11/12/01 01:15:16.46 fuX1CJIB0
程無くして校内のグランドが見え始めて来た頃…
仁美とほむらは目を合わせていた。このままでは共に危険だ、自分達にまで危険が及んでしまう。
二人には申し訳無いが、即時この場を離れるべきだと合意。そこには密かに二人だけ意思の疎通があった。
「わ、わたくし…ちょっとお手洗いに行きたいので先に失礼致しますわ!」
「まどか…貴女が選んだ大切な人を支えてあげてね。」
ほむらはまどかの肩をポンと叩き、仁美と共に薄情にも走り去ってしまった。
「ちょ、ちょっと仁美ぃ!ほむらぁー!?助けてよー!」
先程の事故と、さやかを抱えるまどかのスピードもあってまどかはかなり後方に位置していた。
よって大多数の生徒は既にゴールし、校内のグランドに待機していた訳である。
(キャアァァ!?)(ヒューヒュー!)
グランドに敷かれたコースに入ると同時に聴こえてくる幾多の驚きと歓声。
「鹿目さん頑張れー!
「美樹俺と代われー!」
「さやさや羨ましいー!」
「まどっちかっこいいー!」
「さや姫こっち向いてー!」
「お前等結婚しろー!」
それはもう冷やかしと黄色い声援が飛ぶわ飛ぶわ。注目の的以外の何者でもない。
まどかとさやかは今になって仁美とほむらが逃げた理由を痛い程体感するハメになった。
巻き添えを避けたいが為…というよりは敢えて"二人だけにする"という悪戯心も含まれていたかもしれないが。
「ちょ…ちょっとこれって…! みんな見てるよ!降ろしてよ!降ろしてってば!!///」
「うぅぅぅぅぅ~っ!!//////」
さやかは慌てて顔をまどかの控えめな胸に埋めるも既に時遅し。
まどかは足を止める余裕も、さやかを降ろす余裕も全く無くただひた走り続ける。
ずっと抱えていた為にグランドコース中程で正直バテてきたが、恥ずかしさでそれどころじゃなかった。
ゴールと同時に瞬くシャッターの音。
そこにはカメラを持つ仁美と、申し訳なさそうに舌を出すほむらの姿があった。
―後日、廊下の掲示板前―
校内新聞にマラソン大会の写真が掲載されていた。一面に大きく二人の写真が。
"大きな歓声と共にゴールに迎えられる二人"
「………///」
「………///」
[マラソン大会]
おしまい。