。
窓から雪崩れ込む茨が三人に襲い掛かる。

【治療と洗脳を受けショタSM+ロリレズの変態に目覚める。
本から茨が溢れ出し、幼女、美少年、エンカ、保険医以外の全てに襲い掛かる。
●茨の棘に触れると強力な眠りに落ちます。
●這いながら伸びるので宙に浮くか、美少年、美少女、エンカ、保険医の周りにいれば安全。
●茨からは魔法力を全く感じず、自然の茨と同じ強度です。
●但し際限なく溢れ出るのでキリがない】

53:ルイーズ ◆jntvk4zYjI
10/07/25 23:42:07 0
>「猫とゴリラのヒューザー?」 
「ウホッ?!ばれた?!」
がーん、とショックを受けるルイーズ。
>「その声はキンタローかっ!?」 
「違う、ニャンタローだウホ」
全員不正解である。
「あっ!間違えた。・・・・・・・あーあー。私タダノ通リスガリアルウホ。私カワイイ森ノ動物ウホね」
どう見てもかわいくないです本当に(ry

背中に生えた翼をぶっちぎって警備員Aに投げつけるグレン 
「ちぎった?!しかも投げた羽が元の場所に戻ったウホッ!!」
いろんな意味で凄すぎである。

「・・・・・・はっ、驚いてる場合じゃないウホ。次はあっちの男ウホッ」
いろいろ度肝を抜かれつつも、ルイーズは闇に乗じてグラディスの方へと移動した。
ちなみに、ルイーズにはリリィからのテレパシーは届いていない。
(リリィとは面識が無いため、仲間ではなく屋敷の関係者として認識されたのだろう)

「保険医ー。洗脳よりも回復のが重要ウホー。
 というより、ライバル増やしてどーするウホー」
ルイーズはこっそり突っ込んだ。
まあ、仮に大声で言っても保険医が聞き入れるとは思えないのだが。

「ふふーん。『お返しは三倍返しで』っと。これでいいウホッ!」
ルイーズは毒消しのカプセルにそう書き込むと、早速グラディスの背中めがけて投げつけた。
毒消しの中身はメイションのものと同じだが、今のグラディスは、氷魔法発動の真っ最中である。
魔法の呪文は集うには集中力が必要なのだが――
「まー何とかなるウホ。このくらいで気が散るとかありえないウホッ」
ルイーズは、やっぱり楽観的だった。

「そこのあんちゃん、そう、あなたウホ」
ルイーズはほれほれ、とレイヴンに合図を送った。
「さっさと戦わないと、おいしいところ全部持ってかれるウホ。
 ほら、そこでかあいい幼女が力尽きてるウホ。
 ここは幼女をかばいつつ、男らしく凛々しく戦うところウホ!」
ルイーズは小声でレイヴンをけしかけている。
「さあ、薔薇のように気高く咲いて美しく散るウホ!!
 私は森の動物だから、ここで一部始終を見てるウホ!」
すっかり存在がバレているというのに、本人だけはまだ隠れてやり過ごせると思っているようだ。
「・・・・・グッドラック♪」

だがそんなお茶目な発破も、セラエノ覚醒までのほんの余興に過ぎなかった!

54:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo の代理
10/07/26 22:11:35 0
>>42>>48>>52

>意味ありげな笑みを浮かべるベッドフォードを、まだ涙の跡が残る顔のままじっと見上げる。
「仲間達には連絡を済ませました。次のご指示を」

老人は先程と変わらぬ笑みを浮かべリリィの涙の跡をゆっくりと指先で撫でる
頬から目元へと中指を這わせ リリィの目を覗き込んだ
「共に雛型達を待つとしよう…彼らから私を守る盾となっておくれ…」

>「ふふ…正体など大した物ではありませんわ……
ご満足頂けましたかしら?」

ミクの正体を老人は始めから知っていたのだろうか リリィから視線を変えうごめく蜘蛛の足を驚くそぶり見せず、じっと見つめている
「やはりな…君も私の正体に気づいているのかな…」
老人はどこか納得したように笑い リリィの頭を優しく撫でるとまた喧騒が響く大窓の方へと体を向けた

>「館に侵入してきた者がいるようですわ……」

「いや、雛型達は全員この部屋に迎え入れるつもりだよ…
無論、まだ【覚醒】について知らせるつもりはないがね…
まあ君にだけ話す時間は十分にあるだろう
見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」

突如 大窓のガラスを突き破り茨達が室内へと雪崩混む
瞬く間に部屋は茨に侵食されて行き 高価な調度品は茨が絡みその原形をなしえなくなっていく

「予期せぬ事態ではあるが…この力恐らく…」
握られた杖の魔力か 茨は老人の足元を避けていった
「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」

55:ベッドフォード ◇k4Jcxtcjwo の代理
10/07/26 22:13:10 0
>>47
「ふっふっふ……ははははっ!!!!我が剣技の前にはあらゆる手段も児戯に等しいっ!!!!」

見事に技が決まり突風にブラシから吹き飛ばされたユリは地面に疼くまり たたき付けられた衝撃の痛みに耐えていた
そんな彼女をざまあみろと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべたアドラスは剣を握りしめ 一歩一歩ユリの方へと歩みよる

「ふふふ…死ぬ前に言いたい事はあるか娘?」

先程とは打って変わり少し冷静さを取り戻したのか落ち着いた声で台詞で決めるべく剣を突き差そうとした途端ユリは突然跳ね起き 剣から逃れた

「ほお…よく逃げ回るネズミだ…
まあいい、私の最強の剣技を味わい そして…」
確かに出で立ちと台詞回しは 見られる程度には決まっていた
落ち着きを取り戻し余裕を見せるアドラスの辞書から失敗の文字は既に消えさっている

>「ボンガロ兄さん直伝!!!サニーゲイザー!!!!!」

「のわぁぁあああぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!」
光の気がまるで滝のようにアドラスの体を直撃した
帽子はどこかへと吹き飛び ネクタイは半分が千切れ糊の利いた軍服はもはや見る陰も無い

「この…小娘が……やってくれる………
馬鹿なガキだ…魔力を使い果たして倒れ…」
足を引きずってユリの方へ進み捨て台詞を吐く余力はあったのか 言い終えるとアドラスもユリの隣で急に倒れた

56:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/26 23:38:53 P
>52>53>55
>「さあ、薔薇のように気高く咲いて美しく散るウホ!!
 私は森の動物だから、ここで一部始終を見てるウホ!」
「僕も森の動物なんだけど・・・・」
(にゃお・・・・・)
だが今は飼い猫である

「後で復活してきたらややこしいから縄でしばっちゃおうよ」
(なにゃあ)
と倒した敵をどう処理するか提案するグレン
自分でやればいいと思うのだが残念ながらグレンは縄を持っていない

「よし!」
といって医療カバンから荒縄を取り出しユリに近づく保険医
セラエノを洗脳することに成功し満足したようである
お前はいつも縄を完備しているのか!?
まあ患者が暴れないようにするためのものだろう・・・・たぶん
保険医の目は血走り息は荒い
誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって

ワン!ワン!
だがそれを阻止せんと立ちはだかる犬A犬B
「おい!誰かこの犬達を何とかしてくれたまえ!!」
なんども言うようだが保険医に戦闘能力はない

「僕は猫だよ・・・・・犬に勝てるわけ無いでしょ」
(にゃお・・・・・にゃ)
さっきの人間のほうが犬より数倍強いのに尻込みをするグレン
相手は犬の姿をした悪魔ブラックドックとか地獄の番犬ケルベロスではない
だがそれでも猫である以上相性的に犬は苦手なのだ
果たして誰がピンチを救うのか?

ちなみにフリードはこの騒がしい中爆睡中である
故にグレンと交代することはないだろう

「取り敢えず言っておく!僕は微妙に強い!!」
(にゃあ!にゃおん!!)
そう言って決めポーズをするも指が微妙に震えている
だがまだフリードの目覚めの時ではない

57: ◆jntvk4zYjI
10/07/27 20:31:30 0
>50
警備員Bの股間からキーン!と金属的な音が響いた。

「勝ったウホ」
「ああ」

一人二役で勝利宣言をするルイーズ。
確かに、ハードニングという魔法は、肉体を鋼のように硬くする。
しかし、それだけなのだ。

>「よし!」 
>といって医療カバンから荒縄を取り出しユリに近づく保険医 
>保険医の目は血走り息は荒い。
「あら~ん♥」 
顔を隠して照れたルイーズだが、指と指の間からしっかりユリと保険医を観察している。
>誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって 
「常識?なにそれおいしいの?」 

>ワン!ワン! 
>だがそれを阻止せんと立ちはだかる犬A犬B 
「ちっ、戻ってきたウホッ。
 おのれワンコめ、胸熱で萌え萌えの展開に水を差すとは・・・・・・許せんウホッ!
 そこの猫少年、行け!かかれっ!」
>「僕は猫だよ・・・・・犬に勝てるわけ無いでしょ」 
「さっきの人間の方がよっぽど強かったウホッ!大丈夫、君ならきっとやれるウホッ!!」

>「取り敢えず言っておく!僕は微妙に強い!!」 
「手が震えてるウホッ。あーあ、かわいそう~。
 誰かぁ~グレンがピンチよ~。おねがぁい、助けてあげて~(棒読み)」
そう言いつつ、ルイーズはレイヴンと鋼を代わる代わるじーっと凝視している。
グレンをけしかけておきながら、自分は戦う気ゼロのルイーズだった。

>46
屋敷の中に潜入した桜花の前に、甲冑の鎧が立ちはだかった。
しかし、鎧の中から人の気配は無い。もしかしたら、ゴーストが何かが憑依して操っているのかもしれない。
甲冑はぎしぎし音を立てながら、手に持っていた大斧を振り上げた。
このままでは、桜花の体は無残に両断されてしまうだろう。

セラエノ覚醒まで、残りあと僅かである。

58:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/07/27 21:03:19 0
>見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」
彫像のようにベッドフォードの傍に控えていたリリィが、ぴくりと身じろぎした。
>突如 大窓のガラスを突き破り茨達が室内へと雪崩混む 
>瞬く間に部屋は茨に侵食されて行き 高価な調度品は茨が絡みその原形をなしえなくなっていく 

>茨は立ち尽くすリリィにも襲い掛かり巻きついたが、リリィが眠りに落ちる事はなかった。
>なぜならば棘が刺さった場所はその豊満な胸だったから。 
茨はリリィの服を引き裂き、彼女の体から何かを剥ぎ取る。
だがそこまでだった。
茨は興味を失ったようにリリィを解放すると、潮が引くようにリリィから離れていった。
後には、糸の切れた人形のように床に転がる少女が残された。

>「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」 
リリィは床に手足を投げ出したまま、ゆっくりとミクの方に顔を向けた。
そして言った。
「その前に・・・・・・あなたは、20年前からの異変についてどうお考えですか?」

乱れた前髪のせいで、リリィの表情は全く見えない。
だが妙にクリアな声でミクには聞こえただろう。
リリィはゆっくりと唇を湿らせると、けだるい声で続ける。
「20年前から現れ始めた・・・・・・天才と呼ばれる存在のことですよ」

59:エンカとメイション◇jWBUJ7IJ6Y の代理
10/07/27 21:56:13 0
>50
> 「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
> もう一度掌を叩きつけると、氷柱が一気に肥大化して――
>「あおぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
警備員Bがそう叫んだ通り、彼は顔を青くして、股間を抑えつつ倒れた。
何がどうなったかは具体的に説明したくはない。
「ひえ~、キレてるぜグラディス!」
とエンカ。

>52
茨の濁流が始まったのはそのすぐ後だった。
「くそっ!なんだ!?どうなっちまってんだよーっ!?」
茨が自分を避けているとは思いもよらないエンカはその場から動けなくなってしまった。
「さっきの警備員も茨に巻き込まれちまったみてぇだ!だが、なんで俺達は平気なんだ!?
 それがわからねぇとよーっ!うかつに身動きがとれねぇぜ!」
グラディスにそう話しかけるエンカ。
エンカの側にいる限り、グラディスも茨に巻き込まれる心配はない。

さらに少しすると、メイションが茨の濁流を突っ切ってエンカ達の前に現れた。
「メイション!おめぇ、どうやって茨を避けてきたんだ!?」
>>「わからないけど、茨の方が僕を避けてるんだ。」
メイションはエンカとグラディス達もまた茨に避けられていることに気づいた。
>>「たぶんお兄ちゃん達も茨を突っ切れると思う。けど、一体これはどういうことだろう?」
「わからねぇ!わからねぇけど、もしかしたら俺達にとって都合が良いかもなーっ!
 このまま茨と一緒に屋敷の中に突っ込むぜーっ!
 だが、メイション!おめぇは茨の濁流をさかのぼって正体を確かめてくれねぇか!?
 俺達に害意があるような奴なら、例え今は安全だとしても、後で困るかもしれねぇからよーっ!」
>>「OK、いいよ。ところで、お兄ちゃんの名前…」
メイションはエンカの名前を聞こうとしたが、エンカはすぐに茨の向こうへと見えなくなってしまった。
屋敷に向かって走っていったのだ。
>>「とにかく、この茨をなんとかしなくちゃ。そうしなければならないとしたら。」
メイションは茨の濁流をさかのぼっていった。

