11/10/18 04:00:54.60 iUoYcCp20
「少し長くなるが話を聞いてくれ。自分語りっぽいが、杏子ちゃんはでる
「今日バイトが終わって先輩達と飯食いながら雑談してる時に人間性の話になんたんだよ
「それで先輩がこう言ったんだ。『人は他人に無償の愛を捧げる事が出来るようになれば変わる』って
「つまり恋人作れって事かな?けどそれも難しいだろう。何故なら好きな人ができたらその時点で、その人からの愛を見返りに求めてしまうからだ
「と言う事はどうすれば無償の愛を証明できるかと言うと、自分の命を懸ける事じゃないかと思う
「自分の命を捧げて恋人を救えば、それは自分に見返りを求めていない、無償の愛なのではないかと
「俺は杏子ちゃんの為に命を捧げる事はできるのか。俺は変われるのか
「おいしい物がたくさんあって、綺麗な朝日を見れて、美しい雪が降って、面白い本が沢山あって、可愛い杏子ちゃんがいる。そんな素晴らしい世界を去る
「それが死ぬという事。流石の俺も戸惑った。怖い。コワイ。死ぬのが、怖い
「何も食べられない。なにも見れない。なにも感じれない。なにも楽しめない。そして、杏子ちゃんがいない
「それが死
「そして気づいた。杏子ちゃんこそ、さやかの為に自らの命を落とした、無償の愛だって
「杏子ちゃんは、死ぬのが怖くなかったのだろうか。十数年培ってきた自分の人生が消えるのが、怖くないのだろうか
「俺は死ぬのが怖いと思った。杏子ちゃんもだろう。それでも杏子ちゃんは、俺より幼いのに、自分の命を捧げた
「死というのを真面目に考えたお陰で、杏子ちゃんが、今までで一番聖女と感じた瞬間だった
「だが、杏子ちゃんにとって捧げるべき人生とはなんだろう
「杏子ちゃんにとって、自分の命は価値がなかったのではないだろうか
「自分のソウルジェムが濁らないために魔女と戦い、食い物を盗み
「杏子ちゃんは、なんの為に生きているんだろう