10/06/05 09:45:44 CGLXoJUZ
こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには板前が見えないの。六尺を締めこんで、男気が溢れている・・・」
父 「あれはたなびく霧だ・・・」
武 「俺は男だ!男寿司の板前だ!
男一匹、根性根性ど根性!」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。板前がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、枯葉が風にざわめいているだけだよ。」
武 「くそ!きついな」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、 やり場のない男の精力を、身体の鍛錬で発散させる板前が!」
父 「見えるよ。だが、あれは古いしだれ柳の幹だよ。」
武「よっしゃ、楽になった」
子 「おとうさん、おとうさん!板前が前袋から男根と金玉を引っ張り出す!
板前が再び四股を踏み始める!」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで館に着いた
「いらっしゃいませ。」
低い声が響いた舘は、小さく流れるAMラジオがはっきり聞こえるほど静かで、
妙な威圧感が子を包みこみました。
そして目に飛び込んできたものは
鏡の前に並んだ椅子に座っている全ての先客が、
やはりその筋の客ばかりという光景でした。
「こちらへどうぞ。」
案内された子はその独特な舘の雰囲気に圧倒されそうになりながらも、
元来のガラの悪い見た目を活かし、椅子にドカッと座りました。