【エンカ:屋敷に向かって移動】
【メイション:茨の上流に向かって移動】



60:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/07/27 23:10:52 0
>42、>47、>49-50、>52-53、>55-56
エンカを押さえ付けている警備兵を打ち倒そうと一歩を踏み出した鴉だったが
目に飛び込んできた光景に足を止めてしまった……


>「悪いと一個、最悪二個とも潰れるかもしんない。気をつけろよー?」
グラディスの魔法が炸裂したのだ……男にとっては最悪の形で。
思わず竦み上がってしまった鴉を責める事は、同じ男ならば出来ないはずだ……。
「ちょとそれsyレならんしょ……」
「グラディス! そんな見る方も痛い攻撃するなよ!?
 見ろ、すっかり芋虫と化してるじゃねぇか!」
ついつい敵であるはずの警備兵の容態を心配してしまうのだった。

「……って、んな事言ってる場合じゃない!」


>リリィはテレパシーで、総裁に捕まり、身の危険を感じている旨を外の仲間達に連絡した。
先ほど伝わったリリィからのテレパシー……鴉はきな臭さを感じていた。
きちんとした人となりを知らないとは言え、危険な状態にもかかわらず冷静に
状況を伝える事が出来るような性格を、リリィはしてなかったはずだからだ。

服の記憶を手繰っても、森の中でテレパシーを受け取った時もかなりうろたえていたのだ。
それよりも直接的な危機に晒されていながら、先のテレパシーからは焦りとか怯えと言った
感情がまるで感じられない……そして総裁に捕まったという部分。
「……ワナ、か。十中八九、いや確実に、だな……。
 まぁいいさ、どの道避けて通れないなら食い破るまで。
 鴉の狡賢さを見せてやろうじゃないか」

61:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/07/27 23:13:32 0
>気の噴出が止まると同時に、ユリはものも言わずに前のめりにばったり倒れてしまったのだから。
>足を引きずってユリの方へ進み捨て台詞を吐く余力はあったのか 言い終えるとアドラスもユリの隣で急に倒れた
>そして倒れたユリも茨に埋め尽くされる事はない。
>「そこのあんちゃん、そう、あなたウホ」
突如太陽が現れたかのように森が明るくなる。
その光に、闇に慣れきっていた鴉の目は眩んでしまう。
数秒後光が収まった時、そこには大技に全力を注ぎ込んで倒れてしまったユリがいた。
大技の直撃を受けたアドラスも、捨て台詞を言うだけ言って倒れてしまう。
「……配分を間違えたのか。元の姿なら何とかなったんだろうが……
 参ったな、こんな時に……相討ちなんて、今時流行らないぜ?
 (*´ω `*)こんな顔並みに、な……」
そしてこのあるさま。

エンカの方はグラディスの援護もあり問題ないだろうと考え、ユリを抱き起こそうとして……
いきなり茨の津波が襲い掛かってきた!が、何故かユリとたまたま近くにいた鴉を避けて行く。
様子を伺うと、メイションやエンカ、そして先ほどからフリーダムに暴れまわる保険医以外は
例外なく茨に襲われており、しかも茨に触れたものは強い眠りに落ちているようだ。
「どういう原理か、誰の仕業か、そんなのはどうでもいいな」

そんな事を呟きつつユリを背負ったところで謎の生物に声をかけられた……
鴉は不覚にも数秒思考停止状態に陥ってしまったが、続く言葉を聞いて苦笑する。
「……悪いが俺にはあんたみたいな知り合いはいないぞ……同類でもない。
 んで、おいしいところだって? そんなもん、欲しい奴がもってけばいい。
 報酬が出るわけでも減算される訳でもないんだから。……んじゃ何故助けるかって?
 ……善意に理由が要るなんて初めて聞くな」
ルイーズの発破は時化ってて使い物にならなかった!
そして相変わらず自覚なしにイタイ台詞を吐く鴉。多分これが素なのだろう。


>誰か突っ込んでやれ縛るのはユリじゃなくってアドラスだって
天の声に導かれたか、縄を持ち目を血走らせながらユリに近づく
不埒な保険医にツッコミを入れる恥知らずな鴉がいた!
「……ふんじばるならそこでぶっ倒れてる警備隊長を頼む。
 触りたくないって? ならその縄は不要だな」

保険医に冷ややかに接する鴉。恩を忘れたわけじゃないが、いつ自分も
この保険医の歪んだ性癖の矛先を向けられるか分かったもんじゃない。
自分にあまり拘りを持ってるわけじゃないが、どうも生理的にダメらしい……
腹立ち紛れに犬AとBを茨に蹴り飛ばしてやった。これで少しは大人しくなってくれればいいのだが。


「……さて、屋敷に向かうとするか。
 グラディスは……立てないか。鋼、シルヴァ嬢、悪いがグラディスを頼む」

【レイヴン:ユリを背負い、エンカと桜花の後に続く様に屋敷に向かう】

62:ミク ◇sto7CTKDkA代理
10/07/28 20:35:11 0
>52 >54 >58
>「いや、雛型達は全員この部屋に迎え入れるつもりだよ…(中略)
>見ていたまえ面白い余興が始まるぞ…」
「余興…ですの?」
総裁の言葉の意図をミクが考える前に、余興が押し寄せてきた。
それは、セラエノが作り出した大量の茨の波だった。

糸が風を切る音と共に、窓からなだれこむ茨の先陣が切り払われた。
だが大量の茨はその程度では止まらない。
瞬く間に壁も床も天井も、茨に覆われて見えなくなっていく。
>「予期せぬ事態ではあるが…この力恐らく…」
「魔法の茨ではありませんから、これはおそらくセラエノの奇跡でしょうね。
 御存じかしら? 新入生の彼女、奇跡が使える神でしてよ」
大量の茨に囲まれた部屋の中、平然と立ち続けるベッドフォードに、ミクは空中から話しかける。
別に空を飛んでいるわけではない。
茨が防ぎきれないのを見て瞬時に糸を張り巡らし、室内を自身の巣と変えたのだ。

壁や床に付いた糸が伸びる茨に切られても、すぐに新たな糸が茨の上にまで張り巡らされ。
糸同士は絡み合ってより強固な糸となり。
結果茨と様々な太さの蜘蛛糸のため、絢爛豪華だった室内は無残にも廃屋のように様変わりしている。

>「蜘蛛よ…では覚醒について話すとしよう………」
>「その前に・・・・・・あなたは、20年前からの異変についてどうお考えですか?」
思わぬ方向から話しかけられて、ミクは怪訝そうにリリィの顔を見た。
操り人形には何もできないだろうと考えて、リリィの事は意識もしていなかったのだ。
リリィの顔は、前髪に隠れて見えはしない。
>「20年前から現れ始めた・・・・・・天才と呼ばれる存在のことですよ」
最初ミクは、ベッドフォードがリリィの口を借りて言わせているのかと考えた。
次に、これも【覚醒】の一種であるのかと考えた。
どちらにしても、原因を知る方法をミクは持たない。
ミクは寮の自室の近くで同じ問題について語り合っていた、赤服、黒服、白服の3人組の事を思い出した。
あの3人はそれぞれ違う考えを持っていたが、白服の娘の考えは自分の考えに近かった。
あの娘はなんと言っていただろうか?

「ふふ…そうね…。 今までは考えられなかった事ですものね…。
 あなたたちのように集められるほどに天才がいる、なんてことは。
 私の考えでは、誰かが天才を求めたから天才が増えたのよ。
 時代か、人々か、あるいは神と呼ばれるようなもっと大きな意志かが天才を求めたの」
白服の少女は「だから期待に応えられるようにお勉強がんばろーね」で話を閉じていた。
しかしミクの考えは、その先は違うものだった。

「人の世は昔から問題に直面する時、それを乗り越える能力を持った人物を排出するもの。
 そして能力を持たない者は、嵐の中の船のように能力を持つ者に翻弄されるもの。
 私のように道と時間を踏み外さない限りは…ね。
 あなた達が集められたのも、案外近い将来に起きる事に備えるためかもしれないわよ?
 自分が持つ者の側にいることを喜んで、日々精進なさいな。
 能力を持つ者は、持たない者の全てを手に入れることが出来るのだから。
 総裁もそうお考えでしょう?」
弱肉強食。それがミクの考えの根底にあった。
支配し支配され、奪い奪われ、結びついては離れていく。
人の世は同じ事の繰り返しだとミクは思っている。
今まで見てきたように、これからも。何があっても。

63:ユリ ◇sto7CTKDkA
10/07/28 22:07:36 0
>61
「うゃ~…頭がガンガンする…ちょー頭痛い…」
ユリはレイヴンの背中で気絶から目を覚ました。
目を覚ましたと言っても気絶から回復しただけで、本調子からは程遠い。
目の前で揺れるレイヴンの背中をしばらく見ていたユリは、おもむろにギュッとしがみついた。
「お兄ちゃんの背中…暖かいよ…」
小さかった頃、兄に背負われた事を思い出しているのだ。
回復まではしばらくかかりそうだが、幼女に抱きつかれても特殊な趣味以外の人はあまり嬉しくないかもしれない。


64:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/07/29 00:25:59 0
>52>53>59>60
>「あおぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
>警備員Bがそう叫んだ通り、彼は顔を青くして、股間を抑えつつ倒れた。
無常且つ残忍な魔法に、一部の味方(主に男)からもブーイングが巻き起こる。
>「ひえ~、キレてるぜグラディス!」
>「グラディス! そんな見る方も痛い攻撃するなよ!?
> 見ろ、すっかり芋虫と化してるじゃねぇか!」
「うっせー、威力調整も何も出来るもんじゃねーんだよー……ぢくしょー気持ぢわるっ」
手を突いたままぜぇはぁぜぇはぁ息を荒げて、吐き気をどうにか抑えようと試みるグラディス。

そんな必死なグラディスを無視して、茨が洪水と化していく。
しゅるしゅると気分の悪い音が周りを
>「さっきの警備員も茨に巻き込まれちまったみてぇだ!だが、なんで俺達は平気なんだ!?
> それがわからねぇとよーっ!うかつに身動きがとれねぇぜ!」
「俺に聞くなよー……ぜぇ、はぁ、こーいうことには、ぜぇ、疎いんだ。聞くんだったら他にしてくれー……」
半分投げやり気味に、回る視界との苦闘中の毛むくじゃらは答える。

「……お?」
が、突然息をしていると頭痛がぐんぐん引いていく。
吐き気も気だるさもみるみるうちに解消していってるのが手に取るようにわかるのだ。
辺りを見れば、『お返しは三倍返しで』などと書かれたカプセルが転がっていた。
「おー、誰だか知らないけどありがてー……あーでもまだ収まりきらねーなー」
しかし持ち主が誰か知らないので、カプセルを拾っておくことにする。あとで誰かに確認すればいい。

>「メイション!おめぇ、どうやって茨を避けてきたんだ!?」
>>「わからないけど、茨の方が僕を避けてるんだ。」
「あん?……おー、本当だ。エンカとメイションを中心に茨がいないなー」
>>「たぶんお兄ちゃん達も茨を突っ切れると思う。けど、一体これはどういうことだろう?」
>「わからねぇ!わからねぇけど、もしかしたら俺達にとって都合が良いかもなーっ!
> このまま茨と一緒に屋敷の中に突っ込むぜーっ!
> だが、メイション!おめぇは茨の濁流をさかのぼって正体を確かめてくれねぇか!?
> 俺達に害意があるような奴なら、例え今は安全だとしても、後で困るかもしれねぇからよーっ!」
そう言い残すと、エンカは屋敷へと走っていく。

しかし、エンカは気付いていない。グラディスは茨の動きと関連していないことに。
茨がエンカとメイションを再び隔てたとき、グラディスはエンカ側に残る。
そして危うく茨に触れそうになりつつも、エンカを追う。
「とっとっとー!?おいおいエンカー!俺は茨に敵視されてらー!?
 ってか痛いトゲに毛がぶちぶち抜かれて痛ぇー!に、人間モードぉー!」
背伸びする演出無しのゴキゴキという音を鳴らして、犬耳の青年へと戻るグラディス。


「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
 俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
屋敷の玄関の前に来たところで、グラディスはエンカの歩みを止める。
「んー……桜花の雰囲気っつーか、においっつーか、そんなのがこっちからする。
 んで向こうに三人くらいが集まってる。多分総裁とリリアーナと、残りの一人が兵士か秘書かなんか?
 どうするどっちいく?俺一人じゃ行動できねーからさー」
グラディスはエンカの選択に従うつもりである。

65:桜花
10/07/29 19:39:24 0
表は大分カオスな事になっている事はいざ知らず桜花は屋敷を走り回っている 
時々よろけるのはきっと脇腹の傷から血が流れているので若干貧血なのだろう 
(全く…私がこんなになって走り回っているんだ 
リリィさんを見つけたらお説教だな) 
考えている事とは裏腹に口元に笑みを浮かべる桜花 
その時 

>屋敷の中に潜入した桜花の前に、甲冑の鎧が立ちはだかった。 

「………!」 
慌ててブレーキをかける桜花 
(敵!?でも…) 

>しかし、鎧の中から人の気配は無い。もしかしたら、ゴーストが何かが憑依して操っているのかもしれない。 
甲冑はぎしぎし音を立てながら、手に持っていた大斧を振り上げた。 

「……!」 
慌てて身をかわす桜花 
(危なかった…) 
しかし、音があるのなら桜花にとっては先ほどの大蜘蛛と大差はない 
「残念だったな、ゴースト。 
生身?のままなら音が聞こえず私も苦戦をしたかもしれないが 
貴方の敗因は音の鳴る物を身につけていた事だ!」 
かんぱつ入れず繰り出される斧の斬撃をするすると避ける桜花 
「単調…!そんな曲では聞き手は楽しめない」 
拳を握りしめ、鎧の腹を見据える、そして 


メゴッ!!!! 


鈍く潰れたような音が屋敷に響く 
桜花は拳を振り抜いた姿のまま鎧の方を見ている 
鎧の方はまるでハンマーでも叩きつけられたように腹部の装甲が大きく凹んでいる 
「痩身と侮ったな… 
音楽家の握力なら私でもゆうに五トン… 
は言い過ぎだな…えっと……二トン位なら出せる!(キリッ」 

66:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/07/29 19:58:42 P
>61
>「……ふんじばるならそこでぶっ倒れてる警備隊長を頼む。
  触りたくないって? ならその縄は不要だな」
「そう言われてしぶしぶと全く好みではない男を亀甲縛りにする私であった」
とナレーターの真似をしつつふんじばる保険医
こんなに出ずっぱりなのに彼女には名前の設定はないのである
ついでに小さなカードにこう書いて貼っておく
”この者幼女暴行実行犯”

「あ、蹴った」
茨に絡め取られるワンコx2を手を振って見送るグレン
「さらば犬っころ二度と会うことはあるまにゅい」
どうやら口調変換薬が切れてきたようであるこのままだと猫語に戻ってしまうだろう

>「……さて、屋敷に向かうとするか。
 グラディスは……立てないか。鋼、シルヴァ嬢、悪いがグラディスを頼む」
「よし!お屋敷のにょこり物を漁りにのりこみゅにゅ!!」
どうやらな行が発音できなくなってきたようだ

保険医は
「他人の家に勝手に入り込むのは犯罪ではないのかね?」
と突っ込んむがそんなことは今は重要ではない
「誘拐犯のアジトに入り込んで人質を解放にゃら問題にゃいにゅ」
物は言いようである

そして保険医は
「さて・・・・毒の治療が残ってるものはもう居ないな・・・では私は帰らせてもらう」
彼女が保険医室に戻ったらまだゴーストの教師と犬が格闘中だったりするがそれはまた別の話である
>64
>「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
 俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
「にゃにゃ~な」
(僕はおいしいものが食べられると思って参加したんだよ)
どうやら完全に薬が切れたようである

そしてグレンは屋敷の”食堂に向かって”全力で走りだした
「にゃあん」
(この匂いはヒラメのムニエル)
やはりこの猫食べることしか考えていない

グレンの中のフリードは途中で少し目が覚めた
目の前にはなんか怪しげな触手があった
「え?茨の触手?・・・・・夢ですねこれは起きないと」
夢だと思ってまた目を閉じた


67:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/07/29 22:48:57 0
ベッドフォード邸から少し離れた場所。
溢れ出る茨の中心にセラエノは立っていた。
血に塗れまだらになった黄色い衣。
一筋のヒビの入った鏡の仮面。
その姿であって背筋を伸ばし手を広げ、その前には血に染まった本が浮いている。
開かれたページが微かに光、そこから溢れ出るように茨が這い出るのだ。

半トランス状態で茨を生み出していたセラエノが不意に意識を戻す。
その原因は茨の濁流を遡ってきたメイションの存在。
トランス状態より美少年への反応の方が強かったのだ!

「あら、あなた、メイションね?はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
エンカの友人で一緒にあなたを探しに来たのよ。」
(く~~、写真より実物の方がかわいい!なにこの白さ?ああ、そんな赤い瞳で見詰めないで~)
にっこりと微笑みながら握手の為に手を差し出すが、その手は微かに震え、声も微妙に裏返っていた。
手早く自己紹介と事情説明と共に美少年の手を握ろうという下心は隠しきれなかったようだった。

「無事に会えてよかったわ。エンカはどこへ?」
軽く鼻血を吹きそうなのを堪えながらエンカを探す。
先ほどの言葉からエンカは毒に倒れたメイションを見つけたはずだが一緒にいない。
本来の目的を果たし(更にリリィとユリを食べたふうでもなく大満足)たのでここに特に用はないのだが。
とはいえ、たとえエンカがここに居たとしてもこのまま帰ることも出来ないだろう。

「まあいいわ。これだけの騒ぎを起こしたのだし、このままにはしておけないから、一緒に行きましょ。」
胸元で開いていた本をパタンと閉じ、足元に散らばる魔道書や辞書と一緒に抱えると握手した手を離す事無くそのまま館に向かって歩き出す。
館に向かいまっすぐ歩くが茨はその歩を阻む事はできない。
セラエノの身体は茨をすり抜けていくのだ。

本を閉じた瞬間、全ての茨は動きを止めその存在感が薄くなった。
半透明になり触れる事も出来ない、まるでゴーストのように薄い姿だけを残す事になる。
もう暫くすれば茨自体完全に消えてしまうが、それまでは既に刺された者の眠りの効果は続くだろう。
セラエノの胸に抱えられる茨を生み出した本。
それは魔道書でもなんでもない。
魔力のひとかけらすら感じられぬ単なる絵本。
血に染まってはいるがその題名は何とか読めるだろう【眠り姫】と。

半透明の茨でびっしりと覆われた館。
その玄関に到着すると、よく通り声で発する。
「夜分遅く騒ぎを起こしてすいません。
私は学園新入生のセラエノ・プレアデス!
御挨拶と事情説明に参りました。どなたか取次ぎをお願いできますか?」

茨に覆われた外観と違い、玄関から中はそれほど茨の浸食を受けていない。
だがそれでもセラエノの言葉に応えるものは居なかった。
変りに、メゴッ!!!! という激突音が館の奥から響いて来た。

その音に首をかしげながらも、それでもまだメイションの手は離さないで居るセラエノだった。

68:ルイーズ ◆jntvk4zYjI
10/07/30 07:52:05 0
「な、何だこれウホ?!」
突然の茨の濁流発生に驚くルイーズ。
茨に飲み込まれた人々は次々深い眠りについていく。
特定の人間だけは茨の方接触を避けているようだが、ルイーズは対象外のようだ。
茨は容赦なくルイーズに迫る!
だがしかーし!
「・・・・・・ 変 身 !」
ルイーズの体がまばゆく光ると、次の瞬間には巨大なウサギに変身していた。
「うひゃひゃひゃ!これで茨なんかへっちゃら!――ぬおー?!」
確かにウサギは茨と相性がいい。
天敵から逃れるため、ウサギが茨の茂みに逃げ込むほどに。

確かに、ウサギに変身したルイーズに眠りの呪いが降りかかることは無い。
だが茨の奔流には勝てず、そのままどんぶらこ、どんぶらこと押し流されていった。

茨の上をゴムマリのように弾みながら流されていくルイーズ。
だがその移動は、始まりと同じく唐突に終わりを告げる。
「うひょー!!!」
突然茨が半透明になった。
ルイーズの体は茨をすり抜け、地面へと叩きつけられた。
「あいたたたた・・・・・・。ああ、ひどい目にあった」
ルイーズが身を起こすが、既に騒ぎを起こした生徒達の姿は無い。
保険医やファンブルマンもどこかへ行ってしまったようだ。
「んー。・・・・・・ファンブルマン先生も消えたし、これ以上巻き込まれる前に逃げるかー」
まだ当事者の自覚が無いルイーズだった。
遠くに見える屋敷は半透明の茨に絡みつかれ、静かに佇んでいる。
「あーどうするかー」
他の生徒たちを見捨てることも出来ず、さりとて面倒事に首を突っ込むのも躊躇われた。
ルイーズは心を決めかねたまま、その場で行ったり来たりしている。

>65
>鎧の方はまるでハンマーでも叩きつけられたように腹部の装甲が大きく凹んでいる  
>「痩身と侮ったな…  
>音楽家の握力なら私でもゆうに五トン…  
>は言い過ぎだな…えっと……二トン位なら出せる!(キリッ」
  
目の部分が物言いたげにちかちか点滅を繰り返している。
だがやがて光は薄れ、鎧はバラバラになって床に転がった。
黒いもやのようなものが鎧から離れていったが、はたして桜花は気づいただろうか?

やがて桜花の耳に、仲間たちの足音が届くだろう。

69:エンカとメイション◇jWBUJ7IJ6Y
10/07/30 13:50:18 0
>64
> 茨がエンカとメイションを再び隔てたとき、グラディスはエンカ側に残る。
> 「とっとっとー!?おいおいエンカー!俺は茨に敵視されてらー!?
>  ってか痛いトゲに毛がぶちぶち抜かれて痛ぇー!に、人間モードぉー!」
「おん?」
エンカも、エンカは茨に避けられているが、グラディスはそうでないことに気づいた。
「この茨は何かを見て攻撃する対象を選んでるみたいっすね。」
エンカはこの茨が遠距離自動操縦タイプの魔法だと考えた。
しかし、何をトリガーにして攻撃対象を選んでいるのかはわからなかった。
> 「そーいやエンカ。気付かんかったけどよー、いつ来たんだ?それになんでこんなとこに。
>  俺らはベッドフォード財団に探りを入れようとしてきたんだけどさー……おっと?ストップ」
> 屋敷の玄関の前に来たところで、グラディスはエンカの歩みを止める。
「俺はお前らがそんな事考えなけりゃここに来る予定じゃなかったんすけどねーっ。」
> 「んー……桜花の雰囲気っつーか、においっつーか、そんなのがこっちからする。
>  んで向こうに三人くらいが集まってる。多分総裁とリリィと、残りの一人が兵士か秘書かなんか?
>  どうするどっちいく?俺一人じゃ行動できねーからさー」
> グラディスはエンカの選択に従うつもりである。
「当然リリィの方っす。さっきテレパシーで、危ねぇって言ってたんだからよーっ。」
エンカはリリィの救出を優先するつもりだ。
「それにしても人間の姿でも鼻が効くんだなぁ?お前は本当にグラディスか?
 …悪く思うなよ?俺はさっきから幻覚に振り回されてるんだ。
 いつの間にか本物のグラディスから偽物にすり替わっていて、
 リリィの居ないところに誘導されちゃ困るからよ~。
 お前だって、俺がいつまでも本当の俺だと思うなよな~?」

>67
>>「(この人…一体何なんだ…!?)」
セラエノを見たメイションはそう思った。
血に濡れた黄色い衣に鏡の仮面。
マジックミラーという発想のないメイションには、彼女の格好は奇妙にしか見えなかった。
しかし、はっきりとわかっていることが一つある。茨を生み出したのは彼女だということだ。
> 「あら、あなた、メイションね?はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
> エンカの友人で一緒にあなたを探しに来たのよ。」
> にっこりと微笑みながら握手の為に手を差し出すが、その手は微かに震え、声も微妙に裏返っていた。
≫「こんばんはセラエノさん。メイションです。」
メイションは少しよそよそしい態度でセラエノの握手に応えた。
> 「無事に会えてよかったわ。エンカはどこへ?」
≫「?」
無事に会えてよかった、というのはセラエノが自分と会えたことが良かったという意味だろうか?
エンカに会えた事実を認識していないメイションはそう思わざるを得なかった。
≫「あなたがエンカ君と僕を捜しに来たのなら、どうしてエンカ君の居場所を知らないの?」
メイションは状況的に、セラエノをまだ信頼していなかった。
> 「まあいいわ。これだけの騒ぎを起こしたのだし、このままにはしておけないから、一緒に行きましょ。」
セラエノが本を閉じると茨が薄くなっていく。
メイションは、なぜ彼女が茨を出したのか?そして何故今それを消すのか?
その理由を考えながらセラエノと一緒にいた。
> 「夜分遅く騒ぎを起こしてすいません。
> 私は学園新入生のセラエノ・プレアデス!
> 御挨拶と事情説明に参りました。どなたか取次ぎをお願いできますか?」
> 代わりに、メゴッ!!!! という激突音が館の奥から響いて来た。
≫「やっぱり茨はあなたが出していたんだね?それに怪我してるみたいだけど、大丈夫なの?
≫ …それともその体についた血は他の人の血なのかなぁ?
≫ もしもあなたがリリィお姉ちゃんやユリお姉ちゃんに害意があるなら、
≫ 僕はこの場であなたを倒さなくちゃならなくなる。」

70:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/07/31 18:47:00 0
>>62 
>「ご存知かしら?新入生の彼女、奇跡が使える神でしてよ」 

「やはりな この力は少し強力すぎると思ったが神なら合点が行く…では…」 

老人が言葉を続けようとした瞬間 突然リリィが口を開き 彼の話を遮った 
リリィは20年前に現れた天才の事についてをミクへと投げ掛ける 

>「私の考えでは……総裁もそうお考えでしょう?」 

ミクの考察に老人は不敵な笑みを浮かべながら耳を傾ける 
時折、不気味な笑い声を小さく漏らすも話の腰を折る事無く相変わらず静かに窓の外を見続けていた 

「持たざる者は持つ者に支配される…君の言う通り世の理とも言える…… 
では、話の続きだ…まずは彼女の質問から答えよう」 
ゆっくりと後ろを振り向くとリリィの方へと視線を向けた 
「20年前から現れた天才達…全ては私の予想通り、いや正しくは写本の記述を準えていたよ… 
この天才達の発生こそが私の計画の大元を成すのだからな… 
【覚醒】は過程の一部にすぎぬ…」 

「蜘蛛よ お前も【覚醒】の一端を担ってはどうだ? 
ただ戦い、感情を刺激すればよいだけだ…」 

71: ◆jntvk4zYjI
10/08/01 05:54:03 0
>67
屋敷の扉が、音も無くゆっくりと開いた。

>ALL
セラエノ達が中に足を踏み込んだ途端、屋敷の照明が一斉に落ちた。
すぐに復旧はしたものの、灯りはなぜか、一部の廊下や階段だけを明るく照らしている。
まるでこの先に進めと言っているかのようだ。

もし灯りの指示に従ったなら、迷わず総裁の部屋へとたどり着けるだろう。

72:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/08/01 17:42:33 0
「そう焦ってはいかん…話にはまだ続きはある…」
【覚醒】について中々話さぬベッドフォードに対する苛立つミクの気持ちを見越したかのように老人は諌めるかのような口調で話を核心へと導いていく
「結論から言おう…【覚醒】とは彼等自身が持つ力の限界を縛る制約から目覚めさせる事だ…
無論、幾重もの戦いを経ねば簡単には目覚めぬがね…」
老人はまたミクへ、にやりと不気味に笑いかける
「だが、それだけでは不十分だ…
完全に【覚醒】させるには遺物(アーティファクト)の力を解放し彼等に注がねばならん…
その時、彼等は真に目覚めた己の力に酔いしれる事だろう…」
老人は一端間を置くと手に握られた杖へと視線をやった
握られたその杖からは溢れんばかりの禍々しい魔力が感じられる
「だから、私は彼等天才達の出現をずっと待っていたのだよ
写本の記述に従い下準備を進めてきたのもこの日の為にな……
遺物と漆黒の鎧は【覚醒】と計画には欠かせぬ存在なのだ…
この機会を逃せば、また数百年いや数千年待たねばならぬ…」
灯の明かりに従い、扉の前に辿りついた雛型達
茨に覆われた部屋の中には老人、ミクそしてリリィが彼等を待っていた
「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
これは覚醒への一歩だよ…」

73:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/01 23:01:38 0
≫ もしもあなたがリリィお姉ちゃんやユリお姉ちゃんに害意があるなら、
≫ 僕はこの場であなたを倒さなくちゃならなくなる。」
メイションの毅然とした言葉にセラエノは握っていた手を離し、糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
膝を付き俯き、呼吸は荒く、その足元にはポタポタと血が滴り落ちる。

(はうぅぅぅ!なんてかわいいの!そんな目で見られたら私…!
駄目!これ以上手を繋いでいたら本当にきゅん死にしちゃうかもしれない!)
きゅん死にとは、あまりにも可愛いものを目の当たりにした時、胸がきゅんとなって死んでしまうことを言う。
メイションと手を繋いでいるだけでも鼓動が早鐘のように打っていたのに、ここに来てこの健気な言葉にセラエノの限界に達したのだった。

「はぁ…はぁ…だ、大丈夫よ。
私、ちょっと血圧が高くって、鼻血が出やすい体質なの。
服に付いた血も返り血ではなく鼻血よ。」
流石に、あなたがあまりにも可愛くてハァハァ興奮して鼻血出しちゃった、テヘ!とは言えないセラエノ。

深呼吸を数回繰り返したあと、ようやく立ち上がりメイションの問いに答え始めた。
「そうね、順を追って話しましょうか。
図書館からの帰りにエンカに会って、あなたを探しているというので一緒に探す事にしたの。
手がかりを得る為に掲示板を見に行ったらそこであなたのメッセージを見たわ。
そのあとミクという子にベッドフォーフォ邸の場所を教えてもらってここまで来たの。」
そしてその後の説明を続ける。
夜闇での蜘蛛との戦闘の最中、エンカは毒で痺れたメイションを見つけたという声を上げたがセラエノはその姿を見ていない。
また、その最中にはぐれてしまった、と。
テレパシーも交えての説明なので、メイションはエンカの顔を認識する事になるだろう。

更に続くセラエノの説明。
「茨は私が生み出したもの。
私の持つ特殊な力を応用したものだけど、その力を認識したのはついさっきなの。
だから仮説は立てられるけど、正確な事は私にもわかっていないわ。」
図書館で司書によって認識させられたセラエノの力。
その原理は奇蹟の力を応用したものだが、まだそれを認識して一日と立っておらず、セラエノ自身もよくわかっていないのだった。

「リリィやユリに害意はないわよ。
本来あなたを迎えに来たのだけど、リリィが危機的状況なのであれば救い出すつもり。
それから・・・」
一通りの説明が終わると、メイションの両肩に手を置き、ぐっと力を入れる。
「私のこともセラエノ【お姉ちゃん】でいいのよ?」
一連の説明の中で結局これが言いたいのは秘密だ!
でも実際にメイションに面と向かって【セラエノお姉ちゃん】などと言われてしまったらまた鼻血が噴出してしまうであろう事は想像に難くない。


話が終わるのを待っていたかのように館の扉が開いた。
メイションに夢中になっていたセラエノの意識が引き戻され、慌てて両肩に置いた手を外し、佇まいを正した。
「ん、んん。では、行きましょう?」
気まずそうに咳払いをしたあと、扉を潜る。
直後に屋敷の証明は一瞬落ち、まるで道案内をするかのように一部の廊下や階段だけが照らされ浮かび上がる。
「随分と趣向の込んだ案内ね。」
メイションを安心させるようにクスリと笑うと、照明に従い進んでいく。
ベッドフォードたちのいる部屋へと。

74:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/02 00:13:04 P
グレンは食堂を目指している

何事も無くたどり着くグレン
マニトゥ料理長が1匹現れた
「にゃあ!にゃあ!」
グレンはご飯を強請っている
「・・・・・・・・なんぞこのでかい野良猫!?」
全長130cm以上ある二足歩行する巨大な猫に驚く料理長
「なにゃあ!」
(否飼い猫である!)
グレンはおいしいもの頂戴とばかりに料理長に擦り寄った
「ゴロゴロゴロゴロ・・・・」
料理長の白衣に黒い毛が着いた
「うっとぉしいわ!」
マニトゥ料理長の攻撃
グレンは回避した

数分後・・・・・・
「ぜぇぜぇ・・・・」
マニトゥ料理長はだいぶ疲れたようだ
「これやるから出て行け!!」
グレンの勝利!グレンは少しの経験値と
グレンはヒラメのムニエル(残飯)を手に入れた

>71
残り物を食べてお腹いっぱいになったグレン
「にゃなぁ!?」
今頃になって本来の目的であるリリィ救出を思い出したグレン
屋敷の照明は一部の廊下や階段だけを明るく照らしている
多分何かの罠だと思われるが猫であるグレンは大して考えもせずに明かりの指示に従うのであった

>72
「にゃにゃ!にゃんにゃにゃ!!」
(僕!参上!!)
とばかりに総帥の部屋に飛び込むグレン
そこにいたのはいかにも大ボスっぽい老人であった
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
 これは覚醒への一歩だよ…」
グレンはなぜかその膝の上でゴロゴロしたい衝動に駆られた
悪の大ボスの膝の上には黒猫というお約束に負けそうになったのだ!
だがグレンはその衝動を乗り切り
「にゃあな!」
(リリィお姉ちゃんを離すか僕を膝の上に乗せてゴロゴロさせるんだ!)
・・・・・・どうやら乗り切れてないようである

グレンの中のフリードは
「ZZZZZZZZZZZZZZzzzzzzzzzzz・・・・・・・・おじいちゃんこのノート何?
 え?おじいちゃんの恥ずかしい過去だから見ちゃ駄目?
 黒歴・・・・これ以上読めないや」
また変な夢を見ていた


75:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/02 00:56:57 0
>69
>「当然リリィの方っす。さっきテレパシーで、危ねぇって言ってたんだからよーっ。」
「そーだな。桜花の方は、後から来てもらうかねー」
しゃーねーしなーと言わんばかりに頭をかくグラディス。
桜花の無事を信じていないわけではないが、ちょっとだけ引け目を感じるのだ。

桜花のいるであろう方向に目を向けていると、疑惑の視線を感じる。
視線の元は、当たり前にエンカだった。
>「それにしても人間の姿でも鼻が効くんだなぁ?お前は本当にグラディスか?」
「……あん?」
何か疑われるようなことをしただろうかと色々思い起こしても、それらしきことはない。
うんうんうなって考え始める前に、エンカが説明を続ける。
>「…悪く思うなよ?俺はさっきから幻覚に振り回されてるんだ。
> いつの間にか本物のグラディスから偽物にすり替わっていて、
> リリィの居ないところに誘導されちゃ困るからよ~。
> お前だって、俺がいつまでも本当の俺だと思うなよな~?」
「あーあーなるほど。まー大丈夫大丈夫、そんな雰囲気もねーからなー。
 ……幻術系には適正の欠片も無いからわかったもんでもねーけど!大丈夫に決まってらー!にひひ」
笑うグラディス、やっぱり楽天的に考えていた。

>67>65>71>72
さあ向かおう、というところで茨が半透明になる。
「んー?こりゃー……」
手を伸ばせば、触れるはずの手がすり抜けた。
グラディス自身の様子も変化した様子も無い。
「おっ、ラッキー!丁度いい、さっさと行くぜー!多分こっちだ!」
付いてこーいとばかりに駆け出すグラディス。駆け出すといっても、本当に常人が走るのと同じレベルで。
エンカが付いてこれるために、それと一応警戒はしてるためだ。
警備員がまだいるかもしれない。ちょいちょい警戒はしておいて損は無いだろう。
桜花の居る筈の方面でメゴッ!という強い音がしたが、兎に角総裁の居る部屋へと走る二人。
すると突然、屋敷の灯りが消える。と思った次の瞬間には、すぐに灯りが再点火された。
しかしその灯りは廊下の奥で消えており、まるでそこに誘うかのような光の道。
その部屋とは、間違いなくリリィのいる部屋。
「……どうにも『歓迎』されてるみてーだなー。そんなら上等ぉー!」

目前にまで見えた扉を見れば、ごてごてとは言えないが明らかに豪華な意匠や飾りを為された様子が見て取れる。
領主の扉、主人の扉、ラスト・ボスの扉、そんな感じが相応しい。
高まる緊張を落ち着け、扉に手をかける。
「よし……開けるぜ、エンカ!」
ぐっとゆっくり力を入れていく。
古めかしそうな割には、物音一つ立てずに扉が開いてゆく。

部屋の中に見えたのはまず、2つの人影。女性的なものと、男性のもの。
次に、一面ガラス張りの壁。時折ガラスの向こう側が見える。
そして、一番重要な、床に体を投げ出した友人の姿。
「リリィちゃん!」
駆け寄りたい感情が湧き出るが、それを抑える。流石にこの状況では不味い。
下手すればあっというまに人質になりかねない、いや、既に人質のようなものだ。
部屋に入ってきた二人を見て、人影の一つ―ベッドフォードが口を開く。
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
「あー?雛形?覚醒?なんだか知らねーが、やられてーんならやってやるぜー!
 そっちが友達痛めつけてきたんだ、大火傷しても文句はねーよなー!?」
右の掌を掲げ、熱気が集まって小さな火種が点く。小さな火は瞬く間にボール台の大きさの炎へと拡大。
メラメラと火の粉を飛ばす炎をベッドフォードに突きつける。
「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」

76:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/08/02 08:28:04 0
>62 >70
リリィの問いにミクが答えても、リリィは無反応だった。
彼女だけでなく、主であるベッドフォードから声をかけられても同様だった。
リリィは労のように青白い肌で、死体のように床に転がっている。
だがそんなことを他の二人が気に止めるはずも無く、話は覚醒の核心へと移っていく。

部屋のドアが開き、仲間たちが姿を現した。

仲間達の呼び声に、リリィはわずかに身じろぎした。
彼女の目にかすかに光が戻ってくる。
「あ・・・・・・皆・・・・・・みんな!助け」
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした

>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
>「にゃあな!」
>「あー?雛形?覚醒?なんだか知らねーが、やられてーんならやってやるぜー!
> そっちが友達痛めつけてきたんだ、大火傷しても文句はねーよなー!?」
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
グラディスの言葉に反応するように、体を締め付けていた魔力が首へと回った。
返答いかんによっては、彼女の首が落ちるかもしれない。

『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
 この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
 それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
リリィを助けに来た彼らの脳裏に、テレパシーが届いた。
声は、男とも女ともつかないものだった。
だが、セラエノをもってしてもどこから発せられたものかは分からないだろう。
『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
 ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』


77:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/08/02 19:34:29 0
>72>75>76
> 「んー?こりゃー……」
「おん?グラディス、平気なのかよ?」
どういう理由かしらないが、茨が徐々にその存在感を失っていく。
> 「おっ、ラッキー!丁度いい、さっさと行くぜー!多分こっちだ!」
「ちょ、待…おいーっ!」
エンカはグラディスを追いかけながら思った。
やはりあの茨を出した何者かに害意があり、メイションがどうにかしたのだろうか?と。

> 「……どうにも『歓迎』されてるみてーだなー。そんなら上等ぉー!」
エンカとグラディスは扉の前にいた。急に消えた灯りは、この扉の前までの道しるべとして再点火されたのだ。
これは罠だろうか?それとも、誰かが自分達を助けようとしているのだろうか?
> 「よし……開けるぜ、エンカ!」
「あーよ。」
二人そろって扉を開けると、探していた人物はすぐに見つかった。
> 「リリィちゃん!」
「よせグラディス!」
エンカはグラディスがしたいことがすぐにわかったので彼を抑えようとした。
> 「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
> さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
> 杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
> 「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
とグラディス。
> 「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
> これは覚醒への一歩だよ…」
総裁がそう言った途端、エンカは素早く身を低くした。そして叫んだ。
「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
土下座で謝ったエンカと、屋敷ごとベッドフォードを吹き飛ばさんとするグラディス。
エンカとグラディスは、互いに何やってんだ?といった目で顔を見合わせた。
「何やってんだよ!?おい!?」
エンカの方から聞くことになった。
「考えてもみろよ!?俺達は強制的にここに連れてこられたわけじゃあねぇ!
 自分達で勝手に人の家に押しかけてんだぜーっ!?
 警備の奴らもちょうど俺達三人でやっつけちゃったしよーっ!
 総裁が怒るのも無理ねぇじゃねぇかよ!」
エンカはふとミクの存在に気づいた。
「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?
 また何か悪いこと企んでんじゃねーだろうなぁ!?
 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」

> 『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
>  この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
>  それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
エンカはそんな声が頭に響いたのでビックリした。
そして、どうやら様子を見るかぎり、その声が聞こえたのはエンカだけではないようだった。
エンカは、総裁の仲間がもう一人いて、姿を隠したままテレパシーを出しているものと理解した。
「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
エンカが総裁に叫んだ。
> 『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
>  ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
「お、マジかよ!?…ところで、あんたにもこのテレパシー聞こえてるんすよね?」
エンカには総裁の表情が読みにくかったので、一応聞いておくことにした。
「もしもあんたの気持ちがそれで収まるならよぉ。俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?
 生憎俺は今のところ何も持ってねぇんだけど、学園の外にある森とか廃墟を探せば何か見つかるかもな~?
 そうそう、俺も森で古い魔道書を見つけたんだぜ~?」

【エンカは、総裁のアンティーク収集を手伝う代わりに、不法侵入の罪を許してもらえないかと提案した。】

78:メイション ◆jWBUJ7IJ6Y
10/08/02 19:36:03 0
>73
「あ…えぇっ!?」
突然崩れ落ちてしまったセラエノにメイションは驚いた。
> 「はぁ…はぁ…だ、大丈夫よ。
> 私、ちょっと血圧が高くって、鼻血が出やすい体質なの。
> 服に付いた血も返り血ではなく鼻血よ。」
「ご、ごめんなさい。そんなに体調が悪い人を疑うなんて、悪かったよ。」
> 深呼吸を数回繰り返したあと、ようやく立ち上がりメイションの問いに答え始めた。
> 「そうね、順を追って話しましょうか。
> 図書館からの帰りにエンカに会って、あなたを探しているというので一緒に探す事にしたの。
> 手がかりを得る為に掲示板を見に行ったらそこであなたのメッセージを見たわ。
> そのあとミクという子にベッドフォーフォ邸の場所を教えてもらってここまで来たの。」
メイションはセラエノを通じて、セラエノとエンカのこれまでの経緯を知ることができた。
(メイション「あのお兄ちゃんがエンカ君だったなんて!」)
> 更に続くセラエノの説明。
> 「茨は私が生み出したもの。
> 私の持つ特殊な力を応用したものだけど、その力を認識したのはついさっきなの。
> だから仮説は立てられるけど、正確な事は私にもわかっていないわ。」
「あぁ、うん。よくわからないなら、仕方ないね。」
相槌を打つメイション。
> 「リリィやユリに害意はないわよ。
> 本来あなたを迎えに来たのだけど、リリィが危機的状況なのであれば救い出すつもり。
> それから・・・」
> 一通りの説明が終わると、メイションの両肩に手を置き、ぐっと力を入れる。
> 「私のこともセラエノ【お姉ちゃん】でいいのよ?」
メイションは、何だかこの人、ちょっと怖いなと思った。

> 話が終わるのを待っていたかのように館の扉が開いた。
> 「随分と趣向の込んだ案内ね。」
まるでどこかへ案内するように、その道にだけ証明の光が落ちていた。
「ねぇ、ちょっと待って。」
メイションはセラエノを止めようとした。
「いくらなんでも様子がおかしい。だって、僕らは勝手に押しかけてるんだよ?
 これは道案内なんかじゃなくて、罠なんじゃないの?エンカお兄ちゃん達がやったことでなければ!」

メイション達に件のテレパシーが聞こえたのはこの時である。
> 『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
>  ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
メイションは焦った。リリィお姉ちゃんは今虐められているのかもしれない。
しかし、この道案内は罠である可能性がある。
「何とかならないの!?セラエノお姉ちゃん!?」

【メイションは、言ってはいけないことを言ってしまった。】

79:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/08/03 01:45:39 0
>63、>66、>71-72、>75-77
>「そう言われてしぶしぶと全く好みではない男を亀甲縛りにする私であった」
……内心見当が外れたが、言われたとおりアドラスを縛り上げる保険医。
しかし、しかしだ。
「なぜに亀甲縛り……あまり見栄えがよろしくないぞ?
 いやまぁ、他の縛り方とか本職じゃない俺には分からんけど……」

>「よし!お屋敷のにょこり物を漁りにのりこみゅにゅ!!」
先ほどまではしっかりと人語を話していたはずの謎生物だったが
だんだんと発音が怪しくなっていく……
「おいィ? なんだか喋りが怪しくなってきたんですがねぇ……?
 おい馬鹿やめろ、このシリアスは早くも終了ですね」
その一助となっている事に当事者の鴉は気づかない!気づきにくい!
結局すっかり猫に戻ってしまった謎生物(やっとフリード&グレンという事に気づいた)は
おそらく食い物を求めてどこかへと行ってしまった……たぶん食堂だろう。


>「うゃ~…頭がガンガンする…ちょー頭痛い…」
ユリが目を覚ましたようだが、案の定調子は悪いようだ。
「……目が覚めたか。大丈夫k」
声を掛けようとしたが、続いた言葉に口をつぐむ。

>「お兄ちゃんの背中…暖かいよ…」
……どうやら誰かと間違えているようだ。
それでも鴉はそれを訂正する事はなかった。
「……そうか。じゃあ、ユリが嫌になるまでおぶっててやる。
 好きなだけそうしてるといい……」
そう言って、まるであやすようなテンポで歩く鴉。
子供をあやした事など片手で数えられるほどしかなく
それもここに来る直前、『アイツ』にしてやった程度の経験しかないと言うのに。
父性でも沸きあがってきたのだろうか?
その割に、鴉の表情は暗い……何かを思い悩んでいるようだ。


>もし灯りの指示に従ったなら、迷わず総裁の部屋へとたどり着けるだろう。
不意に照明が落ち、また点いた……まるで誘うように一部の道筋だけを浮かべて。
「……やはりワナか。まるで俺たちが来る事を知ってたかのよう……
 ふん、気に入らないな」

>杖で床を軽く叩くとリリィの体は魔力により締め付けられ、リリィは痛みを堪えられずに嗚咽を漏らした
そうして着いた部屋では最悪の歓迎が待ち構えていた。
鴉は入学式に参加しなかったため顔を知らないものの、その人物こそ
この館の主であり学園の理事長でもあるエーリッヒ・ベッドフォードに違いないだろう。
そのベッドフォードが、全員が部屋に入るなり杖から魔力を放ってリリィを痛めつけたのだ。
当然、血気盛んな周りの男連中は色めき立つ。


80:レイヴン ◇70VgGM3HY6
10/08/03 01:46:39 0
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
特にグラディスの取った行動は下策中の下策だった。
血が上りかけた鴉に冷水を浴びせたと言う意味ではそうでもないのだが……
「よせグラディス! 屋敷を燃やしたらここにいる全員焼け死ぬぞ!?
 こんなクソジジイと心中なんぞ俺はゴメンだ!」
怒りに任せて後先考えられなくなると、こんな簡単な事すら考えから抜けてしまう。
そんな事例を山ほど見てきた鴉だが、グラディスが先にキレてなければ
先走っていたのは鴉だっただろう。


>「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
なおもグラディスはいきり立っていたが、エンカの渾身の土下座を見て気が逸れた。
エンカは非は自分達にあるから謝罪は当然、と言っているが……
「この手の輩に弱味を見せる、自分から折れるって行動は絶対に取っちゃいけないんだぜエンカ……。
 そうやって言質をとった瞬間、骨までしゃぶられるのは確定しちまうんだからな。
 ……ウソだと思うか?」
経験こそしていないものの、それに極めて近い結果は何度も見ているのだ。
「謝って済むなら争いなんか起こらないんだ。
 ……その土下座は、彼女の親に『娘さんを下さい』って言うときにでも取っておくべきだと
 俺は思うがね。その方がよっぽど有意義だ」


>『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
> この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
>『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
> ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
落ち着かせる為にしょうもない事をのたまっていた鴉だったが、
どこからか聞こえてきた言葉に露骨に顔をしかめた。
「テロリスト、だと? ……でっち上げる気か、
 それも結構。お前らの計画がおじゃんになっても構わないならな……」
先ほどからの相手の言動から、鴉は連中が自分達を利用したがっている節があると読んだ。
そうでもなければ、わざわざどうでもいい趣味の話なんぞ持ち出すわけがないのだ。

「……じゃあ、ビジネスの話に入ろうか。
 厚かましい? 実に結構。人間、見返りがあった方が作業にも身が入る。
 どうせ不法侵入云々は初めから眼中にないんだろう?
 だったらお為ごかしする必要もないだろ……」
いつの間にかおぶっていたユリを下ろした鴉は屈んでユリと目線を合わし頭を撫でながら
「すまないなぁ、俺は自分から約束を破るダメな兄ちゃんだ……
 埋め合わせは帰ったら必ずするから、いい子にしてるんだぞ?」

いい終わって鴉が次に取った行動は……刀を投げ捨ててゆっくりと
椅子に座る総裁へと近づいていく事だった。


81:ユリ ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:26:24 0
>79-80
>「……そうか。じゃあ、ユリが嫌になるまでおぶっててやる。
> 好きなだけそうしてるといい……」
「うん…ありがと…」
ユリはそう言って、安心しきってレイヴンの背中に体を預ける。
毒は抜けきっているのだが、直前の戦いで少なくなった力を完全に使い切っているのだ。
夢の中にいるように、リリィのテレパシーを聞いても、苦しむリリィを見ても。
ユリはほとんど反応しなかった。
ただ、徐々に力が回復するにつれて、意識もやはり回復にと向かってはいる。

>「すまないなぁ、俺は自分から約束を破るダメな兄ちゃんだ……
> 埋め合わせは帰ったら必ずするから、いい子にしてるんだぞ?」
「お兄ちゃん…どこに行っちゃうの…?」
焦点の合っていない目が、ぼんやりとレイヴンの歩む先を見た。
その先に見つけた親友(ユリはそう思っていた)の顔に反応し、ユリの意識は現実にと戻り始める。
「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」

82:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:29:00 0
>70-81
笑みを浮かべながら総裁の話を聞いていたミクだが、『写本』と聞いた時には少し考えるそぶりを見せた。
写本である以上原書があるはずであり、ベッドフォードがどんな本から覚醒について知ったか気になったのだ。
ベッドフォードの言葉を信じるならば、その本にはリリィが言う異変の原因についても記されているに違いない。
>「蜘蛛よ お前も【覚醒】の一端を担ってはどうだ?
>ただ戦い、感情を刺激すればよいだけだ…」
「それは結構なお話ですこと。
 でも、その簡単なお仕事の結果はお聞きできませんの?」
ミクからすれば、感情が刺激されて覚醒すればどうなるのか。
というのはなかなか重大な問題だ。
藪を突いて蛇が出るのはいいが、自分が藪を突く役目を果たすのは気にいらないからだ。

>「そう焦ってはいかん…話にはまだ続きはある…」
>「結論から言おう…【覚醒】とは彼等自身が持つ力の限界を縛る制約から目覚めさせる事だ…
ベッドフォードは覚醒の結果について語り、戦う事に加えて鍵が必要なのだと述べた。
杖に視線を向ける老人を見ながらミクは、あるいはあの杖が遺物なのだろうかと考える。
>「だから、私は彼等天才達の出現をずっと待っていたのだよ(中略)
>この機会を逃せば、また数百年いや数千年待たねばならぬ…」
「【覚醒】についてのご教授、感謝しますわ。
 私も総裁の目的達成のため、微力ながらご助力いたします」
ミクは総裁にそう言って笑いかける。
【計画】の内容についてはわからなかったが、退屈しないで済みそうだというのは良くわかった。
ミクからすればそれで十分だ。

>「にゃにゃ!にゃんにゃにゃ!!」
>「リリィちゃん!」
>「あ・・・・・・皆・・・・・・みんな!助け」
扉が開いて入ってきた仲間の声に反応し、リリィが助けを求めようとする。
しかし、その声は最後まで続けられることはない。
>「待ちわびたぞ雛型達…心より歓迎しよう…
>さあリリィ…彼等にご挨拶なさい」
>「!おい、てめーら何してやがる!リリィちゃんを放せっつーの!」
苦しむリリィを見て怒るグラディスを見て、ミクはなるほど上手いやり方だと思う。
リリィに同情するつもりはない。
蜘蛛はカマキリに捕まった蝶を見ても、同情しないものだからだ。

>「ふふふ…さあ怒りに身を任せるのだ雛型達よ…
>これは覚醒への一歩だよ…」
>「にゃあな!」
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
>「よせグラディス! 屋敷を燃やしたらここにいる全員焼け死ぬぞ!?
> こんなクソジジイと心中なんぞ俺はゴメンだ!」
部屋に入ってきた者のうち、何人かの行動は予測済みのものだった。
最悪すぐにでも攻撃されるものとまで思っていたのだが、約1名、予想外の行動を取った者がいた。

>「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
>「何やってんだよ!?おい!?」
ミクは何をやっているのか聞きたいのは自分だと思った。
後の説明は確かに理にかなっていたし、そう行動してもおかしくない。
しかし、しかしだ。
助けに来た友達が苦しむのを目の前にして、相手に土下座するというのはミクの想像の範疇を超えていたのだ。
>「この手の輩に弱味を見せる、自分から折れるって行動は絶対に取っちゃいけないんだぜエンカ……。(中略)
> 俺は思うがね。その方がよっぽど有意義だ」
幼女を背負った男の言葉に、ミクはその通りだと思った。
リリィに蜘蛛糸を巻きつけて精神的に揺さぶろうと考えていたのもすっかり忘れて、そう思った。

83:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/03 16:31:34 0
>「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?(中略)
> 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」
「お久しぶりねエンカ。
 他の人たちには初めましてでよろしいかしら。
 私は初音美紅。
 あなたたちのお知り合いのユリの友達よ。
 こちらにおられるのはこの館の主、ベッドフォード総裁。
 と言っても、今更自己紹介が必要な状況でもないかも知れないわね」
ミクは自己紹介はしたが、エンカの蜘蛛に関する言葉はわざと無視する。
別に知られて困るようなことではないし、ほぼ敵味方に別れた状況で言うべきことでも無かったからだ。
言わなければならないことは、他にある。

「実は私人質を取られて脅されていて、あなたたちと戦わなくてはいけないの。
 苦しむリリィを助けたいでしょうけど、私も負けるわけにはいかないわ。
 悪く思わないでちょうだいましね」
人質を取られているとは思えないほど楽しそうに、ミクは笑う。
実際問題ユリが人質かと言われると疑問符が付く所だが、ミクにその事を教えるつもりはない。

>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
> 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
急にエンカが妙な事を言い出したので、ミクは不審の目でエンカを見る。
テレパシーはミクに聞こえていなかったのだ。
>「お、マジかよ!?…ところで、あんたにもこのテレパシー聞こえてるんすよね?」
その言葉に、ミクは総裁を見た。
他の者の反応を見るに、自分にだけテレパシーが聞こえていないのだと思えたのだ。

>「もしもあんたの気持ちがそれで収まるならよぉ。俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?(中略)
> そうそう、俺も森で古い魔道書を見つけたんだぜ~?」
>「……じゃあ、ビジネスの話に入ろうか。(中略)
> だったらお為ごかしする必要もないだろ……」
アンティーク。 先ほど総裁が語っていた遺物の事だろうか。
あるいは漆黒の鎧の事だろうか。
総裁はテレパシーを使って、彼らにそれを探すように強制しているのか?
ミクには、まだそう考えるだけの余裕はあった。
だから、糸を張ってレイヴンの動きを封じ、それ以上の総裁への接近を阻もうとした。
「そこのあなた、それ以上進まずに止まりな…」
>「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」
余裕がなくなったのは、元気を取りもどしつつあるユリが呼びかけてからだった。

驚いて声の主を見るミクの視線の先で、幼女化したユリがぐしぐしと目をこすっていた。
幼女化の程度を知らない上に、熱血直情型の性格を知っていたために、まったく気づかなかったのだ。
「う…」
ミクももちろん、ユリが来た時の対処法は考えていた。
その場で言いくるめるか、今は黙らせておいて後で言いくるめるかのどちらかだ。
問題は、ユリに気づいたタイミングが最悪だったいう事だ。
言いくるめれば、他の侵入者が怒りの感情で戦うのは難しくなる。
黙らせれば、仲間を攻撃された侵入者たちが怒って交渉はご破算になるだろう。
ベッドフォードにユリの事をお願いしている立場上、その意志を無視して行動するのは今はまずい。
ミクは先ほどより余裕のない表情でベッドフォードを見、戦いか交渉かの意思表示を待った。


84:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/03 22:59:07 0
「あら、どうして?」
メイションの罠ではないかという懸念にセラエノは理解が出来ないと言うかのように首を傾げる。
セラエノからすれば勝手に押しかけたわけではない。
メイションを探しに着てみれば蜘蛛との戦闘になっており、更に館の護衛との入り乱れた戦闘になった。
最中に茨を大量に生み出し館を覆ってしまったことへの事情説明に来たのだ。
その口上は既に済ましており、その返答として扉が開いた。
ゆえに押し入ったという前提は成立せず、罠にかけられるという事すら考えていない。
つまり、セラエノは自分の正しき理に絶対の自信を持っており、全ての行動は正当なものなのだから。

メイションの心配など気にする風でもなく一歩踏み出した時、テレパシーが届いたのであった。
セラエノはテレパシーを声のように感じる事が出来る。
察知すれば大体何処から発せられたのかは把握できるのだが、このテレパシーは何処から届いたのか把握できない。
しかも内容は驚くべき事であったのだが、次の瞬間には吹き飛んでしまう事になる。

このたった一言の為に。
>「何とかならないの!?セラエノお姉ちゃん!?」
(セラエノお姉ちゃん?お姉ちゃん?
お姉ちゃんってお姉さんより親近感UP!UP!よね!
しかも美少年が懇願する目つきで私のことをセラエノお姉ちゃん!?)
この間0.03秒。
くるりと振り向いたセラエノの仮面からは滂沱の鼻血が滴っており、胸に抱える本を更に赤く染めていた。

「お、お姉ちゃんに任せなさい!さあ、私の腰にしっかりと捕まって!」
ちょっと強めな笑みを浮かべ、メイションを引き寄せるセラエノ。
それと同時に半透明になっていた茨が色を取り戻し、蠢動をはじめる。
美少年の懇願する一言がセラエノを開眼させた瞬間だった!
そして、ベッドフォード邸玄関に巨大な茨の蛇が出現した!

###################################

ゴゴゴゴゴゴ!!

悠然と佇むベッドフォード。
締め上げられ嗚咽を漏らすリリィ。
土下座をし、何とかリリィの罪を軽減しようとするエンカ。
怒り火球を発生させるグラディス。
猫の本能の衝動と戦うグレン。
刀を捨てゆっくりとベッドフォードに近づくレイヴン。
未だ焦点の合わないユリ。
思わぬ状況に困惑し、状況を見守るミク。

それぞれの思惑が交錯する部屋に地鳴りとともにそれは入ってきた。
打ち破られた窓に突っ込んできた巨大な蛇の頭。
否、茨の塊り。
それとともに室内の茨も色を取り戻し、脈動を始める。

85:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/03 23:02:47 0
「お待ちなさい!全員動かないで!
あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!
それ以上すれば本当に暗殺者として成立しますよ。」
その言葉とともに茨は鉄格子のようにレイヴンとグラディスを取り囲みその動きを牽制する。
声とともに茨の塊りがほどけ、その中からメイションとセラエノが現れた。
部屋をぐるりと見回すと、大きく息を吸いあえてゆっくりと言葉を紡ぐ。

「はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
館を覆う茨は私の力が暴走した結果の事。まずはお詫び申し上げますわ。
こちらはメイション。
急を要するようでしたので窓から失礼しますわ。」
リリィからのテレパシーを感じた時からリリィが何処にいるかはわかっていた。
今になって窓から直接乗り込んだのは、礼儀よりリリィの身の危険、そして何より美少年の懇願の為。

「早速ですが、私とそちらのエンカはこのメイションを探しに来ました。
彼らが何故ここに来たかは知りませんが、そこのリリィがベッドフォードさんを暗殺に来たとの事。
もしそれが事実ならば一同手出し無用。
法に基づき適正に処罰されるべきでしすから。
即ちこのような私刑ではなく、彼女は私と同じく学園新入生ですので学園に一度預け追って然るべき処罰を。
故にエンカ、そんな土下座は無用だし、アンティーグの代償で法を捻じ曲げる事は罷りならないわ。
そしてそれを持ちかける事自体にも不信感を持ちます。」
一旦息を継ぎ、更に言葉を続ける。

「リリィが暗殺を目論むテロリストだとの事。
そう断じるにはそれなりの証拠がおありでしょうね。
今すぐその提示を。
私の力で彼女の服の記憶を読み、彼女の行動の全貌は明かせられますが…?」
最後の言葉は捏造は通じないという釘。

「私が見る限り、彼女は館の周辺で蜘蛛に襲われ戦っていただけで、館に侵入はしていなかったようですが?
館周辺で護衛に連れて行かれる事はあっても…
もし手違いでしたら今すぐ彼女の解放を。
私はメイションを探すという目的も果たしましたので明日からの学園生活の為、騒ぎを収めてみんなで帰りたいのです。」
毅然と言い放つセラエノだったが、あまり余裕はなかった。
血に塗れ判り難くはあるが、その肌は蒼白。
保険医の造血治療があって立っていられるのだが、大量の血を流しすぎているのだ。
そしてこれほどの大規模な茨を生み出し操作するという始めての体験に力は尽きようとしている。

明日から学園生活が始まる。
2週間後には浮遊島でのバトルロイヤル&フィジル大海孔見物などイベントは目白押しだ。
イベントにやたらとバトルが付いて回るのはベッドフォードの差し金なのかもしれないが、今はまだわかりようはない。

その事を考えれば明らかなオーバーワークだが、それでもセラエノを支えるのは…
美少年と美少女の存在であるのは言うまでもない。

86:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/03 23:10:15 P
>75>76>77>80>81>83-85
>「すぐにリリィちゃんを放せ、さもなくばこいつをぶっぱなすぜー!屋敷も燃えちまうかもなー!」
「なあ、にゃあん」
(もう男の人ったらすぐに暴力で解決しようとする)
だがしかし猫語なので誰にもわからない
しかもグレンも雄である

> 『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
>  この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
>  それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
「にゃあん?」
(テレパシーしか使えない戦闘能力皆無なリリィお姉ちゃんがテロリスト?)
何気にひどいことを言うグレン
だがしかし猫語なので誰にもわからない
>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
「にゃあ?」
(もしかしてMなの?)
またまた何気にひどいことを言うグレン
だがしかし猫語なので誰にもわからない

>『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
 ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
助けて欲しければお宝よこせという謎の声
「にゃあん?」
(これじゃ駄目?)
とばかりに伝説の猫缶を取り出すグレン
もちろん駄目に決まってるし伝説の猫缶は伝説の缶切りがないと食べられないのである
っていうか総帥猫じゃないし

>「テロリスト、だと? ……でっち上げる気か、
 それも結構。お前らの計画がおじゃんになっても構わないならな……」
どうやらレイブンははったりをかまして何とかするつもりらしい
「にゃにゃあ」
(ここでの会話はすべて録音されている外で待ってる球形ロボによって)
グレンもはったりをかますがそもそも猫語なので(ryである

>「俺達、あんたのアンティーク収集を手伝ってやるぜ~?」
総帥のアンティーク収集を手伝うことによって今回のことをなかった事にしようというエンカ
>「すまないなぁ、俺は自分から約束を破るダメな兄ちゃんだ……
  埋め合わせは帰ったら必ずするから、いい子にしてるんだぞ?」
刀を捨てて総帥に近づくレイブン・・・・何か考えがあるのか?
だがしょせん猫の頭では何をするつもりなのかはわからなかった



87:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/03 23:12:03 P
>「あれ…ミク…? なんでここにいるの…?」
>「う…」
どうやら知り合いらしいが・・・・・・なんか事情がややこしそうなので
「にゃあん?」
と鳴いてごまかしておいた

という状況の中で侵入してくる茨
やはり中にフリードがいるため避けるようだ
知らないうちに盾にされているフリード

そしてその頃グレンの中で寝ているフリード
「エターナルフォースブリザード?お祖父様なんですかこれ?
 え?わしが若い頃に考えた最強の呪文?相手は死ぬ?」
まだ変な夢を見ていたようだ

どうやら茨の持ち主はセラエノのようである
セラエノを見たグレンはもうひとつのお宝を思い出した
「にゃなぁ!!」
(ちゃちゃちゃん聖杯!!)
それはセラエノの血を受けたコップである
だがたかがコップされどコップ当然貴族の子息であるフリードのコップである
結構いいものであり当然とばかりに純銀製である
「にゃあ」
(これでどうだ)とばかりに総帥に聖杯(仮)を差し出すグレン
多分駄目だろうな

88:ベッドフォード ◇k4Jcxtcj
10/08/04 20:50:48 0
>>75>>77>>78>>79>>80>>82->>87 


部屋に入ってきた雛型達の反応は多種多様 まさに様々であった 
望み通り怒りに身を任せる者 土下座し取引を持ち掛けてくる者など 
最も放たれた火は杖から発せられた力で見事に消されてしまったのだが 
当の老人は子供が持ち掛けるビジネス等に乗る気は無く話を聞く耳すら持っていないという素振りで雛型達に背を向け窓の外を向いてしまった 
その時、老人が見ていた壁一面の大窓は巨大な蛇 いや茨の塊により突き破られる 
ガラスが飛び散り普通の人間であれば怯むような状況でさえ 
老人は動じる事無かった 

>「早速ですが…(略)」 

セラエノの話を茨の蛇を眺めながら聞いているも 
老人の興味は話の内容よりも彼女自身に向いている 
「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい… 
なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」 
急に振り返りセラエノを見る目は気味悪い程輝いている 
すると老人はやっとミクの方へ目配せをする 
「神が断れば 動け」」 
そうテレパシーを送られたようだった 

>「にゃあ」 
老人の足元に差し出された銀の杯 
杯を見るやまたも老人は目の色を変えた 
「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」 
グレンから強引に杯を奪い取る 
「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」 

89:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/04 21:56:37 0
グラディスが怒りに任せて炎を出したそのとき。
>「本っっっっっ当ぉぉおぉに!!すみませんでしたーーっっ!!」
突然、エンカがDOGEZAの体勢に入った。
『は?』とばかりにお互いを見やるエンカとグラディス。
横でレイヴンが何か言ってるが、聞こえているのはエンカとの対話のみ。
>「何やってんだよ!?おい!?」
「エンカ、君こそ何をやってんだっつーの!?」
>「考えてもみろよ!?俺達は強制的にここに連れてこられたわけじゃあねぇ!
> 自分達で勝手に人の家に押しかけてんだぜーっ!?
> 警備の奴らもちょうど俺達三人でやっつけちゃったしよーっ!
> 総裁が怒るのも無理ねぇじゃねぇかよ!」
「知るかっての!ただ少し忍んだだけでこれはねーだろーが!
 挙句に人質取った悪人みてーな風にリリィちゃん使ってんだから容赦しなくてもいーだろ!
 ってか、易々と頭下げてんじゃねー!せめてもーちっと溜めてから使えよー!」
>「謝って済むなら争いなんか起こらないんだ。
> ……その土下座は、彼女の親に『娘さんを下さい』って言うときにでも取っておくべきだと
> 俺は思うがね。その方がよっぽど有意義だ」
「そーそー、レイヴンのいうとおりだ!……あれ?いつ来たんだ?気付かんかったなー」
ガン無視しておいてこれである。

>「あ、おめぇこんなところで何やってんだよ!?
> また何か悪いこと企んでんじゃねーだろうなぁ!?
> 今度俺を蜘蛛のエサにしようとしたら承知しねえぞーっ!?」
老人ではない、もう一つの影に向かってエンカが叫ぶ。
見たところ、女の子らしいが。
「……蜘蛛ぉ?ってこたー……この子が、もしかしてあのでかい蜘蛛の首領!?」
>「お久しぶりねエンカ。
> 他の人たちには初めましてでよろしいかしら。
> 私は初音美紅。(略)
> 悪く思わないでちょうだいましね」
「知るかっつーの!よくも蜘蛛で俺達を……」
>『君たちは何か勘違いしてるんじゃないかな。
> この娘は、総裁の屋敷を墓石、暗殺未遂を企てたテロリストだよ。こんな扱いを受けても当然だろう。
> それとも何かい?もしかして、君たちも彼女の仲間なのかい?』
グラディスの不満たらたらの言葉は、突然のテレパシーによって止められた。

>「そうっす!俺達はそこにいるリリィの友達だ!もしもリリィ一人を罰して気がすまねぇならよーっ!
> 俺達も一緒に罰してくれよなーっ!!」
「仲間だけど、テロリストだあ?随分と誇張表現が大好きじゃねーの!
 何処をどう見て暗殺を企てているように見えんだかねー!妄想に捕らわれてんじゃねー!」
>『この娘が気に入ってるなら、それなりの代償が必要じゃないかな。
> ところで知っているF・総裁はアンティークの収集家としても有名なんだよ』
「ふ、ざ、けんなっ!濡れ衣被せといてそれかよ!?腹立った、てめーぜってー燃やしてやる!」
ギャースカギャースカテレパシーの主にキレるグラディス。
目の前のベッドフォードよりも気に入らないらしい。

90:グラディス ◆e2mxb8LNqk
10/08/04 21:57:29 0
と、突如、ガラスが割れ砕ける音がした。
音の出所は探さずとも目に付く、壁の一面のガラス。
そこには龍とそこに乗った神が居た。
否、大量の茨と仮面をつけた何者かが居た。
>「お待ちなさい!全員動かないで!
>あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!
>それ以上すれば本当に暗殺者として成立しますよ。」
「うっ?……もう消えたぜー」
やってもいない暗殺の罪には問われたくない。
そう思うグラディスの手には、ベッドフォードの杖から発する威圧に消えていた。

>「はじめまして。私はセラエノ・プレアデス。
>館を覆う茨は私の力が暴走した結果の事。まずはお詫び申し上げますわ。
>こちらはメイション。
>急を要するようでしたので窓から失礼しますわ。」
仮面―セラエノが簡単な自己紹介を終えて、すぐさまベッドフォードに説得・説明へと入る。
エンカとセラエノはメイションの捜索に来たことや、もしリリィが暗殺に来たなら法で裁かれるべきということ。
行動の全てを見せることができること、暗殺を目論む明確な証拠の提示の要求。
>「私が見る限り、彼女は館の周辺で蜘蛛に襲われ戦っていただけで、館に侵入はしていなかったようですが?
>館周辺で護衛に連れて行かれる事はあっても…
>もし手違いでしたら今すぐ彼女の解放を。
>私はメイションを探すという目的も果たしましたので明日からの学園生活の為、騒ぎを収めてみんなで帰りたいのです。」
カッコ良く場を纏めたセラエノにグラディスから賞賛の視線が送られる。
先程までの不機嫌はどうしたのか、すっかりセラエノに傾倒していた。
「ほおお……すげー、かっけー……!マジすげー……!」

>「にゃあ」
これでどうだと言いたそうに、銀色の杯を掲げるグレン。
銀の魔除けの雰囲気から、グラディスはうっと後ずさる。
「うげえ……銀かよー」
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」
行き成りベッドフォードが、猫のグレンから強引に杯を奪い取った。一体どうしたというのだろう?
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
グレンの前足を持って持ち上げるグラディス。
「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
ぶらーんぶらーんと前に後ろに振り子運動させる。

91:名無しさん@自治新党スレでTATESUGI値審議中
10/08/04 23:39:22 0
床が崩れるぞー

92:リリィ ◆jntvk4zYjI
10/08/05 07:16:54 0
>77
『僕の声は、トクベツな人達にしか聞こえないんだ』
テレパシーは笑みを含んだ声で、土下座をしているエンカに囁いた。
『残念だったね』

>80 >90
>「テロリスト、だと? ……でっち上げる気か、 
> それも結構。お前らの計画がおじゃんになっても構わないならな……」 
『正直、僕はもうどっちでも構わないのさ』
刀を投げ捨て総裁へと近づくレイヴンの背に、笑みを含んだ声が届く。

>「ふ、ざ、けんなっ!濡れ衣被せといてそれかよ!?腹立った、てめーぜってー燃やしてやる!」 
『それは結構。だが総裁は、彼女を気に入っているようだ』
声の主は、わざとグラディスを煽るような物言いをした。

だがセラエノの次の一手により、場の状況は一変する。



>「リリィが暗殺を目論むテロリストだとの事。 
>そう断じるにはそれなりの証拠がおありでしょうね。 
>今すぐその提示を。
セラエノは知らないが、実はリリィの入学受付には問題があった。
なにせ、時間切れで受け取れないと言われているにもかかわらず、
『お願いします受け取ってください』と強引に書類を押し付けてきたのだから。 
だがそれ以前の問題で、テロリスト云々のテレパシーはベッドフォードには届いていないのだが。

>老人の興味は話の内容よりも彼女自身に向いている  
>「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい…  
>なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」  
協力、と言えば聞こえが良いが、実際のところは脅迫である。
リリィを締め上げる魔力は強くなりこそすれ、弱まっている様子はないからだ。

>91
>「にゃあ」 
これでどうだと言いたそうに、銀色の杯を掲げるグレン。 
>銀の魔除けの雰囲気から、グラディスはうっと後ずさる。 
>「うげえ……銀かよー」 
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」 
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」 
>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」 
グレンの前足を持って持ち上げるグラディス。 
興奮した様子のベッドフォードに、その場にいる皆の注目が集まる

>床が崩れるぞー 
度重なる破壊のためだろうか リリィが横たわっている部屋の床に穴があいた。
芋虫よろしく転がっているリリィは、そのまま落ちるしかないだろう。

93:エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y
10/08/05 08:14:53 0
>80>84>85>88>90>92
「おっ、と!」
エンカはレイブンが投げ捨てた刀をキャッチした。
その後、ゆっくりと総裁に近づくレイブンにエンカが言った。
「待てよ!何するつもりだよ!おめぇの言うこともわかったが、
 変に強気なことしたらリリィがもっと痛い目にあうかもしれねぇのによーっ!」
> 当の老人は子供が持ち掛けるビジネス等に乗る気は無く話を聞く耳すら持っていないという素振りで雛型達に背を向け窓の外を向いてしまった
「(あのジジィ、俺達なんか眼中にねぇって感じだ。でも、だったら一体何がしたいのかわからねぇぜ?)」
エンカはそう思った。

> ゴゴゴゴゴゴ!!
「なんだこの音は!うおぁああっ!?」
> それぞれの思惑が交錯する部屋に地鳴りとともにそれは入ってきた。
> 打ち破られた窓に突っ込んできた巨大な蛇の頭。
> 否、茨の塊り。
> それとともに室内の茨も色を取り戻し、脈動を始める。
> 「お待ちなさい!全員動かないで!
> あなた、まず火球を消して。そちらの方はそれ以上近づかないで!」
> 声とともに茨の塊りがほどけ、その中からメイションとセラエノが現れた。
「セラエノ!?メイションも一緒…ということは、この一帯の茨の正体はセラエノかよ!?」
≫「おかしいですよ、セラエノさん!?」
たぶん、メイションはもうセラエノ“お姉ちゃん”と呼ぶことはないだろう。
≫「リリィお姉ちゃん!!」
「待てメイション、セラエノが説得してくれるみてぇだからよーっ!」
セラエノの説得(あるいは説教?)に対する総裁の反応は、エンカにとっては気に入らなかった。
> 「流石は神と言った所か お前の力は実に素晴らしい…
> なら私に協力したまえ さすれば他の者は不問にしよう」
「良かったなぁ、セラエノ?おめぇを神として敬意を払ってくれてるみてぇだぜこの人は?
 銅像でも彫ってもらって玄関に飾らせたらどうだ?」
エンカはセラエノに皮肉を言った。
「だいたい気に入らねぇのはよぉ!俺が地面に落ちた小銭を拾おうとして爪の間にゴミが入る事より気に入らねぇのはよぉ!
 おめぇが俺の知らないことを知りすぎてることだぜーっ!
 なんでこの部屋に入ってきたばかりのおめぇが、俺が総裁に謝ったことを知ってんだ!?
 なんでリリィが蜘蛛に襲われただの、館に侵入していなかっただのって知ってんだ!?
 俺はそんなおめぇに不信感を隠せねぇよなーっ!俺達はずっと一緒に歩いて来たのによーっ!」
メイションも同じようなことを思った。そして、もしかして自分の頭の中にある情報を読んだのだろうか?と思った。
もしもそうだとしたら、メイションはセラエノが嫌いになっただろうが、
しかし、リリィが連れていかれた時よりずっと前からメイションは蜘蛛の毒で意識を失っているので、
それはないだろうなと思った。黙ってセラエノの返答を待つことにした。

エンカがふと総裁の方を見ると、今度はグレンの差し出した銀の杯に夢中になっていた。
「(なんだよこのジジィはよぉ…不思議な薬でもキメてんのかーっ!?)」
> 「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
> ぶらーんぶらーんと前に後ろに振り子運動させる。
「グラディス、かわいいからやめとけよ。
 そいつはグレン・ダイザー、下克上が好きらしいから、グレンのペットが飼い主だぜ?
 さっきまでは普通に喋れてたんだがなぁ?」

> 度重なる破壊のためだろうか リリィが横たわっている部屋の床に穴があいた。
> 芋虫よろしく転がっているリリィは、そのまま落ちるしかないだろう。
「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
落ちそうになったリリィを助けようと走ったエンカだったが、今度はエンカの足元の床に穴があいた。
特別な力を持たないエンカは、そのまま落ちるしかなかった。
しかし、2mほど落ちたところでエンカの体が止まった。彼を受け止めたのは蜘蛛の糸だった。
「ミク!どうして俺を助けた!?てめぇだって人質を取られてるはずだろうがっ!?」
エンカにはミクを含めた他のメンバーが見えなくなったので、当てずっぽうに叫んだ。
厳密に考えればミクの蜘蛛の糸に引っかかったからといって、
本当に助けてもらったのか、偶然なのか、また蜘蛛のエサにされそうなのかわからないのだが。

【エンカ:レイブンの刀を持った状態で穴に落ちる。ミックミクにされる予感】

94:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/05 15:18:54 0
>84-93
思わぬ事態に困惑するミクの耳にも、地鳴りのような音は聞こえてきた。
窓から飛び込んできたのは蛇の頭とも見える茨の塊であり、自然のものではないのは明らかだ。
ミクは茨に対応するために体を少し巣の上部に持ち上げ、脈動し始めた茨から身を遠ざける。
>「お待ちなさい!全員動かないで!
声と共に茨の中から出てきたのは、ミクの予想通りセラエノだった。
館を覆った茨がセラエノの仕業だったという仮説は、これで証明された。

セラエノは自己紹介の後、事態が適法に処理されるよう告げ始める。
内容はミクから見ればお笑い種だ。
人食いサメに食べられる前にすべきなのは、念仏を唱えるか退治する事で説法を聞かせることではない。
そしてベッドフォードはミクの見た所、人間よりも人食いサメに近い存在なのだ。
もちろん、ミクはセラエノに感謝したい事もある。
一つは、服の記憶を読み取れるという自分の能力をセラエノが明かした事。
もう一つは、ミクに必要だった動揺から立ち直る時間を稼いでくれたという事だ。
ミクはユリの様子をうかがった。
思った通り、ミクとは違う意味でセラエノの言葉を理解できていないようだった。

>「神が断れば 動け」」
ベッドフォードの意思表示に、ミクは無言で笑いかけて了解の意思を伝える。
それに合わせて音もなく、手のひらほどの大きさの蜘蛛がミクの作った巣の上部に移動を始めた。
セラエノは総裁の誘いを断るだろうと考えて、使い魔を戦いやすい位置に配置したのだ。

>「だいたい気に入らねぇのはよぉ!(後略)
エンカはセラエノが知りすぎている事に不信感を抱いたようだが、ミクはそうは思わなかった。
セラエノが神である以上、何らかの方法で知っていてもおかしくないと思っているからだ。
もちろん知りすぎている事に反感を持つ者もいるだろうが、特殊能力者が理解されないのは世の常だ。
少しはセラエノを理解してあげないと、彼女の心が闇の側に落ち込むわよエンカ。
そんな事を考えられるほど、ミクは落ち着きを取り戻している。

>「にゃあ」
>「これは…まさかブリュンヒルデの杯!!」
「ブリュ…なんですって?」
ミクにとって意外な事に、ベッドフォードは二足歩行する猫の差し出した杯に興味を示した。
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
>「グラディス、かわいいからやめとけよ。
確かにその猫は可愛くておいしそうに見えたが、ミクにとっては老人の心変わりの可能性が気になった。
セラエノが誘いを断っても、遺物探しのために交渉を始めるのではないかと思えたのだ。

総裁の部屋に大穴が開いた時にミクが真っ先にした事は、ユリに糸を飛ばして彼女を引き寄せることだった。
>「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
エンカの声がした方は一瞥したが、すぐに視線をユリに戻す。
落ちないように糸で捕らえておけば、後で何とでもできるからだ。
「ユリ。 もう良い子は寝る時間よ。
 詳しい話は明日してあげるから、今日は何もかも忘れて、ゆっくり寝なさい」
>「え。え? えーと。確かミクって寮に残ってたはずだよね…? でもここは総裁がいて…あれ?
> ね、ねえミク、なんか顔が近いよ? それに真顔だしそれにそれに…むーっ!?」 
ミクはユリの顔を両手で挟んで引き寄せると、そのまま強引に唇を重ね合わせた。
突然の事にユリは目を白黒させてむーむーと言いながら暴れていたが、しばらくするとおとなしくなる。
口移しで催眠性の毒を飲まされたのだ。

>「ミク!どうして俺を助けた!?てめぇだって人質を取られてるはずだろうがっ!?」
すぐにはその問いに答えずに、ミクはユリを糸で縛って使い魔の蜘蛛に引き渡す。
後は使い魔に任せておけば、当面はミクもいろいろ安心というわけだ。
誰かがユリを起こそうとすれば目が覚めるだろうが、それは蜘蛛が邪魔しようとするだろう。
ユリの体が巣の上に引っ張り上げられていくのを見届けてから、やっとミクはエンカを見る。

95:ミク ◆sto7CTKDkA
10/08/05 15:22:38 0
「まるで助けられては困るような言い方ね。
 こんな時には、まず命の恩人に礼の一つも言うのが礼儀というものではないかしら」
するすると自分の体を支える糸を伸ばし、ミクはエンカの止まっている位置まで下りてくる。
「人質を取られているからこそ、あなたを助けたのよ。
 私が総裁に協力している以上、総裁を助ける協力者になりそうな者を助けるのは当然。
 そうではなくて?」
ミクはそう言って、足下の穴を覗き込んだ。
「下まではかなり深そうね。
 続きは降りながら話をしましょう」
エンカを支える足場が下に降り始め、ミクも同じ速度で穴を下に降り始める。

「他の者達と違って、あなたは総裁に土下座してリリィを助けようとしたでしょう?
 それに、ベッドフォードに協力しても良いという意思表示も見せた。
 単刀直入に言うと、エンカも私と同じように総裁に協力する気はないかという事よ。
 そうすれば、リリィやメイション君、それに他の仲間の助命も嘆願できるでしょう。
 総裁は学園の有力者だから、協力すれば今後の学園生活が有利になるかもしれないわね。
 悪い話ではないと思うのだけれど、いかがかしら?」

話しているうちに、ミクたちは穴の下に到着した。
そこは石造りの、自然にできたとも人工的にできたとも思える洞窟のような場所だった。
「欠陥住宅ではないでしょうから、何かの考えがあってこの上に館を立てていたと考えるのが普通でしょうね。
 私達を下に落として、あの老人が何をしたいのかは知らないけれど。
 …他の者達も近くに落ちているのかしら?」
ミクは糸を離れて床に降りると、エンカをひっかけていた蜘蛛糸を外して自由にする。
これは、エンカが協力を受け入れても拒んでも変わらない。
「そういえばあなた、森で魔導書を見つけたとか言っていたわね。
 もしかしてこの騒ぎ、その魔導書が原因なのではなくて?」 
周囲を見回しながら、ミクはエンカにそう尋ねた。
エンカの持つ刀にまったく警戒していないように見えるが、もちろんそんな事はない。
攻撃すればミクの周囲に張られた蜘蛛糸に捕らわれることになるだろう。

96:グレンSUフリード ◆cOOmSNbyw6
10/08/05 17:16:41 P
>88>90-93
>「これぞ失われた遺物の1つ これと対になる水差しはどうした?」
「にゃあん」
(こんなものフィー坊なら 36個持ってるよ)
んなわけがない伝説の遺物なのだ
だが世界には写しただけで複製品を創り出すと言われているシャドーミラーも存在する
本物が本物のまま増やされていないとは限らない
「にゃあおん」
(水差しなんて知らないよ)
と律儀に答えるグレン
まあフリードの所有物の事なんてフリードしか知らないので
もしかしたら持っているかも知れない

>「……はぇ?え、何それ怖い……でもすげえ猫!なんでそんなもん持ってんだー?」
びろ~んと伸びる猫
狼男に前足を握られて重力に足を引かれびろ~んである
>「そーいやこいつって何だっけ?誰のペット?随分と賢いよなー」
「うなぁ」
振り子のように振られるグレン
ちょっと気持ち悪くなってきた

中にいるフリード
「・・・・・・うえっぷす」
まだ目が覚めていないがなんだか気分が悪くなってきたようである

>「グラディス、かわいいからやめとけよ。
 そいつはグレン・ダイザー、下克上が好きらしいから、グレンのペットが飼い主だぜ?
 さっきまでは普通に喋れてたんだがなぁ?」
「にゃあん」
(夢は使い魔と主人の地位を逆転すること)
出番的意味でもう成し遂げられていると思われる

>床が崩れるぞー
なにこれ?手抜き工事?姉歯?ってな具合に抜ける床
転がり落ちるリリィ
取り戻すなら今のうちである
>「やっべ!リリィが!?…う、わーっ!!」
一緒に落ちていくエンカ

「にゃあん?」
(飛び込むべきか飛び込まざるべきか?)
だがしかしグラディスの腕につかまれているせいで身動きがとれないグレン
「にゃああん」
(オープンユニオン)
フリードと分離しその手から逃れるグレン
ぽむっと床に落ちる体操服短パンで寝ているフリード
ただいま爆睡中である
「にゃあん」
(チェンジユニオンスイッチオン)
またしてもフリードと合体し羽根の生えた長靴をはいた猫の姿となるグレン
「なあにゃ!!」
(早く助けなきゃ!!)
と言って穴に飛び込もうとするグレン
はたして誰か止めようとするのか?
それともそのまま飛び込んでいくのか?

97:セラエノ ◆LGeruanYjI
10/08/05 23:00:13 0
ベッドフォードはセラエノに、協力すれば他の者は不問にすると明言した。
本来ならば破格の条件。
だが、セラエノの露出した口元に笑みが浮かぶ事はない。
恐らくミクが想像した通りであろう言葉が紡ぎだされる。

「学園の生徒である以上、事と次第によってはあなたに協力するのは吝かではありません。
しかし!これは事と次第に当てはまりません。
罰せられるべきならば適正に罰せられるべきであり、法と正しき理を捻じ曲げて救済するなど言語道断!
そして、罰せられるに値する証拠を提示できないのであれば、これは単なる脅迫でしかない。
故に彼女を救出し、お暇させていただきます!」
毅然と言い放つセラエノ。
その言葉に一遍の澱みもなく、茨がその意思を汲み動き出す。

その茨の動きを止めたのはエンカの皮肉だった。
投げつけられた言葉に注意が向いたところに更に言葉は続けられる。
>「だいたい気に入らねぇのはよぉ!俺が地面に落ちた小銭を拾おうとして爪の間にゴミが入る事より気に入らねぇのはよぉ!
> おめぇが俺の知らないことを知りすぎてることだぜーっ!
> なんでこの部屋に入ってきたばかりのおめぇが、俺が総裁に謝ったことを知ってんだ!?
> なんでリリィが蜘蛛に襲われただの、館に侵入していなかっただのって知ってんだ!?
> 俺はそんなおめぇに不信感を隠せねぇよなーっ!俺達はずっと一緒に歩いて来たのによーっ!」
「エンカ…私は…あなたが目で見るように、耳で聞くように、残気を感じる事が出来るの。
だからこの部屋で少し前に何が起こったかを一望すれば把握できるのよ。
リリィについてはこの部屋に着いた時に、既にサイコメトリーで彼女の行動を把握したからよ。」
残気とは生命体が発する気の残り。
誰がどのように動いたか、残像のようにセラエノは把握する事が出来る。
そしてリリィの罪の証拠提示を求めた時には既にリリィの行動を把握していたのだ。
証拠提示の際に捏造されないように。
全ては理に乗っ取った行動であり、一片の後ろめたいところはない。
にも拘らず…
セラエノの胸には小さな痛みが生まれていた。

エンカは自分が神である事自体が気に入らないのだろうか?
いや、それでもいい。いいはずなのだ。
自分が神である事はどうにもならない事。
それを拒否する気持ちはやがて迫害へと至り、セラエノの望むべく形になるのだから。
なのに胸が痛むのは自分自身でも理解できないでいる。

理解されない、不信に思われる。
慣れているはずなのに、望んでいるはずなのに、エンカの皮肉とその後に続く言葉に胸が痛むのだ。
神の視座は往々にして理解されない。
そう判っているはずなのに…
セラエノの声は揺らぎ、説明をしているだけなのにどこか言い訳がましくなってしまっている。
ベッドフォードに対する言葉とは比べ物にならないほどに。

この感覚に戸惑い、理屈立てようとするが上手く行かなかった。
上手く行くはずがないのだ。
初めての感覚に精神的にも肉体的にも消耗しつくしている。
そんな時に考えてもマイナスな考えは生まれてもプラスの考えは生まれるはずはない。
呼吸は浅く、速くなり、肉体にもその影響が現れ始めていた。


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